世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1277信(2015.07.13)

  • 教皇、グアヤキルで家庭のためのミサ
  • 教皇、第2の訪問国ボリビアへ
  • 南米歴訪最後に教皇はパラグアイへ
  • 米サウスカロライナ州議事堂から南軍旗撤去までの裏
  • セブンスデー・アドベンチストは女性牧師拒否
  • 《メディア展望》


◎教皇、グアヤキルで家庭のためのミサ

 【CJC=東京】バチカン放送(日本語電子版)によると、南米3カ国歴訪の最初の訪問国、エクアドルの首都キトに7月5日到着された教皇は、翌6日朝、同国で最も人口の多い都市であり、経済活動の中心でもあるグアヤキルに特別機で移動、『神のいつくしみ巡礼聖堂』を訪問、続いて郊外のロス・サマネス公園で市民のためにミサを司式した。公園とその周辺には、約100万人の信者が詰め掛け、教皇を歓迎した。
 エクアドルでの最初のミサは家庭のために捧げられた。説教で教皇は、ミサ中に朗読された「カナの婚礼」のエピソード(ヨハネ2・1〜11)を取り上げ、婚礼の席に見るマリアの「母」としての姿を観想された。
 「奉仕とは、真の愛の基準です」と述べた教皇は、誰をも除外せず、互いに愛し合い、奉仕することを、家庭の中で学ぶよう勧めた。
 ミサ終了後、教皇は修道会『イエズス会』の神学院を訪問、イエズス会員らと昼食を共にした。
 教皇は午後、首都キトに戻り、ラファエル・コレア大統領を官邸に表敬訪問した。大統領との約30分にわたる会談後、教皇は大統領の家族とも会見した。
 この後、コレア大統領と共に大統領官邸のバルコニーに立った教皇は、集った市民らを祝福した。続いて、教皇は官邸に隣接する司教座大聖堂に徒歩で、熱心に歓迎する人々の間を歩みつつ、教皇は病者や障害者に言葉をかけた。
 大聖堂内で、教皇は聖母像の足元に花束を捧げ、聖体を安置した礼拝堂で祈られた。
 大聖堂の外に出た教皇は、夜の広場をいっぱいにした市民に挨拶、市民と共にアベマリアを唱えた教皇は、エクアドルのすべての国民と家族のために祝福を送った。
 教皇は、エクアドル訪問3日目の7日、首都キトで市民参加のミサをビセンテナリオ公園で行った。
 公園には、教皇ミサに参加する推定約150万人の波が続いた。祭壇を設けた舞台のまわりは10万本のバラの花で飾られ、沿道の人々は花びらをまいて教皇を歓迎した。
 前日グアヤキルでのミサが家庭のために捧げものであるのに対し、教皇はこの日のミサを宣教のために捧げた。
 ミサで教皇は、「父よ、すべての人を一つにしてください。そうすれば、世は、あなたがわたしをお遣わしになったことを、信じるようになります」(参考=ヨハネ17・21)というイエスの言葉をテーマに説教、すべての人々を一つにというイエスの叫びに応えながら、信仰における一致、そして社会の一致を目指すよう励ました。
 教皇は7日午後、キト市内のエクアドル・カトリック大学を訪問、学生および教育に携わる人々との集いを行った。同大学は1946年、キト大司教区によって創立され、イエズス会に運営を任された私立大学で、14学部・研究所で約3万人が学んでいる。
 教皇は、若者たちや教育者たちを前に、環境や世界の問題に目を向けるよう呼びかけた。また、教皇は貧しい隠された人々の存在に言及。「貧しい人が凍死してもニュースにはならないが、世界市場のわずかな動きでもニュースになる。あなたの兄弟はどこにいるのか」と教皇は問いつつ、「わたしたちの現実、わたしたちの兄弟に背を向け続けることをやめよう」と訴えた。
 次に教皇が向かわれた聖フランシスコ教会は、ラテンアメリカで最も古いカトリックの建造物。教皇は、文化・経済・工業・農業・スポーツ・ボランティアなどエクアドルの市民社会の様々な分野を代表する人々と交流、社会は「誰をも除外しない」ということを、家庭の姿から学ぶように教皇は勧めた。そして、エゴイズムと使い捨ての文化に打ち勝ち、排除ではなく「受容の社会」を築いて欲しいと要望した。
 教皇はその後、キト空港から特別機でボリビアのラパスに向かった。


