世界キリスト教情報

世界キリスト教情報

世界キリスト教情報 第1066信(2011.06.27)

  • 中国楽山教区で教皇非承認の司教叙階へ
  • 「今後も独自に司教叙階」と中国国家宗教局
  • 中国で司教40人以上、教皇承認なしに叙階か
  • 中国『家の教会』指導者が権利研修
  • 教会の将来は開発途上国に!
  • 米ニューヨーク州も同性間の結婚認める
  • 北アイルランドで宗教勢力が大規模衝突
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎中国楽山教区で教皇非承認の司教叙階へ

 【CJC=東京】中国四川省楽山のカトリック教会教区は、聖ペトロ聖パウロの聖日6月29日にパウロ・レイ・シイン神父を新司教を任命する。
 バチカン(ローマ教皇庁)に近い教会筋は、レイ神父は、教皇の承認を受けておらず、「教会法上、今後も承認を得られない」と語っている。中国政府公認の司教協議会も、事態の重要性は認識しているのに、教会の伝統と教会法の侵害を認めるのは異常なこと、と言う。
 「わたしたちとしては、中国の開かれた教会当局が候補者の適格性について、さらに検証し、教会の利益のため、今後さらに違法叙階を行わないよう、新指導者を任命するに当たって、司牧的配慮や福音を口実にすべきではない。また教会の原則を無視して教会の問題を他の目的のために利用すべきではない」と同筋は語っている。
 司祭の中には、レイ神父が教皇から叙任されていないことを知って、叙階式典に出席すべきか悩んでいる人もいる。また叙階が行われることが分かれば、教会の前で阻止行動に出る、と言う人もいる。
 司教や教区司祭の中に6月21日、四川省成都司教候補者のシモン・リ・ジガン神父の葬儀に出席後、帰宅していない人がいることが明らかになった。叙階式典への出席を強要されているのではないか、とも見られている。
 レイ神父は中国天主教(カトリック)愛国会の副議長で、最高権力機構『人民政治協商会議』のカトリック代表。2010年、教区司祭16人、修道女4人、神学生1人、信徒10人の投票で27人を支持を受け選出された。


◎「今後も独自に司教叙階」と中国国家宗教局

 【CJC=東京】北京で先ごろ行われた会議で、国家宗教局の最高幹部が教会指導者に、中国は今後も独自に司教叙階を断固行う、と語ったと伝えられる。楽山教区でマタイ・ルオ・ドゥシ司教が2009年に死去して以来、四川省では省内5教区の中でイビンのヨハネ・チェン・シゾン司教(94)以外、空席になっている。
 6月9日に行われる予定だった河北省武漢の漢口教区での教皇非承認の司教叙階式典は、直前になって取り消された。
 今回の楽山司教叙階は、聖座(バチカン)が承認していない司教の叙階に教会法上の制裁を科すとの宣言を初めて適用することになる可能性がある。
 中国本土の司祭の1人は、違法な叙階式典に参加して破門された司教によるミサを、司祭は共に執行してはならず、信徒は出席してはならない、と聖座が宣言すべきではとして、「多くの司教、司祭は中国政府と聖座の双方の歓心を買おうとしている。罰則が重いことを知れば、考え直すと思う」と言う。


◎中国で司教40人以上、教皇承認なしに叙階か

 【CJC=東京】ENIニュースによると、中国の公認カトリック教会は6月23日、教皇ベネディクト16世の承認を得ずに司教40人以上の叙階を行う、と発表した。
 中国天主教(カトリック)愛国会の報道担当が、教会は40教区以上で司教選任の「緊急課題に直面している」とし、「遅滞なく」実施する計画だ、と語った。国営新華社通信が報じた。
 この所、バチカンと北京政府は、暗黙のうちに司教選任に合意していた。しかし昨年11月、ヨセフ・グォ・ジンツァイ神父が教皇の承認なしに成都司教に叙階された際、バチカンは「悲しむべき話し」としている。
 6月初め、漢口司教の叙階が予定されていたが、これは直前になって取り消された。その際、バチカンの声明は、「緩和された状況」を理由に破門しない、と発表した。


