世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1239信(2014.10.20)

  • 「家庭シノドス」閉会、教皇パウロ6世列福
  • シノドス最終報告書「教会の扉はいつも開いている」
  • バチカンがシスティーナ礼拝堂の来場者数を制限へ
  • システィナ礼拝堂にLED照明計画
  • 『イスラム国』機関誌が「奴隷」強要認める
  • 朴大統領が教皇と会談、訪韓への答礼
  • シリアで拉致されたカトリック司祭解放
  • カイロのコプト教会修復16年がかり完了
  • 「ノアの方舟」テーマパークに就職するには...
  • 《メディア展望》


◎「家庭シノドス」閉会、教皇パウロ6世列福

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)で10月5日から開かれた家庭をテーマとしたシノドス(世界代表司教会議)第3回臨時総会「福音宣教の観点から見た家庭の司牧的課題」が19日終了、教皇フランシスコはサンピエトロ広場で、会議参加者と共に閉会ミサを行った。
 教皇は、このシノドス閉会ミサの中で、4代前の教皇で第2バチカン公会議をまとめ導いたパウロ6世(ジョヴァンニ・バッティスタ・モンティーニ、在位1963〜78)の列福式を行った。
 式には、前教皇ベネディクト16世も参列した。ベネディクト16世は1977年、パウロ6世により、ミュンヘン=フライジング大司教(枢機卿)に任命されている。
 バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇フランシスコは、ミサの中で、キリストの愛の謙遜にして預言的な証し人であった、とパウロ6世を想起した。


◎シノドス最終報告書「教会の扉はいつも開いている」

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)で10月5日から非公開で行われたシノドス(世界代表司教会議)第3回臨時総会「福音宣教の観点から見た家庭の司牧的課題」は18日、参加者の発言などを総括した最終報告書をまとめた。報告書の内容のうち、同性愛者の受け入れを巡る文言は修正を経ても合意に至らず、採択されなかった。
 教皇は、「シノドスの参加者に、もし偽りの平静のために皆が同意し、活発な議論がなかったとしたら、私は大いなる不安とさみしさを感じただろう」と語り、報告書について同意を得られなかったものも含めて異例の公開を決めた。
 報告書は、議決権を有する181人の司教のうち158人の賛成を得て採択された。報告書は来年10月の会議に再度提示される。教皇は両会議での話し合いを踏まえたうえで、最終的な判断を示すと見られる。
 今回のシノドスには、世界から191カ国の司教会議議長や専門家たちが集まり、家庭に関連した様々なテーマ、離婚、再婚、避妊、純潔、同性婚などについて協議した。
 13日に発表された中間報告書は、民法上の結婚、離婚、再婚などさまざまな問題について司教たちが討議したことを記録。結婚は男女間のものとする見方は変えなかった。また「同性間の結び付きを、結婚と同列と考えることは出来ない」としてはいたが、「同性愛の人々を歓迎する」という項目があった。
 カトリックがこれまでタブー視してきた同性愛や離婚に肯定的な見解を表明、同性愛者のキリスト教社会への貢献や、同性愛カップルの助け合いを認めるとの文言が盛り込まれた中間報告書に、保守派が強く反発したため、18日に提出された最終報告書ではこうした文言がすべて削除された。
 最終報告書には、同性愛カップルに神が定めた結婚や家族と同じ結びつきを認める根拠はないと明記され、「それでもなお、同性愛者については敬意と配慮をもって迎え入れなければならない」との一文だけが残されていた。しかしこの部分さえ賛成118、反対62と、採択に必要とされる3分の2の支持を得られなかった。
 最終報告書は中間報告書と同様、3部、62項にわたる協議事項をまとめたもの。各項目は電子投票システムによって賛否が問われ、いずれも過半数の賛成があった。しかし、同性愛者への対応、離婚・再婚者の聖体拝領問題については、3分の2以上の賛成を得られず、「関係者は次期シノドスまで共同の解決策を見つけていこう」と呼びかけるに留まった。
 教皇は、シノドス閉会にあたり、2週間にわたる協議で見られた参加者の熱意と思いやりに言及すると共に失望、緊張、保守派とリベラル派の示した「誘惑」についても触れた。
 イエスの後に従い、娼婦や取税人と食事を共にすることを恐れないのが教会であり、「教会の扉はいつも開いている」と述べた。シノドスの会場は教皇の演説に大きな拍手で答えたという。


◎バチカンがシスティーナ礼拝堂の来場者数を制限へ

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)が10月16日、システィーナ礼拝堂にあるミケランジェロのフレスコ画を保護するため、年間の来場者数を600万人に制限するとの方針を発表した。
 ロイター通信によると、バチカン美術館のアントニオ・パオルッチ館長は、装置を紹介する記者会見で、現在の年間来場者数の600万人が許容範囲の限界と指摘。「特にシスティーナ礼拝堂を含むバチカン美術館の来場者数は、確実に許容範囲の上限に達していると思われる。この空調装置はより多くの人を受け入れるためのものではない」と説明した。


◎システィナ礼拝堂にLED照明計画

 【CJC=東京】バチカン博物館が、システィナ礼拝堂に省エネ型のLED照明を採用する計画を明らかにした。経費削減と 二酸化炭素排出量減少を図るという。
 礼拝堂内を飾っているミケランジェロのフレスコ画を7000基のLEDが照らすことになる。イグナチオ・マリノ・ローマ市長が打ち出した同市の公共空間全部をLED照明に切り替える計画の一環。


