世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1231信(2014.08.25)

  • エボラ熱に慈善病院船も立ち往生
  • 北朝鮮のキリスト教に変化の兆し
  • 教皇の電報は中国との雪解け前兆か
  • 建設的対話を希望、と中国外務省
  • 教皇、来年の訪日に強い意欲
  • ロメロ大司教の列福に障害ない、と教皇
  • 教皇、韓国訪問終えローマに帰着
  • 《短信》
  • 《メディア展望》


◎エボラ熱に慈善病院船も立ち往生

 【CJC=東京】エボラ出血熱の急激な流行で、慈善病院船団体『マーシー・シップス』(本部米テキサス州ガーデンバレー)も、同名の病院船(1万6500トン)の派遣を見合わせている。
 今回の流行の最初、昨年12月に発症したギネアへの出航を4月に中止した。さらにベナンのコトヌー港へ10カ月間にわたり訪問する予定だったが、隣接のナイジェリアでも発症したため、出航を延期した。同船はカナリア諸島のドックに定期点検のため入っている。
 ドナルド・スティーブンス総裁によると、診療のための設備や専門医も手配しているが、ウイルスによる症状への対応はされていない。「アフリカは常に優先順位の上位にあるが、乗組員の安全がとにかく最優先だ。未感染国への展開も含め、目下検討中」と言う。
 同船の乗員400人は40国から来ており、児童60人も乗船している。


◎北朝鮮のキリスト教に変化の兆し

 【CJC=東京】北朝鮮ではキリスト者はかつて「バチカン(ローマ教皇庁)のスパイ」と見なされていた。しかしこの所の宣教師への対応を見ると、北朝鮮にも変化の兆しがある、と米CNN放送が伝えている。
 聖心宣教会のジョン・パーク神父は、2000年以来、北朝鮮が公認したカトリック教会の「常連客」として歓迎されている。「初めてチャンチュン教会にたどり着いた時は、北朝鮮の信徒が出て来たかと思うとすぐに同行した修道女の所に走り寄り、泣き出しながら跳ね回った」とパーク神父。「人々は修道女を50年も見たことがなかったのだ。そこでこの人たちが本物の信徒だと分かった」と言う。
 北朝鮮は宗教を迫害しており、いくつかある公認の教会も、信教の自由があるという印象を与えるために存在しているだけだ、と米国では見ている。
 カトリック教会は「沈黙の教会」。バチカン(ローマ教皇庁)との連携はなく、在住神父はいない。


◎教皇の電報は中国との雪解け前兆か

 【CJC=東京】教皇が空路、外国を訪問する際、通過国に電報を送るのは、慣例とされている。今回の韓国訪問に当たって、初めて上空通過を認めた中国に教皇は、習近平主席と中国人民に宛てて神の祝福を祈った。
 教皇ヨハネ・パウロ2世が1989年に東アジアを訪問した際には、中国は領空通過を拒否し、教皇はソ連回りを余儀なくされた。その時はミハイル・ゴルバチョフ書記長に電報を送っている。
 今回の訪問の目的が『アジア青年の日』への出席だったこともあり、中国の信徒も韓国への巡礼旅行を申請したものの、「中国内部の複雑な事情」から渡航が認められないケースもあった。ただフタを開けて見れば、中国本土の青年信徒約300人がミサに出席していた。
 中国政府は、バチカン(ローマ教皇庁)が台湾との外交関係を断絶するよう求めており、また司教任命にバチカンの介入を拒否するなど、微妙な関係が続いている。
 それでも、教皇フランシスコが選出された時には祝福の電報が送られるなど、前向きの兆しも見られる。
 今回の中国領空を教皇が通過したことを、共産党機関紙『人民日報』の国際版『環球時報』は、「中国とバチカン関係の前向きな展開」と報じた。しかし、国交樹立にはほど遠いと警告している。


