世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第919信(2008.08.25)

  • 世界教会協議会が創立60周年祝う
  • キリスト者15人をサウジアラビアが国外退去処分
  • アドベンチスト派の女性が米海軍従軍牧師に
  • 米でYMCAにつながる人が2100万人と史上最高
  • 英旅行会社は燃料追加料金で巡礼減少を懸念
  • ガリラヤの教会直下でローマ神殿跡発掘
  • 喫煙するイエスの絵に当惑するアジアの教会
  • 《メディア展望》

◎世界教会協議会が創立60周年祝う

 【ジュネーブ=ENI・CJC】キリスト教一致の強化を目指して、世界の教会指導者が1948年8月23日、オランダのアムステルダムで世界教会協議会(WCC)を結成してから60年、記念式典が同地で行われた。
 サミュエル・コビア総幹事は、式典出席を控えジュネーブで「キリストを求めることの中で互いを発見した147教会は60年前、アムステルダムでキリストへの誓いを新たにし、相互の交わりに入った」のだ、と語った。「60年後に私たちが同じ所で集まる時、教会がそれらの関わりに忠実であったと覚えることは重要。諸教会はただ共存したのでなく、友愛を深め、広げた」と言う。
 22日、WCC創立記念式典が、創立大会の開会礼拝が行なわれたアムステルダム新教会で行われた。ベアトリックス女王に記念出版の「岐路に立つエキュメニカル運動」の第一刷が贈られた。
 来年末に退任が決まっているコビア総幹事は、記念行事を企画、主催した「オランダ教会とエキュメニカル(教会一致を目指す)な友人」に、記念出版を感謝とともに捧げる、として、「今日、目に見える一致を求める動きは、ますます強まってはいるが、アムステルダムで1948年に行われた出来事を可能にした先達の志に刺激を受け、希望と確信を持ってさらに次の60年に目を向けよう」と語った。
 現在、WCCは世界110以上の国・地域にある英国国教会(聖公会)、正教会、プロテスタント349教会、5億6000万人以上の信徒を代表する組織になっている。


◎キリスト者15人をサウジアラビアが国外退去処分

 【CJC=東京】サウジアラビアが8月5日、キリスト者15人を国外退去処分にした。南西部の避暑地タイフの住宅で密かに礼拝を行なったことを理由にしている。米ASSIST通信が報じた。
 各国でのキリスト者迫害の監視団体『国際キリスト教コンサーン』(ICC)によると、キリスト者16人が祈祷会を催していた住宅をサウジ警察が4月25日、手入れした。「警察は門を破壊して中に入り、短銃を向けて、滞在許可証と携帯電話を引き渡すよう命令した。4時間にわたる家宅捜査と尋問の後、電子ドラムセット、500リアル(約1万4000円)が入った献金箱、聖書20冊、キリスト教書数冊も押収した」という。
 聖書を説き、賛美歌を歌うことを理由に、警察がキリスト者を起訴した、とICCは指摘する。ただ後になって訴因は、ダンスパーティを開催、テロ支持のために募金した、と変更された。
 「警察は、アラビア語で調書を作成、キリスト者に署名を強制した。しかしキリスト者は移住者で、アラビア語を読むことも書くことが出来ない」とICCは指摘する。
 尋問の後、キリスト者は拘置され、外部との連絡は認められなかった。3日間拘置された後、4月27日釈放された。キリスト者の1人は即時出国したが、残りは日常生活に戻ったところ、国外退去を求める書簡を受け取ったもの。
 サウジアラビアはスペインのマドリードで7月16〜19日に宗教間会議を主催、アブドラ国王は各宗教間の和解を求めた。
 ICCのジェフ・キング総裁は「私宅での礼拝を理由にキリスト者を追放することは、アブドラ国王の演説が単なる論理であり、変化と和解に関するサウジアラビアの願望は国際社会をごまかしていることを示す」と語った。


◎アドベンチスト派の女性が米海軍従軍牧師に

 【ベリエン・スプリングス(米ミシガン州)=ENI・CJC】米海軍に女性従軍牧師が誕生して35年、エイドリアン・タウンゼンドさんがセブンスデー・アドベンチスト派の女性としては初めて奉仕することになった。これまで4年間、アンドリュース大学副学部長だった経験が、同年齢の若者に奉仕できる「巨大な宣教地」への新たな召しに活かせる、と海軍側は見ている。
 「私が軍務につくことで、キリストについて聞こうとする人々に接する基盤を神が置かれたのだと思う」とタウンゼンドさんが語った。『アドベンチスト・ニュースネットワーク』が8月11日報じた。「私は、キリストが崇められ、私が接する人全てに神が実在することを知ってほしい」と言う。
 ダイアナ・ポールマン少尉が女性として初めて従軍牧師になった1973年以来、93年には女性従軍牧師は30人を数えるまでになった。
 タウンゼンドさんは、アンドリュースのアドベンチスト神学校で神学修士号を取得、教育と心理学専攻。


