世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1642信(2022.07.11)

  • 教皇、安倍元首相死去に深い哀悼の意
  • 教皇、ウクライナとロシア訪問を依然計画
  • 教皇、カンタベリー大主教、スコットランド教会議長がコンゴと南スーダン訪問延期で釈明
  • ロシアのウクライナ侵攻、正確な死者数をBBCが分析
  • 舌禍の駐ドイツ大使ら5人解任=ウクライナ大統領
  • 米独立記念日パレードで銃撃、6人死亡、20人以上負傷=シカゴ郊外ハイランドパーク
  • 国連、北朝鮮人権状況特別報告者にサルモン氏任命
  • 苫小牧で外国人船員支えた36年、「キリスト教船員奉仕会」解散
  • 《メディア展望》

 

◎教皇、安倍元首相死去に深い哀悼の意

 【CJC】教皇フランシスコは、銃撃を受けて亡くなった安倍晋三元首相に深い哀悼の意を表した。バチカン・ニュース(日本語版)が報じた。
 教皇は、安倍元首相の訃報に接し、バチカン国務長官ピエトロ・パロリン枢機卿を通し、駐日教皇大使レオ・ボッカルディ大司教に宛て弔電をおくった。
 この中で教皇は、安倍元首相の死去に深い悲しみを表し、元首相の遺族、元首相と親しかった人々、そして日本の国民に、心からのお悔やみを述べた。
 教皇は、無分別なこの事件の後、日本の社会が平和と非暴力に対するその歴史的な取り組みをより強めることができるようにと祈った。
 教皇フランシスコは、安倍元首相と2回にわたり出会いを持っている。
 2014年6月6日、安倍首相(当時)はバチカンを訪問、教皇と会談を行っている。
 また、教皇は2019年の訪日時、首相官邸を11月25日訪問、安倍首相(当時)と会談した。この後、官邸で行われた教皇と日本の各界代表および外交団との集いで、安倍首相は教皇を迎え挨拶を述べている。


◎教皇、ウクライナとロシア訪問を依然計画

 【CJC】米メディアCNNによると、教皇フランシスコは7月7日までに、ロシア、ウクライナ両国の訪問を依然計画していることを明らかにした。ロイター通信との単独会見で表明した。
 「行きたいし、ウクライナを訪れることもどうにか可能と考えている」と指摘。「最初はロシアへ向かい事態打開を試みるが、両国の首都を訪れたい」と述べた。
 教皇は会見でまた、健康問題を理由に退任もあり得るとのうわさを強く否定した。今月2~7日の日程で予定されていたアフリカ歴訪はひざの調子が悪くて中止になっていた。
 教皇は7月下旬にはカナダ訪問を予定していると主張。この後にロシア、ウクライナ両国の首都を訪ねてもよいとの意欲を示した。


◎教皇、カンタベリー大主教、スコットランド教会議長がコンゴと南スーダン訪問延期で釈明

 【CJC】教皇フランシスコ、英国国教会のカンタベリー大主教とスコットランド教会議長は、3者一緒にコンゴと南スーダンへエキュメニカルな巡礼を予定していたが、85歳の教皇が坐骨神経痛のため、長期に旅行することが無理と判断、延期を発表した。
 7月1日、教皇とスコットランド教会グリーンシールド議長が、訪問延期についてのビデオメッセージを発表した。教皇は次のように述べた。「主は、この待たれていた訪問を延期せざるを得なかったことに私が深く後悔していることを知っておられる。できるだけ早く会うという希望を大切にしよう」。
 カンタベリー大主教のウェルビー氏は「平和の巡礼を取りやめたことを非常に残念」と述べ、教皇フランシスコの回復とエキュメニカルな旅行が「すぐに計画」されることを祈った。
 バチカン国務長官のピエトロ・パロリン枢機卿は、教皇に代わってコンゴ民主共和国と南スーダンへの1週間にわたる訪問を1日開始した。パロリン枢機卿がコンゴのキンシャサでミサを主宰した同じ3日に、教皇は、ローマで現地関係者とミサを祝った。


◎ロシアのウクライナ侵攻、正確な死者数をBBCが分析

 【CJC】ロシア軍が攻勢を強めるウクライナ東部で犠牲者が増えている。ルハンスク州リシチャンスク市では、ロシアの空爆で、空爆を行い、被弾した建物に隠れていた4人が死亡した。近隣のセヴェロドネツク市ではロシア軍による砲撃が丸一日続き、さらに2人が犠牲になった。ウクライナ軍がドネツク市郊外を空爆した際には、1人が死亡した。さらに、北東部スーミ州サディウスカでは、ロシア軍の砲撃で4人が亡くなった。
 政治的暴力を記録しているアメリカの非営利調査団体ACLEDのデータをBBCニュースが分析したところ、冒頭で書いたような民間人死者は、2月24日の侵攻開始以降ウクライナで記録された死者の3割以上を占めていることが分かった。
 記録されている死者の総数は、実際の死者数よりも著しく過小評価されている可能性が高いと、複数の専門家が指摘している。
 ウクライナとロシアは共に、死者数は数万人に達していると主張している。しかし、双方の言う人数は一致していないし、独立した検証もできていない。
 戦争における人的損失を理解するには国連や各国政府、独立監視機関など、複数の情報源のデータを見る必要がある、とBBC。


