世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1634信(2022.05.16)

  • ロシア東部攻勢、進展わずか=米国防総省分析
  • ウクライナ初代大統領のレオニード・クラフチュク氏死去、88歳
  • ウクライナ難民、600万人超に=国連国連難民高等弁務官事務所発表
  • シン・フェイン党が初の第1党=英領北アイルランド議会選
  • 南米初、コロンビアが自死介助を合法化=本人による致死薬服用を認可
  • 香港、陳日君枢機卿や歌手を国安法違反容疑で逮捕
  • 教皇、7月下旬カナダ訪問へ
  • 「テンプルトン賞」今年の受賞者はノーベル物理学賞受賞者のウィルチェック氏
  • 《メディア展望》

 

◎ロシア東部攻勢、進展わずか=米国防総省分析

 【CJC】米国防総省高官は5月9日、記者団に対し、ロシア軍が攻勢を強めるウクライナ東部ドンバス地域に関し、ウクライナ軍の同地域の北側における抵抗で、ここ数日間はロシア軍には非常にわずかな進展しかないとの分析を明らかにした。同地域の南部も同様で、進展は見られないとした。ワシントン発共同通信の報道を紹介する。
 高官によると、ロシア軍はドンバス地域北側に位置する東部ハリコフ州イジュム周辺で、地上部隊が攻勢を続けている。同地域の東部ドネツク州マリウポリでは依然2個の大隊戦術群に相当するロシア兵が残っている。


◎ウクライナ初代大統領のレオニード・クラフチュク氏死去、88歳

 【CJC】ウクライナ初代大統領のレオニード・クラフチュク氏が5月10日死去した。88歳。昨年6月に心臓の手術を受けた後、体調を崩していた。
 「ベロベーシ合意」と呼ばれる、ソ連崩壊の引き金を引いた1991年の独立国家共同体(CIS)創設協定の立役者で、後年に「無血クーデター」と回想している。
 「ベロベーシ合意」に署名した3人のうち、ロシアのエリツィン元大統領は2007年に死去、ベラルーシ初代国家元首のシュシケビッチ元最高会議(議会)議長も5月上旬に亡くなっている。


◎ウクライナ難民、600万人超に=国連国連難民高等弁務官事務所発表

 【CJC】ジュネーブ発AFP通信によると、2月24日のロシアの侵攻開始以来、ウクライナから国外に逃れ難民となった人の数が600万人を超えたことが、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が発表したデータから5月12日、明らかになった。
 UNHCRのホームページでは、11日時点でウクライナ難民の数は602万9705人。多くはウクライナと国境を接する国に脱出した後、その他の国へ移動している。ポーランドが最大受け入れ国となっている。


◎シン・フェイン党が初の第1党=英領北アイルランド議会選

 【CJC】5月5日投票の英領北アイルランド自治議会(90議席)選挙は7日夜、開票がほぼ終了し、カトリック系シン・フェイン党が最多議席を得て第1党となった。ロンドン発時事通信の報道を紹介する。
 北アイルランド紛争でテロ活動を行った過激組織アイルランド共和軍(IRA)の元政治部門である同党が最大勢力となるのは史上初で、「歴史的な勝利」(英メディア)となった。
 シン・フェイン党は、選挙戦で、物議を醸してきた「南北アイルランド統一」の主張を極力抑え、「生活に密着した政党」のイメージ浸透に努めた。BBC放送のまとめによると、シン・フェイン党は27議席を獲得。これまで第1党の座にあったプロテスタント系民主統一党(DUP)は25議席で2位に転落。このほか中道の同盟党が躍進し3位となった。


◎南米初、コロンビアが自死介助を合法化=本人による致死薬服用を認可

 【CJC】中南米で初めて、コロンビアが5月12日、医師による自死介助(自殺幇助)を非犯罪化した。憲法裁判所が可決した法案により、医師は裁判に訴えられることなく患者の自死を助けることができるようになった。裁判所は「激しい苦痛や深刻な病気を患い、自分の人生を自由に決定する人を助ける医師は、憲法の範囲内で行動できる」と決定した。ブラジルの現地邦字紙「ブラジル日報」が報じた。
 コロンビアでは既に医師が致死薬を患者の体内に注入できる安楽死が合法化されているが、この判決により、患者本人が医師から処方された致死薬を服用して自殺する自死介助が認められる。
 これまでは刑法により、患者本人が病気で自死を決心したとしても、自殺を助けた人は懲役12~36カ月の罰を科せられた。憲法裁判所は賛成6票、反対3票で、刑法のこの条項を廃止した。
 コロンビアでは1997年に終末期患者に限定した安楽死が非犯罪化された。2021年7月からはさらに、終末期でなくとも、肉体的・精神的に激しい苦痛に襲われている患者にも容認された。
 中南米では唯一、安楽死を合法化する世界でも数少ない国の一つであるにも関わらず、コロンビアの法律は今まで、人生の終末期に自死を決心した人を誘導または支援した人を罰していた。
 判決では「医師の監督下で、厳格な規定のもとに自死介助を行うことは犯罪ではない」としており、「身体的傷害または重篤な不治の病による激しい身体的または精神的苦痛」のある人々にのみ自死介助が許可される。
 裁判所は、判決の中で、「依然として存在する障壁を取り除く」ために「尊厳をもって死ぬ権利」を法制化するよう議会に求めた。