◎米でYMCAにつながる人が2100万人と史上最高

 【CJC=東京】米YMCAは、現在2100万人が全米2686の都市YMCAの活動につながっている、と発表した。その約半数は子どもたちだ。
 この5年間に「会員」は全米で200万人増加した。昨年だけ見ても70万人増加している。米YMCAの157年の歴史でも最高記録だ。今やYMCAは全米規模で見ると、市民を人生のあらゆる場面で支える最大の非営利ボランティア活動組織の一つになっている。
 「社会が、成人や小児の肥満、家族サポートの不十分さ、小児保育の不足など深刻な問題に直面していることは分かっている。YMCAのプログラムはこれらに対応するもので、私たちの成長は、全米のYMCAが日々、子ども、家族、そして人々が必要としている生活の改善のために大きく活動していることの反映だ」と、ニール・ニコル米YMCA会長兼CEO(最高経営責任者)は語った。「数に満足しているだけでなく、人々の生活に真の、そして積極的なものを生み出していることを誇りに思う。これほど多くの人たちが、その幸せに不可欠なものとしてYMCAを見てくれることは光栄だ」と言う。
 YMCAは全米で数千もの共同体に根をおろし、低中所得階層の子どものための養育・保育、不利益や危険に追い込まれる若者のための麻薬・覚せい剤防止や対ギャングプログラム、兵役についた人の家族支援、「心と知性と体」の育成を推進するプログラムなどで、課題に対応している。
 保育関係事業者として米国最大の非営利組織であるYMCAは、全国1万近くの現場で50万人以上の子どもたちのために活動している。また保育プログラムで子どもたちの2割に財政支援を行っている。
 中心的な家庭の所得が米国平均を下回る地域で、1500のYMCAが活動しており、その経費は年間16億ドル(約1700億円)に上る。ほとんどが公的支援の他、民間やYMCA会員からの援助でまかなわれる。
 YMCAは、50万人以上のボランティアと2万以上の全米・地域レベルの協力団体に支えられている。地域レベルでは学校、公共機関、教会、病院、青少年団体、公園、レクリエーション施設と提携している。
 「ボランティア、協力者、資金提供者から受ける信認と支援を高く評価する。それらの支援があってこそ、YMCAは社会のそれぞれの必要を満たすことができる」とニコル氏は言う。


◎英旅行会社は燃料追加料金で巡礼減少を懸念

 【カンタベリー(英)=ENI・CJC】(トレバー・グランディ記)数千人の巡礼者を、ルルドやファティマや、ヨルダン、エジプトなどの聖地に毎年送り出す英国の旅行会社は、燃料価格高騰、国際的な信用不安などで、旅行を計画中の人が2009年には慎重になるのではないか、と見ている。
 ケント州バローグリーンのタンニー・ツアー社のジョン・タンニー氏はENI通信に、「今年はルルド巡礼のキャンセルは多くなかったが、来年は努力しなければ」と言う。「今年は特によかった。1858年に羊飼いの少女が聖母マリアを見たとして有名になったフランスのルルドには7月8000人以上を送った。しかし燃料追加料金の引き上げがあり、8%値上げしなければならない」のだ。
 教皇ベネディクト十六世は、9月13〜15日に顕現150周年を祝福するためルルドを訪問することを計画で、12日にフランス到着の予定。
 英国では毎年20万人が巡礼に出かける。ルルドに団体旅行する人も3万人いる。タンニー社は2万人をルルドに送り出す最大手だ。
 8月初めの報道では、数万人の観光客が高額の追加料金請求を受けたと言い、さらなる引き上げが打撃となるのは必至だ。
 マンチェスターの旅行会社は「聖地への2グループが今キャンセルして来たし、米国でも巡礼中止が続出しているそうだ。このままでは値下げ競争が始まる」と語った。