◎教皇、第2の訪問国ボリビアへ

 【CJC=東京】バチカン放送(日本語電子版)によると、南米3カ国を歴訪中の教皇フランシスコは、7月8日午後5時過ぎ、第2の訪問国、ボリビアのラパスに到着した。
 ラパスのエル・アルト空港では、民族衣装の子どもたちや多くの市民が教皇を歓迎した。
 教皇は出迎えたエボ・モラレス大統領と並んで歓迎式に臨んだ。教皇はこの訪問を通して、復活されたイエス・キリストにおける人々の信仰を強め、地上の巡礼者であるわたしたちがイエスの愛を証しし、より良い社会のパン種となり、正義と連帯に満ちた社会の構築のために協力できるよう、皆を励ましたいと述べた。
 空港での歓迎式に続き、教皇はラパス市内の大統領官邸でモラレス大統領と会談、司教座大聖堂でボリビアの各界要人と会見した。
 同日夜、教皇はラパスから、サンタ・クルス・デ・ラ・シエラに移動した。
 教皇は9日午前、サンタ・クルスでミサを捧げた。このミサによって、ボリビア国内の『第5回聖体大会』が開会された。教皇ミサの会場となったクリスト・レデントール広場と周辺は参加者で埋め尽くされ、その数はおよそ200万人に達した。
 説教で教皇は、この国でよく見られるように、子どもたちを肩に乗せた多くのお母さんたちの姿に感動を覚えると述べ、「人々が背負っているのは命、この国の未来、喜び、希望であると同時に、失望や悲しみなど実現されなかった正義の傷でもあります。皆さんが背負っているのは民の記憶です。民は記憶と共に歩んでいるのです」と話した。
 「聖体は世界の命のために裂かれたパンです」と述べた教皇は、聖体の交わりが、個人主義から抜け出し、共に生きることを可能にし、わたしたちが持っているもの、ありのままのわたしたちが、神の愛の力のもとに受け入れられ、祝福され、分け与えられるならば、それは他の人たちの命のパンとなれるという確信を与えてくれるようにと祈った。
 教皇は、午後から、サレジオ修道会が運営する学校「コリセオ・ドン・ボスコ」で、同国の司祭・修道者・神学生らとの出会いを持った後、『民間運動世界ミーティング』が開催された見本市会場へと向かった。
 『民間運動世界ミーティング』は、期間労働者や、インフォーマルセクター労働者、都市周辺の貧困地域住民、先住民族、移民、小作農業者らの生活向上を目指す様々な民間運動関係者の国際集会。第1回目会合は昨年10月にバチカンで開催された。
 2回目となったミーティングには、モラレス大統領をはじめ、約3000人の参加者が集った。
 「神はご自分の民の叫びをお聞きになる」と述べた教皇は、「土地・家・仕事」は聖なる権利であり、そのために闘う価値のあるものと強調。自分の耕地を持てない農民、家の無い家族、権利の無い労働者、こうした人々の存在を前に、わたしたちは何かを変える必要を強く感じていると話した。
 希望と連帯のグローバル化は人々から、人々の間に生まれると述べた教皇は、これを排除と無関心のグローバル化と交換しなくてはならないと訴えた。
 ボリビア滞在の最終日10日、教皇フランシスコは、サンタ・クルスのパルマソラ刑務所を訪問した。
 刑務所付司祭らの案内を受けながら、教皇は広大な所内を乗用カートで回り、受刑者や家族らの待つ更生センターの運動場に移動した。
 教皇は受刑者らへの言葉で、「今、皆さんの前にいる人間は、1人の赦された人間です。多くの罪を持ち、罪から救われた男です。わたしは自分をこのように紹介したく思います」と、自身を紹介。「皆さんに差し上げられるようなものはたいして持っていませんが、わたしが持ち、愛するものを皆さんに差し出し、分かち合いたいと思います。それは、イエス・キリスト、御父のいつくしみです」と述べた。
 「イエスは神の愛を目に見えるようにするために、この世に来られました。あなたがたのために、あなたのために、わたしのためにです。それは生きた愛、現実の愛です。ご自分の兄弟一人ひとりの境遇を真剣に考えてくださる愛です。それは癒し、赦し、立ち上がらせ、世話をする愛です。寄添い、尊厳を取り戻させる愛なのです」と話し、教皇は受刑者たちを励ました。
 最後に市内の教会でボリビアの司教団とお会いになった教皇は、サンタ・クルスの空港から特別機でパラグアイの首都アスンシオンへと向かった。