◎『イスラム国』機関誌が「奴隷」強要認める

 【CJC=東京】イラクやシリアで過激活動に走っているイスラム教団体『イスラム国』(ISIS)が10月12日発刊した英字WEB機関誌『DABIQ』(ダビク)第4号で、「奴隷制復活」と題された記事を掲載、イラクで拘束した少数派ヤジディー教徒の女性や子どもを奴隷として売買していることを認めた。女性の一部が結婚や性行為を強要されていることも事実上認め、イスラム教の男性が、奴隷ではない他の女性から「誘惑される」のを防ぐための正当な行為だ、と主張している。
 『イスラム国』は8月、イラク北西部シンジャルを攻撃し、居住していたヤジディー教徒ら数千人が行方不明となっている。その際、ヤジディー教徒の女性や子どもを戦闘員に「戦利品」として分配したという。
 毎日新聞は、避難民の証言として、拘束された男性の多くが処刑され、女性や子どもはイラク北部モスルやシリア北部ラッカなどに連行され、奴隷として売買されたと報じている。サウジアラビアなど外国も売却先になっているという。女性らは「奴隷市場」で10米ドル(約1000円)前後で売られ、性交渉を強要されているとの報道もあるとしている。
 米メディア『ハフィントン・ポスト』は、英語で発行された同誌を、明らかに西欧諸国に住む人々に向けた内容であり、イラク国内でイスラム国が残酷な行為を働いているという、長く噂されてきた行為を裏づけたとしている。また機関誌名の「ダビク」について、シリア北部にある都市の名前で、アルマゲドンに関する『ハディース』(預言者ムハンマドの言行録)に「イスラム教徒とキリスト教徒が最終的に対決する場所」として言及されていることを理由に採用したと報じている。
 『DABIQ』はこの7月に、英語を含む各国語で創刊された。第4号の表紙は、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ広場に立つオベリスクの上に、『イスラム国』の黒い旗がはためいているデザイン。同号には、モハメド・アドナニ広報官による「われわれはお前たちのローマを制圧し、十字架を壊し、お前たちの女を奴隷にする」という声明も掲載されている。

※注=『DABIQ』表紙(https://www.clarionproject.org/news/islamic-state-isis-isil-propaganda-magazine-dabiq)


◎朴大統領が教皇と会談、訪韓への答礼

 【CJC=東京】韓国の聯合ニュースがローマから報じる所では、イタリアを訪問中の朴槿恵大統領は10月17日午後、バチカン(ローマ教皇庁)を訪れ、教皇フランシスコと会談した。教皇は8月に韓国を訪れており、訪問への答礼となった。
 朴大統領は会談で、教皇の来韓の成果を評価し、朝鮮半島の平和と統一に向けて祈りをささげるよう求めた。エボラ出血熱の感染拡大や貧困など国際問題について意見を交換し、世界平和と和解に向けた教皇の献身的な努力に謝意を表明した。


◎シリアで拉致されたカトリック司祭解放

 【CJC=東京】トルコ国境付近のシリアでカトリック司祭と信徒20人と共に拉致されたフランシスコ会のハンナ・ヤルフ神父が解放された、と同修道会聖地特別管区が10月9日発表した。CNS通信が報じた。


◎カイロのコプト教会修復16年がかり完了

 【CJC=東京】カイロの名所とされ、英語で「ハンギング・チャーチ」と呼ばれる聖処女マリア・コプト教会が総工費約6億円を掛け16年がかりの修復を終えた。
 10月11日に行われた記念式典にはイブラヒーム・マハラブ首相やコプト教会の教皇タワドロス2世も出席した。
 工期が長引いたのは、地下水が周辺の遺跡に影響を与えないようにする工事のためだった、と首相は指摘している。


◎「ノアの方舟」テーマパークに就職するには...

 【CJC=東京】米ケンタッキー州ウイリアムストンに建設中の「ノアの方舟」テーマパークの事業主が、2016年の開業に際して採用する従業員には、旧約聖書に記された洪水が実際にあったことと信じる人に限る、と語った。
 ただ税務当局は、そのような採用条件を課した場合にはテーマパーク入場税への軽減措置を適用しない、としている。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(10月19日)=https://www.cwjpn.com
★教皇フランシスコ=「初聖体」思い起こし=教会一致への願い強調
★率直・謙虚に討議を=家庭についてのシノドスで=教皇
★バチカン=構成人数増やす=未成年者保護の委員会
★韓国セウォル号事故のカルト教団が日本にも=東京で緊急対策セミナー
★放射線から何を守る=人か?村か?区長が語る現状=神奈川・藤沢教会で講演会

 =キリスト新聞(10月18日)=https://www.kirishin.com
★日基教団が48年ぶり開催=青年大会に370人参加=「キリストの名によって立ち上がりなさい」
★今、キリスト教研究の意義問う=日本基督教学会が関学で学術大会
★今野利介氏「神の領域に踏み込むな」=キリスト教独立伝道会「平和講演会」
★イスラエルのテル型遺跡調査50年=バイブルハウス南青山で写真展
★ヴォーリズ没後50年・多彩な催し始まる=ゆかりの近江八幡で記念切手も発売

 =クリスチャン新聞(10月19日)=https://jpnews.org
★痛みの中にこそ神の恵みが=セレブレーション・オブ・ラブ・with・フランクリン・グラハム=1年前大会=世界的伝道者アル・ウィッティングヒル氏メッセージ
★お店はクリスマスモード=見本市&キリスト教ブックフェアー開催
★「香港民主化デモ」キリスト者も支援=中国が経済発展する半面=宗教に対する寛容進まず
★いわきで日々放射能と隣り合う=「園の記念樹ほとんど伐採」=講演会「いわき原発から40キロの町の今」
★第20回エホバの証人被害者全国集会=「輸血拒否」の撤回要求決議採択


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