世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1537信(2020.07.06)

  • 韓国の市民団体・宗教団体が日本との新しい関係づくりへ
  • 韓国『殉教者の声』が3日夜にも「聖書をつけた風船」を北へ飛ばす」
  • 韓国警察がビラ散布団体への捜査強化、国際犯罪捜査隊も合流
  • モルモン教が上海で神殿開設目指す、米『CNN』が狙い紹介
  • 世界遺産アヤソフィアの「博物館」としての地位を司法が是非判断
  • サグラダ・ファミリアが医療関係者ら招き限定公開し謝意表明
  • 名誉教皇ベネディクト16世の兄G・ラッツィンガー神父死去
  • ゲオルグ・ラッツィンガー神父死去に教皇がお悔やみ書簡
  • ≪メディア展望≫

 

◎韓国の市民団体・宗教団体が日本との新しい関係づくりへ
 【CJC】韓国の放送メディアKBS(日本語版)は、韓国と日本の市民団体・宗教団体が2日、韓国と日本の歴史を記憶し、新たな関係を模索するための「韓日和解と平和プラットフォーム」の発足式を行ったと報じた。
 KBSによると、発足式はソウルと東京の会場をインターネットでつないで行った。韓国は、韓国キリスト教教会協議会、円仏教、正義記憶連帯など16団体、日本は、日本キリスト教協議会、ピースボート、日本カトリック正義と平和協議会など16団体が出席した。
 「韓日和解と平和プラットフォーム」は、宣言文で「韓日関係は破局状態を続けているが、両国政府は突破口を見いだせていない。この危機を新たなチャンスへと変え、東アジアに平和・共生の時代を切り開くためのプラットフォームを作る」としている。
 「プラットフォームは、両国の歴史を記憶して歴史の犠牲者の傷を癒やす事業のほか、韓半島の平和プロセスや日本の平和憲法の維持に向けた事業などに取り組む計画、とKBSは報じている。


◎韓国『殉教者の声』が3日夜にも「聖書をつけた風船」を北へ飛ばす」
 【CJC】韓国の情報メディア『ニュース1』によると、非営利宣教団体『殉教者の声』が7月3日午後9時ごろ、江原道(カンウォンド)鉄原(チョロン)から、「聖書をつけた大型風船」を飛ばし、警察に摘発された。
 鉄原警察署によると、この地域の住民が聖書をつけた大型風船を飛ばそうとしている『殉教者の声』の信徒2人を目撃したと通報が4日あった。信徒は外国人1人、韓国人1人。外国人はエリック・フォーリー牧師であることがわかった。
 『殉教者の声』は6月26日にも、聖書をつけた風船4個を「北に送った」と主張している。
 『殉教者の声』は世界15カ国にある宣教団体で、北朝鮮に4万冊ほどの聖書と、平均500キログラムの米を毎年送っている。


◎韓国警察がビラ散布団体への捜査強化、国際犯罪捜査隊も合流
 【CJC】韓国の『聯合ニュース』によると、北朝鮮脱出住民(脱北者)団体などに対する警察の捜査が拡大している。
 ソウル地方警察庁トップの李龍杓(イ・ヨンピョ)庁長は7月6日、脱北者団体『自由北韓運動連合』と『クンセム(大きな泉の意味)』、キリスト教非営利団体『殉教者の声』など4団体を調査中とし、「対北ビラ・物資散布捜査タスクフォース」(TF)に国際犯罪捜査隊1チームを加え捜査人員が40人から45人に増えた」と記者団に伝えた。
 TFに国際犯罪捜査隊が合流したのは、『殉教者の声』の代表が米国籍であるためという。
 『殉教者の声』は6月25日に仁川市・江華島で、7月3日には江原道鉄原郡から北朝鮮に向けて大型風船を飛ばしており、ソウル警察庁はこれらの事件についても捜査することにした。
 警察は、『自由北韓運動連合』の朴相学(パク・サンハク)代表がメディア関係者を暴行した事件と関連し、朴氏を出頭させ、調査する方針。
 一方、警察は新型コロナウイルス感染症と関連し、自主隔離違反で121件を捜査し、75人について起訴相当の意見を付けて送検した。


