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世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1539信(2020.07.20)

  • バチカン、性的虐待対処の手引き発表=教皇が作成要請
  • 中国地下教会の司教が死亡か=公認教会加入拒み20年以上消息不明
  • NY大司教区のカトリック系20学校閉鎖、学生数減にコロナ禍で
  • 仏ナントの大聖堂で火災、放火の疑いで捜査開始
  • EUのアヤソフィアに関する声明をトルコ外相「拒否」
  • トルコ大統領がアヤソフィアを突然訪問、礼拝控え視察
  • 米公民権運動の指導者ジョン・ルイス下院議員死去
  • ≪メディア展望≫

 

◎バチカン、性的虐待対処の手引き発表=教皇が作成要請
 【CJC】バチカン(教皇庁)教理省は、7月16日、聖職者による未成年者虐待のケースに対応するための手続きについての要覧を発表した。
 公設バチカン・ニュース(日本語版)によると、「聖職者による未成年者虐待ケースへの対応における手続き上のポイントについての要覧」と題された文書は、全9章、およそ30ページからなる。
 文書は、聖職者による未成年者虐待の件への対応をめぐる主な問いに答える手引き書としての性格を持つ。この問題に関する新たな規則や法規を記すものではなく、むしろ、この重大な犯罪をめぐり、教会法の具体的適用のための解釈を必要とする司教や関係者を助けるものである。
 同要覧の作成は、2019年2月、世界の司教協議会会長が集いバチカンで開催された、未成年者の保護をめぐる司教会合の席で要請されたもので、今回、教理省から発表されたものは、将来の定期的な見直しを予想して「1・0版」と名付けられている。
 一つの犯罪はどのように形成されるか、事前の調査はどのように進められるか、刑法上可能な手続きは、などの問いに答えながら、現行法や、ヨハネ・パウロ2世によって2001年に公布され、10年にベネディクト16世によって更新された自発教令「サクラメントールム・サンクティタティス・トゥテーラ」、そして2019年の教皇フランシスコによる自発教令の形をとった使徒的書簡「ヴォス・エスティス・ルクス・ムンディ」の内容に触れている。
 要覧は、特に四つの重要な点が浮かび上がる。
 まず一つは、当事者らの人間としての保護の必要である。教会の責任者らには、「被害を訴える人とその家族が尊厳と尊重をもって扱われるよう取り組む」ことが求められる。そして、これらの人々に、霊的・医療的・心理学的な助けはもとより、ケースに応じた特定の方法をもって、心のこもった対応、傾聴、寄り添いを行うことが必要と記している。ここでは、訴えられた人に対する同様の配慮にも触れている。
 二番目に、虐待と推定されるケースをめぐり、司教が受け取ったあらゆる情報を細心の注意をもって入念に審査する必要が挙げられる。たとえ、正式な告発がなかった場合や、ソーシャル・ネットワークを含むマスメディアによってニュースが流布した場合、情報源が匿名の場合にも、受け取ったすべての情報を注意深く審査し、深く掘り下げるよう、同要覧は助言している。また、告解の秘匿義務は当然有効であるが、この場合、聴罪司祭は、告解者に、推定される虐待の情報を別の方法で告げるように説得しなくてはならない。
 三つ目の重要な点は、「コミュニケーション」のあり方。事前調査の間、被害を訴える人と証言者には「事件をめぐり沈黙を守る義務」はないことを強調する一方、関係者らに「職務上の守秘義務」を尊重するよう思い出させている。いずれにせよ、不適切かつ不正な情報が、特に事前調査の段階で公に流布され、既成事実であるかのような印象を与えることがないようにと願っている。
 四番目の重要なポイントは、教会と国家の協力である。たとえば、教会の責任者は、明白な法的義務がなくても、犯罪的行為の危険から未成年者らを守るために必要と思われる時はいつでも、自治体の担当機関に通告するよう、同要覧は強調している。同時に、個々のケースの調査においても、各国の法律を尊重するよう指示している。


◎中国地下教会の司教が死亡か=公認教会加入拒み20年以上消息不明
 【CJC】中国政府公認のカトリック(天主教)教会への加入を拒否したことで逮捕され、その後20年以上消息が分かっていない地下教会の司教が、死亡した可能性がある。中国当局が最近、後任司教の任命についてバチカンに承認を求めているという。カトリック系UCAN通信が報じた。
 死亡が推定されているのは、保定教区(河北省)のジェームス蘇志民(ス・ジミン、蘇哲民とも)司教(88)。蘇司教は1996年、政府公認の「中国天主教愛国会」への加入を拒んだことから、「反革命分子」として逮捕され、収監された。司教の家族が2003年に保定市内の病院に司教が入院しているのを偶然、目撃したが、その後17年間、司教の安否は確認されていない。
 司教のおいとされる、蘇天祐(ス・ティヤンヨ)氏が、UCAN通信に語ったところによると、中国共産党は、保定教区のフランシスコ安樹新(アン・シュシン)補佐司教を司教に任命するようバチカンに要請したという。そこで、蘇司教はすでに死亡している、との観測が出てきた。
 安司教はかつて、教皇のみに忠誠を誓う地下教会に所属していたが、1996年に逮捕され、10年間にわたる自宅軟禁の後、公認教会で奉仕することに同意し、自宅軟禁を解かれた。
 一方、蘇司教は1981年に司祭に叙階され、93年に当時の教皇ヨハネ・パウロ2世から保定教区司教に任命されたが、中国政府は認めてこなかった。
 安司教の教区司教任命を求めた中国共産党による最近の要求をめぐり、天祐氏は、蘇司教の安否確認と釈放を中国側に要求することを、バチカンに求めているという。


