世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1000信(2010.03.22)

  • 教皇、アイルランドの性的虐待被害者に謝る
  • 教皇の謝罪にアイルランドの受け止め方は懐疑的
  • ドイツ司教会議会長も性的虐待の隠ぺい認める
  • 教皇、ローマの福音ルーテル教会を訪問
  • 米ユダヤ人団体が長老教会の中東報告書を反イスラエルと指摘
  • フィリピンの村が聖金曜日の「磔刑」に外国人の参加禁止
  • 香港キリスト教協議会が環境保護活動家の釈放を要請
  • エルトン・ジョン「イエスはゲイ」発言で脅迫される
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎教皇、アイルランドの性的虐待被害者に謝る

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は3月20日、アイルランドの聖職者による性的虐待の被害者に謝罪、問題の聖職者に、真実を話すよう呼びかけ、関係司教には当局に協力するよう指示する司牧書簡を3月20日発表した。
 教皇は、被害者をはじめ、アイルランドの信者や聖職者などに、虐待や事実を隠してきたアイルランド教会の行為は犯罪であり罪だ、と聖職者による虐待行為を認め、「心から申し訳なく思う。遺憾の意と深い反省を率直に表したい」などと謝罪した。18ページに及ぶ謝罪文では、子供やか弱い若い世代が教会の聖職者によって虐待を受けていたことを知り、「本当に動揺した」と述べている。
 教皇は書簡の中で「聖職者が犯した罪に衝撃と裏切りを感じた」と厳しく非難、虐待をしていた聖職者や隠蔽(いんぺい)工作に走った教会トップに対して「神の前と法廷で答えなければならない」とした。
 今後、バチカン(ローマ教皇庁)も、アイルランドの教区、神学校、修道会の調査を行う計画。教皇が被害者と直接面会して癒やしを祈ることも明らかにしている。
 ただ、教皇は教書の中で、アイルランド教会の抜本的な構造改革については言及せず、問題のもみ消しを図ったショーン・ブレイディー枢機卿の辞任も求めなかった。
 今回の謝罪はアイルランドの被害者のみにあてたもの、とバチカンは明らかにしている。教皇は、他国での問題についても認識しているが、今回の書簡で全世界への謝罪とするには適切ではないと考えたという。
 欧州における聖職者の児童に対する性的虐待は、アイルランドのほか、教皇の出身国であるドイツ、スイス、オーストリア、オランダでも明らかになっている。
 ドイツでは、300人以上の被害が確認された。教皇が南部ミュンヘン教区の大司教だった80年にも教区内で少年が被害に遭ったほか、教皇の兄が指揮を務めたバイエルン・レーゲンスブルクの聖歌隊での疑惑も浮上した。性的虐待に関与した神父の教会施設受け入れを認めたとして教皇自身にも疑いの目が向けられている。
 性的虐待は今年に入り米国、南米などでも報告され、世界のカトリック信者に衝撃を与えると同時に、バチカンへの批判が高まっている。
 カトリック教会では聖職者の妻帯が認められていないことから、一部改革派の司教らは禁欲が性的虐待に結び付いていると主張、妻帯を認めるよう求めている。一方で小児性愛者が聖職者を志望するケースもある。
 被害者の中には、教皇の謝罪が「被害者への言及が少なく、失望した」との声もあり、一部で肉体的・精神的被害について賠償を求める動きも出ている。
 10億人以上の信者を有するカトリック教会の権威は低下、欧州では熱心な信者が減り、聖職志望者も減少している。神学生の数も2007年に欧州全体で約1万4000人と、10年で半減した。
 「教皇は、アイルランド教会の失敗についてだけ語り、バチカンの役割を無視した。もしも教会がこの根本的な真実を認めないのであれば、受け入れられない」と、被害者グループの一つ『ワン・イン・フォー』のメーブ・ルイス氏は語った、と英紙サンデー・インデペンデントが報じている。


◎教皇の謝罪にアイルランドの受け止め方は懐疑的

 【CJC=東京】アイルランド・カトリック教会聖職者による性的虐待の被害者に、教皇ベネディクト16世が3月20日、謝罪する書簡を発表したものの、現地での受け止め方は懐疑的だ。
 聖職者の不祥事自体と共に、それを隠蔽してきた司教たちへの反発も見られる。特に辞任を否定した首座司教ショーン・ブレイディ枢機卿を、教皇が罷免すべきだとの声も上がっている。


