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世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1563信(2021.01.04)(新年特別号)

≪連絡≫ CJC通信は、2020年の世界キリスト教関係主要ニュースを1月1日まとめ、発表しました。(主宰者)
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◎前教皇が既婚男性の司祭任命に反対表明、バチカンに衝撃
 前教皇ベネディクト16世が、新著「わたしたちの心の底から」(仮訳)の中で、教皇フランシスコに向けて司祭独身制の継続を強く訴え、既婚男性を司祭に任命する案に反対していることが1月12日分かった。バチカン(ローマ教皇庁)の専門家らはその内容に衝撃を受けている。
 教皇フランシスコは現在、司祭のなり手が不足し、ミサがほとんど行われていないアマゾンなどの遠隔地域で、既婚男性が司祭となることを認めるよう求めた司教会議(シノドス)の提言を検討中。
 これに対し、2013年に約600年ぶりに教皇を生前退位したベネディクト16世は「もはや黙ってはいられない!」と新著に記し、議論を呼ぶ中、同書の共著者から名前を外すよう出版社に要請した。
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◎ローマ城壁外の聖パウロ大聖堂でエキュメニカルな夕べの祈り
 1月18日から始まった「第53回キリスト教一致祈祷週間」は、「聖パウロの回心」を祝った25日、最終日を迎えた。同日午後、教皇フランシスコは、ローマの城壁外の聖パウロ大聖堂(サン・パオロ・フォーリ・レ・ムーラ)で、エキュメニカルな夕べの祈りを行った。
 この集いには、正教会のエキュメニカル総主教府使節や、英国国教会カンタベリー大主教のローマ代理、教皇庁キリスト教一致推進評議会議長クルト・コッホ枢機卿などが出席、使徒聖パウロの墓前で、そしてイタリアのテルモリからもたらされた、聖パウロの弟子・聖テモテの聖遺物の前で共に祈った。
 教皇は、集いの説教で、「使徒言行録」中の、使徒パウロたちを乗せた船が暴風により漂流し、打ち上げられたマルタ島で一同が住民から温かいもてなしを受けた出来事を振り返り、「使徒言行録」のエピソードは、わたしたちキリスト者の、神が望まれる一致への旅路でもある、と話した。
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◎教皇、「アマゾン・シノドス」後の使徒的勧告発表
 「アマゾン周辺地域のための特別シノドス(世界代表司教会議)」後の教皇フランシスコの使徒的勧告「ケリーダ・アマゾニア(愛するアマゾン)-
神の民とすべての善意の人々に」が2月12日、発表された。
 バチカンで2019年10月6日から27日まで「アマゾン、教会と統合的エコロジーのための新たな歩み」をテーマに行われた「アマゾン周辺地域のための特別シノドス(世界代表司教会議)」の成果を受け、福音宣教、環境保護、貧しい人々への配慮などにおける、新たな歩みの指針を示すものとして出された使徒的勧告で、教皇は宣教への新しい情熱を願うと共に、教会共同体の信徒たちの役割を励ました。
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◎中国とバチカンが初の外相会談、対話継続の意欲確認
 バチカン(ローマ教皇庁)国務省外務局長(外相に相当)のポール・リチャード・ギャラガー大司教と中国の王毅国務委員兼外相が2月14日に独ミュンヘンで会談、双方は対話継続の意欲を確認した。
 中国とバチカンは1951年に断交。中国は、政府公認のキリスト教団体を通じて独自に司教を任命し、バチカンと対立してきたが、教皇フランシスコは中国との関係改善に強い意欲を示していた。
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◎『ラルシュ』創設者ジャン・バニエが女性を性的に虐待
 知的障がいを持つ人々と彼らの生活を支える組織『ラルシュ共同体』の創設者ジャン・バニエは昨2019年5月7日、パリで死去したが、90歳での没後、フランスで女性6人を虐待していた、との懸念が浮かび、連合体である『国際ラルシュ』が英コンサルティング組織GCPSに調査を依頼していた結果が2月22日明らかにされた。
 「今回明らかになったことは衝撃的であり、全面的に彼の行動を非難する。それはジャン・バニエが主張していたことは完全に矛盾し、人間の尊厳と健全性とに相容れず、『ラルシュ』が拠って立つ基本原則に反する」と、『国際ラルシュ』の現指導者シュテファン・ポスナー、ステーシー・ケーツ・カーニー両氏は、『ラルシュ共同体』連合に宛てた書簡で記している。
 バニエには、1970年から2005年に、フランスで女性6人と「巧妙で感情的に虐待する」性的関係があった。バニエは精神的指導を行う名目で、性的関係をそそのかした。女性たちは誰も、自身障がい者ではなかったこともわかった。
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◎教皇はホロコーストを黙認したのか、文書公開で明らかに