◎舌禍の駐ドイツ大使ら5人解任=ウクライナ大統領

 【CJC】ベルリン発時事通信によると、ウクライナのゼレンスキー大統領は7月9日、ドイツ政府への過激な批判などで物議を醸してきたメルニク駐独大使を解任した。チェコ、ハンガリー、ノルウェー、インドに駐在する各大使も解任した。
 ゼレンスキー氏はビデオ声明で、大使交代を「通常の外交業務」と説明したが、解任の理由には触れなかった。後任人事の準備を進めているという。
 メルニク氏は、ウクライナへの姿勢をめぐりドイツ政府や当局者を頻繁に非難。ショルツ独首相を、ドイツ語で理由もなく不機嫌になった人を意味する「気を悪くしたレバーソーセージ」と表現した。


◎米独立記念日パレードで銃撃、6人死亡、20人以上負傷=シカゴ郊外ハイランドパーク

 【CJC】米中西部イリノイ州シカゴ郊外のハイランドパークで7月4日午前10時(日本時間5日午前0時)すぎ、独立記念日のパレードの最中に銃撃事件があり、地元警察によると、6人が死亡、20人以上がけがをした。時事通信の報道を紹介する。
 地元警察は、容疑者として、18~20歳ぐらいの白人の男の行方を追っている。男は建物の屋上からライフル銃を発砲したとみられるという。警察幹部は会見で「完全に無差別な発砲とみられる」との見方を示した。動機などをめぐり、インターネット交流サイト(SNS)を調べている。
 パレードは午前10時ごろに始まり、地元のマーチングバンドなどが参加。多くの人が詰め掛けていた。CNNテレビによると、20~30発程度の銃声が鳴り響き、現場は逃げ惑う人々で混乱状態に陥った。目撃者の女性は「戦場のようだった」と語った。
 4日は独立記念日の祝日で、各地で関連イベントが開かれたが、現場周辺の自治体は中止を決めた。


◎国連、北朝鮮人権状況特別報告者にサルモン氏任命

 【CJC】国連人権理事会は7月8日、ローマ教皇庁立ペルー・カトリカ大学の「民主主義と人権問題研究所」所長のエリザベス・サルモン氏(56)を北朝鮮人権状況特別報告者に任命した。8月1日に退任するトマス・オヘア・キンタナ氏の後任となるサルモン氏は、北朝鮮人権状況を調査して改善案を求めることになる。任期は1年で、6年まで延長可能だ。韓国紙「東亜日報」が報じた。


◎苫小牧で外国人船員支えた36年、「キリスト教船員奉仕会」解散

 7月8日、北海道新聞が、苫小牧港に入港した外国人船員向けの憩いの場「シーフェアラーズセンター」を運営する苫小牧キリスト教船員奉仕会の解散を報じた。
 船員が休息し、母国の家族と連絡をとる場所として延べ約15万人に利用されたが、スマートフォンの普及や新型コロナウイルス感染拡大を背景に利用者が激減。運営を支える会員の高齢化も進み、36年続いた港湾都市ならではの交流の歴史に幕を下ろした。
 6月30日に行われた総会で、同会の柳谷豊事務局長は「後継者がいなく、存続は難しい」と説明。会員の賛成多数で解散が決まった。最盛期には80人ほど会員がいたが、現在は高齢化により28人まで減った。
 センターは、建物を解体した上で、土地は所有者のメリノール宣教会に返すという。(CJC)


《メディア展望》
 
 =カトリック新聞(7月10日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
▼那覇教区=沖縄慰霊の日=「戦争への備えは戦争の始まり」
▼教皇フランシスコ=核のない世界は必要で可能
▼教皇フランシスコ=「世界家庭会議」を開会=小さな一歩から聖性へ
▼教皇の一般謁見講話=高齢者の弱さにある力
▼『今こそ原発の廃止を』=フランス語版=フランスのカトリック系出版社が発行
 
 =KiriShin(7月1日既報・再録)=https://www.kirishin.com
▼少女漫画雑誌『ハレルヤ』登場=有志がSNS介して協力=沖縄の専門書店では完売
▼台湾先住民の「正名運動」の歴史と展望
▼「香港を覚えての祈祷会」書籍化=執筆者らと出版記念会
▼NCCと正平協「慰霊の日」に声明=「軍事大国化の道」に警鐘
▼米最高裁、半世紀ぶり判例覆し中絶の権利認めず
 
 =クリスチャン新聞(7月10日)=https://クリスチャン新聞.com
▼ホーリネス弾圧から80年=「再臨信仰」の本気度問われる=市民が同方向になびく時、教会はどこに立つか
▼「日本独自の政教分離の由来と展開」テーマに森島豊氏=国を主語とした天皇型人権の危うさ
▼日本キリスト教協議会 声明=沖縄施政権返還50年「6月23日〝沖縄慰霊の日〟」に平和を仰ぐ
▼芦名定道氏「宗教的多元性と宣教」テーマに基調講演=「対話は宣教の前提条件」=日本宣教学会第16回全国研究会
▼中絶の権利認めず=米最高裁=半世紀ぶり判例覆す

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