世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1151信(2013.02.11)

  • 教皇ベネディクト16世が2月末に引退へ
  • 米カトリックとプロテスタントが洗礼を相互認知
  • 新カンタベリー大主教が同性婚法制化に反対確認
  • インドで宣教への応答求めるWCC会議
  • コプト教皇がエジプト憲法のイスラム色を批判
  • ベトナム反政府活動司祭をノーベル賞候補に
  • リチャード3世の遺骨をどこに埋葬?
  • 南米最大のマリア像がボリビアに
  • 《メディア展望》

◎教皇ベネディクト16世が2月末に引退へ

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世は2月11日、今月末に教皇職から引退する、と発表した。
 発表は、バチカン(ローマ教皇庁)で開かれた福者3人の列聖をめぐる枢機卿会議の席上で、教皇自身がラテン語で宣言した。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、ベネディクト16世の発表は次の通り。
     ◇
 親愛なる兄弟の皆さん
 わたしがこの枢機卿会議を招集したのは、3人の列福の件だけではなく、教会にとって非常に重要な決断を皆さんにお知らせするためでもあります。
 わたしの良心を繰り返し神の御前で確かめた後、わたしの力は、高齢のため、教皇職をよりよく遂行するためにもう適していないという確信を得ました。
 この教皇職が、その霊的本質ゆえに、行動と言葉だけでなく、苦しみ、祈りつつ、完成させられるべきであることはよく知っています。
 しかしながら、早い変化と、信仰生活に対する大きな問題によって揺れる今日の世界において、聖ペトロの船(教会)を統治し、福音を告げるためには、心身の活力が必要ですが、ここ数ヶ月、自分に託された任務をよりよく遂行するための力がないことが自覚されるほど、その活力が減じてきました。
 そのために、この行為の重大さをよく自覚した上で、完全な自由をもって、2005年4月19日に枢機卿たちによってわたしの手に託されたローマの司教職、聖ペトロの後継者の位(教皇職)を引退することを宣言します。これによって2013年2月28日20時より、ローマの教皇座は空位となり、関係者らによって新しい教皇を選出するコンクラーベが召集されます。
 親愛なる兄弟の皆さん、すべての愛と仕事をもって教皇職の重みをわたしと共に耐えてくださった皆さんに心から感謝すると共に、すべてのわたしの欠点をどうかお許しください。
 今、聖なる教会の世話を、最高の牧者、わたしたちの主イエス・キリストに託し、その聖なる母マリアに、枢機卿たちが新しい教皇を選ぶまで見守ってくださるよう祈りましょう。わたしについては、将来においても、祈りに専念した生活をもって、神の聖なる教会に心から奉仕したいと思います。

◎米カトリックとプロテスタントが洗礼を相互認知

 【CJC=東京】米国のカトリック教会とプロテスタント4教派が、テキサス州オースチンで1月29日、洗礼に関する礼典を相互に正式に認知する合意書に署名した。
 5年にわたる協議の結果まとまったもので、署名は『セント・メリー大聖堂』で、『クリスチャン・チャーチズ・トゥゲザー』総会開会祈祷に際して行われた。
 合意書に署名したのは、カトリック司教協議会、長老教会(PCUSA)、北米クリスチャン・リフォームド教会、米改革派教会(RCA)、合同キリスト教会(UCC)の代表。
 これまでも米国の改革派系教派ではカトリックの洗礼を認めるところが多かったが、カトリック教会はどこでも認めるということはなかった。「父と子と聖霊の名によって洗礼を授け」(マタイによる福音書28・19)ているか、を懸念したため。
 今回の合意書には、「洗礼は相互に認められるためには、洗礼式が水と聖書に記された三位一体の下に行われる」ことが盛り込まれている。
 各派は、標準的な洗礼記録を保管することにも合意した。カトリック教会にとっては、信者がカトリック教会以外の教会員と結婚する時に、そこの洗礼が「有効」であるかどうか、の判断に役立つと見られる。
 周辺を管轄する長老教会サンアントニオ中会のルーベン・アーメンダリッツ長老は、合意書を歓迎、長老教会はこれまでもカトリック教会の洗礼は三位一体の名のもとに行われたものとして受け入れてきた、と言う。
 米国の『クリスチャン・チャーチズ・ツゲザー』は2001年結成され、現在36教派、関係7団体で構成されている。

◎新カンタベリー大主教が同性婚法制化に反対確認

 【CJC=東京】英国国教会の霊的最高指導者カンタベリー大主教に2月4日に正式着任したジャスティン・ウエルビー氏は,ロンドン市長主催の歓迎会に出席、記者団に同性婚の法制化に反対する点では英国国教会主教団の路線に立つことを明らかにした。
 ウエルビー大主教は、女性主教叙階を支持するが、同性愛者の主教叙階には反対の立場をとっている。

