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世界キリスト教情報 第1533信(2020.06.08)

  • 黒人男性の暴行死に全米で抗議デモ、トランプ大統領への批判も
  • 白人警官に暴行を受け死亡した黒人男性追悼集会
  • 米人権団体がトランプ氏ら提訴、ホワイトハウス前のデモ隊排除で
  • ホワイトハウス前通りの一部を「黒人の命も大切」に名称変更
  • ソウル首都圏に広がる教会発の集団感染、1カ月で70人近くも
  • インドネシアで安全圏102地域、自治体に宗教施設など再開権限
  • 女性神学者がリヨン大司教になる日が来る?
  • 死海文書の由来は?「羊皮紙」のDNA調査で謎深まる
  • ≪メディア展望≫

 

◎黒人男性の暴行死に全米で抗議デモ、トランプ大統領への批判も

 【CJC】白人警官による黒人暴行死事件を巡り、全米各地で夜間外出禁止令を無視した抗議デモが続いている。逮捕者が累計1万人に迫るなか、治安維持のために軍動員の意向を示したドナルド・トランプ大統領の行動への批判が高まっている。教皇フランシスコやカンタベリー大主教などキリスト教指導者からも強い声が出ている。
 黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官に暴行され死亡した米ミネソタ州ミネアポリス市で5月26日始まった抗議デモは全米50州に広がり、複数の都市で数十万人が行動を展開した。外出禁止令違反などの逮捕者は6月3日までに9300人に達した。
 死亡したフロイドさんが育ったテキサス州ヒューストンでは2日、フロイドさんの遺族16人はじめ、約6万人が平和的にデモ行進した。
 地元紙『ヒューストン・クロニクル』によると、フロイドさんのおいは集まった人たちに、「おじのため正義を獲得するまで、やめないで」と呼びかけた。
 ヒューストン市のシルヴェスター・ターナー市長は、「彼の死は無駄ではない」と集まった人たちに訴えた。フロイドさんは9日にヒューストンで埋葬される予定。
 デモは、現場のミネアポリスは比較的平穏だったが、ロサンゼルス、フィラデルフィア、アトランタ、シアトルでも大規模な抗議集会が開かれた。シアトル、ポートランド、アトランタでは催涙ガスが使用されたとも伝えられる。
 1日夜にマンハッタン区で百貨店などが略奪被害にあったニューヨーク市は2日、夜間外出禁止令を7日まで継続すると発表、午後8時から翌日午前5時までの外出が禁止された。それでも抗議者は道路で行進を続け、路上の交通はストップした。
 社会不安が続く中、ドナルド・トランプ大統領は1日、ホワイトハウス近くの『セント・ジョーンズ教会』(聖公会)の前で聖書を持ち、写真撮影に臨んだ。これに先立ち連邦公園警察などは、ホワイトハウス前の公園周辺で抗議していた人たちを催涙ガスやゴム弾などで排除していた。これには聖公会ワシントン教区のマリアン・ブッド主教をはじめ多くの聖職者が、聖書や教会を「小道具」に使ったと強く反発した。
 英国国教会の霊的指導者カンタベリー大主教とヨーク大主教は、この社会不安によって「白人至上主義の悪行が続いている」ことが露呈したと述べた。
 教皇フランシスコは、「人種差別は容認できないし、見えない振りをすることもできない」と非難しつつ、「暴力では何も得られないし、あまりにたくさんのものを失ってしまう」と述べた。
 英メディア『BBC』のマーティン・バシール宗教担当編集長は、今年11月の大統領選で再選を狙うトランプ陣営はここ数週間、白人のカトリック教徒の票を取り込もうとしてきたと指摘する。
 大統領選でトランプ氏と争う見通しのジョー・バイデン前副大統領は、セント・ジョーンズ教会前でトランプ氏が聖書を掲げたことについて触れ、「たまには聖書を開いてくれればいいのにと思う」、「振り回すのではなく、聖書を開いていればトランプ氏は何かを学べていたかもしれない」と述べた。
 バイデン氏はまた、トランプ氏がこの危機的状況を利用して、キリスト教保守派など自分の「支持基盤の情動にアピール」していると批判した。
 「大統領たるもの、私たち国民全員を気遣う義務がある。支持基盤や献金者だけでなく、私たち全員のことを」と、バイデン氏は訴えた。
 トランプ氏が教会まで歩く前に、通過する公園の抗議者を催涙ガスやゴム弾で排除するようシークレットサービスや連邦警察などに命令したのは、ウィリアム・バー司法長官だったという。トランプ氏がホワイトハウスで演説する前から、バー長官はホワイトハウスの外で機動隊を視察していた。
 一方で、トランプ氏自身はツイッターで、「みんな勘違いしてる! もし抗議者がそんなに平和的なら、なんで前の晩に教会に火をつけたんだ?
みんな私が歩いたのを気に入ってくれた」と書いた。
 「自分たちは生まれつき、怒ってるわけじゃない」と話すのは、アフリカ系アメリカ人の暮らしを映画で描き続けてきたスパイク・リー監督。「殺されたフロイドさんを大事にすべきだが、それだけじゃない」と、差別と格差の問題の大きさについてBBCに語っている。
 トランプ大統領がホワイトハウスを出て教会前で撮影した一連の行動について、リー監督は「家族と一緒に夕べ見ていて、こんな演出がありかって信じられなくて、叫んでいた」と話した。
 教会の前に立ち、自分のものではないという聖書を手にしたトランプ氏について、リー監督はさらに、「あの人の手の中で聖書はしっくりきていなかったし、本人も聖書を手にするのが居心地悪そうだった。あんなのは今まで見たことがない。特に世界首脳で」と述べている。


