世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第961信(2009.06.22)

  • 神の怒りを買ったソドムは死海の北東部にあったか
  • 『サンフランシスコ神学校』学生部長にリーバート修道女
  • カトリック教会が「司祭年」、教皇による特別免償も
  • 『聖ピオ十世会』が13人叙階、バチカンの警告無視
  • ベトナム警察が「家の教会」指導者を拘束
  • 仏でサイエントロジー教会に解散命令も
  • 米ニュース誌『ワールド』が「今年の本」にESVスタディバイブル
  • ロッツ氏に「宗教の自由のための国際賞」
  • 《メディア展望》

◎神の怒りを買ったソドムは死海の北東部にあったか

 【CJC=東京】神の裁きによって滅ぼされたソドムとゴモラは死海南部の湖底に沈んだと伝えられるが、死海の北東部のタルエルハッマムこそ聖書創世記に記されているソドムの町だ、と確信するのは米ニューメキシコ州アルバカーキのトリニティ・サウスウエスト大学の考古学者スティーブン・コリンズ氏。
 「創世記を丹念に読み返して見ると、これまでウイリアム・F・オルブライトが指摘したように死海の南部にあるのではなく、北東部に存在したと示唆している」とコリンズ氏。そこでピーター・ブリッグス氏の調査手法を使って、創世記から理論的な地図を作成した。その結果、創世記の記事は地理学的にも信用出来ることがわかった。
 コリンズ氏は報告書にまとめ『近東社会(NES)会議』で発表した。「テキスト自身に語らせたかった。NESの会議では高い評価を得たが、あくまでそれは理論上のことだったので、次は調査を進め、発掘を開始すること」だった。
 死海の北東部には、古代のソドムの所在地として有力な場所が10カ所以上見つかった。「ソドムはその地方では最大の町とされている所から、可能性のある中で最大の場所を選んだ。それがタルエルハッマムだった」と語るコリンズ氏。自身も1995年から2000年にかけて発掘に携わってきた発掘がイスラエルとパレスチナの抗争のあおりを受け閉鎖しなければならなくなった。
 「これまで発掘に没頭していたのだから、途方にくれている」と途方にくれている。


◎『サンフランシスコ神学校』学生部長にリーバート修道女

 【CJC=東京】米サンフランシスコの長老教会(PCUSA)系『サンフランシスコ神学校』は、ジャナ・チルダー学生部長(ディーン)が6月末に退任するのに伴い後任にエリザベス・リーバート修道女(SNJM=イエスとマリアの聖名の姉妹会)を任命した。7月から就任する。長老派神学校のディーンにカトリックの修道女が就任するのは初めて。
 同修道女はキリスト教霊性を専攻、「洞察法=意志決定のための霊的実践」(仮訳題、ウエストミンスター・ジョン・ノックス、2008)など著書多数。
 世界改革教会連盟(WARC=本部ジュネーブ)のセトリ・ニョミ総幹事は、教会一致運動中心のENI通信に「今回の任命は、同神学校が『改革派であることはエキュメニカルであること』と言われる真理を理解していることを示すものだ。様々なキリスト教の伝統の女性と男性全ての賜物を受け入れる必要を理解するため、教会の指導者や組織に新世代を形成して行くことは、今後も続く」と語った。
 リーバート氏は同神学校で20年以上にわたり教えてきた。「教会一致運動の歴史的な1歩を達成したことが特にうれしい。エキュメニカルな神学教育へ学校が全面的に関わっていることを示す好例だ」とフィル・ブーティン学長は語った。

《画像参考》リーバート修道女=https://www.sfts.edu/news/view.asp?ID=24


◎カトリック教会が「司祭年」、教皇による特別免償も

 【CJC=東京】カトリック教会は6月19日から2010年6月19日までを「司祭年」とする。
 教皇ベネディクト16世は「司祭年」の開催にあたり、司祭と信者のための特別免償規定を教令として、バチカン(教皇庁)内赦院を通じて発表した。この教令は「司祭年」の期間中、効果を有するという。
 「司祭年」は、「アルスの司祭」聖ヨハネ・マリア・ビアンネ神父の帰天(死去)150年を機会に、司祭たちの「霊的向上」を願って、ベネディクト16世が制定した。


