世界キリスト教情報

世界キリスト教情報

世界キリスト教情報 第1540信(2020.07.27)

  • アヤソフィアでイスラム教礼拝=85年ぶりに「モスク」本格運用
  • スウェーデン教会で女性聖職者数が初めて男性上回る
  • 新型コロナで命落としたカトリック大司教・司教は世界で9人
  • 高齢の修道女13人が新型コロナで死亡=米ミシガン州の修道院
  • 聖パトリック大聖堂が財政難に=コロナで訪問者激減
  • チリで公共の場に「コロナ探知犬」配備へ
  • 北朝鮮の新浦で、聖書を持っていただけの女性を処刑
  • 仏ナント大聖堂火災で教会奉仕の男、放火認め勾留
  • 米公民権運動指導のルイス下院議員、故郷で追悼式
  • ≪メディア展望≫

 

◎アヤソフィアでイスラム教礼拝=85年ぶりに「モスク」本格運用

 【CJC】トルコの最大都市イスタンブールにあるアヤソフィアで7月24日、イスラム教の金曜礼拝が行われた。同国のタイイプ・エルドアン大統領が今月10日、「無宗教の博物館」という位置づけをイスラム教の礼拝所(モスク)に変更してから初めての礼拝で、アヤソフィアは約85年ぶりにモスクとしての運用が本格化した。
 アヤソフィアは1500年前、キリスト教国家のビザンツ帝国時代に大聖堂として建造された。1453年にオスマン帝国が首都コンスタンティノープル(現イスタンブール)を征服した後、モスクに改造され、1935年からは博物館として公開されていた。
 24日の礼拝には、レジェプ・タイップ・エルドアン大統領を含む数千人が参加したという。
 ロイター通信などによると、エルドアン氏やトルコの閣僚らは新型コロナウイルス感染防止のため、マスク姿でアヤソフィア内部での礼拝に参加した。周辺の沿道は熱心なイスラム教徒ら多数の人で埋まり、関心の高さを示した。
 アヤソフィアは6世紀にビザンツ帝国がギリシャ正教の聖堂として建設し、内部にはキリスト教のモザイク画やフレスコ画が残っている。イスラム教は偶像崇拝を禁じているため、これらの絵画は礼拝中、カーテンなどで覆われる。トルコ政府は「モスク化」の後も外国人や観光客の立ち入りを認める方針を示しており、礼拝以外の時間帯は観覧できる。


◎スウェーデン教会で女性聖職者数が初めて男性上回る

 【CJC】スウェーデン教会(ルター派)は7月22日、同国で女性聖職者の数が男性を上回ったと発表した。約60年前に女性の聖職者が認められて以降、女性の数が男性を上回るのは初めて。
 同教会のクリスティーナ・グレンホルム総幹事によると、同派の聖職者3060人のうち1533人が女性で、全体の50・1%を占めている。
 グレンホルム氏はAFP通信に、「歴史的観点から言うと、想像していたより早く、こうして(男女)均等になった。1990年の報告では、女性が全聖職者のうち半数を占めるのは2090年になると見られていた。まだ30年しかたってない」と述べた。
 スウェーデン教会は、1958年に女性の聖職者を認め、60年には初めて女性3人に聖職位を授けた。
 また、スウェーデン議会は82年、聖職者が女性の同僚と協力するのを拒むことを認める「良心条項」を廃止した。
 政教分離が行われ、国教会の地位を失った2000年から、神学講座で女性の受講者数が男性を上回るようになった。13年の調査によれば、聖職者になるための教育を受ける人のうち70%を女性が占めていたという。
 グレンホルム氏は、「日曜礼拝で男性と女性の両者を祭壇に上げようとする試みが、多くの教区で行われている」と述べ、「神は男女両方の人間を神のかたちに創造されたと私たちは信じていることから、これについて話すだけでなく、実際に示されることも不可欠である」と説明した。
 しかし、男女の聖職者間では月平均2200クローナ(約2万7000円)の報酬差があると教会紙は報じている。
 グレンホルム氏はこれについて、男性の方がより高い地位にいることが要因としている。