◎ドイツ司教会議会長も性的虐待の隠ぺい認める

 【CJC=東京】ドイツの週刊誌『フォーカス』3月21日号によると、司教会議会長のロベルト・ツォリッチュ大司教はインタビューで、カトリック教会が数十年にわたって聖職者による性的虐待の事例を意図的に隠ぺいしていたことを認めた。「その通り。私たちはそうして来た」と大司教は述べたが、自身が情報を抑えたとの疑惑は否定した。
 ほとんどの場合、教会の外での事件だが、「それほど多く教会という組織内に行われた暴行を恥ずかしく、驚いた。一つ一つの例が全体教会の顔を曇らせる」と言う。ただ大司教は、教会がこの所数年間、性的虐待の報告例を明るみに出し調査する方向に転じていた、と強調した。
 ツォリッチュ大司教は、虐待疑惑のすべての事例で、告訴するとの提案に反対して来た。多くの被害者が法的措置を求めていないと述べたからだ、と言う。また、誤って訴えられた人の人生を台無しにしかねない根拠のない疑惑を避けることも重要だ、と強調していた。


◎教皇、ローマの福音ルーテル教会を訪問

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は、3月14日午後、ローマ市内の福音ルーテル教会を訪問した。バチカン放送(日本語電子版)が報じた。
 教皇とローマのルーテル共同体との出会いは、1983年のヨハネ・パウロ2世の訪問に続き、2度目。ただ教皇は枢機卿時代の98年、同教会を訪れている。
 同教会のジェンス・マーティン・クルーズ牧師によると、ローマにおけるルーテル共同体は約350人。活動は貧しい人々への奉仕をはじめ活発である。また、エキュメニズム運動にも力を入れており、例えば聖週間には、付近にあるすべてのカトリック教会と共同で十字架の道行きなどを行っている。
 今回の訪問は、ルーテル教会からの招きにベネディクト16世が応えたもの。教皇は同共同体の温かい歓迎に心からの感謝を表されると共に、原稿を用いずドイツ語で挨拶を述べた。
 教皇は、人類のために自らを捧げられたキリストが示された道、愛という唯一の歩みを分裂させたのは私たち人間であると述べ、イエスの示した道に従うことのできない人間の至らなさが、キリスト者間の完全な一致を妨げてきたと指摘した。そしてキリスト者であるということは「一つの私たち、一つの共同体」であることだが、分裂してしまったキリスト教共同体を再び一致させるために始まったエキュメニズム運動が多くの実りをもたらすようになったことを歓迎した。


◎米ユダヤ人団体が長老教会の中東報告書を反イスラエルと指摘

 【CJC=東京】米国の『公共政策のためのユダヤ人評議会』が、長老教会(PCUSA)のア中東報告書『壁を打ち破る』は反イスラエル、と指摘した。ユダヤ系のJTA通信が報じた。報告書は今年の同派総会で論議されることになっている。
 評議会は、報告書が「露骨に反イスラエルであり、アラブ・イスラエル・パレスチナ紛争を正義と邪悪の戯画におとしめている」としている。「聖典、歴史的な事柄、現実などを極端に選択してユダヤ人国家に反対する物語に作り上げた」という。
 長老教会は2004年、イスラエルに供給していた資金の引き上げを総会で決定した。ただ06年にはその資金を地域の平和推進のために使用すると、姿勢を転換している。


◎フィリピンの村が聖金曜日の「磔刑」に外国人の参加禁止

 【CJC=東京】カトリック教徒が多数をしめるフィリピン各地では毎年、イエス・キリストが十字架にかけられた「聖金曜日」を記念し、参加者が十字架にはりつけにされる「クトゥドゥ」が行われる。この儀式は、教会が難色を示しているもののフィリピンの多くの都市で観光行事として定着している。
 しかしマニラ北方、パンパンガ県サンペドロ村では、今年は村人以外の外国人などの参加を認めないことにした。
 カトリック通信UCANによると、ジミー・ラザティン村長は、儀式の「厳粛さ」を維持するためにだとし、観光客は昨年の儀式を面白がっていた、と述べた。