 バチカン(ローマ教皇庁)は3月2日、教皇ピウス12世に関する文書の公開に踏み切った。「歴史を恐れていない」ことを示すという。
 1939年から58年まで在位したピウス12世を巡っては、600万人のユダヤ人が虐殺されたホロコーストを黙認したとの疑惑があるが、文書公開により、歴史家や学者はこの疑惑を調査する機会を得ることになる。
 バチカン当局者は、文書の公開で、ピウス12世が実際には水面下でユダヤ人を助けていたことが判明するとしている。
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◎バチカンがサンピエトロ大聖堂閉鎖
 新型コロナウイルス感染拡大予防措置として、サンピエトロ大聖堂と同広場を4月3日まで、観光客の立ち入りを禁止する、とバチカン(ローマ教皇庁)報道局が3月10日発表した。
 これに伴い、4月3日まで、バチカン美術館、およびバチカンのネクロポリス、カステルガンドルフォの教皇離宮博物館、教皇直属バシリカに付属する美術館を閉館する。
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◎教皇、無人のサンピエトロ広場で異例の祝福とメッセージ
 教皇フランシスコ教皇が3月27日、バチカンのサンピエトロ広場に1人で立ち、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)に苦しむ世界中のカトリック信徒のために祈りをささげ、信仰によって不安を和らげるよう呼び掛けた。
 教皇は、サンピエトロ大聖堂の階段の上から無人の広場に向け、世界中で外出制限を受けている人々に対して、異例の「ウルビ・エト・オルビ」(ローマと全世界へ)の祝福を送った。
 「ウルビ・エト・オルビ」の祝福が送られるのは通常、教皇が選出された時と、毎年のクリスマスとイースター(復活祭)だけ。歴史上初めて行われた今回の祝福は、テレビ、ラジオ、ソーシャルメディアを通じて発信された。
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◎独オーバーアマガウの「キリスト受難劇」2022年まで延期
 ドイツ南部バイエルン州ガルミッシュ=パルテンキルヒェン郡の村オーバーアマガウで10年に一度開催される「キリスト受難劇」は、当初2020年5月16日(土)~10月4日(日)の日程で開催される予定だったが、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、2022年まで延期されることとなった。
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◎黒人男性の暴行死に全米で抗議デモ、トランプ大統領への批判も
 黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官に暴行され死亡した米ミネソタ州ミネアポリス市で5月26日始まった抗議デモは全米50州に広がり、複数の都市で数十万人が行動を展開した。外出禁止令違反などの逮捕者は6月3日までに9300人に達した。
 ヒューストン市のシルヴェスター・ターナー市長は、「彼の死は無駄ではない」と集まった人たちに訴えた。フロイドさんは9日にヒューストンで埋葬される予定。
 社会不安が続く中、ドナルド・トランプ大統領は1日、ホワイトハウス近くの『セント・ジョーンズ教会』(聖公会)の前で聖書を持ち、写真撮影に臨んだ。これに先立ち連邦公園警察などは、ホワイトハウス前の公園周辺で抗議していた人たちを催涙ガスやゴム弾などで排除していた。これには聖公会ワシントン教区のマリアン・ブッド主教をはじめ多くの聖職者が、聖書や教会を「小道具」に使ったと強く反発した。
 英国国教会の霊的指導者カンタベリー大主教とヨーク大主教は、この社会不安によって「白人至上主義の悪行が続いている」ことが露呈したと述べた。
 教皇フランシスコは、「人種差別は容認できないし、見えない振りをすることもできない」と非難しつつ、「暴力では何も得られないし、あまりにたくさんのものを失ってしまう」と述べた。
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◎米国務省が信教の自由に関する年次報告書、「中国の宗教弾圧激化」を批判
 米国務省は6月10日、世界の信教の自由に関する2019年版報告書を発表した。マイク・ポンペオ国務長官は記者会見で、中国新疆ウイグル自治区で暮らすイスラム教徒の少数民族ウイグル族などへの対応を挙げて「中国では全ての宗教に対する政府主導の弾圧が激しくなっている」と強く批判した。
 報告書は17年以降、ウイグル族など100万人以上を拘束、収容施設に入れられ、拷問されたり強制労働をさせられたりしているとの見方を明記している。イスラム教に加え、キリスト教や仏教などの宗教施設も破壊されたと指摘した。
 報告書は、北朝鮮に関しても国連の報告書を引用し、思想や信教の自由が「ほぼ完全に否定されている」と批判している。
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◎「教会の彫像も見直す」とカンタベリー大主教