◎中国『家の教会』指導者が権利研修

 【CJC=東京】米国の中国人権監視団体『対華援助協会』によると、同協会が主催して浙江省杭州で6月14〜16日に行われた訓練セミナーに、北京や河北省、山西省、吉林省、山東省、四川省、湖南省、内モンゴル自治区などから『家の教会』指導者40人が自分たちの法的権利の守り方を学ぶため参加した。
 これまでは、抑圧に抵抗して地下に潜行する一方のように見られていた『家の教会』だったが、同協会会長のボブ・フー牧師は、政策評価と訴訟を通じて基本的権利を守るために憲法初め中国の法令を活用して権利維持運動を通じて勇気付けられる教会が増えている、と語った。
 中国の法体系の中で保護を求めることは「歩みは遅くとも、最も建設的で害が最少の方法である」と言う。中国の法制度はなお独立性を欠いており、裁判所は教会の事件の判断を回避したがる傾向が強い。
 香港カトリック教会のヨハネ・トン・ホン司教は、中国が宗教を、国家の安寧と調和に影響を与える潜在的存在と見なしており、それがプロテスタントの『家の教会』が抑圧される理由だとしている。ただ都市部では『家の教会』が盛んになり、当局からの登録要請を拒否している中で、教育のある中間層を引き付けている、と言う。
 トン司教は、最近の人権弁護士や活動家への迫害について、その多くがキリスト者であることとつながりがあり、1989年以来の最悪の人権抑圧だ、と指摘している。


◎教会の将来は開発途上国に!

 【CJC=東京】米ワシントンに本拠を置く『ピュー調査センター』の調査では、開発途上国の福音派プロテスタントは、教会の将来について楽観的だが、先進国では悲観的。
 調査内容を見ると、「南半球」では福音派指導者の71%が自分たちの教会が5年以内にさらに成長すると信じている一方、「北半球」では55%が横ばいか悪化する、と感じている。同様に開発途上国の58%が福音派は社会的影響のある存在となったとしているのに、先進国では66%が影響は薄まっている、と言う。


◎米ニューヨーク州も同性間の結婚認める

 【CJC=東京】米ニューヨーク州議会の上院で6月24日、同性カップルの結婚を認める法案が通過、アンドリュー・マーク・クオモ知事(民主党)が署名した。同性カップルに州レベルで異性婚カップルと同等の権利を付与する内容で、7月24日に発効する。同性婚を認めるのは、コネチカット、アイオワ、マサチューセッツ、ニューハンプシャー、バーモントの各州と首都ワシントンに次ぐもの。
 米国では、同性愛者の権利をどこまで認めるかが、少数派の社会的な平等につながる指標とされている。人口規模が大きいニューヨーク州で同性婚が実現することで、来年の米大統領選でも、連邦レベルの問題として争点になると見られる。
 ニューヨークでは26日、同性愛者ら性的少数者らの誇りをうたう毎年恒例のパレードがマンハッタンの5番街を行進した。
 クオモ知事もパレードに参加。記者団に、同州の進歩的な政策は全米の手本になると語った。
 CNN放送によると、カトリック教会の「合法化反対」運動を率いてきたティモシー・ドーラン大司教は、同性愛者らへのメッセージを問う質問に「皆さんを愛している。ニューヨークの人々全員の健康と幸福を祈っている」と答え、自身らの立場は「同性愛反対」ではなくて「結婚制度支持」だと強調した。


◎北アイルランドで宗教勢力が大規模衝突

 【CJC=東京】北アイルランド・ベルファスト東部のプロテスタント地区にはさまれたカトリック地区ショートストランド付近で6月20日、両勢力の大規模な衝突が発生した。衝突3日目の22日夜は武装警察が展開し大きな衝突はなかったが、にらみ合った200人ほどが石や瓶などを投げ合うなど、ここ数年で最悪の宗派間抗争となった。
 北アイルランド警察は、英国による統治存続を望み和平プロセスに反対しているプロテスタント系武装組織『アルスター義勇軍』の東ベルファストのグループが衝突の発端と非難している。


