世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1542信(2020.08.10)

  • 教皇「軍拡に費やす財源を、人々の発展と環境保全のために」
  • 教皇、日曜「正午の祈り」でも広島・長崎に言及
  • 30年間続いた南北教会の光復節共同祈祷文、今年は実現しない?
  • 韓国のコロナ新規感染者28人に、ソウル・南大門市場で集団感染
  • ベイルート爆発で各国が緊急支援、キリスト教各派も乗り出す
  • 『サマリタン・パース』がベイルートに援助物資を緊急空輸
  • ロシア正教会で有名な「悪魔祓い師」が新型コロナ合併症で死亡
  • ≪メディア展望≫

 

◎教皇「軍拡に費やす財源を、人々の発展と環境保全のために」
 【CJC】広島への原爆投下から75年、教皇フランシスコは、ツイッターを通し、軍縮を訴えた。公設『バチカン・ニュース』は、報じている。
 今年で75回目を迎える広島と長崎の原爆忌にあたり、教皇は8月6日、書面でメッセージを発表、ツィッターでも次のように発信した。
 「今日は広島への原爆投下から75年を迎えました。軍拡競争に費やす財源は、人々の統合的発展への寄与に、また環境保全のために利用することができ、またそのようであるべきです」。


◎教皇、日曜「正午の祈り」でも広島・長崎に言及
 【CJC】教皇フランシスコ教皇は8月9日、バチカンのサンピエトロ広場で開かれた日曜「正午の祈り」で、世界が核兵器のない世界に注力するよう訴えた。
 昨2019年11月に訪日した教皇は、38年ぶりとなった広島、長崎への訪問を「感動と感謝の気持ちをもって思い返している」と語った。


◎30年間続いた南北教会の光復節共同祈祷文、今年は実現しない?
 【CJC】朝鮮半島の南北関係悪化に伴い、南北の教会が毎年8月15日の「8・15光復節」(解放記念日)を控えて発表してきた「朝鮮半島の平和統一に向けた南北共同祈祷文」が今年は初めて実現しない可能性が出て来た。進歩派とされる全国メディア『ハンギョレ』が5日報じた。
 韓国キリスト教教会協議会(NCCK)は4日、韓国独自の祈祷文を配布した。総務のイ・ホンジョン牧師は「北朝鮮の朝鮮キリスト教連盟側(朝キ連)に今年の共同祈祷文草案を送ったが、まだ連絡がない」とし、「光復節の前日に連絡が来たこともあり、まだ返事を待っている」と述べた。
 1989年以来、NCCKと朝キ連は光復節に際して、光復節共同祈祷文を発表し、共同祈祷の礼拝を上げてきた。共同祈祷文は、韓国側から書信の連絡などを通じて草案を朝キ連側に提案した後、両者が合意する形で発表してきた。世界教会協議会(WCC)も2013年の総会で毎年8月15日直前の日曜日を「朝鮮半島の平和統一に向けた世界共同祈祷の日」に定め、全世界の教会が参加することを決議した。
 しかし、朝キ連側の返信がなければ、31年目で初めて共同祈祷文の発表が中止されることになる。現政府の時よりも強硬な北朝鮮政策をとった朴槿恵(パク・クネ)政府時代にも、光復節には南北が合意した共同祈祷文が発表された。
 南北教会は毎年、復活祭にも共同祈祷文を発表してきたが、昨年は合意に至らず、韓国だけが単独で祈祷文を配布した。
 NCCKが単独で発表した共同祈祷文は「全世界が新型コロナで大きく萎縮している」とし「わが民族が解放の感動を完全に享受することを願うように、全世界が感染病の捕虜状態から早く自由になることを願う」と述べている。


