世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1263信(2015.04.06)

  • イスラム教人口が2050年にキリスト教と並ぶ!
  • 教皇フランシスコが復活祭のメッセージ
  • 教皇がキリスト者迫害への沈黙を批判、過激派封じ込めを
  • バチカンとイタリアが金融情報交換協定に署名
  • ケニアでイスラム過激派が大学襲撃、キリスト者が標的
  • ケニアの大学襲撃犠牲者が147人に
  • 韓国で在日団体などが「壬辰倭乱」反省集会
  • フィリップ・ポッター元WCC総幹事死去
  • 『クリスタル・カテドラル』のシュラー氏死去
  • 《メディア展望》

◎イスラム教人口が2050年にキリスト教と並ぶ!

 【CJC=東京】イスラム教信者が急増し、2050年には世界のイスラム教徒の人口がキリスト教徒とほぼ同じになるとの予想を、米調査機関『ピュー・リサーチ・センター』が4月2日、宗教別人口報告書で明らかにした。
 同報告書によると、世界の宗教別人口分布は大きく変わると見込まれる。大半の宗教が信者を増やすが、中でもイスラム教徒は著しく増加する見通し。また欧州、米国、アフリカで宗教別人口バランスが大きく変化し、50年には米国ではイスラム教徒がユダヤ教徒を上回ると見られる。
 50年には、世界のイスラム教人口は28億人、総人口に占める比率は30%となり、キリスト者の29億人(31%)にほぼ並ぶ見込み。2100年までにイスラム教人口がキリスト教を抜く可能性があるという。
 報告書によると50年までにイスラム教徒は70%超増えると見られるのに対し、キリスト者は25%と予想されている。


◎教皇フランシスコが復活祭のメッセージ

 【CJC=東京】2015年の復活祭(イースター)は、カトリック、聖公会、プロテスタント諸派など「西方教会」では16世紀に採用されたグレゴリオ暦に従って4月5日に祝った。基本的に「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」に祝われるため、年によって日付が変わる移動祝日。ただ正教会など「東方教会」は今もユリウス暦によって算出し、復活祭(パスハ)を今年は4月12日に定めている。
 4日夜、復活徹夜祭をバチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ大聖堂で捧げた教皇フランシスコは5日、復活の大祝日の朝のミサをサンピエトロ広場で行った。
 ローマは雨模様だったが、バチカン周辺は世界各国の巡礼者であふれ、オランダから寄贈された大聖堂前の春の花壇が明るい色彩を放っていた。朝のミサに続き、正午、教皇は大聖堂の中央バルコニーから、ローマと世界に向けてのメッセージと祝福「ウルビ・エト・オルビ」(ローマ市と全世界へ)を述べた。
 教皇はメッセージの中で、「イエスはその死と復活をもって、すべての人に命と幸福の道を示してくださいます。その道とは、自分を低くする、謙遜です。これが栄光に導く道です。ただ自分を低くすることによってのみ、『上にあるもの』、すなわち神の方に (コロサイ3・1〜4)行くことができるのです。高慢は「上から下」を見下ろし、謙遜は「下から上」を見上げます」と述べ、「復活の主に、暴力や戦争を生み出す傲慢に陥ることなく、赦しと平和の謙遜な勇気を持つ恵みを願いましょう。勝利のイエスに、イエスの名のゆえに迫害されるわたしたちの多くの兄弟姉妹たち、また現在進行している紛争と暴力のために不当な苦しみを受けているすべての人々の苦痛を和らげてくれるよう求めましょう」と願った。
 そして平和を「特にシリアとイラクに」、「聖地のすべての住民のために」、さらにリビア、イエメン、ナイジェリア、南スーダン、スーダンの多くの地域、そしてコンゴ民主共和国などの名を挙げ祈った。
 ケニアのガリッサの大学で殺害された若者たちをはじめ、命を失ったすべての人、また拉致された人、自分の家や親しい人たちを後に残さざるを得なかった人たちのために、善意の人々の祈りが上がっていきますように、とも述べた。
 さらに主の復活が愛するウクライナに、特に最近の紛争の暴力に巻き込まれた人々に、光をもたらしますように。同国が当事者間の努力によって平和と希望を再び見出すように祈った。
 また犯罪的な人々や組織によって新旧の隷属状態に置かれている多くの人々、麻薬売買の犠牲者、疎外された人、受刑者、貧しい人、移民たち、また病者や、苦しむ人々、特に暴力を受ける子どもたち、喪に服している人たち、そしてすべての善意の人々に、主イエスの慰めの声が届くように、と語った。