◎ガリラヤの教会直下でローマ神殿跡発掘

 【CJC=東京】英公営BBC放送によると、紀元1世紀にガリラヤ地方の首都だったチッポリで、教会の基礎の下にローマ神殿と見られる遺跡を、イスラエルの考古学者が発掘した。紀元2世紀のものと見られる。
 神殿は、古代にすでに略奪されており、ほぼ基礎が残っているだけ。チッポリで鋳造された貨幣は、ローマ神ゼウスと女神テュケーが拝まれていた可能性を示唆している。
 神殿は、ローマ時代、ビザンチン時代に町の東西にわたる大通りだった「デクマヌス(並木通り)」の南側に位置する。
 エルサレムのヘブル大学考古学研究所のジーブ・ワイス教授らの発掘作業の中で発見された。12メートル×24メートルの神殿は、外壁に囲まれた中庭に建てられ、装飾された正門があった。
 神殿が廃止された時期は分かっていないが、教会が建設されたのはビザンチン時代のこと。チームメンバーは、発見が都市の信仰生活に光を当てるであろうと語った。
 今回、「デクマヌス」の北側で記念碑と見られるものも発見された。規模から見て、重要な役割を果たしたものと見られるが正確なことはまだ分かってはいない。
 チッポリの発掘は1930年に米国チームによって開始された。ヘブル大学による90年以降の発掘では、バシリカ(集会場)、浴場、劇場、教会2カ所、ユダヤ教礼拝堂などが判明している。


◎喫煙するイエスの絵に当惑するアジアの教会

 【バンガロール=ENI・CJC】インターネット上に、喫煙するイエス像が流れていることに、アジア各国の教会の中には当惑が広がっている。何しろタバコの煙をくゆらすだけでなく、ビールらしきものも手にしているのだ。
 昨年8月、マレーシアのタミル語紙『マッカル・オサイ』が喫煙するイエス像を掲載して1カ月間の発行禁止処分を受けた。同紙は少数派インド系市民を対象に発行されている。
 カトリック教会クアラルンプール教区のマーフィー・パキアム大司教が、問題の絵を「冒涜」と非難したのを受けてのもの。
 同紙は、偉大な指導者の発言を集めた特集ページの制作の際の事故だとして絵の掲載について謝罪した。担当者は、使用する写真のイエスが喫煙しているのに気がつかなかったのだ、と言う。
 インド南部アンドラプラデシュ州では、日刊紙『サクシ』(証し)が7月13日、問題の絵を掲載、怒ったキリスト者が抗議に押し寄せた。
 同紙は、ラジャセクハラ・レッディ州首相一族の所有、キリスト者への謝罪を1面に掲載した。イエス・キリストには最大の敬意を払っており、絵の掲載は「失敗」だとしている。同紙は責任を、インターネットから問題の画像を取り出した副編集長のものだとした。
 アンドラプラデシュ教会協議会のJ・A・オリバー幹事は、「きわめて恥ずかしいこと」と言う。同協議会は声明で、「信仰が関わるところでは、正確さだけでなく、敬意を持って取り組むべきだ」と指摘している。
 インド・ケララ州ではカトリック教会がネイヤティンカラ教区誌『ヴェチャナ・ジョティス』(言葉の炎)が表紙に問題の絵を掲載したことを問題視、謝罪と同誌の廃刊を決めた。
 教区のビンセント・サミュエル司教は、聖職者編集長とボランテア編集スタッフが問題の絵を小さく扱うつもりだったが、出来上がりが大きかったので、タバコをステッカーで隠し、それを配布したところ、信者の多くが怒り、抗議の声を上げたのだ、とENI通信に語っている。


《メディア展望》

  =カトリック新聞(8月24日)=https://www.cwjpn.com
★祈りと行動 各地で=カトリック平和旬間
★青年ら信仰見つめ交流深める=WYD in Japan 2008=山梨
★宗教者はどう考える?=司祭、僧侶 AIDS語る=AIDS文化フォーラムin横浜
★平均61.94歳=中央協、司祭の年齢など発表
★岩手・滝沢村=1,000人集まる=全国カトリックスカウト野営大会

  =キリスト新聞(8月23日・休刊)=https://www.kirishin.com

  =クリスチャン新聞(8月24日・休刊)=https://jpnews.org

  =リバイバル新聞(8月24日)=https://www.revival.co.jp
★"奇跡の歌声"に喝采=ラブ・ソナタ横浜=ハ・ヨンジョ牧師がメッセージ
★レイクランド=電流のような主の臨在=スタッフたちは日本の話題も
★オーストリア=修道士のCDが大ヒット
★聖公会=ランベス会議=出席拒否は230主教に
★正論も言わない場=GOGO会=大阪・門真


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