世界キリスト教情報

世界キリスト教情報

世界キリスト教情報 第1135信(2012.10.22)

  • 米のユダヤ教とキリスト教関係に懸念
  • オバマ大統領とロムニー候補がチャリティディナーに同席
  • ビリー・グラハム氏がロムニー氏と会見
  • 北米先住民が初めてカトリック教会の聖人に
  • シリアの内戦波及かレバノンで爆弾テロ
  • 教皇がシリアへ平和使節団派遣
  • フランスの「非キリスト教化」脱出?
  • 仏ルルドの泉が長雨で洪水
  • 『プッシー・ライオット』メンバーが欧州人権裁に提訴
  • クロアチア教会の土地を不法売却した修道士逮捕
  • 《メディア展望》
◎米のユダヤ教とキリスト教関係に懸念

 【CJC=東京】米国の対イスラエル援助をめぐって、ユダヤ教団体とプロテスタント主流派の友好関係にひびが入っている。
 『アメリカン・ジューイッシュ委員会』などユダヤ教団体が10月17日、キリスト教団体と開催して来た会合『クリスチャン=ジューイッシュ・ラウンドテーブル』に今年は出席しない、と通告した。会合は22、23の両日開催の予定だった。
 問題の発端は、NCC(教会協議会)、合同メソジスト教会、長老教会(PCUSA)などが連邦議会に書簡を送り、対イスラエル援助を、同国が人権侵害している懸念があるとして再検討するよう要請したこと。米国の対外援助の対象国としてはイスラエルが最大で、大半が軍事援助。
 議会へ送った書簡は、「米国のキリスト教指導者として、イスラエル政府に対する無条件財政援助の継続を問うことは倫理的責任」として、イスラエルのパレスチナ市民に対する扱いを批判している。
 ユダヤ教側は、予定されていた会合に欠席する一方、キリスト教側に、書簡問題と討議し、「今後の対話の枠組みを作り直す」会合を提案している。
 RNS通信によると、『アメリカン・ジューイッシュ委員会』宗教間担当のラビ・ノアム・マランスは、書簡を「全く脈絡のない、均衡を欠いたイスラエルを悪魔視するもの」として、「パレスチナ側の人権侵害が存在していないように見せかけているが、特に世界がイランの核の脅威に集中している時に、キリスト教指導者はイスラエルに別種の政治攻撃を仕掛けることを選んだのが問題」と指摘している。


◎オバマ大統領とロムニー候補がチャリティディナーに同席

 【CJC=東京】米大統領選の第2回テレビ討論会で激論を交わしたばかりのバラク・オバマ大統領とミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事が10月18日、ニューヨークのウォルドーフ・アストリア・ホテルで開かれた第67回『アルフレッド・E・スミス記念基金ディナー』で再び顔を合わせた。
 カトリック教会ニューヨーク大司教区が元ニューヨーク州知事を記念して設立した基金が毎年開催するチャリティーディナー、今回は、オバマ政権の妊娠中絶容認施策に、カトリック教会は強硬な反対を示してきたことから、ティモシー・ドーラン大司教(枢機卿)が大統領とモルモン教徒のロムニー氏を基調講演者として招待したことも話題になている。
 民主、共和党の大統領候補2人はタキシードで握手を交わした後、間にのドーラン大司教をはさんで着席した。同大司教は、バチカン(ローマ教皇庁)で開催されている司教会議(シノドス)から帰国したばかりだった。
 先に演説台に立ったロムニー氏は、メディアに対する皮肉を述べた。一方オバマ大統領も冗談を述べるなど、大統領選の討論会とは異なりジョークの応酬となった。
 このディナー、大統領選に際しては、現職大統領と共に対抗馬も呼ぶのが慣例となっていたが、ビル・クリントン、ジョン・ケリー氏らを招待しなかった。


