世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1646信(2022.08.08)

  • オプス・デイ属人区長が、教皇自発教令に応答する書簡公表
  • 教皇、カナダ司牧訪問について報告、一般謁見
  • 米ワシントン大司教区が仮想通貨での献金受付を開始
  • ガザ地区へのイスラエル軍の攻撃続く
  • 横浜で英連邦戦没捕虜追悼礼拝、初回から追悼の辞を述べている関田牧師も一区切り
  • 《メディア展望》

 

◎オプス・デイ属人区長が、教皇自発教令に応答する書簡公表

 【CJC】教皇フランシスコは7月22日朝、自発教令『アド・カリスマ・トゥエンドゥム』(カリスマを守るために)を発表した。この自発教令は、属人区を聖職者省に組み入れるという教皇の決定を具体化したもの。バチカンに関する、最近の使徒憲章『プレディカーテ・エバンゲリウム』によって定められた事柄に適合するため、使徒憲章『ウト・シット』の幾つかの条項を修正している。
 教皇は、神が聖ホセマリアに授けた賜物に心を留め、それを完全に生きることを求めている。属人区オプス・デイがそのカリスマを大切にし、「そのメンバーたちが遂行する福音宣教の活動を促進するために」、「仕事、家庭、社会での務めの聖化を通して、聖性への呼びかけを世界中に広める」(自発教令『アド・カリスマ・トゥエンドゥム』)よう奨励している。
 オプス・デイのフェルナンド・オカリス属人区長は、「カリスマ的次元を強調されている教皇は、私たちが、家庭的で愛情と信頼の雰囲気を強めるように招いている。属人区長として、皆さんに願う。教皇ご自身が言われるように、カリスマへの忠実を守りつつ、自発教令『アド・カリスマ・トゥエンドゥム』が定めに属人区を適応させる作業のために祈ってほしい。教皇がそれを求めておられる」との書簡を公表した。


◎教皇、カナダ司牧訪問について報告、一般謁見

 【CJC】教皇フランシスコは8月3日、例年の通り7月中休止していた水曜恒例の一般謁見を、バチカンのパウロ6世ホールで再開した。バチカン・ニュース報道を紹介する。
 この謁見のカテケーシスで、教皇は、先日行われたカナダ司牧訪問について報告した。
 教皇は今回の訪問について、「他の訪問とは異なる訪問」と述べ、その目的は主に、かつてのカナダ政府の強制的同化政策に協力したカトリックを含む多くのキリスト教徒が先住民の人々に与えた苦しみに対し、自身の寄り添いと悲しみを表明し、赦しを乞うことであった、と説明した。
 現在、カナダでは新しいページを記すためのプロセスが始まっており、カトリック教会は先住民の人々とこの歩みを共にしているところである、と教皇は述べ、実際、この訪問は「共に歩む」をモットーに掲げたものだった、と話した。
 教皇は、このプロセスは歴史的認識を前提とし、生存者に耳を傾け、気づきと、回心、メンタリティーの変化をめざす「和解といやしの歩み」であると語った。
 こうしたプロセスからわかったことは、教会には、先住民たちを守り、その言語と文化に対する知識に貢献した先住民の尊厳の勇気ある擁護者たちがいた一方で、残念なことに福音の教えとは反対の容認しがたい計画に加わったキリスト者たちもいたことである、と教皇は話した。
 教皇はこの「悔悛の巡礼」を通し、「記憶」「和解」「いやし」のプロセスから生まれる「希望」を求め、エドモントン、ケベック、イカルイトを拠点に行った先住民の人々との出会いの行程をたどり、中でも「熊の丘」を意味するマスクワシスでのファースト・ネイション、メティス、イヌイットの代表者らとの集い、聖ヨアキムと聖アンナの祝日におけるラック・サンタンヌへの巡礼を振り返った。
 また、この旅では、先住民の人々との歩みを支える軸である、教会関係者、そして政府関係者との出会いが行われたことにも教皇は言及した。
 さらに、教皇は、訪問の最後に行われたイカルイトでの若者と高齢者との集いを思い起こされ、カナダにおいても、「記憶と預言」の間にある歴史を共に歩むために、お年寄りと若者の対話が、今日の時代の鍵となっている、と話された。
 教皇は、カナダの先住民の人々の強さと平和的行動が、すべての先住民にとって、自分に閉じこもらないこと、また、より兄弟愛に満ちた人類への貢献、創造主と被造物を愛することの模範となるよう祈った。


◎米ワシントン大司教区が仮想通貨での献金受付を開始

 【CJC】米国の暗号資産(仮想通貨)寄付サービス企業『エンギブン』が8月2日、カトリック教会ワシントン大司教区が、新たな献金集めの手段として同社の仮想通貨寄付プラットフォームを採用した、と発表した。
 ワシントン大司教区は、米国の首都ワシントンと周辺の5郡から構成され、信徒約66万人を擁している。カトリック学校93校やカトリック系3大学も含まれている。
 大司教区への献金・寄付は、これまで現金や小切手、クレジットカードに加え、株式・債券、個人年金の慈善譲渡などの選択肢も用意されていたが、今回、仮想通貨が新たに加わった。
 専門家として大司教区に協力するジョセフ・ギルマー氏は、テクノロジーを活用することで、キリストの福音を広めるという教会の使命に「信徒がより簡単に果たせるようになる」とコメントしている。
 『エンギブン』は2021年秋までに、救世軍をはじめ、難病の子どもと家族のための滞在施設『ドナルド・マクドナルド・ハウス』など、非営利団体700以上への寄付を処理している。中には、ビットコインによる約1000万ドル(約13億円)の寄付もあった。


