世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第982信(2009.11.16)

  • 聖公会からカトリック教会に入ることを望む人のための使徒憲章
  • ワシントン大司教区、同性間の結婚合法化に抵抗
  • 大気圏外に知的生物が存在する可能性、バチカン認める
  • 地球規模の思いやり運動訴える「憲章」、ネット上で公開
  • 独教会の女性指導者登場は関係に懸念、とロシア正教会
  • 教皇とキリル総主教の会談に可能性、ヒラリオン大主教
  • フィリピンでシノット神父釈放される
  • ルイス・パラウ氏が『革新的伝道会議』開催
  • リック・ウォレン牧師が迫害されるキリスト者のための伝道開始
  • ハガード氏、メディアの注目にびっくり
  • 大衆伝道者トニー・アラモ被告に禁固175年
  • 《メディア展望》

◎聖公会からカトリック教会に入ることを望む人のための使徒憲章

 【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世は、聖公会からカトリック教会に入ることを望む人々のための使徒憲章「アングリカノールム・チェティブス」を11月9日、公布した。バチカン(ローマ教皇庁)教理省長官ウィリアム・ジョセフ・レヴァダ枢機卿は10月20日、カトリック教会に入ることを希望する世界各地の聖公会の聖職者・信者のグループからの多くの要望に応えることを目的とした新しい文書が発布される旨を告げていた。
 公布された使徒憲章は、教会法上の組織の一つ、属人的司教区(オルディナリアーティ・ペルソナーリ)の設立を規定し、これによってこれまで聖公会に属していた信者がカトリック教会との完全な交わりに入ることを可能にすると共に、これらの信者がアングリカンの精神遺産と典礼の要素を保てるよう取り計らっている。
 全体で13章からなる使徒憲章は、属人的司教区内における結婚した司祭たちの存在の可能性を考慮しているが、これは司祭の独身性に関する教会の規律の変化を何ら意味するものではない。
 属人的司教区は、教理省によって一つの司教協議会の管区内に設立され、以前聖公会に属し、今はカトリック教会との完全な交わりに入った信者、聖職者、修道者、あるいは同司教区において洗礼の秘跡を受けた者によって構成される。これらの属人的司教区は、ミサをはじめ他の秘跡、聖務日課、その典礼行為を、ローマ典礼はもとより、教皇庁によって認可されたアングリカンの伝統的な典礼書に従って行うことができる。
 聖公会の助祭、司祭、司教で、教会法上の必要とされる条件を満たす者は、担当司教からカトリック教会の聖職志願者として受け入れられる。結婚している司祭は教皇パウロ6世の回勅「サチェルドタリス・チェリバトゥス」の規範を守り、結婚していない司祭は教会法の定める司祭の独身性に従わなければならない。
 オルディナリオは地域の教区の司教に意見を仰ぎ、教皇庁の許可を受けた上で、属人的司教区の信者の司牧のために「属人的小教区」を設立することができると述べている。
 憲章はこの他、神学生の育成、修道会の創立、教皇庁への定期訪問、オルディナリオを補佐する評議会の設立などについても定めている。


◎ワシントン大司教区、同性間の結婚合法化に抵抗

 【CJC=東京】米カトリック教会ワシントン大司教区は、同性間の結婚合法化提案を撤回しなければ、ホームレスへのシェルター提供などの社会奉仕を停止する、との意向を示しているが、ワシントン市議会側は受け入れない構え。同性間の結婚合法化案は12月にも成立すると見られ、市長も賛成している。
 カトリック系奉仕団体は、6万8000人にサービスを提供する契約を市と結んでいる。「結婚条例」は教会に同姓間の結婚式執行を求めてはいないが、カトリック系団体は市の資金を利用しており、大司教区は結婚した同性間のカップルへのサービス提供や養子縁組を迫られることを懸念している。
 大司教区としては、奉仕対象に同性間のカップルを入れたり、同性愛者たちの養子縁組容認に教会を適用除外することを望んでおり、それは教会の宗教の自由を守るためのものだ、としている。