 英国国教会(聖公会)の霊的最高指導者カンタベリー大主教のジャスティン・ウェルビー氏が6月26日、公営BBCラジオ4の番組「トゥデイ」に出演、主要教会などに置かれている彫像について「現状が適切であるか慎重に検討する必要がある」と語った。
 ウェルビー氏は、カンタベリー大聖堂とウエストミンスター教会も含むとしている。
「それらがすべてその場にいる必要があるかどうかについて、慎重に検討」しており、その中のいくつかは取り外し、また題名を変更することになる、という。
 欧米各国には、キリスト教会など古い施設に、帝国主義や奴隷貿易などを連想させる記念物が多数展示されている。最近、米国で新大陸の探検家であるクリストファー・コロンブス像がデモ隊によって毀損されるなど、関連記念物が攻撃を受けている。
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◎トルコ大統領、世界遺産アヤソフィアを「モスク」と宣言
 トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領は7月10日、イスタンブールの世界遺産アヤソフィアをモスク(礼拝所)に戻して拝礼の場とする大統領令に署名した。
 1500年の歴史を持つアヤソフィアはキリスト教徒とイスラム教徒双方から尊崇されており、国外からは、アヤソフィアの地位を変えるべきでないとの声が上がっていたが、エルドアン氏は判決が出た直後に新政令を発表した。
 ギリシャ文化省はトルコ裁判所の判決について文明世界に対する「あからさまな挑発行為だ」と反発、ロシアのインタファクス通信は、ロシア正教会のウラジミール・ルゴイダ報道官が「数百万人に上るキリスト教徒の懸念の声は届かなかった」と批判している。タス通信も、判決はさらなる分離につながる可能性があると報じた。
 国連教育科学文化機関(ユネスコ)は、トルコの決定を受け、アヤソフィアの世界遺産としての地位を見直すと明らかにした。世界遺産登録に必要な国境や世代を超えた重要な遺跡としての普遍的価値に対する影響という点で、今回の決定が疑義をもたらすと指摘している。
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◎WCC第11回総会は再来年に独カールスルーエで
 世界教会協議会(WCC)の常置委員会は7月27日、第11回総会を2022年8月31日から9月8日までドイツのカールスルーエで開催する新日程を承認した。当初は2021年に予定されていたが、新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)の重大さと今後の不確実性を考慮、開催を1年延期した。
 「世界を和解と統一に導くキリストの愛」というテーマに触発され、私たちの交わりはカールスルーエで祈りと賛美で一つとなる、とイオアン・ソーカ総幹事代行は述べている。
 「世界で最も多様性に富んだキリスト者の集まりである今総会は、加盟各教会が目に見える一致と共通の証しへのコミットメントを深めるユニークな機会となろう。それはイベント自体をはるかに超え、WCCの働きのための新たなエネルギーを引き出すことになる」とサウカ氏は語った。
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◎バチカンとWCCが共同声明"宗教間連帯における傷ついた世界への奉仕"発表
 バチカン諸宗教対話評議会は世界教会協議会(WCC)と共同で、"宗教間連帯における傷ついた世界への奉仕"と題した新型コロナウイルス(COVID19)への対応に関する声明を8月27日発表した。公設バチカン・ニュースによると、20ページに及ぶ声明は、新型コロナウイルスによる犠牲者と「外出禁止を強要された」犠牲者と、"宗教的不寛容、差別、人種差別、経済的・生態学的不正、その他多くの罪の惨劇"に、友愛の精神で対応するようキリスト教徒に求めている。
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◎聖書全巻翻訳が700番目の言語にまで到達
 ウィクリフ聖書翻訳者協会(英、ハイウイカム)によると、聖書全巻が700番目の言語に翻訳され、新たな目標が達成された。
 同協会のジェームズ・プール常務理事は8月28日、「700番目の言語への聖書翻訳達成は、とても素敵なニュースであり、聖書翻訳者が世界中で行っている素晴らしい業の象徴だ。聖書が新しい言語に翻訳されたという話を聞くたびに、その言語グループの人々が初めて神の物語の全体像にアクセスできるようになったことを思う」と語った。
 実際にどれが700番目に翻訳された言語だったかは定かではない。700番目の言語翻訳と思われる聖書献呈が最近でも何例か行われている。
 プール氏は、「700冊目に訳出された言語を特定できないほど多くの聖書が翻訳されているのは驚くべきこと。すべての人々が自分の言語で神の言葉を読み、聞くことができるようになるという願いが現実のものとなりつつある時代に私たちは生きている」と語った。
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◎バチカンが中国と司教任命の暫定合意延長、と中国発表
