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世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1640信(2022.06.27)

  • 米最高裁は、半世紀ぶり判例覆し、中絶の権利認めず
  • 核五大国と協調模索、禁止条約会議の行動計画草案
  • WCC、新総幹事に南アフリカのジェリー・ピレイ牧師選出
  • 教皇、東方教会援助事業会議の総会参加者と会談
  • 「第10回世界家庭大会」=バチカンで6月22日から26日まで
  • 世界家庭大会パネル会議で「デジタル時代のキリスト者」
  • ナイジェリアで武装集団が村や教会襲い30人以上拉致
  • イスラエル、ネゲブ砂漠の貴重な初期古代モスクを公開
  • マニラ大司教区が「悪魔ばらいセンター」建設へ
  • 《メディア展望》

 

◎米最高裁は、半世紀ぶり判例覆し、中絶の権利認めず

 【CJC】米連邦最高裁は6月24日、人工妊娠中絶を「憲法上の権利」と認めた1973年の判例を覆す判断を下した。半世紀にわたり保護されてきた女性の権利を否定する判決は、米社会に大きな衝撃を与えそうだ。ワシントン発時事通信によって紹介する。
 訴訟では、妊娠15週以降の中絶を禁止する南部ミシシッピ州の州法の合憲性が争われていた。73年の「ロー対ウェイド判決」について最高裁は「憲法は中絶の権利を与えていない」と断言。「中絶を規制する権限は国民と国民に選ばれた議員に戻される」と指摘した。
 司法の最終判断により、今後中絶を認めるか否かは各州に委ねられることになる。
 共和党支持者の中でも特に、キリスト教福音派を筆頭とする伝統的な宗教観を持つ層にとっては中絶は胎児の命を奪う「殺人行為」。最高裁による中絶の権利無効化は長年の悲願だった。判事構成の変化に連動するように、共和党主導の保守的な州はここ数年、中絶を制限する法整備を着々と進めてきた。
 米公共ラジオ(NPR)などが5月に行った世論調査では、64%が中絶の権利を認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」を「覆すべきでない」と答えた。しかし回答を支持政党別に見ると、民主党支持層では93%なのに対し、共和党支持層はわずか34%にすぎない。
 中絶は、米国内で女性の自己決定権を重視する支持派と、胎児の生命を重んじる反対派が長年にわたって激しく対立してきた。女性の選択の自由を支持するバイデン政権は中絶の権利の法制化を目指しており、11月の中間選挙で争点化する構えだ。


◎核五大国と協調模索、禁止条約会議の行動計画草案

 【CJC】ウィーン発共同通信によると、核兵器禁止条約第1回締約国会議が採択を目指す「ウィーン行動計画」の草案は、禁止条約に反発する核保有五大国との対立解消に向けた方策の明確化を探る「調整担当者」を任命する方針を盛り込んだ。会議は22日、ウィーンで続開、草案は最終日の23日に採択の予定。


◎WCC、新総幹事に南アフリカのジェリー・ピレイ牧師選出

 【CJC】世界教会協議会(WCC)は、新総幹事に南部アフリカの統一長老教会(UPCSA)のジェリー・ピレイ牧師(57)を6月17日、ジュネーブで開催された中央委員会で選出した。
 南アフリカ共和国出身のピレイ牧師は、イオアン・サウカ総幹事代行に代わって来年1月1日に第8代WCC総幹事に就任する。任期は5年。
 ピレイ牧師は、プレトリア大学の体系・歴史神学教授で、現在は同大学神学・宗教学部の学部長を務めている。


◎教皇、東方教会援助事業会議の総会参加者と会談

 【CJC】バチカン・ニュースによると、教皇フランシスコは6月23日、教皇庁東方教会援助事業会議(議長=レオナルド・サンドリ枢機卿)の総会参加者と会見した。
 東方教会援助事業会議は、東方教会省の管轄下の組織で、ローマや世界各地のカトリック東方教会の聖職者や信者の支援を行なっている。
 同会議は、6月21日からバチカンで第95回定例総会を開催。特にエルサレム、レバノン、エチオピア、シリア、そしてウクライナの状況とそれに対する支援について、現地の教皇大使の視点を交えながら、報告と検討が行われた。
 教皇は総会参加者らへの挨拶で、常に「善きサマリア人」の姿を目の前に据えつつ、紛争に苦しむ各地の教会と人々に希望を与え続けて欲しい、と願われた。
 ウクライナでの戦争をめぐり、教皇はそこではカインとアベルの悲劇がまた繰り返されている、と述べ、そこで勃発した暴力は命を破壊するものであり、その悪魔的な暴力に対し、キリスト者は、武力が対話に場を譲るよう、祈りの力と具体的な慈愛の業をもって対抗しなくてはならない、と話された。
 「イザヤ書」の「剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする」という「イザヤ書」の1節(2、4)を思い起こされた教皇は、それに対して、今日の状況はすべて逆の方向に向かっているかに見え、食料は減り、武器の轟音が増している、と指摘した。
 教皇は、紛争の森に平和の小道を見出せるよう、祈り、断食し、助け、働き続けよう、と関係者らを力づけられた。


◎「第10回世界家庭大会」=バチカンで6月22日から26日まで

 【CJC】カトリック教会の「第10回世界家庭大会」が6月22日から26日まで5日間、バチカンでの開会フェスティバルと共に幕開けした。バチカン・ニュースによって紹介する。
 22日午後、バチカンのパウロ6世ホールで催された開会フェスティバルには、今大会のためにローマを訪れた世界各国の家族たちが参加した。
 25日夕、閉会を翌日に控え、大会記念ミサがバチカンの聖ペトロ広場で捧げられた。
 暑さを避けて、開始時間を遅らせて行われたこのミサには、世界各国やローマ教区の子ども連れの家族や夫婦たち、また家庭司牧に携わる教会関係者らが多く参加した。
 教皇フランシスコが特別車パパモービルで会場を一巡されると、家族らは各国の国旗を振り、笑顔と歓声で答えていた。
 ミサは、教皇庁いのち・信徒・家庭省長官ケビン・ジョゼフ・ファレル枢機卿によって司式され、教皇フランシスコによる説教が行われた。