◎新型コロナで命落としたカトリック大司教・司教は世界で9人

 【CJC】新型コロナウイルスは、世界保健機関(WHO)が3月初めにパンデミック(世界的大流行)を宣言してから4カ月以上たった現在も、収束のめどがたっていない。カトリック教会の大司教・司教など高位聖職者でも新型コロナで命を落とした人がこれまでに、世界で少なくとも9人に上っている。
 カトリック系CNA通信の報道などをまとめると、ブラジル・パルマレス教区のヘンリケ・ソアレス・ダコスタ司教(57)が7月18日、コロナ感染症により死去した。ブラジルで感染によって亡くなった大司教・司教はこれで3人となった。ダコスタ司教は2週間以上にわたって集中治療室で治療を受けていたという。
 ブラジルの犠牲者は他に、パソフンド教区のペドロ・エルシリオ・シモン名誉大司教(78)=6月1日没=と、パライバ教区のアルド・パゴット名誉大司教(70)=4月14日没=があげられる。パゴット名誉大司教はすでにがんを患っている身だったが、コロナに感染し呼吸不全により亡くなったという。
 ブラジルに隣接するボリビアでは、エルアルト教区のウジェニオ・スカルペリーニ司教(66)が7月15日に亡くなった。スカルペリーニ司教はイタリア出身で、ボリビアで10年にわたって奉仕していた。
 米国では、ボストン教区のエミリオ・アリュー補佐司教(85)が4月26日に死去。英国では、リバプール大司教区のビンセント・マロン補助司教(88)が5月18日に亡くなった。
 アフリカでは、コンゴ民主共和国ムウェカ教区のジェラルド・ムルンバ・カレンバ名誉司教(82)が4月15日に首都キンシャサの病院で、ケニア・メルー教区のサイラス・シルビウス・ヌジル名誉司教(91)が同28日、イタリア・トリノで死去した。エチオピア・ガンベラ使徒座代理区で奉仕していたイタリア人のアンジェロ・モレスキ司教(67)は3月25日、イタリア・ブレシアで死去、今回のコロナ感染により亡くなった最初の司教だった。


◎高齢の修道女13人が新型コロナで死亡=米ミシガン州の修道院

 【CJC】米ミシガン州デトロイト近郊にあるカトリック女子修道院で、高齢の修道女13人が4月から6月にかけて、新型コロナウイルス感染症で死亡したことが分かった。
 修道院の幹部が7月21日、CNNニュースに確認したところでは、死亡したのはここで共同生活をしていた69~99歳の修道女。4月10日にまず99歳の患者が亡くなり、復活祭の12日には92歳と95歳の2人が息を引き取った。
 5月10日までの1カ月間に計12人が相次いで死亡したが、臨終の祈りに集まることもできず、葬儀には10人ずつしか参列できなかったという。さらに6月末、一命を取り留めていた98歳の修道女の容体が悪化して亡くなった。
 同幹部によると、院内で感染した修道女は少なくとも30人に及び、このうち17人が回復した。ただし7月初めの報告によると、一部の患者はその後も全身の衰弱や呼吸器症状などが続いた。
 米国内にある宗教施設の集団感染でこれほど多くの死者が出るのは、1918年に起きたスペイン風邪の流行以来の事態と見られる。
 この修道院では約1・5平方キロの敷地にかつて800人の修道女が暮らしていたが、現在は50人前後まで減っている。