◎モルモン教が上海で神殿開設目指す、米『CNN』が狙い紹介
 【CJC】キリスト教系の新宗教『末日聖徒イエス・キリスト教会』(LSD、通称モルモン教)が4月5日、中国本土初となる神殿を上海に開設する計画を発表した時、一部からは思い切った決定、との声が上がった。米国のネットメディア『CNN』が、伝道熱心なLSDの狙いを紹介している。
 LSDが香港に恒久的な拠点を設置したのは1949年のこと。香港を中国進出の足がかりにする目的だった。
 教会指導部は中国国内で活動する許可を得ようと、80年から当局への働きかけを開始。86年には北京と西安で集会所として使われる小規模支部が設立されたが、外国人用パスポートを持つ人だけが参加を許された。
 一見したところでは進展が乏しそうだが、教会指導部は中国当局と強固な関係を築いていると主張する。2010年には、中国での活動を「正規化」する方針を表明したという。
 上海の中心部にある高層ビルの会議室に毎週日曜日に集まるようになった今でも、必ず1人は奥の入り口付近の席に着く。
 間違った人が入室するのを防ぐ狙い。といっても、宗教上の秘密を守るためではない。モルモン教は特に秘密主義的な信仰ではなく、通常は新たな改宗者を探している。だが、もし通りがかりの中国人が礼拝に加われば、参加者全員が法を犯すことになりかねない。
 中国政府は外国人による宗教の実践や集団礼拝への参加は認めているものの、少しでも改宗や宣教の動きがあれば厳しく対応する方針で、LSDはこうした禁止事項を真剣に受け止めている。
 LSDは現状を変更するつもりはないとしているが、中国で公式の神殿を開設するとなれば、議論は避けられないだろう。中国政府の許可が得られない可能性もある。上海当局は先ごろ、神殿開設の発表が事前の承認なくなされたことを示唆したが、専門家の間では、LSDが明確なゴーサインなしに計画を発表したとは考えにくいとの指摘もある。
 現在、中国で認められているモルモン教の礼拝は2種類。外国人向けの礼拝と、国外で改宗した中国人向けの礼拝だ。外国人と中国人は別々に分けられており、LSDは中国人教会員の拡大を試みていると受け止められないよう、細心の注意を払っている。
 非公認宗教の中では、モルモン教はおそらく模範的な存在だろう。現旧の教会員や外部の観測筋は、LSDが細心の注意を払って国内法令の順守に努め、改宗の試みと受け取られかねない行動を一切避けるとの見方で一致している。


◎世界遺産アヤソフィアの「博物館」としての地位を司法が是非判断
 【CJC】トルコの裁判所は7月2日、キリスト教会とモスク(イスラム礼拝所)の特徴を併せ持つイスタンブールの世界遺産アヤソフィアの「博物館」としての地位の是非をめぐり審理を行い、「今後15日以内に判断を下す」と決定した。地元メディア報道をイスタンブール発時事通信が伝えた。
 レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は判断を踏まえて「モスク化」を進める方針。
 アヤソフィアは6世紀にビザンツ帝国がギリシャ正教の総本山として建立。15世紀、オスマン帝国の支配下でモスクに改装された。1935年には政教分離を進めたトルコ初代大統領ケマル・アタチュルクの下で無宗教の博物館となり、「異文化共存の象徴」と見なされるようになった。
 しかし、トルコのイスラム主義者は最近、博物館になった際の手続きに不備があったとして提訴した。国内のイスラム勢力を支持基盤とするエルドアン氏も、アヤソフィアをモスクに戻して「礼拝の場」とすることに意欲的だ。
 こうした動きに対し、隣国ギリシャなどは強く反発している。マイク・ポンペオ米国務長官は1日の声明で、アヤソフィアを博物館として維持するよう促した。


◎サグラダ・ファミリアが医療関係者ら招き限定公開し謝意表明
 【CJC】スペイン北東部カタルーニャ自治州の州都バルセロナにある世界遺産サグラダ・ファミリア(聖家族教会)が7月4日、医療や警察、NGOといった社会を支える部門に勤務する人に限定して約110日ぶりに再び公開された。「新型コロナウイルスの感染拡大阻止に向けた戦いの最前線にいる人々」に敬意を表するためという。
 医療関係者らは今後2週間の週末に限り、建築家アントニ・ガウディ設計の世界的に有名な教会を混雑のない状態で見て回ることができる。