◎ビリー・グラハム氏がロムニー氏と会見

 【CJC=東京】米国の著名な大衆伝道者ビリー・グラハム氏と子息で『ビリー・グラハム伝道協会』会長のフランクリン・グラハム氏が共和党の大統領候補者ミット・ロムニー氏(マサチューセッツ州知事)と10月11日、ノースカロライナ州モントリートの自宅で会見した。
 93歳と高齢のビリー・グラハム氏は会談後、声明を発表した。「今日、我が家でロムニー知事と会い、もてなすことが出来てありがたい。特に彼の父、故ジョージ・ロムニー・ミシガン州知事と知り合い、友人と思っていたこともあり、思いは格別だ」として「ロムニー知事と、彼の家族と我が国のために祈ることは恵みだった。わたしは選挙直後に94歳になるが、今、アメリカが岐路に立っていると思う。アメリカ人多数が、我が国のために祈り、結婚に関する聖書の教えを支持し、生命の尊厳を保護し、信教の自由を守る候補者に投票するよう願う」と、ロムニー氏支持を明らかにした。
 ロムニー氏の宣教広報担当リック・ゴルカ氏によると、グラハム氏は「あなたを助けられることは何でもする」と語った。
 ただグラハム氏のウエブサイトでは、モルモン教徒を、ユニテリアン、エホバの証人、サイエントロジスト、スピリティスト、統一教会信徒などと共に「カルト」のメンバーとしていた。
 子息のフランクリン氏も「キリスト者のほとんどはモルモン教をキリスト教だとは認めないだろう」と語っていた。しかし同氏は、「同性婚を支持し、中絶を擁護する候補者には投票出来ない」と述べている。
 オバマ大統領は、中絶する権利を支持、個人的には同性婚を認める、と語っている。
 『ビリー・グラハム伝道協会』のウエブサイトが、モルモン教を「カルト」としていた表現を止めたことも明らかになった。
 撤去は、同性愛擁護グループが、会見後もウエブサイトで「カルト」と表現されたままだ、と指摘した後のこと、とRNS通信が報じた。
 同協会の担当者は「基本線はいつもイエス・キリストの福音を推進することで、今回の選挙選の最中には政治的な問題に関し神学的な議論に巻き込まれたくないからだ」とする声明を発表した。


◎北米先住民が初めてカトリック教会の聖人に

 【CJC=東京】教皇べネディクト16世が10月21日、北米先住民の女性を含む7人を聖人に列した。北米先住民の列聖は初めて。
 「モホーク族のユリ」と呼ばれるカテリ・テカウィザさんは、長く抑圧されてきた北米先住民たちの希望の象徴だった。1980年には前教皇ヨハネ・パウロ2世により福者に列せられ、バチカンのサンピエトロ広場で列福式が行われている。
 サンピエトロ大聖堂前の広場には、北米先住民を含め、世界各国から約8万人の信者らが集まった。教皇は、説教で「神にすべてをささげ、同胞への惜しみない奉仕をした」と7人を称えた。


◎シリアの内戦波及かレバノンで爆弾テロ

 【CJC=東京】レバノンの首都ベイルート中心部で10月19日、自動車爆弾を使った大規模テロが起きた。治安警察情報部門統括のウィサム・ハッサン氏を含む8人が死亡し、70人以上が負傷した。隣国シリアの長期内戦がレバノン国内での激しい宗派対立を呼び大規模テロにつながったとみられる。
 ハッサン氏は、シリアのアサド政権や同政権と関係が深いレバノンの民兵組織『ヒズボラ』と抗争しており、爆弾テロは同氏の暗殺を狙った可能性がある。


◎教皇がシリアへ平和使節団派遣

 【CJC=東京】教皇べネディクト16世は、内戦が激化しているシリアに平和使節団派遣を決めた。シリアの市民との「友愛連帯」を呼び掛け、和平努力を進める。
 国務長官タルジチオ・ベルトーネ枢機卿は10月16日、バチカンで開催しているシノドス(司教会議)に集まった全世界の司教が、今シリアで展開しているような悲劇の単なる観測者であることは出来ない、と語った。


◎フランスの「非キリスト教化」脱出?

 【CJC=東京】フランスでは第二バチカン公会議以来、深刻な「非キリスト教化」に見舞われていたが、最近の調査によると、教会への評価は堅実だ。カトリック日刊紙『ラクロワ』が報じた。
 毎週またはそれに準じてミサに出席する人は1961年の38%から7%に急落、カトリックの洗礼を受けた人の中で35歳以下の71%は完全に教会から遠ざかっている。
 しかし信徒の教会観に関する質問では、信仰実践は助けになるとし、道徳を守るとした人は8割強存在する。


◎仏ルルドの泉が長雨で洪水

 【CJC=東京】カトリック教会の聖『ルルドの泉』で有名なフランス南西部の町ルルドで10月20日、長雨による洪水が発生、巡礼者など450人以上が避難する事態となった。AFP通信が報じた。
 水は21日になって引き始めたが、聖母マリアが出現したという『マッサビエルの洞窟』周辺は冠水したまま。町内を流れるポー川の沿道も10センチもの泥に覆われている。