◎教皇がキリスト者迫害への沈黙を批判、過激派封じ込めを

 【CJC=東京】教皇フランシスコは4月3日、ケニアの大学襲撃事件を受け、迫害を前に手をこまねく「沈黙」を批判、過激派に「加担している」と述べた。
 ケニア東部ガリッサの大学を2日に襲った『アルシャバーブ』のメンバーは、寄宿舎でイスラム教徒かキリスト者かを確認して回ったという。教皇は3日、「私たちが沈黙する中、目の前で兄弟たちが信仰ゆえに迫害されている」と語った。
 毎日新聞によると、バチカン(ローマ教皇庁)『正義と平和評議会』議長のピーター・コドボ・アピア・タークソン枢機卿は同紙とのインタビューで「(被害を受けている地域には)バチカンに大国を説得して動かしてほしいという期待があるが、今の世界には『戦争疲れ』がある」と国際社会の及び腰を指摘した。


◎バチカンとイタリアが金融情報交換協定に署名

 【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)とイタリア政府は4月1日、金融や税に関する情報を交換する協定に署名したと発表した。相互に財政を透明化し、脱税などを防ぐ狙い。バチカンの資産を管理・運用する『宗教事業協会』(通称「バチカン銀行」)の顧客情報の提供をイタリア側が求めることが可能になった。09年以降の情報が対象となる。
 バチカン銀行は、マフィアなどのマネーロンダリング(資金洗浄)や脱税の手段に使われていると批判されてきたが、これまでイタリア当局の手が届かなかった。
 教皇フランシスコは着座以来、同銀行に口座を持つのは原則として聖職者や職員、大使館関係者らに限るなど、徹底的な改革に取り組んでいる。


◎ケニアでイスラム過激派が大学襲撃、キリスト者が標的

 【CJC=東京】ケニア東部ガリッサで4月2日早朝、覆面姿の武装集団がガリッサ大学を襲撃した。犯人側はキャンパス内で無差別に発砲し、学生寮で学生を人質にして立てこもった。キリスト者が標的にされたとみられる。学生寮はキャンパス内の居住地区にあり、モスク(イスラム教礼拝所)で銃撃が始まったとの情報もある。
 治安当局と銃撃戦となり、当局は武装集団をほぼ制圧したとしている。内務省は少なくとも70人が死亡、79人が負傷したと明らかにした。
 ロイター通信によると、隣国ソマリアのイスラム過激派組織アルシャバーブの広報担当が犯行を認め、「多くのキリスト者を人質に取った」と主張した。人質の数は不明。内務省によると、学生数百人の所在が確認出来ていない。
 アルシャバーブは国際テロ組織アルカイダに忠誠を誓う過激派組織で、2014年11月から12月にかけてケニア北東部では2件の襲撃事件で60人以上を殺害している。13年9月には首都ナイロビのショッピングモール襲撃で67人が死亡した。


◎ケニアの大学襲撃犠牲者が147人に

 【CJC=東京】ケニア東部ガリッサで4月2日早朝、イスラム過激派の武装集団がガリッサ大学のキャンパスを襲撃した事件で、ケニア政府は2日夜、確認された犠牲者が147人に上ったことを明らかにした。容疑者のうち4人は射殺されるなどして死亡した。所在を確認できていない学生が多数おり、犠牲者が増える可能性がある。
 隣国ソマリアを拠点とするイスラム過激派『アルシャバーブ』が事件直後、犯行声明を出した。ケニア政府は首謀者とみられる容疑者を特定し、懸賞金約2600万円をかけて情報提供を呼びかけている。
 現地報道によると、『アルシャバーブ』は2日午前5時半ごろ、大学構内の学生寮に侵入。警備員を殺害した後、イスラム教徒の学生を外に出し、キリスト者学生だけを選んで殺害した。
 学生の1人は「襲撃者は『我々はシャバブだ』と叫びながら、銃を乱射した」と話している。過激派は学生寮で「生き残りたければ部屋から出ろ」とだまし、これに従った学生多数を「処刑」したと見られることが分かった。4日付の米紙ニューヨーク・タイムズが死を免れた学生らの話として報じた。
 『アルシャバーブ』は4日、「ケニアの都市は血で赤く染まる。長く凄惨な戦いになるだろう。一般市民が最初に犠牲になる」と、新たなテロ攻撃を予告する声明を出した。フランス公共ラジオが伝えた。
 一方、ケニア内務省報道官は事件に関与したと見られる5人の身柄を拘束したと明らかにした。うち1人は大学の警備員だったという。
 『アルシャバーブ』は、アフリカ連合(AU)の平和維持活動(PKO)でソマリアに展開するケニア軍の撤退を要求、撤退が実現するまでテロ攻撃を継続するとし「どれだけ予防策や安全対策を講じたとしても新たな殺りくは防げない」と警告した。


