世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1122信(2012.07.23)

  • キリル総主教が『カチンの森』で和解呼び掛け
  • 米長老教会(PCUSA)は同性結婚を否定
  • 南ア聖公会に初の女性主教
  • 「暑いから礼拝を日曜から水曜夜に!」
  • カトリック教会世界平和の日テーマは「平和を実現する人々は幸い」
  • 教皇『ナザレのイエス』第3巻を執筆
  • 《短信》
  • 《メディア展望》
◎キリル総主教が『カチンの森』で和解呼び掛け

 【モスクワ=ENI・CJC】ロシア正教会モスクワ総主教キリル1世は、7月15日、ポーランドの陸軍将校や知識人数千人がスターリンの秘密警察によって1940年に虐殺された森の近くに建設された教会の奉献式典で挨拶した。総主教は、ロシア人も数千人虐殺されたことを想起、現地はロシア人とポーランド人を結びつける場所として用いられなければならない、と語った。
 2万2000人が殺害された事件は、ポーランド国境近くのスモレンスク地方の森にちなんで『カチン大虐殺』と呼ばれている。1940年に殺害されたポーランド人の大多数は正教会の信徒。ポーランドの正教徒は同国最大の少数派。
 長年の間、旧ソ連はポーランド軍を縮小させた大虐殺の痕跡を覆い隠し、ナチスの仕業と主張していた。ソ連解体後も、殺害の全容を認めず、また犯罪であるとしてロシアが謝罪しないまま、ポーランドの怒りを買ってきた。
 2010年には、ポーランドのレフ・カチンスキ大統領らが記念式典に出席のために乗っていた飛行機が墜落、大統領やタデウス・プロツキ司教や正教会のミロン・チョダコフスキー主教らが犠牲になるという悲劇もあった。
 キリル総主教は、カチンで死去したポーランド軍従軍司祭のセミヨン・フェドロンコ首司祭を称賛した。記念式典には、曾孫が参列していた。
 「彼はモスクワに送られて尋問を受け、正教徒だったため、その霊的子どもを裏切ることを要求された。同意して生き延びることは簡単だったが、自分は司祭であり、1人のキリスト者だ。その子を元に戻すべきだ、と述べたため、他のポーランド人将校と一緒に射殺された」と述べた総主教は、この記念の場がロシア人とポーランド人を結びつけるものとならなければならない、と語った。
 「カチンがわたしたちの共有する、悲劇の恐ろしいシンボルであることを認め、そのことを理解する中で、双方がカチンの悲しみと悲劇を耐え忍んできた兄弟姉妹として手を差し出す時が来たことを確信する」と言う。


◎米長老教会(PCUSA)は同性結婚を否定

 【CJC=東京】米長老教会(PCUSA)はピッツバーグで開催した総会で7月6日、結婚の伝統的な定義を放棄するとの提案を、338票対308票の小差で却下した。
 提案は、「女性と男性との間の民事上の契約』から「2人の間の契約」に変更するというもの。
 総会はまた、結婚に関する伝統的な定義再確認や問題をさらに神学的に研究しようという提案も否決した。


◎南ア聖公会に初の女性主教

 【CJC=東京】南ア聖公会は7月18日、スワジランド教区のメシャップ・マズナ主教の後任にエリナ・エントビ・ワムコヤ司祭(61)を選出した。アフリカにある12聖公会管区で初めての女性主教。
 ワムコヤさんは、当初の候補者ではなかったが、7回に及ぶ選挙でも結論が出なかったので新たに候補者として指名され、信徒部会、聖職部会双方で3分の2以上の票を獲得した。今後、主教会議の批准が必要。
 ワムコヤ被選主教は、スワジランド大学チャプレン、マンジニの聖ミカエル高校チャプレンを務め、マンジニ市評議会代表でもある。
 世界聖公会共同体の現任女性主教としては24人目。