 中国外務省は9月15日、バチカン(ローマ教皇庁)と9月に期限を迎える司教任命の暫定合意を延長する方針で一致したと発表した。
 中国外務省の汪文斌副報道局長は15日の記者会見で「バチカンとの合意内容を引き続き良好に実施していきたい」と述べ、報道内容を事実上認めた。
 詳しい合意内容は非公表だが、中国側が候補を選び、教皇が是非を判断すると伝えられている。教皇フランシスコは暫定合意後、中国が独自に任命しバチカンが破門していた司教7人を追認もした。
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◎あらゆる形の自殺ほう助に反対、とバチカン教理省書簡
 バチカン(教皇庁)教理省は、9月22日、生命倫理をめぐる書簡「サマリタヌス・ボヌス」を発表した。
 教皇フランシスコの承認のもと発表された、「重篤段階および終末期にある患者の治療」をテーマにしたこの書簡は、あらゆる形の自殺ほう助に反対すると共に、家族と医療従事者に対する支援の必要を説いている。
 書簡の目的は、福音書の「善きサマリア人」のメッセージを実践するための、具体的な指針提供にある。書簡は「治ることが不可能またはその可能性がないように思われる」時でも、「医療・看護的、心理的、霊的な寄り添いは避けることのできない義務である」と述べている。
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◎教皇、アッシジを訪問、聖フランシスコの墓前で新回勅に署名
 教皇フランシスコは、新型コロナウイルス感染症対策のロックダウン(都市封鎖)が解除されてから初めて、10月3日にローマ市を出てイタリア中部ウンブリア州アッシジを訪問、聖フランシスコの墓前で、自身の3番目の回勅「フラテッリ・トゥッティ」に署名した。「フラテッリ・トゥッティ」とはイタリア語で「兄弟である皆さん」を意味する。
 教皇は4日に、回勅「フラテッリ・トゥッティ」を発表した。教皇はその中で「パンデミックにより、自由市場ですべてを解決することはできないと示された」と述べて、改革の必要性を訴えた。
 教皇は、新回勅を兄弟愛と社会的友愛をテーマにしたものと説明。先の回勅「ラウダート・」同様、聖フランシスコからインスピレーションを得た新回勅を、昨3日、アッシジに行って、同聖人の墓の上で、神に捧げた、と述べた。
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◎世界福音同盟次期総主事にドイツ人神学者トーマス・シルマッハー氏
 世界福音同盟(WEA)の国際理事会は10月29日、2015年から総主事兼CEOを務めているエフライム・テンデロ氏(フィリピン福音同盟前総主事)の後任としてドイツ人神学者のトーマス・シルマッハー神学問題担当副総主事(60)を選出したと発表した。2021年3月1日就任する。
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◎アブオム議長ら、"深刻な危機"にWCCの役割振り返る
 世界教会協議会(WCC)常置委員会は11月9日から13日までオンラインで開催した。アグネス・アブオム議長とイオアン・ソーカ暫定総幹事は、"深刻な危機"に直面している世界で果たすWCCの役割について焦点を絞ることを明らかにした。
 アブオム氏は、WCCの活動を強化すべきものについて、世界はまだ新型コロナウイルスとの大規模な戦いの中にあることを指摘した。「新型コロナは、開発構想達成に向けた勢いを突然打ち壊し、世界が前世紀に経験した中で最も深刻な経済的・社会的危機を引き起こした」という。
 ソーカ暫定総幹事は、2022年9月にドイツのカールスルーエで開催されるWCC第11回総会の主題「キリストの愛が世界を和解と統一へ導く」の神学的基盤を提示した。この主題は、世界中の人々、さまざまな信仰の人々の対話を促進するというWCCの交わりの中で解釈されるとして「キリストの愛は希望を広げます。全世界と全宇宙を和解と統一に向かわせることは、まさに神の目的です」とソーカ氏は語った。
 同氏は、WCCは目に見える一致という目標を求め続けている、として「その過程で、私たちは、使徒的信仰の一致を見出し、そこで生き、キリスト教の一致、人類の一致とすべての被造物の一致がどのように絡み合っているのか、世界への共通の証しに従事することを約束されたこの交わりが何を意味するのかを、互いに学び続けています」と述べている。
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◎教皇、使徒的勧告『愛のよろこび』の考察深める特別年布告
 教皇フランシスコは、聖家族の祝日を迎えた12月27日、正午の祈りをバチカン宮殿からビデオを通して行った。この席で教皇は、新年3月に迎える、使徒的勧告『愛のよろこび』発表5周年を機に、同文書をめぐり考察を深める特別年を開催する旨を明らかにした。
 この特別年は、聖ヨセフの祝日、2021年3月19日から始まり、22年6月にローマで開催予定の『第10回世界家庭大会』をもって終了する。(CJC)

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