◎『聖ピオ十世会』が13人叙階、バチカンの警告無視

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)から破門された『聖ピオ十世会』の米ミネソタ州にあるグループが6月19日、同州南東部ウイノナの聖トマス・アキナス神学校で13人を司祭に叙階した。
 『聖ピオ十世会』が20人以上を叙階するとの情報に、バチカンは17日に今回の叙階を正当なものと認めない、と警告していたが、それを押し切っての決行となった。
 ウイノナ教区報道担当は、今回叙階された人は誰も、同教区内だけでなく他の教区でも司祭として仕えることは出来ない、と語った。AP通信が報じた。
 『聖ピオ十世会』は1969年にマルセル・ルフェーブル大司教によって設立されたが、第二バチカン公会議の決定に全面的には従わず、特にミサの変革を拒否することで教皇の権威に挑戦する形となった。88年にルフェーブル大司教が、当時の教皇ヨハネ・パウロ二世の意向に反して司教4人を叙階したことが「分裂行動」と断定され、同大司教と叙階された4人は91年に破門された。
 「教理上の問題がはっきりしない限り」、同会は教会の中に法的な地位がなく、同会の行う宣教は教会で正当になされるものではないので、同会による叙階はカトリック教会内では有効ではない、と報道事務所は指摘している。


◎ベトナム警察が「家の教会」指導者を拘束

 【CJC=東京】ベトナム警察が6月7日、ハノイ南方フンイェン省コアイチャウ県のオンディン村にあるアガペ・バプテスト教会を襲撃、礼拝を守っていた人たちを殴打、ドゥオン・バン・テュアン牧師と長老1人を拘束した。2人は同日夕釈放されたが、拘束中に当局者から殴打された。ただ痕が残らないよう、腹部を狙い打ちしたと言う。
 テュアン牧師が警察の退去命令を無視して現地に留まったことへの報復、と教会側は見ている、と米福音派系のコンパス通信が報じた。これまでにも4月19日、5月24,31日に警察が礼拝を妨害している。
 警察当局は「すぐにも寄り道せずに村を離れる」ように命令し、釈放した。
 テュアン牧師はこの3月、村に来た際、教会の長老に、首相が2005年に出したプロテスタンティズムに関する特別指示に基づき、登録することを勧めていた。この指示通りに登録すれば宗教活動が認められる。教会の長老は申請書を出したものの、30日の期限後に登録を拒否、書類を返却した。理由として、中央の宗教事務局などの許可が必要、首相の指示は山岳部の教会を対象にしたもので、平地の教会には適用されない、と言う。山岳民族にはキリスト教信仰が普及していることから、当局側は宗教に名を借りた独立運動を行う過激派組織と主張して硬軟さまざまな対策を打ち出している。
 世界各国の、宗教の自由の現状を調査していた米連邦委員会は5月1日、年次報告書を発表、侵害の度合いが深刻な国としてベトナムなど13カ国を列挙、米政府に対し、これらの国を宗教の自由で特段の懸念がある国に指定するよう促した。ベトナム外務省などが対応策を練っている最中の今回の事件は、当局側の混乱を反映したもの、と見られ、現地では「皇帝の法も村落の慣習には負ける」という格言がささやかれている。
 ベトナムでは総人口の1割強がキリスト者。カトリック者が総人口の約10%を占め、プロテスタント信者は総人口の1%弱。


◎仏でサイエントロジー教会に解散命令も

 【CJC=東京】フランス国内にあるサイエントロジー教会(教会員約4万5000人)を詐欺がらみで解散させるか、パリの裁判所が決定することになった。元教会員2人が、同教会本部と書店を対象として6月15日訴追したもの。1990年代に『エレクトロメーター』というエネルギー・レベル測定器の偽物を数十万円相当で売り付けた、という。
 有罪となると6億円相当の罰金も科せられる。教会員6人も訴追され、有罪となると高額の罰金と懲役刑の可能性もある。
 教会側は起訴事実を否定、迫害だ、と主張している。