◎NY大司教区のカトリック系20学校閉鎖、学生数減にコロナ禍で
 【CJC】米カトリック教会ニューヨーク大司教区は7月9日、教区内のカトリック系20学校を閉鎖すると発表した。この中にはマンハッタンのコーパスクリスティー校などが含まれる。ニューヨークのメディア『WABC』などが報じた。
 学生数が年々減少していたところに新型コロナウイルスの蔓延が追い打ちをかけた。失業などで授業料が払えなくなった家庭が多く、学生数はさらに減少、ミサや募金活動を中止したこともあり、教会自体が財政的に成り立たなくなった。
 閉校で生徒2500人と教職員350人が影響を受ける。ティモシー・ドーラン大司教(枢機卿)は「生徒は別のカトリック系学校で受け入れるようにする」と説明している。同教区のマイケル・ディーガン教育長は「連邦議会が審議中の支援策が成立しなければ、追加の閉鎖もありうる」と警告している。
 ブルックリン教区、クイーンズ教区も6校を閉鎖する、と9日発表した。


◎仏ナントの大聖堂で火災、放火の疑いで捜査開始
 【CJC】フランス西部ナントの大聖堂内で7月18日、火災が発生し、ステンドグラスの窓やパイプオルガンなどが焼失した。
 午前8時前に、サンピエール・サンポール大聖堂で火災が発生したとの通報があり、消防隊員100人前後が出動した。消防本部長は、2時間後に消防隊が火の勢いを食い止めたと説明している。
 「別々の3カ所から出火したのが分かれば、放火の疑いがあるとして捜査開始は当然の判断だ」と捜査当局。国家警察も捜査に加わると話している。
 火災により大聖堂の名物だった17世紀のオルガンなどの貴重な品々が全焼したが、消防本部長は、パリのノートルダム大聖堂で昨年起きた火災ほどの被害は出なかったと述べた。
 15世紀から19世紀にわたって建設されたゴシック様式の建物は、1972年に火災が発生。屋根の修復に13年以上かかっている。その工事では、屋根に木材ではなく鉄筋コンクリートが使われたという。
 ナント教区は7月18日の声明で、火災で
「ロワール=アトランティック県」の信徒が大きな悲しみに陥っている、として「大聖堂は、建築的傑作であり、教区の母教会である」と述べた。「大聖堂は、地域の歴史の重要なイベントの際の集合場所として存在する」という。
 エマニュエル・マクロン大統領は火災発生を受けてツイッターで、「ノートルダムに続き、サンピエール・サンポール大聖堂が燃えている。ゴシックの宝石を守るため危険を冒している消防士たちを応援する」とツイートした。


◎EUのアヤソフィアに関する声明をトルコ外相「拒否」
 【CJC】欧州連合(EU)のアヤソフィアに関する声明に関し、トルコのメヴリュト・チャウショール外相が7月14日、非難の言葉を拒否すると述べた。
 チャウショール外相は、アンカラを公式訪問中のマルタのエヴァリスト・バルトーロ外相と会談した際に発言した。
 EUのジョセップ・ボレル外務安全保障政策上級代表が発したアヤソフィアに関する声明に、チャウショール外相は、「ボレル代表が『開放されない方がよかった』と言っていれば、私はこれに敬意を払っていた。『博物館のままの方がよかった』と言っても、敬意を払っていた。非難の言葉を我々は拒否する。スペインにも、モスクとして建てられ、その後教会にされた建築物がある。今、スペインに対して『それらを再びモスクに変えよ、君たちを非難する』とは言わない。アヤソフィアはトルコの主権にかかわる問題だ」と主張した。
 「東地中海ですべての関係者と対話する用意がある」と強調した外相は「ギリシャも含めてだ。ギリシャとも、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領がギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相と電話会談した後に対話を始めた。一方的な押し付けや制裁には反対する」と語った。


◎トルコ大統領がアヤソフィアを突然訪問、礼拝控え視察
 【CJC】AFP通信によると、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領は7月19日、イスタンブールの歴史的建造物であるアヤソフィアを突然訪問した。アヤソフィアは10日に、モスク(イスラム礼拝所)化が決まり、この決定後初の礼拝が24日に行われることになっている。
 トルコ大統領府は、エルドアン氏がこの訪問でアヤソフィアのモスク化の準備を視察した、と発表。建物内部の足場を写した写真も公表した。トルコの宗教当局である宗務庁(ディヤネト)によると、キリスト教を象徴するものはカーテンで覆い隠され、「礼拝の間、適切な手段によって」照明が消されるという。24日に予定されている約500人の金曜の礼拝に、エルドアン氏が参加する予定かは明らかでない。