◎インドで宣教への応答求めるWCC会議

 【CJC=東京】世界教会協議会(WCC)世界宣教伝道委員会が、様々な宣教団体代表による国際会議を、1月27日から2月1日までインドのコチンで開催した。ホスト役を同委員会議長の『アンテオケと全東方のシリア正教会総主教座』のギーヴァルゲーゼ・モル・クーリロス府主教が務めた。
 会議は、昨年、WCCが発表した新宣教声明「生命に向かって共に=変革する展望の中での宣教と伝道」の効果的な実施を図る手法を生み出そうとしたもの。変革する全地球的な展望のただ中での宣教と伝道に関する新たな理解と実践のためのビジョン、コンセプト、指針を探究しようとしている。
 プロテスタント、福音派、正教会、ローマ・カトリックのそれぞれの宣教神学からの洞察の上に作成された新宣教声明は、今秋、韓国・釜山で開催される第10回世界大会に提出される。

◎コプト教皇がエジプト憲法のイスラム色を批判

 【CJC=東京】エジプト・コプト教会の教皇タワドロス2世が、エジプトの新憲法について、「イスラム教法シャリアの原則を立法の基本」と宣言していることを批判した。AP通信とのインタビューで明らかにした。
 「憲法は、全ての法の基礎であり、公民権の下にあるものであって、宗教的なものであってはならない。いくつかの条項は宗教的偏向の影響を受けており、憲法が結合するためのものであって、分裂するためのものでないということからすれば、それ自身が差別である」と言う。
 さらに教皇は、「国民的な対話には、それが国のためになるものなら、どんなものであれ、積極的に参加しなければならない。しかし、対話が始まる前に、終わってしまっていたり、対話の結果が何一つ履行されないなら、それは国のためにならない、と判断する」と語った。

◎ベトナム反政府活動司祭をノーベル賞候補に

 【CJC=東京】現在、獄中にあるベトナム・カトリック教会のグエン・ヴァン・リ神父が、米議員によって2013年のノーベル平和賞候補に推薦された。議員は仏教指導者ティク・クアン・ド氏も推薦している。
 リ神父は、1970年代からベトナム政府の抑圧を鋭く批判することで知られ、2007年に公然体制批判で禁固8年の判決を受けている。脳卒中に見舞われ、行動が不自由になっている。腫瘍手術のため11年に一時釈放されたが、その後、再収監された。

◎リチャード3世の遺骨をどこに埋葬?

 【CJC=東京】シェークスピアの作品で知られる英国王リチャード3世。1485年に戦死した。王の埋葬場所とされているレスター市中心部の駐車場の地下から2012年8月発見された人骨を、頭蓋骨にひびが入り、背骨には矢尻が刺さっており、脊柱に強い側湾症が確認されたことから、レスター大学の考古学調査チームが遺族のDNA研究などにより、13年2月5日、リチャード3世のものと断定した。
 遺骨はレスター大聖堂に改めて埋葬されることになるが、当時のグレイフライアーズ教会は「宗教改革」によって取り壊されていることから、この際、グロウスター大聖堂など中世以来の教会に埋葬するのが適切ではないか、との声が上がっている。

◎南米最大のマリア像がボリビアに

 【CJC=東京】処女マリアの像としては南米最大のものが2月1日完成、ボリビアのラパス南東オルロで『聖母ソカボン』に献呈された。総工費800万ボリビアーノ(約1億1000万円)。
 制作した彫刻家のロランド・ロカ氏は、単なる「技術と芸術の産物」である以上に「伝統を強化する信仰の行為」だと言う。
 像は45・4メートル、標高約3650メートルのサンタバルバラ山上に建設された。リオデジャネイロのキリスト像より大きいと評判になっている。
 『聖母ソカボン』は鉱夫の守護者として知られている。

《メディア展望》

 =カトリック新聞(2月10日)=https://www.cwjpn.com
★「平和への渇望」共に=司教ら、韓国・チェジュ島で研修=社会司教委
★長崎教区=信仰年に合わせ講演会=基本的真理の確認促す
★教皇「世界病者の日」メッセージ=「よいサマリア人のように」=苦しんでいる人に具体的な支援の手を
★日本26聖人殉教祭=2千人が参列=信仰 証しする力 祈る
★生命尊重センター=出生前診断の問題=ダウン症協会理事長が説明

 =キリスト新聞(2月9日)=https://www.kirishin.com
★成年後見制度とその可能性=「教会の課題として認識を」=日基教団東京・南支区=菅原力氏が講演
★日基教団「伝道アイデアパンフレット」="アイデアは共有の財産にすべき"
★聖学院『神のみくらに玉と輝け』追補版発行=中川咲子氏の思い出つづる
★クラッシュジャパン="子どもたちの心のケアを"=被災地でプログラム
★カトリック「復帰」に=ルーテル世界連盟「懸念」

 =クリスチャン新聞(2月10日)=https://jpnews.org
★テロも暴動鎮圧も"神の名"で=アルジェリア人質事件の舞台 北アフリカの危機
★マンガで自殺予防=被災地にキャンペーン=心の傷痕ケアする中で イエス様に触れる
★震災で壊れたヴォーリズ建築=福島新町教会の会堂修復完了=多くの祈りと献げ物で往年の姿を保全
★キリスト者迫害がアフリカで強まる
★エジプト=コプト教徒への襲撃が激化


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