◎白人警官に暴行を受け死亡した黒人男性追悼集会

 【CJC】米中西部ミネソタ州で白人警官に暴行を受け死亡したジョージ・フロイド氏の追悼集会が6月4日、同州ミネアポリスで開かれた。数百人とされる参加者は、フロイド氏が白人警官に首を押さえつけられた8分46秒間にわたって、黙祷をささげた。
 黒人運動指導者のアル・シャープトン牧師は弔辞で「401年前から、私たち黒人が望みや夢をかなえられないのは、膝で私たちの首を押さえ続けられているからだ」と強調し、「今こそ立ち上がり、膝を首から離せと声を上げるときだ」と訴えた。

 シャープトン牧師が「401年前から」と述べたのは、植民地時代の1619年に最初のアフリカ人奴隷20人の記録のこと見られる。


◎米人権団体がトランプ氏ら提訴、ホワイトハウス前のデモ隊排除で

 【CJC】米国自由人権協会(ACLU)などは6月4日、ホワイトハウス前で平和的なデモを行っていた人々を解散させるため警察にペッパーボール弾(催涙弾の一種)や発煙弾を使わせたのは、「黒人の命は大切」運動の参加者や個人でデモに参加していた人たちの憲法上の権利を侵害したとして、ドナルド・トランプ大統領らを相手取って提訴した。
 大統領は1日、徒歩でホワイトハウス近くの教会を訪れ、聖書を手に写真撮影に臨んだ。この移動に先立ち、警察がデモ隊を解散させたことで、各地で警察の暴力に対する抗議デモが起き、米国は分断状況にあることを示している。


◎ホワイトハウス前通りの一部を「黒人の命も大切」に名称変更

 【CJC】米ワシントン市のミュリエル・バウザー市長は6月5日、ホワイトハウス近くの交差点の名称とそこに続く通り(通称16番通り)の一部を「黒人の命も大切」(ブラック・ライブズ・マター)に変更した。
 白人警官が黒人男性を死なせた事件への抗議デモに連帯を示すためとして、通りに巨大な黄色の文字で「黒人の命も大切」とペイントし、標識も設置した。
 トランプ氏は同日、「ひどく無能な市長」などとツイッターに投稿し、激しく反発した。


◎ソウル首都圏に広がる教会発の集団感染、1カ月で70人近くも

 【CJC】韓国の『ハンギョレ新聞』は6月2日、ソウル首都圏の教会での会合や行事を媒介として、5月以降だけで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者が70人近く確認されるなど、再び宗教関連の会合が感染症拡散の震源地となったと報じている。
 京畿道防疫当局は、教会、聖書研究会などの小規模会合、宗教行事などを中心に感染が広がっていることから、会合の自粛と非対面会合への転換を求めた。特に、多数の教会で「子ども礼拝」も再開されるなど、礼拝への参加人数を制限しないところが多くなることを考慮した措置。1日から14日までの2週間、物流倉庫業、運送宅配の物流施設、集荷場、コールセンター、葬儀場、結婚式場に対し、集合制限命令を下した。


◎インドネシアで安全圏102地域、自治体に宗教施設など再開権限

 【CJC】インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は5月29日、新型コロナウイルスの感染者の減少など一定基準を満たした102県・市について、自治体が住民の社会活動を実施できるように決定する権限を付与するよう、緊急対策本部に指示した。アジア経済ニュース専門の『NNA
ASIA』が6月2日報じた。
 モスクや教会などの宗教施設、市場、オフィス、公共交通、ホテル・宿泊施設、レストランの閉鎖解除を決定できるようになる。


◎女性神学者がリヨン大司教になる日が来る?