◎韓国のコロナ新規感染者28人に、ソウル・南大門市場で集団感染
 【CJC】韓国の『聯合ニュース』によると、中央防疫対策本部が4月10日、同日午前0時現在の国内の新型コロナウイルス感染者数は前日午前0時の時点から28人増え、計1万4626人になった、と発表した。新規感染者のうち市中感染が17人で、海外からの入国者の11人を上回った。市中感染は10人台に減ったものの、京畿道高陽市の教会に関連した感染が広がっており、ソウル市の観光名所として知られる南大門市場での感染につながったと見られている。
 8月に入り、1日当たりの新規感染者数は20~40人台で増減を繰り返している。
 この日の新規感染者のうち市中感染は17人。その前の2日間は連続で30人だったが、この日は10人台に減った。地域別にはソウル市が11人、京畿道が5人と、ほとんどが首都圏で、残り1人は釜山市だった。
 京畿道では高陽市の教会に関連した感染拡大が止まらない。新たにソウル市の南大門市場で働く8人の感染が分かったが、最初に確認された感染者が高陽市の教会の信者であることから、防疫当局は同教会の集団感染が発端との見方を強めている。この感染者の子ども1人も陽性だった。
 一方、海外からの入国者の感染確認は6月26日から8月8日まで44日連続で2桁を記録した後、前日に6人に減ったが、この日は11人に増え、再び2桁となった。うち6人は空港や港湾での検疫で感染が判明し、残りの5人は入国後の自主隔離中に陽性が明らかになった。
 国籍別では、韓国人5人、外国人6人。出発地別では、米国からの入国者が3人、フィリピンとバングラデシュからがそれぞれ2人など。
 新たな死者はなく、計305人となっている。
 中央防疫対策本部は、毎日午前10時に同日0時時点の新型コロナ感染者数を発表している。


◎ベイルート爆発で各国が緊急支援、キリスト教各派も乗り出す
 【CJC】レバノンの首都ベイルートで8月4日、大規模な爆発が起こった。爆発による振動は、マグニチュード3・3の地震に相当する規模だった。爆発後に撮影された衛星写真からは、付近の建造物が吹き飛ばされて跡形もなくなり、更地となってしまった様子が確認できる。
 75万人が住む、爆心地から3キロ以内の地域には、建造物の破片などが飛来し、住宅や車などを破壊。レバノン国内の穀物の85%を貯蔵する穀物サイロも被害を受け、残った穀物も食べられる状態ではないという。
 少なくとも135人が死亡、約5千人が負傷した、と米紙ニューヨーク・タイムズ5日付。爆発後に撮影された衛星写真からは、付近の建造物が吹き飛ばされて跡形もなくなり、更地となってしまった様子が確認できる。
 レバノン政府が5日、2週間の緊急事態宣言を発令。旧宗主国であるフランスのエマニュエル・マクロン大統領は6日、ベイルートを訪問し、フランスからレスキュー隊員55人を派遣するほか、25トンの衛生用品、医療機器、移動式診療所など500人分の治療が可能な設備を航空機3機分輸送することを決定した。米国もマイク・ポンペオ国務長官がレバノンへの緊急支援を発表。その他の国々も支援に乗り出している。
 ベイルート最古のキリスト教の会堂、アンティオキア正教会(アンティオキア総主教庁)の『聖ゲオルギオス大聖堂』も爆発の被害を受けた。5日には、大聖堂の扉が吹き飛び、木片やガラス片が散乱した聖堂内の写真がフェイスブックに投稿され、2200人以上がシェアし、被災者のために祈るコメントなどが200件以上寄せられた。
 アンティオキア総主教庁はウェブサイト(アラビア語)などで4日、総主教イオアン10世がベイルートのエリアス府主教に連絡し、府主教から市内の教会や諸団体の被害状況について知らせを受けたと発表した。エリアス府主教は病を負った人々の癒やしや、死者が安らかに眠りに着くこと、遺族らの慰め、被害を受けたすべての人々のために祈りを要請した。
 米ニュージャージー州のアンティオキア正教会北米大主教座は5日、ウェブサイトにメッセージを掲載。「今、世界中でレバノンの首都ベイルートの上空に昇るキノコ雲の動画が見えている。4日の爆発のこと。人々は恐怖に逃げ惑い、家屋は破壊され、多くの人の命が絶たれ、また人生が崩壊した。ベイルートのセントジョージ病院は無力で暗闇の中で被災者の手当てをしている」と伝えた。
 カトリック修道会イエズス会難民サービス(JRS)の米国支部は5日、ウェブサイトで、ベイルートとレバノンの人々との連帯を表明し、ベイルートの難民支援のための献金を呼び掛けた。ベイルートにあるJRS事務所は被害を受けたものの、スタッフは皆無事だったという。
 爆心地には、福音派のシティー・バイブル教会もあった。同教会のマルワン・アボウルゼロフ牧師は6日、ツイッター(英語)で教会の被害を報告。壁が崩れ、窓が吹き飛び、天井の部材が落ち、散乱した教会内部の様子を伝えた。「被害は大きかった。これが礼拝中に起きなかったことにとても感謝している」と述べ、「この町を助けるにはたくさんの働きが必要になります。私たちのために、これから町のために仕える人たちのために祈ってください」と呼び掛けた。


