世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1649信(2022.08.29)

  • キリスト教の「中国化」要求=共産党序列4位の汪洋政治局常務委員=党大会控え宗教界の引き締めか
  • 教皇が韓国メディアKBSに訪朝意思示す=「招かれれば断らない」
  • 教皇、伊中部ラクィラを訪問、地震被害からの復興励まし
  • 教皇、9月カザフでロシア正教会総主教と面会せず
  • バチカン福音宣教省元長官ジョセフ・トムコ枢機卿逝去
  • 《メディア展望》

 

◎キリスト教の「中国化」要求=共産党序列4位の汪洋政治局常務委員=党大会控え宗教界の引き締めか

 【CJC】共同通信によると、中国国営新華社通信は、中国共産党序列4位の汪洋政治局常務委員が8月23日、北京で政府公認のキリスト教団体幹部に対し、社会主義を擁護して「中国化」の取り組みをさらに進めるよう求めた、と報じた。秋ごろに開く5年に1度の共産党大会を前に、宗教界の引き締めを図った。
 汪氏が会ったのはカトリック系団体の幹部。共産党の指導に従い、外国勢力の影響を排除して 国家の主権と安全を守るべきだと強調した。
 中国では非公認の地下教会などは取り締まりの対象となっている。イスラム教に対しても「中国化」を求めている。


◎教皇が韓国メディアKBSに訪朝意思示す=「招かれれば断らない」

 【CJC】韓国メディアKBSが8月25日、バチカンで行った単独インタビューで、教皇フランシスコは北朝鮮に向けて「私を招いてほしい」と呼び掛け、「そうしたら断らない。招待され次第、北朝鮮に行く」と述べたという。韓国の聯合ニュース(日本語)がバチカン発として報じた。
 教皇訪朝の意向はこれまでもバチカンやその他のルートを通じて伝えられてきたが、教皇自身が直接言及することはほぼなかった。
 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)前大統領は昨年10月にバチカンを訪問した際、教皇に訪朝を提案している。これに教皇は「(北朝鮮が)招待状を送ってくるなら、平和のために喜んで出掛ける」と応じたとされる。
 今年任命された韓国人の兪興植(ユ・フンシク)枢機卿は今月18日、聯合ニュースのインタビューに対し「教皇は朝鮮半島平和のきっかけづくりの役割ができるなら北を訪問するとおっしゃった」と述べた。ただ、これまでのところ北朝鮮の反応はないとしている。


◎教皇、伊中部ラクィラを訪問、地震被害からの復興励まし

 【CJC】教皇フランシスコは8月28日、イタリア中部アブルッツォ州の州都ラクィラを訪問、2009年地震の被災者らたちと会見した。バチカン・ニュース(日本語版)の報道を紹介する。
 教皇の今回の訪問目的は、2009年地震の犠牲者の遺族や被災者を励ますと共に、同地のコレマッジョ聖堂で毎年8月28日~29日に祝われる行事「チェレスティーノの赦し」の開幕を告げ、同聖堂の「聖なる門」を開くことにあった。
 28日早朝、ラクィラに到着された教皇は、市内中心部ドゥオーモ広場にあるカテドラルに向かった。
 カテドラル前で行われた市民との集いで、教皇は地震の犠牲者の遺族をはじめ、この悲劇に大きな尊厳をもって立ち向かった全市民に寄り添いを表明、苦しみと茫然自失の中にも、十字架上で死に復活したキリストを見つめ続けた被災者たちの信仰の証しに感謝した。
 イエスは御父のみ腕に皆さんを託され、御父は皆さんのただ一滴の涙をも無駄にすることなく、すべてをいつくしみ深いその御心に受け止められるだろう、と教皇は語った。
 また、たとえ言葉だけで苦しみを慰めることはできなくとも、寄り添いや友情、愛情をもって、互いに兄弟姉妹として助け合い、共に歩むことで前進することができるだろう、とも述べた。
 集いの終了後、教皇はヘルメットをつけ、関係者の案内を受けながら、修復中のカテドラルの内部を見て回った。


