世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1100信(2012.02.20)

  • バチカンで公開枢機卿会議開催
  • バチカン内部抗争説を報道事務所が強く否定
  • 若者引きつけフランスの福音派教会は成長
  • 中国が米国務省高官の訪問にビザ出さず
  • ニューヨーク市が公立学校での教会集会を禁止
  • 米女性歌手ヒューストンの葬儀が故郷の教会で
  • インドネシアのキリスト者が礼拝所封鎖解除を要求
  • ケニア宗教指導者がエイズ共生を赤いバラで強調
  • 《短信》
  • 《メディア展望》

◎バチカンで公開枢機卿会議開催

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)で2月18日、公開枢機卿会議が開催された。教皇ベネディクト16世は新枢機卿22人の任命式をサンピエトロ大聖堂で行った。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇は新枢機卿たちへの言葉で、教会に愛と力強さをもって奉仕し、「神のしもべの中のしもべ」となるよう呼びかけた。
 式辞に続き、教皇は新枢機卿の一人ひとりに、赤いビレタ(聖職者用の角帽)と指輪、任命書を手渡され、それぞれに名義教会として託されるローマ教区の教会名を告げた。
 この任命式によって、枢機卿会の全メンバーは213人となった。このうち教皇選挙(コンクラーベ)の投票権を持つ80歳未満は125人で、これに対し80歳以上は88人。
 現在の枢機卿会の構成メンバーの出身国は71カ国に及ぶ。地域別内訳は、ヨーロッパ119人、北米(米国とカナダ)22人、ラテンアメリカ32人、アフリカ17人、アジア20人、オセアニア4人。


◎バチカン内部抗争説を報道事務所が強く否定

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)に内部抗争がある、という機密文書が漏出したとされる件について、報道事務所は声明を発表、うわさを全面否定した。
 報道担当のフェデリコ・ロンバルディ神父は、機密文書の公表を、ウイキリークス(インターネット上の情報漏洩)が米政府に衝撃を与えたことを引き合いに非難、「困惑」を招くだけだ、と語った。バチカンの運営は順調に進められている、と言う。
 同報道担当は、バチカン内部の高官の間に抗争があるという情報漏洩が突然増加したことについて、「これらを内部の権力闘争として読むことは、それを流す人、抗争について他のことを知ろうとしても出来ない人にとっては倫理的な粗雑さに頼るだけのこと」と強く抗争を否定した。


◎若者引きつけフランスの福音派教会は成長

 【パリ=ENI・CJC】オーストラリアのペンテコステ派ヒルソング教会がパリ・モンパルナス地区に2005年、新教会を設立した。最初は数十人規模の集まりだったが、今では900人規模に成長した。週末にボビノ劇場で行われる礼拝はフランス語と英語で2回。
 同教会のブレンダン・ホワイト牧師は、正確な会員数を明らかにしていないが、先頃行われた礼拝では座席数1000の劇場は満員だった。
 出席者は若者が多く、熱心で人種的にもさまざま。出席者減少に悩むカトリック教会とは対照的な雰囲気。楽しく現代的な礼拝が好評のようで、牧師も普通は式服ではなく、若者たちの関心をひく説教をし、キリストとの個人的な関わりを強調する。
 調査によると、フランス人口6300万の中で、60万人が福音派教会の会員で、1950年から10倍に増えている。そのうち46万人は日常的に自分の信仰を実践している。カトリック信徒と自認する人はこの間に80%から64%に減少、ミサや教会の式典に参加するという人は10%に過ぎない。
 2010年には『フランス福音派協議会』(CNEF)が結成された。この1月にパリ近郊で最初の全国大会を開催した。国内に2068あるとされる福音派教会の75%が加入している。
 福音派教会の大半はこの30年の間に設立された。礼拝はコンサートホールから劇場までさまざま。


◎中国が米国務省高官の訪問にビザ出さず

 【CJC=東京】中国当局は米国務省高官の訪問に対し、ビザ(入国許可申請)を拒否した。米国務省のスーザン・ジョンソン・クック『国際信教の自由』特別代表が、2月8日に中国を訪問、政府当局と会談する予定だった。
 国務省は2月14日、ビザ拒否については言及せず、クック代表は現段階で特別な日程が決まっていたわけではなく、中国政府との間で適切な時を調整している、とアンソニー・パヒギアン報道担当が語った。ワシントンの中国大使館もコメントしていない。


◎ニューヨーク市が公立学校での教会集会を禁止

 【CJC=東京】ニューヨーク市が公立学校での教会集会を禁止する条例が2月12日施行されたことに、キリスト教会には「単なる集会場所の問題ではない」として信教の自由そのものの侵害ではないか、という懸念が出ている。
 ニューヨーク市スタテンアイランドにある南部バプテスト連盟クロスローズ教会のレイ・パラスキャンド牧師がその1人。同教会は4年以上も『第52公立学校』で集会を行っており、2月5日の最後の礼拝もそこで守ったが、感動的なものだった。わたしたちはそこから離れたくない、とバプテスト通信に語った。
 ニューヨーク市から学校を賃借しているのは約60教会。クロスローズ教会は、閉館中の映画館を月6500ドル(約52万円)で賃借する計画だが、当然のこと、学校の賃借料よりは高額。