◎香港、陳日君枢機卿や歌手を国安法違反容疑で逮捕

 【CJC】香港で、中国政府に批判的な陳日君(ジョセフ・ゼン)枢機卿やポップ歌手の何韻詩(デニス・ホー)氏に加え、弁護士の呉靄儀(マーガレット・ン)氏、学者の許宝強氏が、香港国家安全維持法(国安法)の「外国勢力との結託による国家安全危害」違反容疑で逮捕されたことが5月11日、明らかになった。
 警察は、外国あるいは国外組織に対し、香港に対する制裁を科すよう要請した疑いで、45~90歳の男2人、女2人を逮捕したと発表した。全員が保釈されるが、旅券は没収されるという。
 4人はいずれも、2019年以降に香港で行われた大規模な民主化デモで、当局に拘束された参加者の弁護士費用や医療費の支払いを支援する「612人道支援基金」の運営に関与していた。昨年8月に中国系紙が「犯罪者を支援している」などと批判、警察が国安法違反の疑いがあるとして同基金の捜査を開始、基金は運営停止に追い込まれた。
 陳枢機卿は同日夜に保釈され、記者団に手を振りながら市内の警察署を去った。何氏も保釈された。何氏は昨年末にも、民主派系ネットメディア「立場新聞」(運営停止)の代理編集長たちとともに、扇動出版物発行共謀の疑いで逮捕され、その後保釈されている。


◎教皇、7月下旬カナダ訪問へ

 【CJC】教皇フランシスコは、今年7月下旬、カナダを訪問されることが明らかになった。
 バチカンのマッテオ・ブルーニ広報局長によれば、教皇フランシスコは7月24日(日)から同月30日(土)にかけて、カナダを司牧訪問される。訪問は、カナダ政府と、同国のカトリック教会、そして先住民共同体の招きに応えるもの。
 教皇はカナダ滞在中、エドモントン、ケベック・シティー、イカルイトを訪れる予定。訪問の詳細な日程は後日発表される。
 カナダのかつての先住民同化政策下におけるカトリック教会運営の寄宿学校での悲劇をめぐり、真相の究明と正義・いやし・和解を求めるプロセスとして、今年3月と4月、先住民を代表する複数のグループがバチカンを訪れていた。
 教皇はこれらのグループと会見し、先住民の人々が体験した苦しみに耳を傾けると共に、カナダを訪れ、先住民の人々にご自身の寄り添いを直接伝えたい、と同国訪問への意志を示していた。


◎「テンプルトン賞」今年の受賞者はノーベル物理学賞受賞者のウィルチェック氏

 【CJC】宗教界のノーベル賞と呼ばれる「テンプルトン賞」の今年の受賞者が、ノーベル物理学賞受賞者のフランク・ウィルチェック氏(70)に決まった。テンプルトン財団が発表した。
 ウィルチェック氏は、陽子や中性子の構成要素とされるクォークなどの粒子間に生じる力が、近距離になるにつれ弱くなるという性質(漸近的自由性)を発見したことで、2004年に他の物理学者2人と共にノーベル物理学賞を受賞した。
 テンプルトン賞をノーベル賞受賞者が受賞するのはウィルチェック氏が6人目。
 テンプルトン賞は、世界で最も高額な賞金が贈られる世界最大級の年間個人賞の一つ。常にノーベル賞の賞金を上回る金額が贈られている。米国の投資家ジョン・テンプルトンによって1972年に創設された。宗教間の対話・交流に貢献のあった存命の宗教者・思想家・運動家等に贈られるもので、宗教分野のノーベル賞とも呼ばれる。第1回の受賞者はマザー・テレサ。テゼ共同体の創始者であるブラザー・ロジェや大衆伝道者のビリー・グラハム氏、キャンパス・クルセード・フォー・クライスト(CCC)の創設者であるビル・ブライト氏、反アパルトヘイト運動を導いたデズモンド・ツツ元大主教など、キリスト教関係者も多く受賞している。


《メディア展望》
 
 =カトリック新聞(5月8日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
教皇=キーウ訪問と総主教との会談=「混乱招くため」見送り=母国日刊紙のインタビューで表明
教皇、あらためて再度復活祭の停戦を呼びかける
教皇の異一般謁見講話=高齢者を敬い尊厳を守る
第2回ウクライナを覚えて平和を祈るキリスト者祈祷会=教派超え共に祈る
大分教区司教叙階式=7月3日に決まる
 
 =KiriShin(5月11日)=https://www.kirishin.com
シンガーソングライター小坂忠さん逝去=十数カ国舞台に歌い続け...=ゴスペルの普及に多大な影響
天城山荘6000万円での売却を提案=バプ連理事会が「重い決断」
もうひとつの言葉――宮沢俊義のライシテと民主主義(田中浩喜)
教皇フランシスコ、岸田首相と会談=「核兵器のない世界の実現を」
グテレス国連事務総長=ウクライナ侵攻の仲介役は限界
 
 =クリスチャン新聞(5月8日)=https://クリスチャン新聞.com
三浦綾子生誕100年を記念=「読書会」設立20周年とあわせ集会開催
ウクライナを覚えて平和を祈る会=「非人間化」は傍観する私たちにも
香港を覚えての祈祷会=「香港人」か「中国人」か=揺らぐ97年返還の世代
子どもとその家族に必要な支援を=「5月までに29万人」目標=ワールド・ビジョン 基本的ニーズに対応
ロシア総主教世界から孤立

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