世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第974信(2009.09.21)

  • 米プロテスタント諸派で女性牧師の勢い倍増
  • 全米で「バック・トゥー・チャーチ・サンデー」運動展開
  • 教皇、来年春にマルタを司牧訪問へ
  • ロシア正教会代表がバチカン訪問
  • 貧困者向け薬品に偽物の可能性、とバチカン高官
  • 独教会のフーバー監督ら北朝鮮を訪問
  • 独ニーダーザクセン州の大学でイスラム教聖職者訓練へ
  • 仏の新法はサイエントロジー教会を解散不可能に
  • コロンビアで牧師が暴漢3人に殺害される
  • 《メディア展望》

◎米プロテスタント諸派で女性牧師の勢い倍増

 【CJC=東京】米プロテスタント諸教会の指導的立場にある先任女性聖職者(牧師)の数がこの10年で倍増したものの、僅か10%とバーナ調査グループ(本部・カリフォルニア州ヴェンチュラ)が発表した。1990年代初めから99年までは5%に留まっていたが、以後は微増に転じ、2009年には10%になった。
 女性牧師の58%が、アメリカン・バプテスト教会、合同キリスト教会、聖公会、福音ルーテル教会、合同メソジスト教会、長老教会(PCUSA)などのいわゆる「主流派」で活動しているのに、男性は23%なのが理由の一つと見られる。
 調査では、女性牧師の年齢は、中央値で見るとこの10年で50歳から55歳に上昇したが、男性牧師は48歳から52歳と高齢化が進んでいることも明らかになった。
 学歴では女性が高く、神学校の学位を保持しているのは77%と4分の3を超えているが、男性は63%と3分の2以下。
 その一方、謝儀の面では2009年でも女性牧師が4万5300ドル(約430万円)なのに男性は4万8600ドル(約450万円)。ただ上昇率はこの10年で30%と男性の21%を大きく上回り、その差は縮小している。
 謝儀の男女間格差の理由の一つは、牧会している教会の規模の違いもある。男性の場合、成人の礼拝出席数が平均103人以上の教会なのに、女性牧師は81人となっている。


◎全米で「バック・トゥー・チャーチ・サンデー」運動展開

 【CJC=東京】全米の教会員が「教会から離れた」家族や友人を礼拝に誘う日として9月13日を「バック・トゥー・チャーチ・サンデー」とする運動が展開された。特別礼拝を行った教会もあった、と宣教通信ANSが報じている。礼拝に誘われた人は70万人を超えたという。
 イリノイ州ネイパービルの『いのちのことば・ルーテル教会』の会員は7日のレーバーデー(労働の日)に展示した飾りつけの前に集まった。
 協賛した教会の中には礼拝出席数が25〜30%増加したところもある。ある牧師は平均155人が220人に増えたと語り、150人が196人になったところもあるが、60人が10人増えただけのところも。
 アウトリーチ社が行った調査では、礼拝に出席した人の多くは教会と福音に好感を持ったようだ。
 「超満員などということは長い間なかった」「駐車場所を確保するのが一苦労だった。神に感謝」という感激もあれば「新しい教会の友と素晴らしい時だった。食事を共にし、お互いに知り合った」との声が聞かれた。


◎教皇、来年春にマルタを司牧訪問へ

 【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世が来年春マルタを訪問することが明らかになった。マルタ司教団が、教皇の司牧訪問は2010年4月の予定と発表した。教皇はマルタの司教らとジョージ・アベラ大統領から招待されている。
 訪問は、使徒パウロがローマに護送される途中、船が難破しマルタ島に上陸してから1950周年を機に行なわれる。
 『使徒言行録』には以下のような記述がある。パウロは裁判を受けるためローマに送られるが、パウロらを乗せた船は途中暴風雨にあって漂流し、その後マルタ島に打ち上げられる。マルタの住民は彼らを大変親切にもてなした。パウロはローマに再出発するまで同地に3カ月留まった。
 パウロのマルタ上陸は紀元60年頃とされている。
 前教皇ヨハネ・パウロ二世は、1990年と2001年の2回マルタを訪れている。