◎米公民権運動の指導者ジョン・ルイス下院議員死去
 【CJC】1960年代にアフリカ系アメリカ人の人権確立のために闘った公民権運動の闘士、ジョン・ルイス下院議員が7月17日、膵臓(すいぞう)がんのために亡くなった。80歳。
 マーティン・ルーサー・キング牧師たちと共に、米公民権運動で指導的な役割を果たした。キング牧師が歴史的な「私には夢がある」演説をした、雇用と自由を求めた1963年の歴史的なワシントン大行進でも、取りまとめに尽力、「アメリカよ、目を覚ませ」と演説した。
 1986年に民主党から南部ジョージア州選出の連邦下院議員に初当選して以来、17期連続で州都アトランタを含む地域を代表した。
 昨2019年12月には、ステージ4の膵臓がんの診断を受けたと公表。「自分は生まれてこの方ほとんど常に、何かしら闘っていた。自由のため、平等のため、基本的人権のため。そして今、これほどのものは初めてだという闘いに直面している」とコメントしていた。
 公民権運動では、学生非暴力調整委員会(SNCC)の創設に関わり、1963年から66年まで委員長を務めた。
 ルイス議員と同じ日、同じく公民権運動指導者だったC・T・ヴィヴィアン牧師も95歳で亡くなった。ヴィヴィアン牧師はルイス議員やキング牧師と親しく、人種隔離バスの運行に抗議する「フリーダム・ライド」運動の組織に関わり、後に南部キリスト教指導者会議(SCLC)の代表になった。ルイス議員の死去に伴い、ワシントン大行進で演説した公民権運動指導者は全員が故人となった。
 民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長は、ウェブサイトとソーシャルメディアで、ルイス議員の死去について声明を出し、ルイス議員を、「公民権運動の巨人で、その善良な人柄、信念と勇気がこの国を様変わりさせた」と称えた。さらに下院議員としては、「連邦議会の与野党を問わず、上下両院で敬愛されていた」としのんだ。
 ルイス下院議員の訃報を受けて、人権団体の全米黒人地位向上協会(NAACP)は「非常に悲しい」とツイート、「正義と平等と自由を求めた終生の取り組みは、この国と世界に消えない影響をもたらした」と、ルイス議員をたたえ、遺族に哀悼の意を示した。
 2011年、当時のバラク・オバマ大統領から米国最高位の勲章である大統領自由勲章を受けた。ドナルド・トランプ大統領には批判的で、17年1月の大統領就任式をボイコットしている。
 オバマ前大統領は声明で、ルイス議員とはオンラインのバーチャル・タウンホールで話をしたばかりだったと振り返った。黒人男性ジョージ・フロイド氏が白人警官に暴行され死亡した事件を機に開かれた集会で、ルイス議員は若い活動家たちの取り組みを称えていたという。
 ルイス氏は、1965年3月、アラバマ州セルマでの「血の日曜日事件」で、自身も警官に暴行されて大けがを負った。事件では、黒人が投票権の平等を求めてデモ行進中、警官隊の暴行を受けた。
 こうした功績をたたえ2011年には当時のオバマ大統領から文民としては最高位となる「自由勲章」を授与されている。
 ルイス氏は、ステージ4のすい臓がんであることを公表したあとも精力的に議員活動を続け、白人警察官による黒人男性の死亡事件をきっかけに全米に抗議デモが広がるなかテレビのインタビューに応じ、改めて差別の撤廃を訴えていた。


《メディア展望》
 =カトリック新聞(7月19日)=http://www.cwjpn.com/cwjpn/
★教皇フランシスコ=移住者の「地獄」を非難=キリスト者は良心の糾明を
★カトリック保健協会=米国のWHO脱退は「遺憾」
★パレスチナの教会聖職者=ヨルダン川西岸の併合はキリスト者に「壊滅的影響」
★女性を支援する「礼拝会」=SNSで無料相談を開始=ぷろじぇくとHana
★教会と市民団体が「核なき世界基金」設立=広島・世界平和記念聖堂で会見

 
 =KiriShin(7月11日・既報)=http://www.kirishin.com

 
 =クリスチャン新聞(7月19日)=http://クリスチャン新聞.com
★九州南部豪雨へ九キ災支援活動開始=十数教会、教会員宅が浸水被害=コロナ配慮 =九州外、海外からボランティア受け入れず
★クリスチャン・キャンプ場=コロナ禍で運営危機=祈り続ける輪を広げて=クラウドファンディングサイトに各祈祷課題
★元阪神タイガース選手マートン氏との新企画「バーチャル円陣」=現役クリスチャン外国人選手が普段着トーク
★ウェスレアン・ホーリネス教団「教団委員会の見解」可決=CT疑惑払拭できない=調査委「再臨主」教理の疑念拭えず
★日本人の救霊に情熱=韓国桂山中央監理教会 崔世雄氏召天

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