◎『プッシー・ライオット』メンバーが欧州人権裁に提訴

 【CJC=東京】ロシア正教会モスクワ総主教座の救世主ハリストス大聖堂でウラジミール・プーチン大統領を批判するパフォーマンスを行い、懲役2年の実刑判決を受けたロシアの女性バンド『プッシー・ライオット』(子猫の暴動)メンバーが、判決は不当だとしてフランス・ストラスブールの欧州人権裁判所に提訴した。ロシア経済紙コメルサントが10月19日報じた。
 提訴したエカテリーナ・サムツェビッチさんの弁護士は同紙に対し、判決はたとえ執行猶予付きでも、同裁判所の設置根拠となっている欧州人権条約が保障する表現の自由を侵害しているなどと述べた。ロシアは同条約を批准している。


◎クロアチア教会の土地を不法売却した修道士逮捕

 【CJC=東京】クロアチア・カトリック教会スプリット・マカルスカ教区のシメ・ニマツ修道士(34、フランシスコ会)が教会所有の土地4ヘクタールを不法に売却、受け取った約1000万クーン(約1億3500万円)を持って行方をくらましたが10月17日、首都ザグレブの集合住宅の1室に若い既婚女性といたところを、携帯電話の信号を捉えた警察に逮捕された。
 修道士が売却したのは同国南部バーシカ・ヴォダー地区バスト村にある『聖処女マリア昇天教会』の土地。購入者の『太陽のバスト』社が全額を今年4、5月の2回に分けて教会の銀行口座に振り込んだ。ニマツ修道士は、必要な書類を提示しなかったにも関わらず、振り込み金の引き出しに成功した。逮捕時に容疑者と一緒にいた女性は、現金を引き出した銀行に勤めていた。
 フランシスコ会は、同会の承諾がないまま教会の土地が売却されたとして、売買の無効を主張している。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(10月21日)=https://www.cwjpn.com
★「宣教の熱があるか」=世代や国籍超え、喜びの教会を=新潟教区創立100周年
★祈りに支えられた社会活動へ 原点を探る=カトリック正義と平和全国集会 長崎大会
★「ひきこもり」後の課題=当事者団体が東京大会
★教皇「世界宣教の日」メッセージ=福音宣教は末端の関心事ではない
★新たに2教会博士=教皇、信仰年の初めに追加

 =キリスト新聞(10月20日)=https://www.kirishin.com
★"「違い」は「間違い」じゃない"=教会版「文化祭」いのり☆フェスティバル2012=仏教界・オタク界とコラボ
★全国キリスト教学校人権教育研究協議会=「日の丸・君が代」強制に抗議
★JOCS大江浩氏が被災地支援報告="よそ者"だからこそできる=日本クリスチャンアカデミー関東・日基教団東京教区北支区共催
★ミケランジェロ偉業たたえ式典=大塚国際美術館
★舞香さん朗読芝居披露=知里幸恵しのび「シロカニペ祭」=日本福音ルーテル本郷教会

 =クリスチャン新聞(10月21日)=https://jpnews.org
★分断まざまざ=「福島の震災を語る会」で=保育は加害?命はタブー 本質が話せない
★「原発」問題を神学=福音主義神学会東部が研究会
★大地震を信仰的、聖書的にどう受け止めたらいいのか=中澤啓介氏=「被造物の管理権回復」の視点を提言
★ヨイド純福音教会イ・ヨンフン牧師=「日本の困難は祝福の前奏曲」=オンヌリ教会、地球村教会と協力体制で日本宣教推進


 ◆世界キリスト教情報◆ご案内
☆活動紹介・メールマガジン(整形テキスト)『週刊・世界キリスト教情報』お申し込みは
https://homepage3.nifty.com/cjc-skj/で。
☆ニュースレター(PDF)・同報メール(無整形テキスト)『週刊・世界キリスト教情報』お申し込みは
cjcpress@gmail.comまで。
☆『週刊・世界キリスト教情報』既刊号は下の各サイトで
・ニュースレター=PDF
https://www.evernote.com/pub/cjcpress/skjweekly/
・メールマガジン
https://blog.livedoor.jp/skjweekly/
・同報メール
https://cjcskj.exblog.jp/
☆記事検索は『教会と神学』(小原克博氏制作)をご利用ください
https://www.kohara.ac/church/
........................
☆CJC通信(メディア向けですが、どなたでもお読みいただけます。転載使用ご希望の方は巻頭の連絡先までお申し込みください)
https://blog.livedoor.jp/cjcpress/
☆CJC通信速報(Twitterを利用しています)
https://twitter.com/cjcpress/

月別の記事一覧