世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1673信(2023.02.13)

◎ニカラグアが政治犯222人を国外追放=全員米国に
◎ロシア、3月に日量50万バレル減産=西側諸国の制裁に対抗
◎黒人警官が黒人を殴り殺す、アメリカの暴力に際限はない
◎世界人身取引に反対する祈りと啓発の日、教皇がビデオ通じメッセージ
《メディア展望》


 

◎ニカラグアが政治犯222人を国外追放=全員米国に

 【CJC】サンパウロ発時事通信報道によると、中米ニカラグア政府は2月9日、三権を掌握して独裁色を強める反米左派オルテガ大統領(77)による弾圧を受け、投獄されていた政治犯222人を国外追放した。米国のブリンケン国務長官は同日、全員の受け入れを表明した。
 首都マナグアの控訴裁は政治犯222人について「国の独立、主権、民族自決権を弱体化させ、暴力とテロ、経済的混乱を扇動した」などと断罪。「祖国の裏切り者であり、市民権は永遠に停止される」とした上で国外追放処分を言い渡した。
 終身大統領を目指すオルテガ氏は、2021年11月の選挙に際し反体制派の政治家やジャーナリストらを次々と投獄。政敵を完全排除して4期連続当選を果たした。その後、人権侵害を批判する欧米諸国や国際NGO、カトリック教会と対立し、関係者の逮捕や追放を繰り返している。


◎ロシア、3月に日量50万バレル減産=西側諸国の制裁に対抗

 【CJC】ロシアのノバク副首相は2月10日、3月に原油生産を日量50万バレル減らすと表明した。ロンドン発時事通信が報じた。
 同国の原油生産量の約5%に相当する。ウクライナ侵攻を続けるロシアへの制裁として、西側諸国がロシア産の原油や石油製品の価格に上限を設けたことへの対抗措置。ロイター通信などが伝えた。
 ノバク氏は、減産は自主的な対応だと説明。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」とは正式な協議を行っていないと明らかにした。
 ロシアのタス通信は、ノバク氏が記者団に「われわれは生産した原油を全量販売している」と述べたとし、西側諸国が主導する対ロ制裁に加わる国に警告した。


◎黒人警官が黒人を殴り殺す、アメリカの暴力に際限はない

 【CJC】米テネシー州メンフィスの教会で2月初めに黒人男性のタイリー・ニコルズ(享年29)の葬儀が行われ、黒人牧師が追悼の言葉を送った。
 ニコルズは1月、危険運転を理由にメンフィス警察の警官から3分間にわたって殴られ、2日後に病院で死亡。
 暴行した黒人警官5人は第2級殺人罪などで訴追されたが、暴行時の映像が公開され、全米に衝撃と抗議デモが広がった。


◎世界人身取引に反対する祈りと啓発の日、教皇がビデオ通じメッセージ

 【CJC】カトリック教会の暦で聖ジュゼッピーナ・バキータの日(2月8日)が、「世界人身取引に反対する祈りと啓発の日」として記念され、教皇フランシスコはビデオを通しメッセージを発した。
 バチカン・ニュースによると、聖ジュゼッピーナ・バキータ(1868=スーダン~1947=イタリア)は、7歳で奴隷商人に誘拐され、その時のトラウマにより自分の名前とアイデンティティーを失った。バキータ(幸運な者)という名前を与えられ、奴隷として何度も取引され、心身共に壮絶な体験をした。
 16歳でイタリア領事の家庭に引き取られ、ようやく平穏な生活を得た。その後、領事の友人一家の娘の子守りとして、イタリアに渡った。一家の夫婦が再びアフリカに戻った時、彼らの娘と共に一時ベネチアのカノッサ修道女会に預けられ、その時キリスト教信仰に深く接することになった。一家が娘とバキータを連れ戻しに来た時、20歳になっていた彼女は、洗礼を受けてそのまま修道院に残りたいと、勇気をもって決意。やがて、その願いはかなえられ、信仰の歩みのうちに修道女となり、その愛徳によって人々を感化した。
 女子修道会の国際総長会議(UISG)は、聖バキータの日(2月8日)を「世界人身取引に反対する祈りと啓発の日」として定め、人身取引についてよく知り、人身取引をなくすために、また被害者たちのために祈るよう招いている。
 教皇はビデオメッセージで、人身取引の被害者の保護者、聖バキータの日に、「第9回世界人身取引に反対する祈りと啓発の日(テーマ=尊厳のために歩む)」を記念するすべての人々に精神的一致を示した。
 教皇は、特に若い人々に、自分たちの、また出会う人々の尊厳を大切にしながら、希望を生き生きと保つことに貢献するように、キリストこそ真の喜びであることを知り、神のみことばと共に喜びを心に持つようにと招かれた。
 人身取引は尊厳を歪め、搾取し服従させることは自由を制限し、人を使い捨ての存在にしてしまう、と教皇は話した。
 教皇は、困難なこの時代にあって、特に若い人をはじめ、すべての人は、キリストとその福音から来る光を広げるための、善のネットワークを築くよう呼ばれている、と強調した。
 教皇は、人身取引に反対し、誰も取り残されることがないように、尊厳のために歩もう、と呼びかけた。
 そして、「目を開いて歩み」、若い人をはじめ、多くの人が取引され、冷酷に搾取されるそのプロセスを見極め、「注意深い心で歩み」、自由と尊厳の日々の道のりを発見し、支え、「希望の足取りで歩み」、人身取引反対の行動を推進し、「手を取り合って歩み」、互いに支え合い、出会いの文化を築くよう、アピールした。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(2月12日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
▼教皇=インタビューで恐れへの対処法を指南
▼世界宗教者平和会議(WCRP)が学習会=「平和構築の実践」考える=講演とパネルディスカッション=田中優子氏が基調講演
▼ミャンマーの教会指導者、ボ枢機卿たちが礼拝施設の保護を訴える=チャンター村のミャンマー最古、大切な礼拝の場「被昇天の聖母教会が放火され、破壊されてしまいました」と教皇
▼教皇=説教を「8分から10分までに収め、その中で必ず一つの考え方や気持ち、イメージを盛り込んで」と求める
▼市営住宅の高齢者に食料支援=NPOに教会も協力=神奈川・小田原市
 
 =KiriShin(2月11日)=https://www.kirishin.com
▼シリーズ=「2世」の呻き=ありのままの自分愛せず(あん=統一教会2世)
▼日本キリスト教団東北教区センター=「エマオ」開館20周年で記念誌
▼抱撲「希望のまちプロジェクト」=寄せられる期待=各地でPR活動
▼教皇、同性愛禁止する法律を非難=英国国教会の指導者たちも支持
▼フランスのライシテと「宗教リスク」=田中浩喜(宗教情報リサーチセンター研究員)
 
 =クリスチャン新聞(2月12日)=https://クリスチャン新聞.com
▼人が育つ・家庭が育つ・教会が育つ=『D6』出版記念講演会
▼海運・運送会社ともスクラム=希望の車いすらNPО4団体=戦火のウクライナへ車いすを
▼ミャンマー軍事クーデタ―2年=宗教者ら祈り=日本も無関係ではない
▼映画「対峙」=被害者・加害者の両親=その対話の行方は?
▼神学生佐々木結さんを講師に日本基督教団草津教会でワークショップ=「これからの教会を考える」
▼信仰告白として芸術を考える=古代神殿から近世まで=志学会講演会で中谷博幸さん講演

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