◎名誉教皇ベネディクト16世の兄G・ラッツィンガー神父死去
 【CJC】名誉教皇ベネディクト16世の兄、ゲオルグ・ラッツィンガー神父(96)が7月1日、ドイツ南部バイエルン州レーゲンスブルクで死去した。
 ベネディクト16世は、6月18日、兄ゲオルグ神父の病状悪化に伴い、見舞いのため、緊急にレーゲンスブルクを訪問、22日まで現地に滞在した。
 ゲオルグ神父は、1924年1月15日、バイエルン州プライスキルヒェンに生ま。11歳の時から、小教区の教会でオルガンを弾き始めた。42年、国家労働奉仕団に徴員、その後、国防軍に徴兵された。45年、連合軍の捕虜となり、ナポリに数カ月収容された後、解放された。47年、弟ヨゼフと共に、ミュンヘンのヘルツォークリッヒェス・ゲオルジャーヌム神学院に入り、51年6月29日、兄弟そろって、フライジング大聖堂で、ミヒャエル・フォン・ファウルハーバー枢機卿により、司祭に叙階された。
 ゲオルグ神父は2005年4月、弟が教皇に選出された時、「正直言って、このような結果になるとは思っていませんでした。自分としては少し気落ちしました。教皇としての重大な責務を思えば、わたしたちの交流もかなり縮小されるでしょう。しかし、いずれにしても、枢機卿の方々の人間的な判断の背後には、神の御旨があります。これをわたしたちは受け入れなくてはなりません」と語っている。
 また2011年、ある雑誌のインタビューで、ゲオルグ神父は「体力的にこれ以上は無理であるところまで来たら、弟は引退する勇気を持っているはずです」と語っていたが、ベネディクト16世が高齢を理由とする歴史的な引退宣言がなされる数カ月前、ゲオルグ神父は、その決意を聞いた1人となった。
 ゲオルグ神父は、目と脚の不自由をおして、レーゲンスブルクとローマを往復し、ベネディクト16世が引退後に生活するマーテル・エクレジエ修道院をしばしば訪ねていた。


◎ゲオルグ・ラッツィンガー神父死去に教皇がお悔やみ書簡
 【CJC】教皇フランシスコは、名誉教皇ベネディクト16世に書簡を送られ、その中で名誉教皇の兄、ゲオルグ・ラッツィンガー神父の冥福を祈った。ゲオルグ神父は、7月1日、ドイツ・レーゲンスブルクで死去した。
 教皇は、書簡で心からのお悔やみを述べると共に、この悲しみの時において、あらためて精神的一致を表した。
 ゲオルグ神父を「福音への忠実な奉仕者」として思い起こされた教皇は、同神父を「いのちの主の愛あふれるいつくしみ」にゆだね、その冥福を祈った。
 同時に、教皇は、名誉教皇のために、「キリスト教的希望と神の優しき慰めによる支え」を、聖母の取り次ぎをもって神に祈った。
 「希望と平和の源、復活のキリストのうちに、常に一致しつつ。子として、兄弟としての気持ちを込めて」と、教皇は書簡を結んだ。


《メディア展望》
 =カトリック新聞(7月5日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★那覇教区 慰霊の日=沖縄戦から75年=全国の教会と心合わせ
★教皇フランシスコ=難民と被造物の保護必要=パンデミックで浮き彫りに
★「マスクと祈りが命綱」=南米で日系人医師がコロナチーム指揮
★戦後75年=沖縄戦を生き抜いた母に寄り添って=佐久本嗣勇さん(那覇・首里教会)に聞く
★環境問題=韓国の教会に学ぶ=エコロジー問題に取り組むための検討会

 
 =KiriShin(7月1日)=https://www.kirishin.com
★求められる「新しい信仰様式」=上智大同窓会企画=神父2人がオンラインで対談=片柳弘史×晴佐久昌英
★NCC靖国神社問題委員会=持続化給付金の宗教法人への適用に反対
★「宗教団体への公金支出に反対」=バプ連が首相と日本宗教連盟に抗議
★米南部バプテスト連盟に175年で初の黒人理事長誕生
★トルコ・アルメニア教会総主教、「アヤソフィアを礼拝堂に」
 =クリスチャン新聞(7月5日)=https://クリスチャン新聞.com
★Lightプロジェクトがプレゼン=コロナによる仕事の混乱 四区分に=必要ごとに福音の希望適用
★「沖縄慰霊の日」を前に「沖縄恨之碑追悼会」=元朝鮮人軍夫らに祈り
★コロナ禍で「神学Webサロン」開始=仙台バプテスト神学校=「現場」で"神のかたち"表す
★持続化給付金の宗教法人適用に抗議声明
★森郷キャンプ場カフェ生石庵=オンライン販売開始=コロナ禍休業中でもやれることを


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