◎大気圏外に知的生物が存在する可能性、バチカン認める

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)が天文学、物理学、生物学の専門家をカトリック信徒以外からも含めて30人を招き5日間にわたり会議を行った。バチカン天文台の責任者ホセ・ガブリエル・フネス神父(イエズス会)が司会進行を務めた。
 会議の運営関係者1人、米アリゾナ大学のクリス・インピー教授(天文学)は、会議の狙いを、宇宙における生命の研究という天文学の急成長分野における最近の研究を評価すること、と語った。
 会議では大気圏外に知的生物が存在する可能性を認めた。ガリレオ・ガリレイが天動説に挑戦したことを理由に異端審問に掛けられてから4世紀を経過している。カトリック教会の見解は、1600年に、他にも生物が存在することを予測したのを異端だとして哲学者ジョルダーノ・ブルノが火刑に処せられてから、急激に変化した。
 バチカン天文台は、宗教と科学の間の溝を埋める努力の最前線に立ってきた。今日ではビッグバン理論や進化論のような科学的構想を、長老格の聖職者も公然支持するようになっている。
 元司祭で歴史学者のポール・コリンズ氏は、エイリアンも、人は神に似せて作られたという信仰と両立することに何の問題もない、と語った。「全ての被造物は善と神の創造とを反映している。人類とは、私たちがもっとも充足して、完全に代表しているものであることを議論している。しかし全て創造は神が創造者であることを示している。だから地球外の生物も、人類以上に発達しているにせよ、そうでないにせよ、創造を示している」と言う。


◎地球規模の思いやり運動訴える「憲章」、ネット上で公開

 【CJC=東京】宗教の垣根を越えて世界中の人びとに寛大さと平和の実現を求める声明「思いやりの憲章」の内容が11月12日、インターネット上のウェブサイトで公開された。現在20の言語でダウンロード可能。AFP通信が報じた。
 「思いやりの憲章」は、元カトリック修道女で宗教学者のカレン・アームストロング氏が発起人となり起草されたもので、世界中の宗教指導者たちの協力を得て作成されている。憲章は、道徳と宗教の中心に思いやりを取り戻し、文化や宗教の多様性を受け入れる姿勢を育むよう呼びかけている。さらに、暴力や憎しみ、軽蔑をもたらすような聖典の解釈は正当なものではないという、古来の原則に立ち返ることも強く求めている。
 今回立ち上げられたウェブサイトは、この憲章が展開する草の根運動の内容を説明し、提唱者のメッセージを伝え、目標実現に向けて行動を起こす協力を要請するものとなっている。
※思いやりの憲章のサイト=charterforcompassion.org


◎独教会の女性指導者登場は関係に懸念、とロシア正教会

 【CJC=東京】ドイツ福音教会(EKD、信徒2400万人)常議員会議長にマルゴット・ケースマン氏が選出されたことに、ロシア正教会対外関係部門の責任者ヴォロコラムスクのヒラリオン大主教は同派との関係を危うくする、と懸念を明らかにした。
 ENI通信が報じた。


◎教皇とキリル総主教の会談に可能性、ヒラリオン大主教

 【CJC=東京】ロシア正教会とローマ・カトリック教会との間の関係は改善しつつあり、教皇ベネディクト十六世と『モスクワと全ロシアのキリル総主教』との会談も浮上してくる、とロシア正教会対外教会関係部門の責任者『ヴォロコラムスクのヒラリオン大主教』が、モスクワで11月12日、記者団に語った。
「時間や場所について特に計画されているわけではないが、準備したいとの思いは双方にある」と言う。
 会談に至るには、なお未解決の問題に関して共通の基盤を作ることも準備の一つ、と大司教は語った。未解決の一つがウクライナのユニエイト(東方帰一教会)と正教会信徒との問題。1990年代初めに、「微妙な教派間のバランスが崩れ、緊張関係が今もある」と言う。ただ正教会信徒のカトリックへの改宗問題は10年前ほどには注目されなくなった、と大司教は語った。


◎フィリピンでシノット神父釈放される

 【CJC=東京】フィリピン南部パガディアンで10月11日、過激派『モロ・イスラム教解放戦線』に誘拐された聖コロンバン宣教会のマイケル・シノット神父(79、アイルランド出身)が11月11日釈放された。
 神父は12日、母国アイルランドの国営放送に、「当面、自分はフィリピンに残り、自分の仕事に戻りたい。修道会の上長がどういう意見かは知らない。残ることは私の意志だ」と語った。


◎ルイス・パラウ氏が『革新的伝道会議』開催

 【CJC=東京】世界的な不況の中で、福音伝道の現状はどうか。大衆伝道者
ルイス・パラウ氏が米オレゴン州ポートランドで11月10〜13日、『革新的
伝道会議』を開催した。米、英、独など10カ国以上から350人が参加した。
 福音に耳を傾ける人がいるのか、会議の結論はイエス・キリストの福音を述べ
伝えるのに今こそが絶好の時なのだ、ということだった。
 「福音への扉がこれほど開かれていることはこれまでなかった」と『次世代連
合』のティム・ロブネット代表は言う。