◎ロシア正教会代表がバチカン訪問

 【CJC=東京】ロシア正教会モスクワ総主教座の諸教会対話責任者、ヴォロコラムスクのイラリオン大主教が9月15〜20日、バチカン(ローマ教皇庁)を訪問した。バチカンのキリスト教一致推進評議会の招きによるもの。
 大主教はローマ滞在中、教皇ベネディクト十六世との会見のほか、同評議会議長ヴァルター・カスパー枢機卿、国務長官タルチジオ・ベルトーネ枢機卿、東方教会省長官レオナルド・サンドリ枢機卿、文化評議会議長ジャンフランコ・ラヴァージ大司教らと会談する。
 スモレンスクとカリーニングラード府主教時代に諸教会対話責任者を務め今年2月にモスクワ総主教に着座したキリル1世の後任として、イラリオン大主教がローマを訪れるのは今回が初めて。
 教皇庁は、同大主教の訪問を機会に、両教会間の友好関係と相互理解・尊重・協力が深まることを期待している、とバチカン放送(日本語電子版)は報じている。


◎貧困者向け薬品に偽物の可能性、とバチカン高官

 【CJC=東京】アフリカで販売されている薬品の約半数は偽物の可能性がある、とバチカン(ローマ教皇庁)保健従事者評議会議長のジグムント・ジモフスキ大司教が指摘した。薬品の安全の分野での薬剤師の倫理と意識をテーマに、ポーランドのポズナニで9月11〜14日行われたカトリック薬剤師国際連合の会議で14日発言した。
 大司教の指摘は、世界保健機関(WHO)の調査によるもの。バチカン機関紙ロッセルバトレ・ロマノが伝えるところでは、アフリカの複数の国では6割が偽物だという。
 WHOは東南アやラテンアメリカ(中南米)では3割が偽物の可能性がある、としている。
 大司教は「薬品のごまかしや偽造はまず子どもに影響を与える。偽物の抗生物質やワクチンが引き起こす健康障害は重大だ。アフリカの子どもたちの呼吸器病による死の多くは、有効成分がないのに高価で売られている偽の抗生物質が処方されているからだ」と指摘した。
 大司教は、カトリック薬剤師に「勇気をもって薬品の偽造を非難し、その配布に反対する」よう呼びかけている。


◎独教会のフーバー監督ら北朝鮮を訪問

 【CJC=東京】北朝鮮を訪問しているドイツ福音教会(EKD)の指導者ウォルフガング・フーバー監督はピョンヤンの鳳水教会の礼拝で、「人よりも」神に従うべき、と述べた。ENI通信が9月15日報じた。
 金正日氏については言及しなかったが、フーバー氏は使徒言行録(5・29)を引用して、「人間に従うよりも、神に従わなくてはなりません 」(新共同訳)と述べた。
 フーバー氏が引率したドイツ・プロテスタント教会代表団は、北朝鮮の朝鮮基督徒連盟の招待で4日間訪問した。同氏は訪問中、カン・ヨンソプ議長と会談した。その後、韓国を訪問した。


◎独ニーダーザクセン州の大学でイスラム教聖職者訓練へ

 【CJC=東京】独ニーダーザクセン州はオスナブリュック大学で来年からイマム(イスラム教聖職者)訓練を開始する。現在、公立大学に設置されているカトリック、ルーテル派、ユダヤ教聖職者向け神学学位取得コースと同様のものとなる。ドイツ通信(DPA)が報じた。
 ドイツ語を話すイマムを訓練するコース自体、初めて。ウーヴェ・シューネマン州内務長官は、終了生が、これまで3年契約で各モスクで教えていたトルコ人の祈祷指導者に代わることになる、という。
 州財政負担でコースを開設するのは、イスラム教徒移住者をドイツの生活に溶け込ませることが重要だから、と同長官。いくつかのモスクでイマム導入に関心を示しているという。オスナブリュック、ブラウンシュヴァイク、ゲッティンゲンの各大学の学者が授業細目を作成中。


