世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1550信(2020.10.05)

  • 教皇、アッシジを訪問、聖フランシスコの墓前で新回勅に署名
  • 教皇が新回勅発表、「パンデミックが自由市場の失敗を証明した」と訴え
  • 教皇はポンペオ米国務長官との会談しない、とバチカン
  • 中国がオンライン書店経営者を「違法営業」で禁錮7年と罰金
  • 東西もイスラム教徒も「われわれ皆国民」=独統一30年記念式典
  • テンプルトン賞はフランシス・コリンズ氏に、分裂社会で「調和」呼び掛け
  • ≪メディア展望≫

 

◎教皇、アッシジを訪問、聖フランシスコの墓前で新回勅に署名
 【CJC】教皇フランシスコは、新型コロナウイルス感染症対策のロックダウン(都市封鎖)が解除されてから初めて、10月3日にローマ市を出てイタリア中部ウンブリア州アッシジを訪問、聖フランシスコの墓前で、兄弟愛と社会的友愛をテーマにした新回勅「フラテッリ・トゥッティ」に署名した。
 現教皇のアッシジ訪問は、今回で4度目。新型コロナウイルス感染症の影響により、訪問は私的な形で行われ、信者らとの出会いを伴わないものとなった。
 公設バチカン・ニュースによると、アッシジに向かう途中、教皇は、ウンブリア地方の町スペッロにあるヴァッレグロリア・クララ会修道院に立ち寄った。
 またアッシジの町に入られた教皇は、最初に聖クララ(サンタ・キアーラ)聖堂隣接の修道院を訪れ、クララ会の修道女たちに挨拶した。
 聖フランシスコ聖堂に到着した教皇は、クリプタ(地下礼拝堂)にある聖フランシスコの墓前でミサを捧げた。ミサには、地元の司教や修道者ら、約20人が参加した。
 ミサ終えて、教皇は自身の3番目の回勅となる「フラテッリ・トゥッティ」に署名した。教皇は、同日のうちにバチカンに戻った。
 「兄弟である皆さん」「すべての兄弟たち」を意味する、聖フランシスコの言葉からタイトルを取った回勅「フラテッリ・トゥッティ」は、同聖人の記念日10月4日正式発表することが決められていた。


◎教皇が新回勅発表、「パンデミックが自由市場の失敗を証明した」と訴え
 【CJC】教皇フランシスコが10月4日に、回勅「フラテッリ・トゥッティ」を発表した。教皇はその中で「パンデミックにより、自由市場ですべてを解決することはできないと示された」と述べて、改革の必要性を訴えた。
 「フラテッリ・トゥッティ」とはイタリア語で「兄弟である皆さん」という意味で、教皇フランシスコが発表する回勅としては今回が3番目となる。
 公設バチカン・ニュースによると、教皇は、新回勅を兄弟愛と社会的友愛をテーマにしたものと説明。先の回勅「ラウダート・シ」同様、聖フランシスコからインスピレーションを得た新回勅を、昨3日、アッシジに行って、同聖人の墓の上で、神に捧げた、と述べた。
 そして、時のしるしは、ヨハネ23世、パウロ6世、ヨハネ・パウロ2世ら、聖人教皇たちがすでに指摘したように、人類の兄弟愛と被造物の保護が、統合的発展と平和に導く唯一の道を形作るものであることを、明らかにしている、と話した。
 バチカンの機関紙「オッセルバトーレ・ロマーノ」は、新回勅を記念した特別号を、サンピエトロ広場内外の巡礼者たちに配布した。
 教皇は、オッセルバトーレ紙が、この日の特別号をもって、紙媒体の発行を再開したことを喜びと共に告げた。同紙は、パンデミックの影響で、ウエブ版のみとなっていた。

※写真参考=https://www.vaticannews.va/content/dam/vaticannews/agenzie/images/srv/2020/10/04/2020-10-04-angelus/1601807719146.JPG/_jcr_content/renditions/cq5dam.thumbnail.cropped.1500.844.jpeg=新回勅を記念した「オッセルバトーレ・ロマーノ」特別号(バチカン・ニュース)


◎教皇はポンペオ米国務長官との会談しない、とバチカン
 【CJC】バチカン(ローマ教皇庁)は9月30日、教皇フランシスコはイタリアを訪問中のマイク・ポンペオ米国務長官とは会見しない、と発表した。
 英公共放送BBCによると、教皇は選挙期間中の政治家の訪問を受けない、とバチカンは説明している。
 ポンペオ国務長官は、中国とカトリック教会の関係を非難する発言をしており、バチカンと米国の外交関係に緊張が高まった。
 ポンペオ長官は、バチカンが中国国内での司教任命をめぐる合意を更新する意向を示したことについて、教会の「倫理的権威」を脅かすものと批判している。