◎「暑いから礼拝を日曜から水曜夜に!」

 【CJC=東京】7月に入って米北東部も熱波に見舞われ、ニューハンプシャー州セーレムの第一コングリゲーショナル教会もあまりの暑さに礼拝が不可能になった。牧師さえも自宅待機、とRNS通信が報じている。
 それでも礼拝を止めるわけにゆかず、水曜日の夜まで延期することにした。場所も涼しい地下の親睦室にしたところ、出席者がそれまでの日曜礼拝の5割増しになった。オーエン・ウイリアムズ執事は「礼拝を休んでしまうと、中にはそのままになってしまう人もいるが、水曜日にずっと来られるなら、夏だけでなく年間通じて水曜日にすることも」と言う。
 米国では、夏になると日曜日朝の礼拝出席が少なくなるところが多い。
 週の真ん中の水曜日礼拝をどう位置づけるか、小規模の教会では出席者の増減は深刻な問題でもある。ただ日曜礼拝に出席しない人が水曜日なら出てくるか、というと、日曜日が出勤日だというような人を除くと、あまり期待は出来なそうだ。
 ミネソタ州イーデンプレイリーのインマヌエル・ルサラン教会ではこれまで3年間、夏の水曜礼拝を行ってきたが、出席者は僅か20人で、しかもそのほとんどが日曜礼拝にも来る。
 聖日礼拝は日曜日でなければ、という神学的議論は米国ではあまり出ないようだ。サザン・メソジスト大学パーキンス神学部のエレーヌ・ヒース准教授は「礼拝の時間、曜日、場所を変える試みは当たり前のことになっている」と言う。「と言っても、教会内の支配的な姿勢は、日曜日朝のものこそが本物の礼拝」ではあるが。


◎カトリック教会世界平和の日テーマは「平和を実現する人々は幸い」

 【CJC=東京】2013年1月1日に記念される『第46回世界平和の日』のテーマがバチカン(ローマ教皇庁)から発表された。教皇ベネディクト16世が選んだテーマは「平和を実現する人々は幸い」。
 教皇はこのメッセージで、世界の現状を踏まえながら、平和構築に対する責任を自覚するすべての人々を励ますことを望んでいる。
 カトリック教会は、毎年1月1日を『世界平和の日』とし、戦争や分裂、憎しみや飢餓などのない平和な世界が来るように祈る日としている。


◎教皇『ナザレのイエス』第3巻を執筆

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)報道担当フェデリコ・ロンバルディ神父が7月12日、記者団に発表したところでは、現在ローマ郊外カステルガンドルフォで夏の休暇を過ごしている教皇べネディクト16世は、『ナザレのイエス』の3巻目を執筆中。先の2巻に続きイエスの生涯を考察するものだが、特にイエスの幼年期に焦点をあてた黙想が中心という。
 教皇は、2000年前にユダヤの小村ベツレヘムで人間の家庭の一員としてこの地上に誕生した神の子について考察しながら、神の救いの計画実現にとって家庭という存在がどれほど重要な意味を持つようになったかを強調してきた。教皇は第3巻で家庭の重要さも解説するという。


◆短信◆(CJC)

▽米ボーイスカウトは同性愛者受け入れ拒否貫く=米ボーイスカウト連盟(BSA)は7月17日、公然同性愛者をメンバーや指導者としないという方策を守る、「伝統的価値」の上に立つことを決めた。
 2年間にわたる検討の結果で、デロン・スミス報道担当は、「この方策がボーイスカウトにとっては絶対に最善だという結論に、理事会が達した」と語った。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(7月22日)=https://www.cwjpn.com
★大阪教会管区=司教6人と青年 語り合う=神との関係、どう生きるか
★教会敷地内捜査・逮捕に対する要請書=警察庁担当官から回答=全警察に「信教の自由の尊重」通達
★第21回全国カトリック学校 校長・教頭合同研修会=司祭・修道者が減っても=いのちと向き合い奮闘
★国際聖書フォーラム=5年ぶりに開催
★「称賛」と「破門」=中国で2人の"司教"叙階

 =キリスト新聞(7月21日)=https://www.kirishin.com
★日本宣教学会=クリストファー・J・H・ライト氏講演="悲嘆と抗議の思い抱き苦悩する"
★日本同盟基督教団理事会 原発に関する見解表明 2012年7月21日
★日本聖書協会主催=国際聖書フォーラム2012=「聖書を識る。」
★NCC平和・核問題委員会主催=「内部被曝からいのちを守る」講演会・シンポ="原発事故に怒り表して"
★教会への警察立ち入りに抗議=日本キリスト教連合会・日本バプテスト連盟

 =クリスチャン新聞(7月22日)=https://jpnews.org
★国際標準によるプログラム導入=災害対応チャプレン養成へ=教会を緊急時霊的ケア拠点に
★クリス・ライト氏来日講演=悪の根源に沈黙する聖書=ローザンヌ神学委員長=東日本大震災を語る
★福音主義神学会東部研究会発表=震災ボランティアと若者の信仰形成=安易さ反省、苦しみに目を向けた
★女子会的復興支援ライブ=女性アーティストら=文化祭ノリ東北応援
★ロンドン五輪でトラクト伝道=米陸上選手=「イエスは生きる目的」


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