◎南米歴訪最後に教皇はパラグアイへ

 【CJC=東京】バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇フランシスコは7月10日午後3時過ぎ、南米歴訪最後の訪問国パラグアイのアスンシオン国際空港に到着した。空港には、オラシオ・カルテス大統領が教皇を出迎えた。雨模様にも関わらず、子どもたちのコーラスや民族舞踊などが到着の行事を彩り、空港から市内に向かう道のりには市民の熱い歓迎が続いた。
 最初に大統領官邸を表敬訪問した教皇は、カルテス大統領と個人会談の後、官邸内で行政・律法・司法の各分野代表および同国駐在外交団らに挨拶した。
 独立直後の歩みから、今から少し前の時代に至るまで、パラグアイは恐ろしい戦争とその苦しみを体験してきた、と教皇は同国の歴史を回想、人民間の兄弟愛を引き裂くほどのこの戦争の悲劇の中で、パラグアイの人々、特に残された女性たちが国の未来を背負って努力してきたことに、教皇は感動と称賛を表した。
 パラグアイ訪問2日目の11日午前、教皇はアスンシオン市内の小児病院を訪問。診療科や、集中治療室、入院病棟をまわりながら、入院中の子どもたちや付き添いの家族らを励ました。
 続いて教皇ミサの会場となった、アスンシオン東南のカアクペの聖母巡礼聖堂に向かった。同聖堂は、パラグアイの信者にとって最も重要な巡礼地。到着した教皇は、まず聖堂内に入り、聖母像を安置した祭壇前で沈黙の祈りを捧げた。
 続いて、教皇は巡礼聖堂一帯を埋め尽くす信者たちと共に、無原罪の聖母に捧げるミサを行った。
 説教で教皇は、イエスの馬小屋での誕生から、エジプトへの逃避、そしてイエスの十字架上での死に至るまで、聖母マリアが体験した数々の試練を思い起こしながら、「多くの困難の中で、神に耳を傾け、生きることを学んでいった母」としてのその姿を示した。
 カアクペの聖母巡礼聖堂がパラグアイの人々の歴史を大切に刻んできたように、マリアは、どのような難しい時にあっても、常にその子らのかたわらにいる、と教皇は強調した。
 教皇は12日、首都アスンシオン郊外のバニャド・ノルテ地区へと向かった。同地区は、アスンシオンの貧しい居住区の一つで、約10万人が生活している。現在、行政とカトリック教会による様々な支援プロジェクトが行われており、中でも修道会『イエズス会』は積極的に教育活動に奉仕している。
 この地区の司牧は、点在する13の小さな礼拝堂を中心に展開しており、教皇と住民の出会いは、その中の一つ、フアン・バウティスタ礼拝堂とその付属の運動場で行われた。
 この集いでは、約2000人の参加者を代表し、住民の女性2人が生活の現実や信仰について語り、教皇はその言葉に時折うなずきながら、真剣に耳を傾けた。
 住民への言葉で教皇は、ここ数週間の悪天候と大雨について触れ、雨の被害を懸命に乗り越えようとしている人々に、「この闘いの中でも、皆さんは微笑みと、喜び、希望を失うことはありませんでした。多くのやるべきことの中にも、連帯を失わず、むしろそれは連帯を成長させました」と、住民の努力に感銘を示した。
 「連帯の無い信仰は、死んだ信仰です。それは、キリストの無い信仰、神のいない信仰、兄弟のいない信仰です」と話した教皇は、これからも「宣教者」また「人々、特にお年寄りと若者の隣人」であり続けるようにと、バニャド地区の住民を力強く励ました。
 教皇は午後7時40分、アスンシオン国際空港から、アリタリア航空特別機でローマに向け出発、南米3国歴訪から帰国の途についた。