◎聖パトリック大聖堂が財政難に コロナで訪問者激減

 【CJC】新型コロナウイルスの影響で、ニューヨーク市マンハッタン区51丁目5番街にあるカトリック教会セントパトリック大聖堂が財政難に陥っている。ニューヨーク・タイムズ紙7月19日付け報道を、現地邦字紙デイリー・サンが21日伝えている。
 大聖堂への訪問者は通常90%が地域外の在住者。献金やギフトショップの売り上げで月100万ドル(約1億715万円)の歳入があった。ところが、コロナ禍で大聖堂も3月に閉鎖、6月28日に日曜ミサを再開したが、旅行客の参加が激減した。通常1万5000人の定員を、入場制限で1800人に減らしたが、これまでのミサに集まったのは内外400人。
 このため400万ドル(約4億2800万円)の歳入不足になった。光熱費の支払いも難しい。大聖堂のロバート・リッチー主任司祭は、「このようなことは今までなかった。イースターはおこなわれず。夏の観光シーズンも壊滅的。ディナーなど寄付金集めもできない」と頭を抱える。
 セントパトリック大聖堂は、ニューヨーク大司教区から支援はなく、逆に、歳入の8%を大司教区に収める立場にある。ただ、給与保護プログラム(PPP)の対象となり、連邦政府から100万ドル弱の支援を受けて、50~80人の従業員は解雇を免れた。それでも献金頼みは変わらず、リッチー司祭は「できる方はどなたでも」と献金を呼びかけている。
 ペンシルベニア州ビラノバにあるカトリック系ビラノバ大学のマシュー・マニオン教授によると、米国内にあるカトリック教会177教区の内92教区で3月以降、歳入が半減した。


◎チリで公共の場に「コロナ探知犬」配備へ

 【CJC】米メディアCNNによると、南米チリの警察が、新型コロナウイルス感染者の「臭い」をかぎ分ける探知犬の訓練を行っている。商業施設やスポーツ施設、バスターミナル、空港といった公共施設の再開促進に役立てたい考え。
 チリ警察によると、いわゆる「生物探知犬」の訓練は9月半ばまでに完了する見通しで、大勢の人が集まる場所に配備を予定している。
 「犬は1時間に250人の臭いをかぐことができる。競技場や学校、事業所、レストランなどを再開する際は、そうした場所を平常通りに再開できるよう、生物探知犬の配備が不可欠になる」と警察。
 現時点で探知犬の訓練を受けている犬は4頭。チリ国家警察とチリ・カトリック大学が共同で、ゴールデンレトリバー犬3頭とラブラドール犬1頭に、新型コロナウイルス感染者の臭いを探知させる訓練を行っている。
 選ばれた犬たちは、麻薬や爆弾などの探知犬として長年の実績があり、「単純に新しい臭いの探知を身に着けるだけで済む」とフェルナンド・マルドネス教授は説明する。
「新型コロナウイルスに感染した体は、揮発性の有機化合物を発散させる。検体は感染初期の人から採取する。わきの下に15分間ガーゼを置いて、その検体を保管しておき、犬の訓練に利用する」(マルドネス氏)
 訓練に要する期間は2週間~2カ月程度。犬は感染の可能性が高い人を探知すると、その人の横に座るよう教えられている。
 CNNによると、新型コロナ探知犬の訓練は英国でも行われている。


◎北朝鮮の新浦で、聖書を持っていただけの女性を処刑

 【CJC】北朝鮮・咸鏡南道(ハムギョンナムド)の新浦(シンポ)では、今年3月、聖書を持っていただけの女性が処刑される事件が起きた。北朝鮮情報専門サイト『デイリーNKジャパン』が7月25日、内部情報筋による、として伝えた。
 40代女性のシンさんは、両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)などを行き来して商売をしていた。今年1月、聖書に接した。お守りとして聖書が密かに売られているとの報道もあるが、彼女が聖書を手に入れた経緯はわからない。
 シンさんは聖書を、荷物に隠して自宅に持ち帰った。新型コロナウイルスによる不況で暇になったシンさんは、聖書のことを思い出し、取り出して読んでは見たものの、何のことだか全く理解できず、ダンボール箱に入れて倉庫にしまっておいた。
 今年3月、シンさんはいきなり保衛部(秘密警察)の家宅捜索を受け、逮捕された。
 逮捕の数日前、友人が金の無心にシンさん宅を訪れたが、断られた。シンさんが、金の代わりにワカメを持たせようと倉庫に入ったところ、友人はダンボール箱の中にある聖書を発見して、保衛部に密告したという。
 シンさんは取り調べで、新浦造船所など重要施設周辺の地形に関する資料を外国に送ったことを認めた。そして、敵国の書籍である聖書を国内に拡散させ、党に対する国民の信頼をおとしめ、社会主義を脅かす反党、反国家行為を行っただけでなく、スパイ行為まで行った容疑で、非公開で処刑された。
 事件のことを耳にした市民の間では、保衛部のやり方に疑問の声が上がった、と『デイリーNK』は伝えている。


