世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1532信(2020.06.01)

  • 教皇、パンデミックによる試練に置かれた世界のために祈る
  • 教皇、中国の信者を"聖母に託して"祈る
  • WCC常置委員会が新型コロナの影響を受けウェブ会議
  • スウェーデン初のオンライン・エキュメニカル・リトリート
  • NY市警察、ユダヤ教超正統派神学校を強制閉鎖
  • 韓国の首都周辺の京畿道で12教会に施設閉鎖と集合禁止命令
  • 黒人暴行死、米抗議デモが各地で暴徒化し4千人拘束
  • コスタリカで同性婚を合法化、中米初
  • ラリー・クレーマー氏が死去、同性愛・エイズ活動家
  • ≪メディア展望≫

 

◎教皇、パンデミックによる試練に置かれた世界のために祈る
 【CJC】バチカン・ニュース(日本語版)によると、カトリック教会が伝統的に聖母に捧げる月、5月の終了を前に、教皇フランシスコは30日夕、バチカン庭園の「ルルドの洞窟」前で、ロザリオの祈りを行った。
 中にある祭壇は、ルルドで聖ベルナデッタ・スビルーが聖母の出現を受けた場所に置かれた最初の祭壇で、1960年、タルブとルルド教区の司教から教皇ヨハネ23世に贈られた。
 教皇フランシスコによるロザリオの祈りは、世界各地の巡礼地とビデオ中継で結ばれ、これらの巡礼聖堂でも、バチカンの会場と一致し、祈りが唱えられた。
 バチカン庭園の「ルルドの洞窟」前の広場では、間隔を広く開けて置かれた椅子に座った参加者が、教皇と祈りを共にした。
 参加者の中には、新型コロナウイルスとの闘いにおいて第一線に立つ医師や看護師ら病院関係者、この感染症で亡くなった方の遺族、病院付きの司祭、薬剤師、またこのパンデミック危機の間に新しい命の誕生を体験した家族などの姿が見られた。
 教皇と参加者、また世界各地の巡礼聖堂の関係者は、ロザリオの「栄えの神秘」を観想しつつ、パンデミックが引き起こした様々な状況に苦しむ人々のために、神に癒しと解放、救いを祈り求めた。
 教皇は、「聖母月」において、パンデミックで家にいる信者たちにロザリオの祈りを推奨する書簡の中で、自分で特別に用意した祈りを紹介している。バチカン庭園でのロザリオの祈りを、教皇はこの祈りをもって締めくくった。
     ◇
 ペンテコステ(聖霊降臨祭)に合わせて教皇は30日、新型コロナウイルスの感染拡大が収束した後の世界に「より公正な社会」を構築するよう求め、「貧困のパンデミック(世界的な大流行)を終わらせる」ための行動を人々に呼びかけた。AFP通信が報じた。
 発表されたスペイン語ビデオメッセージで、教皇は「このパンデミックを脱した時、私たちはこれまでしてきたことをこれまで通り続けることが不可能となる。そう、すべてが変わってしまう」と語った。
 また、人々が心を開き、今回の危機から「私たちは一つの人類」という重要な教訓を得る必要があるとして、これからは特に従来見捨てられてきた最貧困層のために新たな社会を築く義務があると続けた。
 そして「より公正でキリスト教的な精神を表す社会を、名ばかりではなく現実に力を合わせて築いていかなければ、この苦しみはすべて無価値となる」と述べた。


◎教皇、中国の信者を"聖母に託して"祈る
 【CJC】教皇フランシスコは、中国のカトリック信者を、『扶助者聖母マリア』に託して祈った。公営バチカン・ニュースが報じた。
 カトリック教会暦は、5月24日(日)、『主の昇天』の祭日と共に『扶助者聖母マリア』を記念した。
 教皇は、バチカン宮殿からビデオを通して行った日曜正午の祈りで、この日、中国の保護者であり、上海に巡礼聖堂を持つ「キリスト信者の助け手なる聖母」を特別な信心をもって祝った、同国のカトリック信者たちに思いを向けた。
 教皇はこの席で、中国の信者たちに、続けて次のような励ましと祝福を送った。
 「中国の親愛なる兄弟姉妹の皆さん。あなたがたがその一員として属する普遍の教会は、皆さんの希望を分かち合い、人生の試練において皆さんを支えます。教会は、新たな聖霊のほとばしりのために、祈りをもってあなたがたと歩みを共にします。皆さんの中に光と福音の美しさが輝き、神を信じるすべての人に神の救いの力が及びますように」 「すべての皆さんに今一度、わたしの大きく誠実な愛情をお伝えしつつ、特別な教皇祝福をおくります。聖母が皆さんをいつもお守りくださいますように!」。