◎世界家庭大会パネル会議で「デジタル時代のキリスト者」

 【CJC】「世界家庭大会」3日目の6月24日、パネル会議で「デジタル時代のキリスト者」が催された。
 「デジタル時代のキリスト者」では、ジャーナリストで、教皇庁立サンタ・クローチェ大学コミュニケーション学部で教鞭をとるラファエッレ・ブシェーミ氏が、今や家庭生活にも深く入り込んでいるインターネットをめぐり、現実の世界に対して、インターネットという架空の世界があるわけではない、インターネットも生身の人間が関わる一つの現実と認識すべき、と指摘した。
 また、世の中には様々なメディアがあるが、それを使う人のアイデンティティーは一つである、と述べ、キリスト者として言動一致を生きるならば、オフラインでは良い人でも、オンラインでは別の態度をとる、というような「二重生活」があってはならない、と話した。


◎ナイジェリアで武装集団が村や教会襲い30人以上拉致

 【CJC】バチカン・ニュースによると、ナイジェリア北部カドゥナ州カジュルで6月19日、武装した集団が、マラナタ・バプテスト教会と聖モーセ・カトリック教会を襲撃し、少なくとも3人を殺害、2人を怪我させた、36人を拉致した。
 地元の治安当局者が20日、明らかにした。拉致された36人のうち「地域の指導者ら2人は解放された」という。
 同地では、ほぼ1週間前にも同様の襲撃があり、村民30人以上が殺害されている。


◎イスラエル、ネゲブ砂漠の貴重な初期古代モスクを公開

 【CJC】イスラエル考古学庁(IAA)は6月22日、イスラエル南部、ベドウィンの都市ラハトで発見された古代モスクを公開した。古代遺物担当官は、このモスクは現場の周辺地域がキリスト教からイスラム教へと変移した過程を浮き彫りにするものだと述べた。ラハト発AFP通信によって紹介する。
 IAAは声明で、1200年以上前のものと考えられるこのモスクの遺構は、ラハトで新たに土地を整備中に発見された、と述べた。
 IAAによると、モスクはネゲブ砂漠に位置しており、「正方形の部屋とメッカの方向を向く壁」が含まれ、その壁には、南を指し示す半円形のくぼみが作られている。
 IAAは3年前、この近くで同じ西暦7~8世紀に建てられたとみられる別のモスクを発掘している。今回見つかったモスクと合わせ、これら二つのイスラム教の礼拝場所の遺構は、「知られている中では世界最古の部類に入る」とした。
 この地域のイスラム教支配は、7世紀前半に始まっている。


◎マニラ大司教区が「悪魔ばらいセンター」建設へ

 【CJC】フィリピンのPNA通信によると、カトリック教会マニラ大司教区は「悪魔ばらいセンター」の建設を開始した。
 フィリピン・カトリック司教協議会(CBCP)のニュースサイトは6月7日、この建物がマカティ市グアダルーペ・ビエホにある「セント・マイケル悪魔ばらいセンター」と報じた。
 6日の着工式には、マニラ大司教ホセ・アドビンクラ枢機卿と大司教区悪魔ばらい事務所(AMOE)フランシスコ・シキア所長が立ち会った。
 シキア所長は「センターは、悪魔に束縛されている人々、つまり最も貧しい人々であり、通常見過ごされている人々に奉仕するもの」と述べた。
 センターには、カトリック・エクソシスト協会(PACE)本部、大司教区異常現象委員会なども置かれる予定。
 AMOEは、このプロジェクトは7年以上にわたる「祈り、計画、資金調達」の成果であり、「世界とは言わないまでも、アジアで初めてのものになろう」と述べている。


《メディア展望》
 
 =カトリック新聞(6月26日)=http://www.cwjpn.com/cwjpn/
▼教皇、膝治療のため7月のアフリカ訪問を延期
▼教皇の一般謁見講話=永遠の若さへの執着を批判
▼教皇、連帯と寄り添い表明=ナイジェリアの教会襲撃
▼エルサレムの十字架の道=改修され誰にも通りやすく
▼ワールドユースデー=リスボン大会守護聖人を発表
 
 =KiriShin(6月21日)=http://www.kirishin.com
▼『LGBTとキリスト教 20人のストーリー』=教会で傷つきながら神への信頼つづる=執筆者 内田和利さんに聞く
▼『梅切らぬバカ』授賞式で和島香太郎監督とシグニスジャパン顧問司祭の晴佐久昌英氏が対談
▼島根原発2号機の再稼働に日基教団西中国教区が反対
▼狭山事件の再審開始求め聖公会が証拠開示の要請
▼カトリック聖職者が性的虐待=独ミュンスターで610人超が被害
 
 =クリスチャン新聞(6月26日)=http://クリスチャン新聞.com
▼「D6ファミリーカンファレンス」アジアで申命記6章に基づき次世代育成=教会と家庭で
▼ホールは賛美に包まれ=ユーオーディア音楽祭=3年ぶり大阪で開催
▼「香港を覚えての祈祷会」書籍化=出版記念会開催
▼教会は手を挙げてほしい=ウクライナ難民受け入れ=防災士ネット・近藤高史氏が講演
▼天安門事件33年追悼集会、今年も開催できず=香港

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