◎米ニュース誌『ワールド』が「今年の本」にESVスタディバイブル

 【CJC=東京】米キリスト教系ニュース誌『ワールド』(隔週刊)が「今年の本」に「ESV(英語標準訳)スタディバイブル」を選定した。マービン・オラスキー同誌編集長は「2万項目、参照箇所8万項目、図版400点以上の全てが優れた神学者ウエイン・グラデム、J・I・パッカー両氏によって監修され正確で読みやすいものになっている」と語った。
 「今年の本」に聖書を選定するのは、おかしいし、平凡な書物とするのではないか、と見る人もいようが、聖書はいつもその年の本であり、スタディバイブルが「主の2009年」の本としてふさわしい、とオラスキー氏は語った。
 同誌は6月19日号として「2009年書籍」特集号を発行、「今年の本」として「ESVスタディバイブル」を紹介している。

《画像参考》『ワールド』読書特集=https://www.worldmag.com/index.cfm


◎ロッツ氏に「宗教の自由のための国際賞」

 【CJC=東京】「宗教の自由のための国際賞」が、バプテスト世界連盟(BWA)前総幹事のデントン・ロッツ氏に6月18日、ワシントンで開かれた第7回「宗教の自由年次夕食会」の席上授賞された。同賞は雑誌『リバティー』、『国際宗教の自由協会』(IRLA)、セブンスデー・アドベンチスト教会などが運営している。
 ロッツ氏はBWA総幹事を2007年に退任した際、名誉総幹事に推挙された。現在はIRLA会長。
 授賞理由に「教会の指導者、『教会の政治家』として、宗教の自由を自らの宣教の主要な焦点とした」ことが挙げられている。
 ロッツ氏は、約300人の参会者を前に、バプテスト運動が400年前の1608年に起こって以来、宗教の自由護持に果たして来た役割を認められたものと思う、と語った。バプテストは反体制的なスタンスと良心の自由護持のためにしばしば迫害されてきた、「バプテストは迫害されたグループだ」と言う。「宗教の自由が否定される所では他の全ての自由も否定される」とロッツ氏は語った。

《画像参考》受賞したロッツ氏=https://www.bwanet.org/default.aspx?pid=1102


《メディア展望》

  =カトリック新聞(6月21日)=https://www.cwjpn.com
★カトリック校の教職員育てる=「養成塾」スタート=理念理解し、使命果たせるよう教員ら有志が発足=25校から参加
★列福式『公式記録集』=7月1日、中央協から出版
★静岡・浜松教会=外国人900世帯を支援=活動通し共同体も刷新=協力する中で「壁 消えた」
★合同で学校説明会=首都圏17校=来場者昨年の2倍=東京エリア/カトリック学校フェア
★緊急措置すべて解除=新型インフル=大阪教区が通達
★バンコクなどでカトリック校=1週間の学校閉鎖=新型インフル感染受け

  =キリスト新聞(6月20日)=https://www.kirishin.com
★エルシー・マッキー教授来日し講演=新たなカルヴァン像描く=祈り・説教・書簡を手がかりに
★聖学院大=「スピリチュアリティ」で島薗進氏講演="年齢超えた集団の役割"
★金沢=キリスト教教育学会大会=教会の連携が学校支える
★日本キリスト教会全国連合婦人会修養会に500人=日本宣教支えた女性に学ぶ
★横浜開港150周年で企画展=同志社校友会=新島襄の足跡たどる
★世界の言語で"ペンテコステ"

  =クリスチャン新聞(6月21日)=https://jpnews.org
★220か国で心一つに=ペンテコステ=「悔い改めと祈りの日」世界へ
★オバマ大統領=カトリック左派を起用=駐バチカン大使に解放の神学者
★JEA=韓国と宣教協力強化=ローザンヌ会議も協力
★宣教150周年記念大会=記者会見で概要を発表=実行委員長3氏が検証・宣教・継承
★月刊ディボーションガイド=いのちのことば社から創刊
★宣教150周年記念=JEA総会講演で小野静雄氏=日本伝道のアキレス腱は実感主義に=疲弊する地方教会への支援が火急


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