◎『サマリタン・パース』がベイルートに援助物資を緊急空輸
 【CJC】『ワールド・ビジョン』の創設者ボブ・ピアスが1970年に米国で設立した福音派系の緊急援助支援団体『サマリタン・パース』(フランクリン・グラハム会長)は8月7日、14人の災害支援対応チームと救援物資26トンをDC8型機でノースカロライナ州グリーンズボロからレバノンのベイルートに向け出発させた。数千個の衛生キット、ソーラーライト、家庭や教会の緊急修理のための頑丈な防水シート数百ロールなどが含まれている。
 「ベイルート市民は、8日夜に起きた巨大爆発の後、なお不安に動揺している。100人以上が死亡し、数千人が負傷、30万人が避難している」とグラハム会長。「国も人々も壊滅的な打撃を受けている。愛する人を失った家族とこの恐ろしい事件で最も影響を受けた人々のために祈りを」呼び掛けた。
 災害支援対応チームによると「爆発はマグニチュード3・5の地震を発生させ、直径約100メートル以上のクレーターを発生させた」という。


◎ロシア正教会で有名な「悪魔祓い師」が新型コロナ合併症で死亡
 【CJC】ロシア正教会『至聖三者聖セルギイ大修道院』の修道司祭で、「悪魔祓い」の儀式で知られるゲルマン司祭(78)が新型コロナウイルスの合併症で死亡した。同大修道院が公式サイトで8月8日発表した。ゲルマン司祭の死を悼み、故人への祈りを捧げるとしている。ロシアの『スプートニク通信』が報じた。
 ゲルマン司祭は、悪魔祓い儀式を、大修道院近くのペテロ・パウロ寺院で週3回行っていた。
 儀式の際に読まれる祈りは20分を要するとされ、正教会の経典の中で最長という。


《メディア展望》
 =カトリック新聞(8月9日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★髙見三明・司教協会長=平和の福音の証しを=原爆投下75年で米国に呼び掛ける
★第42回全ベース会議 第50回仙台教区サポート会議=東北被災地での活動、コロナ禍で変化
★教皇フランシスコ=パンデミックで信仰問い直す
★中国=司教任命交渉を前に、バチカンにハッカー行為か
★新型コロナ終息を祈る=「五大陸のロザリオ」=東京・麹町教会

 
 =KiriShin(8月1日・既報)=https://www.kirishin.com

 
 =クリスチャン新聞(8月9日)=https://クリスチャン新聞.com
★戦後75年=教訓の継承が急務=戦中10代渡辺鈴女さん語る=信州夏期エクステ
★西川重則氏逝去=20年間国会傍聴=政教分離、天皇制問い続け
★ルワンダ大虐殺から教会の和解の務めを学ぶ=「教会は怖い、でもイエス様は違う」=ハンガーゼロウェブセミナー「この町に教会があってよかった!」
★記憶共有し破局越える=宗教者、市民らで「日韓和解と平和プラットフォーム」
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