◎米女性歌手ヒューストンの葬儀が故郷の教会で

 【CJC=東京】米女性歌手ホイットニー・ヒューストンの葬儀が2月18日、生まれ故郷のニュージャージー州ニューアークの教会で行われた。
 ヒューストンが少女時代に聖歌隊の一員として過ごした教会での葬儀は、いとこの女性歌手ディオンヌ・ワーウィックが司会。聖歌隊のコーラスで始まった。
 映画『ボディガード』で共演した俳優のケビン・コスナーは弔辞で、ヒューストンが自分の才能に不安をもっていたとのエピソードを紹介、「あなたは偉大だった。天国で神の前で歌う時も、自信を持って」と語った。
 歌手のスティービー・ワンダーは、「同じ時に生きられたことを神に感謝する」と話し、『リボン・イン・ザ・スカイ』と『ある愛の伝説』を歌った。
 4時間近くにわたった葬儀は最後に『ボディガード』の主題歌で、ヒューストンのヒット曲「オールウェイズ・ラブ・ユー」が流れ、終了した。
 葬儀には、親族をはじめ、黒人指導者ジェシー・ジャクソン牧師や音楽、映画界などの関係者約1500人が参列した。式の様子はCNNテレビやインターネットで生中継された。


◎インドネシアのキリスト者が礼拝所封鎖解除を要求

 【CJC=東京】インドネシアでは、プロテスタント信徒が自己所有の建物内外で礼拝を行うことを違法とされている。ENIニュースによると、信徒側は、許可を求めて争っている。
 このほどジャカルタで開かれた『2012世界超教派調和週間』に宗教指導者が参加した。その中で、『インドネシア・キリスト教会ヤスミン』(GKI・ヤスミン)の参加者は2月12日の聖日礼拝を『国家宮殿』前で行った。
 「これはわたしたちの国に対する懸念を示すものだ。わたしたちは自分の教会から長期間にわたり閉め出されている。礼拝場所は封鎖されたままだ」とGKIのドゥイアティ・ノヴィタ・リニ報道担当が語っている。


◎ケニア宗教指導者がエイズ共生を赤いバラで強調

 【CJC=東京】ケニアのチカ近郊のカトリック教会センターで、『HIV/エイズと共生する宗教指導者の国際ネットワーク』ケニア支部が主催した集会に、国内のキリスト教とイスラム教指導者が集まり、エイズ問題への対応策強化を話し合った。
 参加者はバレンタインデーの2月12日、記念に赤いバラを交換した。「赤いバラは愛の印だが、HIV/エイズに感染した人たちは愛を示さない。ほとんどの場合、憎悪にさらされるからだが、宗教指導者としてわたしたちは、それを示すことが出来る」と、ケニア聖公会のジョセフ・ンジャカイ司祭が2月14日、ENIニュースに語った。「花を交換することで、わたしたちは、たとえ感染しても愛があることを力強く示している。これは社会に伝えようとするメッセージなのだ」と言う。


◆短信◆(CJC)

《アジア》
▽中国西部の青海省海西モンゴル族チベット族自治州でチベット族の僧侶が焼身自殺=中国西部の青海省海西モンゴル族チベット族自治州で2月17日朝、チベット族の40代の僧侶が中国政府に抗議、焼身自殺した。亡命チベット人向けのラジオ局「チベットの声」が伝えた。中国のチベット族居住地域では、政府の宗教政策に対する抗議の焼身自殺が続出している。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(2月19日)=https://www.cwjpn.com
★四旬節=教皇メッセージ=「互いに思いやりを」
★カリタスジャパン=四旬節キャンペーン=被災者とつながり続けて=小冊子「つなぐ」発行=愛の献金呼び掛け
★信仰年の開催意義説く自発教令=『信仰の門―「信仰年」開催の告示』出版
★高山右近列福を祈願=ミサとシンポジウムで=大阪
★司教に説明責任要求=子どもへの性虐待 教理省の調査官

 =キリスト新聞(2月18日)=https://www.kirishin.com
★日基教団東京教区南支区=「成年後見制度」の可能性探る="終末期"教会員の支えに
★東京自殺防止センターが講演会=「魂の苦痛」に医療では限界
★初の「宗教文化士」に58人 関学など8大学が認定制度で連携
★訪中のメルケル独首相 広州の甘俊邱司教と会談
★グローバル・クリスチャン・フォーラム代表=バチカンと一致への歩み確認

 =クリスチャン新聞(2月19日)=https://jpnews.org
★「支援→宣教」から地域貢献へ=教会のあり方 発想の転換促す=JEA=震災受け緊急「宣教シンポ」
★「まるで礼拝みたい」=フラ・グレイスフェスタ=賛美フラにうっとり
★未受洗者陪餐の是非 法廷へ=戒規免職の北村慈郎氏 教団相手に提訴=牧師職剥奪は召命の否定
★韓国=初の教会立刑務所 開設から1年=32人が受洗 罪の悔い改めに効果
★リベア内戦下の女性虐待=自身家族失い痛み負いつつ=ミアタ・ロバーツさん=平和へのケア活動


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