◎建設的対話を希望、と中国外務省

 【CJC=東京】中国外務省の華春瑩・副報道局長は8月19日、断交状態にあるバチカン(ローマ教皇庁)と「建設的な」対話を行い、関係改善を進める考えがある、と明らかにした。共産党機関紙・人民日報系の環球時報(英語版)が20日報じた。
 中国政府は教皇フランシスコが韓国訪問の際、搭乗機の領空通過を初めて許可。教皇は領空通過の際、往路、復路の2回にわたり中国に親善メッセージを送った。
 教皇は帰途の18日、機内で記者団に「あすにでも中国に行きたい」と関係改善への意欲を示した。ただ「教会は中国内での活動の自由を求めている。その他の条件はない」とも述べ、公認カトリック団体の活動しか認めていない中国をけん制した。
 華副局長は「中国政府は法に基づき宗教の自由を尊重し保護している」と反論している。


◎教皇、来年の訪日に強い意欲

 【CJC=東京】韓国訪問を終えた教皇フランシスコは8月18日午後、同行記者団と特別機中で会見し、日本政府などが招請している来年の訪日について「行けるなら素晴らしいことだ」と強い意欲を示した。
 教皇は早期の中国訪問への希望も表明、今回の訪韓を機にアジア外交を積極展開していきたいとの考えを鮮明にした。
 教皇は、イラク情勢についても言及。過激派「イスラム国」の侵略をやめさせることの正当性を認めた上で、介入方法は「一国で決めるべきではない」として米国による軍事介入に難色を示した。


◎ロメロ大司教の列福に障害ない、と教皇

 【CJC=東京】教皇フランシスコがオスカル・ロメロ大司教(エルサルバドル=サンサルバドル教区)の列福に神学的な問題はない、と発言した。韓国司牧訪問の帰路、機内でのインタビューで8月18日明らかにした。
 中南米諸国で盛んになった「解放の神学」の提唱者の1人として知られていたが、1980年にミサ執行中、射殺された。エルサルバドルでは当時内戦状態にあり、大司教は反政府発言を公然と行っていた。


◎教皇、韓国訪問終えローマに帰着

 【CJC=東京】教皇フランシスコは韓国への司牧訪問を終え、京畿道城南のソウル空港を8月18日午後1時(現地時間)、大韓航空機で出発、同日午後6時前、ローマのチャンピアーノ空港に帰着した。
 バチカン(ローマ教皇庁)機関紙ロッセルバトレ・ロマノによると、教皇は、マリ・ソルという名の7歳の韓国少女から聖母への贈り物として出発直前に手渡された花束を、約束通りに空港からの帰路、サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂に立ち寄り、『サルス・ポプリ・ロマニ(ローマ市民の守護者)』のマリア像の足元に置き、韓国旅行感謝の祈りを聖母マリアに捧げた。教皇は韓国訪問前にも同大聖堂を訪問している。


≪短信≫

〇新・大阪大司教に前田万葉司教
 教皇フランシスコが8月20日、大阪大司教区の池長潤大司教の後任として任命した。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(8月24日)=https://www.cwjpn.com
★教皇、韓国を訪問=いつもキリストを証しして=AYDミサで青年に促す
★アジアで対話と宣教を=カトリック信者に呼び掛ける
★124殉教者 福者に=ソウルの列福式に80万人=教皇訪韓
★バチカン諸宗教対話評議会=「イスラム国」非難呼び掛け
★女性の司祭環境改善へ=日本聖公会が特別委を設置

 =キリスト新聞(8月23日・休刊)=https://www.kirishin.com

 =クリスチャン新聞(8月24日)=https://jpnews.org
★反省なしに平和は語れない=ヒロシマ被爆から69年=被爆の非人間的状況
★喧噪でも、灯火絶やさず=ヤスクニ・キャンドル行動
★追悼のはずが日本人戦死者を殉国者として顕彰=「日米同盟とヤスクニは矛盾」=「平和の灯を! ヤスクニの闇へ2014キャンドル行動」
★「日本政府に世界平和推進を」=WCC議長 菅内閣官房長官に2声明手渡す
★開運商法広告を提訴=不安につけ込む手口防ぐ


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