◎ガザ地区へのイスラエル軍の攻撃続く

 【CJC】英公共メディアBBCによると、パレスチナ自治区ガザ地区へのイスラエル軍の攻撃が続く中、パレスチナの保健省は8月6日、パレスチナ人24人が死亡し、200人以上が負傷したと発表した。イスラエル軍はパレスチナの武装組織イスラム聖戦(PIJ)を標的に、ロケット砲や迫撃砲の攻撃を続けている。これに対抗して、武装勢力側もイスラエルへ向けて砲撃を繰り返して反撃している。
 ガザ地区の保健省は、「イスラエルの侵略行為」で子ども6人を含む多数のパレスチナ人が死亡したほか、負傷者も増えている、と非難した。
 これに対してイスラエル当局は、5日以降、パレスチナから約300発のロケット砲や迫撃砲がイスラエルへ向けて発射されたと指摘、PIJの脅威が「差し迫っている」ため、反撃を開始したのだとしている。
 ガザ地区における今回の攻撃の応酬は、2021年5月に11日間続いた対立以来、最も深刻な被害を出している。2021年の対立では、200人以上のパレスチナ人と数十人のイスラエル人が死亡した。
 ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスは5日夜、複数の武装集団が戦いに臨むにあたって「団結」していると声明を出した。ハマスはPIJと思想的に近く、連携して行動することが多い。ただし今のところは、ハマスがイスラエルに向けて砲撃した様子はなく、イスラエルもハマスを標的にはしていない模様。
 イスラエルは1日夜、PIJのヨルダン川西岸の幹部とされるバッサム・アルサアディ氏を逮捕。この後、イスラエルはPIJによる報復を防ぐためとして、ガザ地区との境界付近で保安対策を強化した。道路が封鎖され、イスラエル南部の町や村との行き来はできなくなった。このため住民の生活は困難さを増している。
 6日にはガザ地区唯一の発電所が稼働を停止した。電力会社によると、燃料が届かなくなったためという。
 イスラエルによると、5日以降ガザ地区からイスラエルへ向けて発射された約300発のロケット砲や迫撃砲のうち、約70発はイスラエル領に届かずガザ地区に落下したという。
 イスラエルに届いたほとんどは、イスラエルのミサイル防衛システム「アイアン・ドーム」で迎撃された。イスラエル側に死傷者は出ていないという。
 イスラエル国防軍によると、イスラエルは30カ所以上のPIJの標的に反撃。その中には、武器庫2カ所、ロケット砲製造施設6カ所が含まれるという。
 イスラエルのヤイル・ラピド首相は5日の攻撃について「差し迫った脅威に対する精緻な対テロ作戦」を実行したのだと説明した。
 イランの首都テヘランを訪問中のPIJのジアド・アルナハラ総長は、「この攻撃に我々は強力に対抗する。戦いに勝つのはこちらだ」、「この戦いに、超えてはならない一線は存在しない」とし、「テルアヴィヴは抵抗のロケット弾にさらされることになる」と発言している。
 PIJはガザ地区でも有数の武装勢力の一つで、イランの後押しを受けている。本部はシリアの首都ダマスカスにある。


◎横浜で英連邦戦没捕虜追悼礼拝、初回から追悼の辞を述べている関田牧師も一区切り

 第2次世界大戦中、日本軍の捕虜となり、日本で亡くなった英連邦軍人ら1873人を追悼する礼拝が8月6日、横浜市保土ケ谷区の英連邦戦死者墓地で行われた。地元メディアや共同通信などのメディアによって紹介する。
 追悼礼拝は旧日本軍の通訳兵として従軍し、捕虜への過酷な扱いを目の当たりにした故・永瀬隆さんらの呼びかけで始まり、今年で28回目。オーストラリア、カナダなどの在日大使館関係者や市民約200人が参列した。
 初回の1995年から追悼の辞を読み上げてきた牧師の関田寛雄さん(93)。高齢などの理由で追悼の辞の読み上げから退く関田さんは、ロシアによるウクライナ侵攻に触れ、政府に「ただウクライナに新鋭武器を送り込むのでなく、中立的諸外国を介して停戦をもたらす仲介の努力をするべきだ」と求めた。被爆国の立場から核兵器禁止条約への参加を訴え、「そのことがここに眠る勇士たちの祈りと叫びに応えることと信じて疑わない」と述べた。
 ゲストスピーカーとして、元捕虜やその家族と日本人の和解のために活動する団体「アガペワールド」代表の恵子・ホームズさんもあいさつ。34年間の取り組みを紹介し、「過去から学び、未来を向上させていくことができる」と語った。バグパイプの音色が響く中、十字架や納骨堂への献花も行われた。(CJC)


《メディア展望》
 
 =カトリック新聞(8月7日・夏季休刊)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
 
 =KiriShin(8月1日既報・再録)=https://www.kirishin.com
▼〝自民党はLGBT差別否定を〟=署名5万筆で当事者ら会見
▼楊尚眞氏らへの抗議・要望=キリスト教界から相次ぐ
▼日基教団カルト問題連絡会が統一協会被害・関係者に呼び掛け
▼安倍元首相の「国葬」=閣議決定に抗議の声明
▼米・パレスチナ=首脳会談で「2国家解決」協議
 
 =クリスチャン新聞(8月7日)=https://クリスチャン新聞.com
▼「信州夏期宣教講座エクステンション」で野寺博文氏講演=「疫病の中で宣教は大きく前進」
▼クリスチャン漫画家集結=SNS企画発信で火がつく=少女漫画雑誌「ハレルヤ」
▼「宗教と政治」参院選後=稲垣久和氏に聞く=公共圏への挑戦と神学必要
▼「おふぃす・ふじかけ賞」3年分の授賞式=カウンセリング良書と雑誌
▼日本キリスト改革長老教会日本宣教70周年=信仰の希望紡いだ70年

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