 【CJC】「カトリック教会は女性聖職問題で重要な岐路にさしかかっている」とされる中で、仏カトリック教会リヨン大司教への立候補を5月下旬に表明した神学者アンヌ・スーパさん(73)を支持する請願書にはすでに5600人以上の署名が集まった。カトリック日刊紙『ラ・クロワ』国際版(英語)6月7日付けが報じている。
 署名者の1人、元政府閣僚で『緑の党』のリーダー、セシル・デュフロさんは、「私の自然な本能が、根性あり、複雑なフェミニストの闘争に関わっている女性を支持した」と語る。
 デュフロさんは、リヨン大司教になるために神学者アンヌ・スーパさんを支持する請願書の最初の署名者の中に自分の名前があったことに驚かれたとしても、当然のことと受け止めている。「個人的にも活動家としても、受洗や堅信礼を受けたことに伴う正当性だけの理由で」スーパさんの姿勢を支持していると語った。
 カトリック教会は、故教皇ヨハネ・パウロ2世は1994年の文書で、女性聖職者誕生への可能性を閉ざす発言をしている。バチカン(ローマ教皇庁)は、この教義はカトリックの伝統のなかで不可謬絶対の部分との立場。


◎死海文書の由来は?「羊皮紙」のDNA調査で謎深まる

 【CJC】死海周辺で発見された古代の聖書写本群「死海文書」のDNA調査で、文書の一部については、発見された砂漠の地域に由来するものではないことが判明した。研究結果が6月2日、発表された、とAFP通信が報じている。
 死海文書の調査は数十年前から続けられていて、羊皮紙とパピルスの巻物はヘブライ語、ギリシャ語、アラム語で書かれており、世界最古の「十戒」の写本をはじめ、最古級の聖書写本が含まれていることなどが分かっている。
 イスラエル考古学庁(IAA)の死海文書調査プロジェクトを統括する研究者のプニナ・ショル氏は、「死海文書はすべてヤギの皮に書かれているとこれまで考えられていたが、今回の研究では、羊皮紙の断片の分析を通じて、一部の文書がウシやヒツジの皮に書かれていたことが明らかになった」と説明する。
 ショル氏は、AFP通信の取材に「この研究結果により、ウシやヒツジの皮に書かれた写本は、発見地の砂漠に由来するものではないことが分かる」と語った。
 IAAとテルアビブ大学の研究チームは、13の文書を対象に調査を7年かけて実施した。だが、ウシやヒツジの皮の写本断片がどこに由来するかを突き止めることはできなかった。
 ショル氏は、「今回の研究で得られた初期成果は、第2神殿時代に暮らしていたユダヤ人の生活に関する研究に影響を与えるに違いない」と述べる。第2神殿とは、エルサレムにあった神殿で、紀元70年にローマ人に破壊された。
 イスラエルおよびパレスチナ自治区周辺では、こうした考古学的調査の取り扱いは極めて難しい。紛争中の土地に対する自らの主張を正当化する目的で、考古学的調査の結果が特定の組織や政党によって利用される場合があるためだ、とAFP通信。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(6月7日)=http://www.cwjpn.com/cwjpn/
★新潟教区に新司教=教皇=成井大介神父を任命
★教皇=ロザリオの祈りでパンデミックの収束願う
★聖地ベツレヘム=聖誕教会が再公開も=キリスト教徒に不安
★オンラインで語り合う=教会の未来テーマに座談会=全国の青年が企画
★津和野・乙女峠でミサ=まつりはコロナにより中止
 
 =KiriShin(6月1日・既報)=http://www.kirishin.com
 
 =クリスチャン新聞(6月7日)=http://クリスチャン新聞.com
★史上最強サイクロン=インド・バングラデシュ直撃=避難所での感染拡大懸念=ワールド・ビジョンが緊急報告
★お友だちも大はしゃぎ!=教会の壁にスプレーアート=愛隣チャペルキリスト教会
★「感染拡大も災害」支援開始=九キ災=コロナ禍支援でオンライン学習、セミナー、交流イベント開催
★難民に新型コロナ追い打ち=「クリスチャンも支援の輪に」=難民支援協会・石川えり代表理事らに聞く
★コンゴ=首都キンシャサで感染拡大=基本的な感染症対策徹底=ハンガーゼロ駐在員報告

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