◎同性婚容認で3万4000教会がPCUSAとの関係断絶

 【CJC=東京】米長老教会(PCUSA)が同性婚容認に踏み切ったのを受け、3万4000教会を擁する『全国黒人教会イニシシャティブ』(NBCI)が同教会との関係断絶を決めた。福音派系の『カリスマ・ニュース』が3月30日報じた。
 NBCIには15教派が加盟し、信徒数は1570万人。アンソニー・エヴァンス議長は、「NBCIとその構成メンバーの基盤は、ただキリストの御心の内で、神の言の上に立つこと。PCUSAの兄弟姉妹に、悔い改め、交わりに立ち帰るよう促す」と語り、PCUSAは誤った福音を宣べ伝えている、と警告した。


◎韓国で在日団体などが「壬辰倭乱」反省集会

 【CJC=東京】韓国の聯合ニュースによると、日本の近代史研究家や市民団体代表、在日韓国人牧師らでつくる『NO MORE 倭乱集会実行委員会』の会員20人以上が3月30日、慶尚南道密陽の表忠寺を訪れ、「壬辰倭乱」(文禄・慶長の役)を反省する集会を開いた。
 同寺には「壬辰倭乱」当時、僧兵を率いて戦った四溟(サミョン)大師(1544〜1610年)の肖像画がある。集会は犠牲者への黙とう、献花、基調報告、韓国民謡斉唱などの順で約40分間行われた。
 同委員会は「日本は朝鮮侵略から1945年の敗戦まで大規模な戦争を繰り返した。日本社会は過去の歴史を克服できないまま戦後を歩んできた」と指摘した。
 そして、日本の首相の靖国神社参拝や特定秘密保護法を批判し、独島問題と旧日本軍の慰安婦被害者に対する日本政府の態度に反対の意を示した。
 この集会は、在日大韓基督教会小倉教会の故・崔昌華(チェ・チャンファ)牧師の提唱により、「壬辰倭乱」の際に日本の拠点となった名護屋城跡(佐賀県)で1992年に開かれたのが始まり。2000年からは韓国の釜山、晋州、蔚山など「壬辰倭乱」関連の遺跡がある都市を訪れ毎年集会を開いている。


◎フィリップ・ポッター元WCC総幹事死去

 【CJC=東京】世界教会協議会(WCC)のフィリップ・ポッター元総幹事が3月31日、独リューベックで死去した。93歳。1972年から84年までWCC第3代総幹事を務めた。
 1921年8月、ドミニカの首都ロゾー生まれ。エキュメニカル運動との関わりは、カリブ地域の学生キリスト教運動に参加したのがきっかけ。1948年のWCC第1回総会(アムステルダム)と54年の第2回総会(米エバンストン)に、青年代表の1人として参加している。


◎『クリスタル・カテドラル』のシュラー氏死去

 【CJC=東京】米国で「メガチャーチ」を作り上げた1人、ロバート・シュラー牧師が4月2日、カリフォルニア州アーテジアの介護施設で死去、88歳。食道がんを患っていた。
 シュラー氏は1926年アイオワ州アルトン生まれ。55年にプロテスタント教会の牧師として宣教活動を始め、カリフォルニア州ガーデングローブに全面ガラス張りの建築で知られる教会『クリスタル・カテドラル』を著名な建築家フィリップ・ジョンソンの設計で建設した。70年に始めたテレビ番組「アワー・オブ・パワー」でテレビ宣教師としても活躍し、世界で3000万人の視聴者を集めるなど、初期の「メガチャーチ」を作り上げた。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(4月5日)=https://www.cwjpn.com
★名古屋教区に新司教=教皇、松浦司教を任命
★わすれない=復興支援の現場から=宮城・南三陸=その網 捨てられるのか!?
★教皇、書簡発表し呼び掛け=全世界で死刑廃止を
★潜伏キリシタン称賛=教皇、日本の司教らに語る
★司教団、教皇と会談=7年ぶりのアド・リミナ

 =キリスト新聞(4月4日)=https://www.kirishin.com
★歌うシスター、ロック調の曲も=ヨーロッパで大反響のシスター・クリスティーナに聞く
★日本語による書き下ろし聖書注解=シリーズ刊行を前に公開シンポ=見本原稿もウェブ上で公開
★言葉と本の学校「ベイト・セフェル」開校=市井の学者らが集い語り合う場
★原発は「バベルの塔」と教皇懸念
★NCCが第39回総会開催

 =クリスチャン新聞(4月5日)=https://jpnews.org
★ドイツからイースターエッグなどオーナメントいっぱい=イースターフェア開催中=教文館エレンカイム
★バヌアツ・サイクロン被災=教界関係支援団体も現地で活動開始=被災孤児への「子ども基金」呼び掛けも
★牧師らが「秘密保護法撤廃」を国会議員に直接要請=「行動しないで後悔するより行動して後悔する方が良い」
★安久津政人氏死去(十字式健康普及会創設者、88歳)


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