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世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1574信(2021.03.22)

  • 「愛のよろこびの家族年」始まる
  • バチカン教理省は同性間のユニオン祝福の可能性に否定
  • 独ケルン大司教区で聖職者ら202人が性暴力、被害者314人と報告書
  • フィリピン福音宣教500年記念しバチカンで教皇ミサ
  • マレーシア高裁、キリスト教徒も「アラー」を使えると判断
  • ミャンマーでデモ参加者を傷つけないで、と修道女が警官に嘆願
  • 死海文書の新たな断片を発見、「恐怖の洞窟」で
  • 《メディア展望》

 

◎「愛のよろこびの家族年」始まる
 【CJC】バチカン・ニュースが伝えるところでは、教皇フランシスコの使徒的勧告「愛のよろこび」発表5周年を記念する「愛のよろこびの家族年」が3月19日始まった。
現在開催中の「聖ヨセフの特別年」と並行し、「愛のよろこびの家族年」は、2022年6月26日にローマで開催が予定されている「第10回世界家庭大会」まで行われる。
 「愛のよろこび」発表から今年で5周年を迎えるにあたり、教皇は昨年末、同使徒的勧告についての考察を深める特別年の開催を布告した。
 「愛のよろこびの家族年」開催前日の3月18日、バチカン信徒・家庭・いのち省は、この特別年の目的、概要を説明した。
 同省長官ケビン・ジョセフ・ファレル枢機卿は、家庭は司牧的ケアと、献身、家族と司牧者の協力を必要としていると述べ、この特別年が、家庭を司牧活動と社会の中でより主役的にするための助けとなることを願った。
 また同枢機卿は、パンデミックという困難の時こそ、キリスト教的家庭の姿を真の「善き知らせ」として示すべき、と述べた。
 家庭はわたしたちの最も正真で最も根源的な人間関係を守る存在であり続ける、と述べたファレル枢機卿は、シノドスの長い歩みの実りである、教皇の使徒的書簡「愛のよろこび」を、教会の中だけでなく、家庭の中でも手に取り、その豊かな内容に改めて触れるよう勧めた。
 同枢機卿は、この特別年を、困難を抱えた家庭に寄り添い、危機にある夫婦や家族を導き、孤独な人や、貧しい家族、分裂した家族を支える機会とするよう呼びかけた。
 この特別年の企画として、教皇庁信徒・家庭・いのち省は、同省のホームページに使徒的勧告「愛のよろこび」をテーマにした一連のビデオを定期的に掲載予定であることを紹介。このビデオには教皇や幾人かの証言者が参加するという。


◎バチカン教理省は同性間のユニオン祝福の可能性に否定的
 【CJC】バチカン教理省は、同性間のユニオンへの祝福をめぐる質問書に否定的回答を示す一方、その回答について「不当な差別や、個人を対象とする見解ではない」と述べた。バチカン・ニュースが報じた。
 教会は同性間のユニオンに対して祝福を与える権限を持たず、それは正当と認められない、と教理省は文書を通して回答した。
 文書は、同性カップルが自分たちのパートナーシップ関係に対する一種の宗教的な公認を求めて祝福を願う場合、司祭はそのカップルに祝福を与えることはできない、という見解を表している。
 教皇フランシスコは、この件について報告を受け、教理省長官ルイス・ラダリア枢機卿と次官ジャコモ・モランディ大司教の署名による回答書および注釈の公表を承認した。
 この回答公表に当たっては、確認といくつかの手順が踏まれた。同文書は「同性愛者の受け入れと、寄り添いに対する誠実な意志」の枠組みに位置づけられるもので、使徒的勧告「愛の喜び」にも記された方針に従い、同性愛者に対し、信仰における成長の歩みを提案するものとしている。
 教理省文書で、基本としていることは、一個人と、パートナーシップ関係との間の区別。
 同性間のユニオンを祝福することへの否定的な回答は、実際、この件に関わる一個人に対する見解ではない。教会の教えに関する諸文書がすでに明示しているように、むしろこれらの人々は「尊重、思いやり、配慮」をもって迎え入れられるべきであり、あらゆる不当な差別のしるしを退けなければならない、としている。
 同文書で、否定的回答の基礎となる理由は次のもの。
 まず、祝福の真理と価値に関して、これらは「秘跡的な」ものであり、教会の典礼行為である。そして、祝福の対象となる人が「創造においてしるされた神の御計画に沿って、恵みを受けそれを表現するように客観的に定められていなければならない」。
 次に、婚姻外での、すなわち、いのちの継承に向けて開かれた、男性と女性による不解消の婚姻外での、性的実践を伴う関係は、たとえそれが安定したものであっても、またその関係にポジティブな要素が存在するとしても、それは「神の御計画」に呼応しない。
 留意すべきことは、これは同性愛者のカップルだけでなく、婚姻外において性的関係を伴うすべてのユニオンについて言えるということである。
 否定的回答のもう一つの理由は、同性のユニオンへの祝福と結婚の秘跡が、誤って同一視される恐れがあるためである。
 最後に、教理省は、神によって啓示された計画に忠実に生きる意志を表明する、同性愛指向を持つ個人への祝福は可能であることを明確にする一方、同性間のユニオンの承認を目的とする「あらゆる形の祝福」は認められないと宣言している。