≪短信≫CJC通信速報(Twitter:cjcpress)から。

≪アジア≫
▽中国の不動産開発業者が広東省に、オーストリア中部の世界遺産、ハルシュタットをまねた村を建設していることが分かり、"本家"の村民から怒りの声が上がっている。AP通信。
▽宣教団体『CWM』は、事務所をロンドンからシンガポールへ移動する。

≪欧州≫
▽エチェガレイ枢機卿、30年ぶりにロシア訪問。正教会首脳と交流。
▽教皇ベネディクト16世の専用車もハイブリッドに。環境保護を強調か。
▽英国国教会保守派が6月22日、新組織AMIEを結成。
▽バチカン(ローマ教皇庁)は、ラテラン大聖堂への巡礼、観光客のガイド用に、アイポッドを6月24日から試験的に貸し出した。祈りを捧げる人のため、と言う。
▽敬虔な信者とは言えない、英国のジーン・マクドナルドさんが心不全で死去、30分後に「復活」。本人は「教会に行く」と。デイリー・メール紙報道。
▽6月に入ってウズベキスタンでは、キリスト者への抑圧強化、と世界福音同盟。
▽英国国教会が、同性愛聖職者に「独身」を守るように、との指針発表。

≪アフリカ≫
▽エチオピア西部アセンダボで、キリスト教会を襲撃したイスラム教徒500人以上に3〜18カ月の禁固刑。
▽少女を経済的な理由から、「結婚」の形をとって売却する例が、アフリカ各国でなお続出。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(6月26日)=https://www.cwjpn.com
★高松の諏訪司教 叙階=教区の再生と一致へ 共に
★2011年度 定例司教総会=震災対応を決議=「聖母マリアへの祈り」確定
★「司教の集い」で=日本の教会の方向性と福音宣教の今後話し合う
★「基地のない沖縄を」=宗教者の集い結成=キリスト教、仏教から呼び掛け人
★被災したグループホーム=補助金で"壁"=宮城・気仙沼

 =キリスト新聞(6月25日)=https://www.kirishin.com
★被災者と"共に歩こう"=日本聖公会東北教区=仙台に支援オフィス=地域教会の活動支える
★広島教区に前田新司教=カトリック
★第35回キリスト教美術展=作品通し信仰を告白=東京・銀座
★横浜でB&A+チャリティー展="神への畏れと隣人愛"
★エチオピアからユダヤ人のイスラエル「帰還」進む

 =クリスチャン新聞(6月26日)=https://jpnews.org
★欧州脱原発の源流デンマーク=荒廃から自然エネルギーで回復、背景にユグノーの信仰
★政治家が一致団結できるよう=3か月目の3・11超教派一致祈祷会で祈り要請
★一緒に祈る日=最大の人災は無関心=「復興の道を知る神に聴こう」
★元仙台ラブリ聖書教会牧師=藤本光悦氏をパワハラ提訴=被害者支援の牧師ら「納得する和解を」
★「伝道は内なる神の解放」=クレイグ・カックス氏=新しい日本人伝道提言


 ◆世界キリスト教情報◆ご案内
☆活動紹介・メールマガジン(整形テキスト)お申し込みは
https://homepage3.nifty.com/cjc-skj/で。
☆ニュースレター(PDF)・同報メール(無整形テキスト)お申し込みは
cjcpress@gmail.comまで。
☆既刊号は下の各サイトで
・ニュースレター=PDF
https://www.evernote.com/pub/cjcpress/skjweekly/
・メールマガジン
https://blog.livedoor.jp/skjweekly/
・同報メール
https://cjcskj.exblog.jp/
☆記事検索は『教会と神学』(小原克博氏制作)をご利用ください
https://www.kohara.ac/church/
........................
☆CJC通信(メディア向けですが、どなたでもお読みいただけます)
https://blog.livedoor.jp/cjcpress/
☆CJC通信速報(Twitterを利用しています)
https://twitter.com/cjcpress/

月別の記事一覧