◎仏ナント大聖堂火災で教会奉仕の男、放火認め勾留

 【CJC】フランス西部ナントで7月18日に起きたサンピエール・サンポール大聖堂の火災で、司法当局は26日、教会奉仕活動を行っていたルワンダ出身の男(39)が火を付けたことを認めたとして放火容疑での正式捜査の開始を決定、裁判所は勾留を認めた。
 容疑者は数年前からフランスに滞在し、難民認定を申請していたが認められていなかった。弁護士は、容疑者が深く後悔しているとし、動機について「自分を解き放つ行為と述べた」としている。
 当局は当初から大聖堂内の離れた3カ所から出火したことを指摘し、放火の疑いで捜査を始めた。通常は大聖堂が閉まっている早朝に出火し、不法侵入の形跡はなかったことから、前夜の戸締まりを担当した容疑者を直ちに拘束して事情聴取したが容疑を否認したため、いったん釈放していた。


◎米公民権運動指導のルイス下院議員、故郷で追悼式

 【CJC】1960年代のアメリカ公民権運動の象徴的存在で、7月17日に膵臓がんのため80歳で亡くなったジョン・ルイス下院議員の追悼式が25日、故郷アラバマ州トロイ大学のトロージャン・アリーナで行われた。
 新型コロナウイルスの影響で、参列者たちはマスクの着用を義務付けられたほか、参列者の数は800人に制限された。
 トロイでの追悼式の後、ルイス氏の棺を乗せた霊柩車は、近親者のみの追悼のため、アラバマ州セルマの教会に到着した。
 26日には、1965年に行進中に警官から暴行を受けて頭蓋骨を骨折したエドマンド・ペタス橋へ運ばれる。その後は州都モンゴメリへ移され安置公開される。
 遺体は、密葬の後に30日にジョージア州アトランタで埋葬される。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(7月26日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★教皇庁教理省=司祭による性虐待に対応=「ハンドブック」を公表
★教皇フランシスコ=アヤソフィアのモスク化「とても悲しく思う」
★臨時司教総会=感染症流行受け初めてオンラインで開催=中央協に送る献金一部減免も承認
★九州豪雨被害=必要な援助届くように=福岡教区「支援室」が視察・調整
★オンラインで無料配信=「キリスト教視聴覚教育講習会」=日本聖書協会・AVACO
 
 =KiriShin(7月21日)=https://www.kirishin.com
★リモートでつながる「みんなで聴く会」=コロナ禍で"集まれない"今こそ=『聴くドラマ聖書』の日本G&M文化財団が提案
★ウェスレアン・ホーリネス教団=クリスチャントゥデイと「距離置く」
★関西キリスト災害ネットワーク=懇談会で地域との関わりなど協議
★日韓の市民団体・宗教団体が共同=歴史を記憶し新たな関係を模索
★英国国教会トップが奴隷制念頭に歴史の直視訴え
 
 =クリスチャン新聞(7月26日)=https://クリスチャン新聞.com
★雑巾作り・写真洗浄プロジェクト開始=思いをつなげる・届ける=九キ災=人吉バイブル・プロテスタント基督教会で活動支援
★香港・信教の自由の危機感=KGK、現地団体と緊急祈り会=「怖くて、怖くて、毎日過ごす...」学生悲痛
★「中継礼拝」が地方つなぐ可能性=双方向参加型を手軽に=アッセンブリー・境港キリスト教会長谷川忠幸牧師
★困窮孤立問題で教会に求められるもの="分断"の根が信仰理解に=バプ連ホームレス支援委シンポ
★チャプレンの祈り、院内放送で=那覇市の社会医療法人葦の会/オリブ山病院

月別の記事一覧