◎WCC常置委員会が新型コロナの影響を受けウェブ会議
 【CJC】世界教会協議会(WCC)常置委員会は6月1~3日にバーチャルなウェブ会議を開催し、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック(大流行)の中で多くの人々が危機的な状況に置かれている世界に連帯を示すことにした。
 常置委員会は、情報を共有し、合意に基づいた決定を行い、新型コロナウイルスが教会の在りようとWCCの活動に与える影響を評価する計画。
 また、WCCの2020年の計画と予算に対するCOVID-19の影響を検討し、常置委員会が協議、決定を継続する方法を確立し、19年の財務報告書を採択する。ドイツのカールスルーエで21年に開催予定の第11回総会も常置委員会の議題となる。
 常置委員へのメッセージで、アグネス・アブオム中央委員会議長は、今の時代は全員にとって挑戦的な時代、と述べた。
 「これは『いつも通りの』会議ではないことを覚えてください。会議の外で交流したり、一緒にいたりするための時間もありません」とアブオム氏。
 通常よりも決定事項は絞られているが、委員がコメントや質問を投稿できる議論の場は設けられている。
 中央委員会は2021年6月22~30日に開催、常置委員会は直前の21日から中央委の直前まで行われる。


◎スウェーデン初のオンライン・エキュメニカル・リトリート
 【CJC】スウェーデンのカトリック教会とルーテル教会は、ペンテコステ前夜の5月30日、オンラインの霊的リトリート(黙想会)を共催する。バチカン・ニュースが報じた。
 スウェーデン初の超教派の霊的リトリートは、双方が「神の内なる宿り――危機と恐怖の時代の平和」を主題に行う。
 リトリートへの招待は、ストックホルム大司教アンデルス・アルボレリウス枢機卿とウプサラのルーテル教会カリン・ヨハネッソン監督から直接出された。
 リトリートは、ペンテコステの5月30日から始まり、6月20日までの毎週土曜日に行われる。「この危機の時代に深みをもって対応したいと考えています。魂が静けさを見つけるのを助けるために」と、2人は述べている。無料で接続で、誰でも参加して、聖書テキストに関する詳細な資料、祈り、ビデオ、考察などにアクセス出来る。
 希望者は、スウェーデンの修道院から2個所、グルムスロフのカルメル会修道院とアルシケのプロテスタント修道院の修復に献金も可能。
 2人は、現在、多くの人が孤立していると感じていると説明する。「聖霊は、一人でいることに深い意味を見いだすのを助ける」として、人々がこの時期を「神の声に耳を傾けることを学ぶ」ために使えるように、と願っていると述べた。ストレスや心配事が多いこの時期に、人々が一緒に祈ることができる「共同のバーチャル・ルームを考えた」と説明している。
 そして「教会はただの建物ではなく、普遍的な共同体であり、御霊がわたしたちを、イエスを、そして互いを結びつける場所である」と付け加えた。


◎NY市警察、ユダヤ教超正統派神学校を強制閉鎖
 【CJC】米国では、新型コロナウイルスの感染拡大防止措置を巡って行政と宗教関係団体との摩擦も各地で強まっている。全ての学校が閉鎖を指示されているニューヨーク市で、ブルックリン区ベッドフォードスタイプサントにあるユダヤ教超正統派神学校が、指示に反して開校していたとして、市警察(NYPD)により5月18日、強制的に閉鎖された。現地邦字紙『DSN』がニューヨーク・タイムズ紙やニューヨーク・ポスト紙などの報道を紹介している。
 同神学校校の近隣に住む、ジョー・リビングストンさんによると、同日朝、十数人の生徒を乗せたスクールバスが次々と同校に到着した。校舎に入っていった生徒のほとんどはマスクを着用していなかったという。さらに休み時間に、屋上で遊ぶ子どもたちの姿を目撃したリビングストンさんは、行政総合窓口ダイヤル311に通報した。
 同日正午ごろ、駆けつけたNYPDの警官は、校舎内の約60人の生徒全員に帰宅するよう命じた。
 ニューヨーク・ポスト紙は、同区のユダヤ教キャンプ協会が5日、子どもたちのサマーキャンプの実施を求め、キャンプ希望地の同州サリバン郡にその許可を求めていた。しかしサリバン郡の保険局は「今年はキャンプを許可できない」と却下したと報じている。


◎韓国の首都周辺の京畿道で12教会に施設閉鎖と集合禁止命令
 【CJC】ソウル発聯合ニュースによると、韓国の中央防疫対策本部は6月1日、午前0時現在の新型コロナウイルスの感染者数は前日午前0時の時点から35人増え、計1万1503人になったと発表した。死者は前日から1人増え、計271人。
 新規感染者35人のうち、33人は国内で、2人は入国者を対象にした検疫でそれぞれ確認された。地域別では仁川市で18人、京畿道で12人、ソウル市で1人、と首都圏が計31人に上る。
 防疫当局は、教会や塾などを中心に散発的に感染者が発生している状況を注視している。
 ソウル市周辺の京畿道では前日、済州島への団体旅行から帰った教会の牧師や家族ら計9人の感染が判明し、管轄の自治体が12の教会に対する施設閉鎖と集合禁止命令を出した。仁川市でも教会で発生した集団感染と関係がある感染者が新たに18人確認された。