◎中国がオンライン書店経営者を「違法営業」で禁錮7年と罰金
 【CJC】中国でキリスト教書のオンライン書店を経営していた店主のチェン・ユー氏が9月27日、「違法な営業活動」をしていたとして、禁錮7年と罰金20万元(約310万円)の支払いを命じられた。米国の迫害監視団体「国際キリスト教コンサーン」(ICC)が10月1日、公式サイトで明らかにした。
 浙江省臨海市人民法院の文書によると、チェン氏は禁錮刑と罰金が言い渡され、所有していたスマートフォンも没収された。書店にあったキリスト教関連書籍1万2864冊も臨海市公安局によって破棄された。


◎東西もイスラム教徒も「われわれ皆国民」=独統一30年記念式典
 【CJC】ベルリン発時事通信などが、ドイツ東部ポツダムで10月3日、アンゲラ・メルケル首相や全16州の市民が参加し、東西ドイツ統一30年の記念式典が行われた、と報じている。
 フランクワルター・シュタインマイヤー大統領は演説で、東西ドイツ人に加え、イスラム教徒やユダヤ教徒らも含め「われわれ皆が国民だ」と強調。統一時に東独市民が掲げた「われわれは国民だ」とのスローガンを拡大し、30年で大きく多様化したドイツの団結を誓った。
 ポツダムは、ドイツ分断当時、西ベルリンと国境を接し、東西陣営がにらみ合った場所。式典皮切りの礼拝は、宗派を超えた結束のため、旧西側で信者が多いカトリック教会内で、旧東側で一般的なプロテスタントをはじめ、さまざまな宗派が集まる形で実施された。


◎テンプルトン賞はフランシス・コリンズ氏に、分裂社会で「調和」呼び掛け
 【CJC】宗教界のノーベル賞と呼ばれる「テンプルトン賞」が2020年度は、米国立衛生研究所(NIH)所長で、世界的に生命科学者として知られるフランシス・コリンズ氏(70)に決まった。米メディア『インディペンデント・カトリック・ニュース』などによると、授賞式は9月24日、米国の首都ワシントンの国立科学アカデミービルでバーチャル式典として行われた。
 コリンズ氏は、1993年以来、国際ヒトゲノム計画責任者を務めており、科学とキリスト教信仰の融和を追求・促進することを目的とした団体『バイオロゴス』の創設者。
 フレッド・カブリ講堂で行われた受賞演説で、コリンズ氏は「新型コロナウイルス関連に限らず、人種問題や気候変動、聖書解釈などの分野でも、争いはこの時代の風潮のようだ」と、社会の分裂を語り調和を呼び掛けた。
 コリンズ氏はまた、演説でさまざまな話題に触れる中、「極論」が依然として「多くの注目を集めている」が、信仰と理性の間に対立はないと強調した。
 「米国の過去150年間における最大の悲劇は、創世記の最初の数章に過度の字義的解釈を加えることが、まじめなキリスト教信仰のリトマス試験紙だと考えられてきたこと。1600年前、アウグスティヌスはそのような字義的解釈に警鐘を鳴らしている」と言う。
 そして「創造にまつわる創世記の力強く神秘的な言葉は、私たちが何者で神がどのような方なのかを教えてくれるが、それは科学の教科書として書かれたものではない」と指摘した。
 テンプルトン賞は1973年の第1回のマザー・テレサ、第2回のブラザー・ロジェに続き、多くの著名人が受賞している。
 日本人としては、第7回の1979年に立正佼成会の開祖庭野日敬が受賞している。


《メディア展望》
 =カトリック新聞(10月4日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★新潟教区=成井大介司教 叙階=モットー「いつも ふくいんを ともに」
★教皇フランシスコ=国連総会でビデオ演説=パンデミックへの対処 いのちの尊重を訴える
★教皇の一般謁見講話=全員で乗り越える危機
★千人の笑顔が新司教を歓迎=新潟教区青年有志 3カ月かけ動画作成
★9・21国連国際平和デー=全国で平和を祈る鐘打式=長崎・浦上教会も参加
 
 =KiriShin(10月1日)=https://www.kirishin.com
★『人生に悩んだから「聖書」に相談してみた』『キリスト教って、何なんだ?』=聖書を「知ってもらう」「使ってもらう」ための試行錯誤=上馬キリスト教会MAROさんインタビュー
★「総動員伝道」50周年で機関紙は最終号
★「異端・カルト110番」開設から1年=「新天地」報道で問い合わせ相次ぐ
★学術会議への人事介入めぐり明治学院大学キリスト教研究所・国際平和研究所有志が声明
★【宗教リテラシー向上委員会】ムスリム女性のマスク事情(小村明子)
 
 =クリスチャン新聞(10月4日)=https://クリスチャン新聞.com
★アンテオケ宣教会=オンラインで世界宣教セミナー=コロナ禍で進む神の宣教
★渡辺総一絵画展 故郷石巻で=この時期を「共に生きるために」
★ローザンヌ・ビジョン・フロンティア3=世界の動きの文脈化へ=日本YLG、アジア宣教の展開
★75教会・宣教団体170人参加=「日本のキリストの体が一つに」="ブレッシング公式日本語訳"動画公開

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