◎香港キリスト教協議会が環境保護活動家の釈放を要請

 【CJC=東京】香港キリスト教協議会は中国政府に、5年にわたり投獄されている中国人環境保護活動家タン・ツォレン氏の釈放を訴えた。
 タン氏は、2008年の死者7万人を出した四川省大地震の発生前に建造物調査を行ったことを理由に投獄された、と世界教会協議会系のENI通信が報じている。
 タン氏は2月9日、有罪判決を受けた。


◎エルトン・ジョン「イエスはゲイ」発言で脅迫される

 【CJC=東京】英国のピアニスト、シンガーソングライターのエルトン・ジョンが2月、米誌『パレード』のインタビューで「イエスは人類の問題を理解していた、慈悲深く、ものすごく頭のいいゲイだったと思う」と話し、教会やキリスト教団体から抗議の声が上がった。
 米ジョージア州アトランタで3月12日、ジョンの「イエスはゲイ」発言に憤慨、ネットに「エルトンは死ぬべきだ」とのメッセージ・ビデオを掲載したニール・ホーンスリー(65)が、暴力的脅迫、名誉毀損、脅迫行為を広めるためにネットを使用した容疑で逮捕された。ホーンスリーは現在、4万ドルの保釈金を払い釈放されている。
 ホーンスリーは、過激な中絶反対の活動家として知られ、中絶手術を行なう医者とその住所をウェブサイトに掲載したこともある。


《短信》CJC通信Twitter速報から。

▽イスラエルのネタニヤフ首相は3月21日、占領地東エルサレムでの新規宅地開発計画を取り下げる考えはないことを明らかにした。
▽英国の警察は、取り調べ時にクリスチャンネームを聞いてはいけないという。イスラム教徒への差別になるからというのがその理由。
▽カナダの『トラディショナル・アングリカン・コミュニオン』(TAC)指導者は3月12日、教皇ベネディクト16世に書簡を送り、カトリック教会と統合することを正式に申請した。執筆者は、TAC・ブリティッシュ・コロンビア教区のピーター・ウィルキンソン主教。
▽米下院は3月21日、医療保険制度改革法案を賛成多数で可決した。オバマ大統領の署名を経て成立する。
▽米ピッツバーグのリビング・ゴッド教会で3月21日朝、火災が発生した。建物、什器などで12万5000ドル(約1130万円)を焼いたが、消防署は放火、と見ている。


《メディア展望》

  =カトリック新聞(3月21日)=https://www.cwjpn.com
★弱者の側に立つ姿=明治期のキリスト者らに学ぶ=部落差別人権委=春季合宿
★日本女子修道会総長管区長会=「女性と子どもセクション」=東京と兵庫で=初の研修会開催
★「いつも不安」でも帰国困難=超過滞在の外国人に教会は...=名古屋教区
★高校授業料実質無償化=「朝鮮学校も対象に」要請=カトリック団体等 
★「カト校の本質を実感」=養成塾の一期生34人修了=26校の教職員 教育理念学ぶ
★「説教は8分以内で」=バチカン高官が指摘

  =キリスト新聞(3月20日)=https://www.kirishin.com
★天皇制を「宣教の課題」として=NCC靖国神社問題委が『Q&A』出版で講演会
★核廃絶への訴え相次ぐ=カトリック司教らも声明
★カトリック日韓学生交流会「教会は孤立していない」
★『カルヴァン生誕500年記念論集』学会シンポ=教義学越え"新たな一歩"を
★日本YWCA=改憲手続法凍結賛同呼び掛ける
★チリ大地震で被害拡大=対応急がれる国際援助機関

  =クリスチャン新聞(3月21日)=https://jpnews.org
★山形県酒田市=ビジネス発 教会設立=無牧・兼牧増加に危機感=引退牧師に活力
★国家晩餐祈祷会10回目=災害多い中 指導者に内なる光を=阿部志郎氏メッセージ「人はパンだけで生きるのでない」
★砕けた心に「恵みを回復する神」=「不祥事」にケズィックで示唆=テッド・レンデル氏
★JEMA=リトル会長を再選=宣教戦略見直しへリサーチ
★NRA総会=「一致と祈りでリバイバルのため助け合う」=村上好伸委員長を再選
★初のアジア宣教フォーラム開催=世界の日本語教会 連帯強化へ弾み


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