◎黒人暴行死、米抗議デモが各地で暴徒化し4千人拘束
 【CJC】米中西部ミネソタ州で黒人男性のジョージ・フロイドさん(46)が白人警官に首を押さえつけられて死亡した事件を巡って米各地で抗議デモや暴動が31日も続き、全米の75都市以上に拡大した。この数日間に少なくとも4100人が拘束された、とAP通信は伝えている。少なくとも15州と首都ワシントンで州兵計約5000人が出動態勢を整えたとの情報もある。
 テレビ向けのニュースチャンネルCNNによると、サンフランシスコ、シカゴ、デトロイト、シアトル、マイアミ、ダラスなど少なくとも40都市と首都ワシントンで夜間外出禁止令が出された。
 ニューヨーク・タイムズ紙は、外出禁止令を出した都市の数は公民権運動を率いたマーチン・ルーサー・キング牧師が暗殺された1968年以来の規模だと伝えている。


◎コスタリカで同性婚を合法化、中米初
 【CJC】サンパウロから時事通信が報じるところでは、中米コスタリカで5月26日、同性婚が合法化された。中米で同性婚が認められた国は初めてで、カルロス・アルバラド大統領によると、世界では29番目となる。
 カトリックが国民の大部分を占めるコスタリカでは同性愛はタブー視されていたが、2018年に米州人権裁判所が政府に法改正して認めるよう勧告。同年の大統領選で最大の争点の一つとなり、容認派のアルバラド氏が決選投票を制して当選した。
 アルバラド氏はツイッターで「共感と愛がわれわれの羅針盤となり、すべての人が受け入れられる国へと向かいますように」と歓迎した。26日午前、さっそく男性カップルが挙式。インターネット中継で見守った友人らの祝福を受けたという。


◎ラリー・クレーマー氏が死去、同性愛・エイズ活動家
 【CJC】著名な同性愛者の権利活動家で、1980年代のエイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)危機への政府の対応の遅れを文学作品や行動で強く批判したラリー・クレーマー氏が5月27日死去した。84歳だった。
 米紙『ニューヨーク・タイムズ』はクレーマー氏の夫の話として、死因は肺炎だったと伝えた。同氏には生前、エイズウイルス(HIV)や肝疾患など、複数の健康問題があった。
 クレーマー氏は1981年、初のHIV陽性者支援団体『ゲイ・メンズ・ヘルス・クライシス』(GMHC)を設立。87年にはエイズ撲滅に向けた取り組みを促す団体『アクト・アップ』を設立し、抗議のデモ行進や、ウォール街、カトリック教会指導部に対する妨害行動を率いて、米国の指導者らに揺さぶりをかけた。
 クレーマー氏はその過激な発言や攻撃的な姿勢が一部から嫌われたものの、米政府のエイズへの無関心に対する怒りに突き動かされた活動は最終的に、米国の医療に変革をもたらした。


《メディア展望》
 =カトリック新聞(5月31日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★福岡教区=アベイヤ司教 着座=キリストの愛に駆り立てられて
★聖ペトロ大聖堂=10週間ぶりに再公開
★ヨハネ・パウロ2世生誕100年=教皇フランシスコがミサで記念
★オンライン講演会=「集うことのできない教会」の可能性を問う
★「仮放免」の子どもたちが発信=オンライン絵画イベント=家族の絆、愛を描く

 
 =KiriShin(6月1日)=https://www.kirishin.com
★オンライン座談会 コロナ禍企画=「教会の情報発信はどう変わるか」=鈴木聖仕×中村恵久×吉岡恵生
★日本福音ルーテル教会=「礼拝再開に際しての注意事項」発表
★徳島の牧師・神父ら=教派超えリモート賛美歌に挑戦
★「コロナ禍」対応の牧師夫婦のため=オンライン相談窓口を開設=6月16日まで
★トランプ米大統領が州知事に教会の活動再開求める

 
 =クリスチャン新聞(5月24日)=https://クリスチャン新聞.com
★最前線にいる医療関係者のために=マスク用バンド 病院に寄贈=カナダで
★世界10億人へ伝道"GO2020"=無力感にイエスの希望を
★仮放免進展も「行き先、孤独が心配」=大村入管外国人収容者はコロナ禍をどう過ごす?
★タイ=クーデター多発で「非常事態」慣れも=対策効果で新規感染者減少
★カナダ=住民の多くが自宅で過ごす=「自分の行動が周りを守る」=カルガリー在住 栗山泉さん

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