◎独ケルン大司教区で聖職者ら202人が性暴力、被害者314人と報告書
 【CJC】独カトリック教会ケルン大司教区で浮上した過去の性暴力疑惑についての独立調査の報告書が3月18日公開され、聖職者や信者202人が暴行に及び、被害者は314人に上っていたことが明らかになった。AFP通信が報じた。
 カトリック教会の委託で調査を実施していた弁護士が、800ページに及ぶ報告書を公開した。弁護士は記者会見で、被害者の大半が当時14歳未満だったと発表した。
 疑惑をめぐり、ライナー・マリア・ベルキ大司教による「義務違反」の可能性も調査対象とされたが、その事実はなかったとの結論が報告された。
 AFP通信によると、保守派のベルキ大司教は以前から、教会の改革に反対。自身の教区内での聖職者らによる虐待に関し、別の報告書の公表を拒否したため、数か月にわたり激しい抗議の的となってきた。大司教はその拒否の理由として、加害者とされる人物のプライバシー保護と、一部の調査員らの独立性の欠如を挙げていた。


◎フィリピン福音宣教500年記念しバチカンで教皇ミサ
 【CJC】フィリピン福音宣教500年を迎え、教皇フランシスコは3月14日、記念ミサを、バチカンの聖ペトロ大聖堂で行った。
 教皇庁福音宣教省長官でフィリピン出身のアントニオ・タグレ枢機卿らによる共同司式で行われたミサには、ローマ在住のフィリピン人共同体が参列した。
 バチカン・ニュースによると、教皇はミサの説教で、「神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された」(ヨハネ3・16)という、ニコデモとの対話におけるイエスの言葉を取り上げ、「ここに福音の中心、わたしたちの喜びの基礎がある」と述べた。
 「神はわたしたちをいつも愛をもって見つめられ、その愛ゆえに、人となられた御子においてわたしたちに会いに来られた」、「神はこれほどまでにわたしたちを愛されたために、ご自分から抜け出され、ご自身をわたしたちに与えることさえ厭わなかった」と教皇は話した。
 フィリピンにキリスト教が伝えられてから500年が経ち、神はその独り子をお与えになったほどにわたしたちを愛された、という福音の喜びを皆さんは知った、と教皇は話しつつ、このキリスト教のメッセージを他の人々にももたらし、神の寄り添いの福音を兄弟たちに対する愛の業の中で伝えてほしいと、教皇は信者らを励ました。
 わたしたちのためにご自身を与えられるほどの神の愛を観想された教皇は、その愛に応え、裁くのではなく、受け入れ、押し付けるのではなく、種を蒔き育て、罪に定めるのではなく、救いであるキリストをもたらすように招かれた、と教会の使命を強調した。