◎仏の新法はサイエントロジー教会を解散不可能に

 【CJC=東京】ロイター通信によると、フランスで成立した新法で、サイエントロジー教会は現在パリ地裁で行われている訴訟で詐欺行為を認定されても、解散させられることはなくなった。
 新法を提出した与党国民運動連合(UMP)のジャン=ルック・ワルスマン議員は声明で、新法による最大の罰則はフランス国内での活動禁止であり、これは解散しても別の名称で活動継続するのを阻止したものだ、と述べている。
 詐欺行為を否定する教会側は、9月14日、訴訟は「中傷」で、すでに被害は重大だ、と述べた。


◎コロンビアで牧師が暴漢3人に殺害される

 【CJC=東京】信仰の自由を中心にした人権擁護団体『クリスチャン・ソリダリティ・ワールドワイド』(CSW)によると、内戦が続いているコロンビア西北部コルドバ県マラニョナルで9月6日、国際フォースクエア福音教団(ICFG)のラファエル・ヴェラスケス牧師(41)が、覆面の3人に射殺された。
 ヴェラスケス氏がモンテリバノ村で礼拝をした後のことで、武装した3人が同氏の自宅に押し入り、夫人と教会青年6人の面前で射殺したという。
 コロンビア全土で武装勢力による組織的な宗教的迫害が起きており、信仰の自由が脅かされている。
 コルドバ県では少なくとも牧師15人がこの半年、家族も殺すと脅迫されており、活動している現場から離れた人も出ている。強制的に閉鎖された教会は200カ所以上に上り、この3年で殺害された牧師は35人を超えている。
 (注)国際フォースクエア福音教団(ICFG)は米ロサンゼルスに本部を置くペンテコステ派教会。日本を含め世界142カ国で宣教し、教会員数400万以上という。


《メディア展望》

  =カトリック新聞(9月20日)=https://www.cwjpn.com
★司教協議会=聖職者の裁判員辞退=最高裁へ文書提出
★全国典礼担当者会議=長野=典礼暦年の意味 再確認
★日本カトリック教育学会=「連携」の可能性探る=仙台
★ブラジル人司牧者集う=難民移住移動者委=情報交換し、優先課題探る
★東京教区=心の問題でセミナー=初回は「うつ病」テーマに
★インドネシア=バンドン教区=地震被災者のため 支援基金立ち上げへ

  =キリスト新聞(9月19日)=https://www.kirishin.com
★青森地裁=裁判員の牧師 実名公表=「更生への願いこめた懲役15年」=澁谷友光さん 判決直前に裁判長へ進言
★英語『新国際訳』聖書が改定版="語法の変化に即応する責任"
★ルーテル学院=100周年連続神学講演会でM・ルート博士=エキュメニズムの展望語る
★出版販売協会=「物語のパターンを幼い頃から」=夏期例会で松岡享子氏・吉井康文氏が対談
★キ政連=会員候補者3人が当選=衆議院選挙
★WCC予算、10年度は縮小必至

  =クリスチャン新聞(9月20日)=https://jpnews.org
★「クリスチャン情報ブック」宣教調査=帰国者クリスチャンがいる教会は3割=約2割が海外に姉妹教会
★信仰×芸術 描き続け=個展で出合える「安富ブルー」
★性教育は聖書科授業で=キリスト教主義学校調査=実践には大きな壁
★主と共に東海道500キロ完歩=祈り祈られ58教会を訪問
★人身売買問題に特別チーム=世界福音同盟が組織化
★『リフォームド神学事典』の編者ドナルド・マッキム博士来日講演


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