◎リック・ウォレン牧師が迫害されるキリスト者のための伝道開始

 【CJC=東京】米メガチャーチの中でも最大とされる『サドルバック教会』(カリフォルニア州レイクフォレスト)のリック・ウォレン主任牧師が、世界中の迫害されたキリスト者を支援する、新しいテーマ伝道を開始する、と11月8日発表した。同教会が連続開催しているフォーラム「迫害された教会のためのサドルバック市民フォーラム」で明らかにした。
 フォーラムには『倫理と政策センター』のマイケル・クロマティー副会長、『オープンドアーズUSA』のカール・ムーラー会長などが参加、地球上で数百万人を苦しめている迫害と宗教の自由について討議した。
 ウォレン氏は、招待者全員と個別に会談したほか、グループ討議を行った。そしてサドルバック教会が新たな「シグネチュア」宣教というテーマを定めた活動を開始する、と述べた。同教会はすでにエイズ感染者などを対象にした3テーマの伝道を行っている。


◎ハガード氏、メディアの注目にびっくり

 【CJC=東京】性的スキャンダルが原因で、自ら1985年に設立した『ニューライフ教会』主任牧師を2006年に辞任したテッド・ハガード氏、コロラド州コロラドスプリングスの自宅で祈祷会を始める、と明らかにしたところ、全米のメディアの注目を集めてしまった。
 そこで同氏は、ニューヨーク・タイムズ紙やCBSテレビなどからの要請に応え、11月12日の最初の祈祷会の前に記者会見をする、と9日発表した。ただ自宅内にはメディアは入れない。「パパラッチに囲まれるのはいやだ」からだと言う。しかし祈祷会の前後に集まった人たちに話しを聞くのは良いとか。
 「何も秘密はない」とハガード氏は現地紙ガゼットに語った。ただ祈祷会は地味にやろうとしていたので、注目が集まってびっくりした、と言う。
 85年に教会を始めた時も、地下室の集会に出席した人は20人ちょっとだった。ただ『ニューライフ教会』のようなものをまた始めるという考えはない、とハガード氏は語っている。


◎大衆伝道者トニー・アラモ被告に禁固175年

 【CJC=東京】米国の大衆伝道者トニー・アラモ被告(75)にアーカンザス州裁判所は11月13日、性行為目的で未成年者を州境を越えて連れ回したなどの10件に禁固175年の判決を下した。被告側弁護士は即時、控訴した。
 アラモ容疑者は『トニー・アラモ・クリスチャン・ミニストリーズ』を創設、指導している。有罪とされた各件ごとに刑期を積算すると175年になる。また罰金25万ドル(約2250万円)も科された。


《メディア展望》

  =カトリック新聞(11月15日)=https://www.cwjpn.com
★ホームレスを支援する会=各小教区からも多数参加=正式に始動長崎
★貧しい人々、温暖化から救え=サグラダ・ファミリア教会に垂れ幕
★バチカン高官が指摘=移住者歓迎で示すカトリックの姿勢
★体験聞き意見交換=部落差別人権委員会・全国会議=東京
★「認知症」学び 分かち合う=老人施設協会 東北・北海道支部が職員研修
=仙台
★アジアで進む司牧方法=聖書分かち合う小共同体=AsIPA(アシパ)

  =キリスト新聞(11月14日)=https://www.kirishin.com
★学生がNGOのルーツたどり発表=先達との対話で描く"未来"=早稲田奉仕園シンポジウム
★第2回アフリカ特別シノドス=最終提案書を採択し終了
★ルーテル世界連盟=次期総幹事、チリのフンヘ氏
★キリスト教文化学会で薛恩峰氏講演=中国の歴史から教訓学ぶ
★徳島県自殺予防協会=保健文化賞を受賞=理事長近藤牧師が抱負語る
★恵泉女学園80周年記念式="河井道の精神を継いで"

  =クリスチャン新聞(11月15日)=https://jpnews.org
★平和シンポ各地で=隔ての枠組みを超えて=平和目指す日米新政権に期待感
★月刊「現代宗教」発行人タク氏=韓国で猛威振るう異端=「日本に来ている」警告
★初のアジア・メシアニック・フォーラム開催=日本とイスラエルのユダヤ人伝道関係者討議
★宣教150年で日韓協力「世界宣教青年大会」=27〜29日都内で「すっとAZRA」
★大阪女学院創立125周年祝う
★クリスチャントゥデイ 本紙報道を誹謗=韓国異端専門家を「異端」と中傷


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