◎マレーシア高裁、キリスト教徒も「アラー」を使えると判断
 【CJC】マレーシアの首都クアラルンプール高等裁判所は、キリスト教徒が神を指して「アラー」(アッラー)という言葉を使うことを禁止する政策を覆した。英メディアBBCによると、数十年にわたる訴訟の最新の結論である。
 マレーシアでは、人口の約3分の2をイスラム教徒が占めているが、大規模なキリスト教共同体(コミュニティー)も存在している。今回の訴訟は、「アラー」が含まれているとして資料を押収されたキリスト教徒が起こしたもの。
 マレーシア憲法は、宗教の自由を保証している。しかし近年、宗教的な緊張が高まり、非イスラム教徒が「アラー」を使用することが、しばしば緊張や暴力の原因となっている。


◎ミャンマーでデモ参加者を傷つけないで、と修道女が警官に嘆願
 【CJC】ミャンマー北部カチン州の州都ミッチーナで3月8日、カトリック修道女が、重武装した警官らにデモ参加者を傷つけないよう嘆願する姿を捉えた画像が拡散した。仏教徒が多数を占めるミャンマーで、この勇気ある行動を称賛する声が上がっている、という。
 修道女アン・ローズ・ヌ・タウンさんは9日、AFP通信に「私はひざまずき、子どもたちを撃ったり、苦しめたりしないで、代わりに私を撃ち殺すよう嘆願した」と明らかにした。


◎死海文書の新たな断片を発見、「恐怖の洞窟」で
 【CJC】地理学を中心とした米国の科学総合誌ナショナル・ジオグラフィックが伝えるところでは、イスラエル考古学庁(IAA)が、死海文書の新たな断片が約60年ぶりに発見されたほか、完全な状態としてはおそらく世界最古の籠も見つかったとこのほど発表した。
 死海文書の断片は、2019年末から20年初頭にかけて行われた発掘調査により、ナハル・ヘベルのワディ(涸れ谷、ワジともいう)にある第8洞窟で発見された。洞窟は、1960年代初頭の発掘調査で大人と子ども40人の遺体が発見されたことから「恐怖の洞窟」と呼ばれている。
 今回発見された20片以上の羊皮紙断片は「十二小預言書」の一部。その最初の断片は、ナハル・ヘベルで地元のベドウィン(遊牧民)によって発見され、1950年代初頭にエルサレムで売りに出された。
 新しい断片も他と同じく書記2人によってギリシャ語で書かれていると、IAAの死海文書部門のオレン・エイブルマン研究員は説明する。羊皮紙の質感も、過去に見つかった十二小預言書と似ているか、同じであるという。


《メディア展望》
 =カトリック新聞(3月21日)=http://www.cwjpn.com/cwjpn/
教皇、イラクを歴史的訪問
教皇、新駐日教皇庁大使を任命=レオ・ボッカルディ大司教
教皇庁聖書委員会=秘書に修道女任命
東日本大震災10年=カリタスベース=3・11に発災時刻の祈り ライブ配信
仙台教区=東日本大震災=10年目以降の支援体制

 
 =KiriShin(3月21日)=http://www.kirishin.com
【東日本大震災特集】それぞれの10年=自身の限界と向き合いつつ=津波の被災地 仙台・荒浜で(鈴木真理=介護福祉士、被災支援ボランティア)
テレビ番組のアイヌ民族差別発言=日基教団北海教区が問題性を指摘
『香港の民主化運動と信教の自由』出版記念で編訳者らが対談
「連帯のきずなを希望の光に」=司教団が震災10年でメッセージ
コロナ禍にみる中国宗教界の思惑と底力(佐藤千歳=北海商科大学准教授)

 
 =クリスチャン新聞(3月21日)=http://クリスチャン新聞.com
"聴く"メディアが転回=コロナ禍で求められた「生のつながり」=「クラブハウス」手軽さ 倫理手探り
"区切り"でなく「これから」=各地で10年目の3・11集会
「朝鮮語と裁判─母語を奪う侵略」と題し笹川紀勝氏講演=判決から見る学校、日常での朝鮮語弾圧=第7回戦争に関する「証言集会」
「2・11信仰の自由の祈りのつどい」で瀧浦滋氏=「愛の原則で国家を評価し祈り聖書に忠実で堅実な宣教を」
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