◎教皇、9月カザフでロシア正教会総主教と面会せず

 【CJC】ロイター通信報道によると、国営ロシア通信(RIA)は8月24日、9月、カザフスタンで開かれる宗教指導者の会合時に、教皇フランシスコとロシア正教会のキリル総主教が面会することはない見通しと報じた。
 教皇は第7回世界伝統的民族宗教者会議に出席するため、9月13日~15日にカザフスタンの首都ヌルスルタンを訪れる予定。最近の複数のインタビューで、カザフスタンではキリル総主教との面会を希望していると述べていた。キリル総主教はウクライナ戦争を支持している。


◎バチカン福音宣教省元長官ジョセフ・トムコ枢機卿逝去

 【CJC】教皇庁福音宣教省長官、国際聖体大会委員会議長などを歴任した、スロバキア出身のジョセフ・トムコ枢機卿が、8月8日、療養先のローマで亡くなった。98歳の同枢機卿は、枢機卿会の中で最高齢だった。バチカン・ニュース報道を紹介する。
 今年4月末、トムコ枢機卿は、教皇フランシスコとスロバキアの巡礼団との出会いに出席。教皇は、「トムコ枢機卿の存在は、教会は高齢を恵みとして尊ぶ家族であることを感じさせてくれる」と、同枢機卿に温かい挨拶をおくっていた。
 トムコ枢機卿は6月下旬、頸椎骨折のためローマ市内の病院に入院、8月より自宅で療養を続けていた。
 8日、トムコ枢機卿の訃報に接した教皇は、スロバキア・コシツェ大司教区のベルナルド・ボーベル大司教に宛て弔電を送った。
 教皇はこの中で、「尊敬する賢明なる兄弟」であるトムコ枢機卿が、深い信仰と先見ある眼差しをもって、謙遜と献身のうちに福音と教会のために尽くし、教皇庁で長く実りある奉仕を行ったことに感謝を表した。
 また、教皇は、トムコ枢機卿が高齢にあっても聖ペトロ(サンピエトロ)広場で毎日熱心にロザリオの祈りを唱え、聖母マリアへの愛を巡礼者や旅行者に公に証ししていたことに、祈りの精神を見た、と振り返りつつ、「主の忠実なしもべ」であった同枢機卿の冥福を心から祈られた。
 トムコ枢機卿は、1924年、チェコスロバキア共和国(現スロバキア)のウダヴスケに生まれた。ブラチスラバで神学を学んだ後、ローマで神学・教会法・社会科学を修めた。1949年、司祭叙階。1966年、教理省教理部門室長。1974年、司教省次長。1979年、シノドス事務局長。1985年4月、福音宣教省長官代理。同年5月、枢機卿に任命、福音宣教省長官、および教皇庁立ウルバノ大学理事長。2001年、国際聖体大会委員会議長。
 トムコ枢機卿の逝去によって、現在の全枢機卿数は206人、そのうち教皇選挙の投票権を持つ80歳未満の枢機卿は116人、投票権を持たない80歳以上の枢機卿は90人となった。また、最高齢の枢機卿は、アンゴラのアレクサンドル・ド・ナシメント枢機卿(97歳)となった。


《メディア展望》
 
 =カトリック新聞(8月28日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
▼長崎・平和祈願祭=平和の実現へ若い世代と共に
▼米国のサンタフェ教区大司教が謝罪=核兵器産業による危害
▼イスラエルのガザ空爆=小教区の活動3日間止まる
▼教皇一般謁見講話=永遠の若さを望む「錯乱」
▼国連ミャンマー調査機構=国軍の組織的犯罪を報告
 
 =KiriShin(8月21日・夏季休刊)=https://www.kirishin.com
 
 =クリスチャン新聞(8月28日)=https://クリスチャン新聞.com
▼重慶大爆撃を知り平和を真剣に考える=爆撃の煙の中で叫びたい「ここに人間がいる」=日本キリスト改革派西部中会8.15集会
▼「追いはぎが隣人になるには」=8・15平和祈祷会で長尾有起氏
▼赦し乞う時に解放=第28回英連邦戦没捕虜追悼礼拝で=ホームズ恵子氏、関田寛雄氏
▼戦争に抗い平和をつくり出す者に=JECA南関東地区=平和祈祷会で油井義昭氏、児玉智継氏講演
▼同盟教団「8・15平和祈祷会」で松谷曄介氏=「中国のキリスト教にどう向き合うか」

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