◎米サウスカロライナ州議事堂から南軍旗撤去までの裏

 【CJC=東京】米南部サウスカロライナ州下院は7月9日、議会議事堂の前庭に掲揚していた「南北戦争」(1861〜65年)時代の南軍旗を撤去する法案を賛成は94、反対20で可決した。上院はすでに可決されている。
 同州チャールストンの黒人系教会で9人を射殺した白人の犯人が、南軍旗を白人至上主義の象徴とみなしていたことから、撤去を求める声が相次いでいた。
 採決前の討議は前日から約13時間にわたって行われた。一部の共和党議員が最後まで抵抗し、可決に必要な3分の2以上の賛成が得られるか微妙な情勢だったが、女性のジェニー・ホーン議員(共和党)が議場で涙を流しながら、撤去拒否は、教会銃撃事件で亡くなったクレメンタ・ピンクニー州上院議員(牧師)の遺族への侮辱だとして「そうした立場にくみしない」と訴えたことで、情勢が一変した。
 降ろされた南軍旗は、地元の軍事博物館などで保管される。


◎セブンスデー・アドベンチストは女性牧師拒否

 【CJC=東京】『セブンスデー・アドベンチスト教会』は米テキサス州サンアントニオで開いた総会で7月8日、女性を牧師に任命する件を1381票対977票で否決した。アフリカ、南米など保守派議員の投票が可否を制した。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(7月12日)=https://www.cwjpn.com
★第5回 東日本大震災 仙台教区復興支援 全国会議=現場に触れ、今後を考える=全国の支援者と仙台教区との連携を求めて
★教皇、広報事務局を新設=バチカン広報の体制改編へ
★枢機卿、新回勅を引用=国連「気候変動」会議で演説
★学生主体で「難民の日」=公開シンポジウム開く=清泉女子大学(東京)
★国会前でスピーチ=「戦争法案反対」=勝谷太治司教

 =キリスト新聞(7月11日)=https://www.kirishin.com
★〝教会・教区超え、全体教会に仕える〟=日基教団全国信徒会65年ぶり大会に212人
★抗議船「不屈」に込めた思い=埼玉「祈りと市民のつどい」で金井創牧師
★キリスト教カウンセリングの普及に寄与=藤掛明氏が選定し独自の賞
★米南部の黒人系教会で銃乱射=オバマ大統領が「アメイジング・グレイス」
★バチカンが「パレスチナ国」と協定

 =クリスチャン新聞(7月12日)=https://jpnews.org
★「ラブ・ソナタ」8年=ビジョン共有し一つになる=「日本宣教フォーラム」で働きを検証=両文化の良い点組み合わせ
★出版共通のプラットフォームを=キリスト教文書センター=「戦う!書店ボーイ」で討論
★賞でキ教カウンセリング本応援=個人ブログ企画が反響 授与式へ=オフィス・ふじかけ賞
★前代未聞の会期延長=牧師の会が議員要請=学生らも参加=「対話できる関係を築いて」
★米国・同姓婚「合憲」で波紋


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