世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1303信(2016.01.11)

  • 血まみれの「神」が表紙の仏風刺紙特別号
  • 仏週刊紙襲撃から1年、「神」の風刺画にバチカン反発
  • ケニアで過激派に襲われたガリッサ大学が9カ月ぶり再開
  • オバマ大統領が涙流し銃規制の必要性訴え
  • 正教会信者は降誕祭を7日に祝う
  • 「キリストの誕生は人々を歓喜に導くこと」とコプト教会教皇
  • キリスト教一致祈祷週間、18日から25日まで
  • 「家族に会いたい」と北朝鮮で服役のカナダ人牧師
  • 「ゴッド・ブレス・アメリカ」も小学校で斉唱取り止め
  • ≪メディア展望≫

◎血まみれの「神」が表紙の仏風刺紙特別号

 【CJC=東京】フランスの風刺週刊紙『シャルリー・エブド』は1月6日、イスラム過激派に本社が襲撃された事件から1年を機に、特別号を100万部発行した。AFP通信などが報じた。表紙には、ひげを生やし自動小銃を担いだ血まみれの「神」が描かれ、「あれから1年、暗殺者は今なお逃走中」との表題が掲げられている。

 2015年1月7日、同紙本社襲撃では12人が殺害された。同紙スタッフ8人が含まれている。

 事件を受け、フランスでは数百万人が街頭に出て事件に抗議。インターネットに出された標語(ハッシュタグ)「私はシャルリー」が広く共有され、発行部数が低迷し廃刊の危機にあった同紙が、「表現の自由」の世界的シンボルとなった。

 事件はユダヤ系食料品店襲撃など3日間に及び、合計17人が犠牲となった。フランスではその後も、イスラム過激派による襲撃が相次ぎ、11月にはパリ同時テロが起きている。


◎仏週刊紙襲撃から1年、「神」の風刺画にバチカン反発

 【CJC=東京】12人の犠牲を出したフランスの風刺週刊紙『シャルリー・エブド』襲撃事件から1年を前に、同紙が発行した特別号の1面に描かれた風刺画に対し、バチカン(ローマ教皇庁)の日刊紙ロッセルバトレ・ロマノが反発している。

 シャルリー・エブドの風刺画では神を表すと思われるひげを生やした男性が血にまみれ、ライフル銃を背負った姿を描写。「1年後、暗殺者はまだ逃走中」との見出しを付けた。

 米メディア『CNN』によると、ロッセルバトレ・ロマノは論説で、「宗教の名における暴力を否定しようとさまざまな宗教の指導者が長年繰り返してきたことを、同紙はまたも忘れている」と批判。「神を利用して憎しみを正当化する行為は、神に対する冒とくにほかならない。教皇フランシスコも繰り返しそう説いてきた」と述べている。

 一方、シャルリー発行人のローラン・スーリソー氏はCNNの単独インタビューの中で、「この風刺画では神の象徴的な姿を表現した」と説明、「まさに神という概念が、1年前に私たちの友人を殺害したのかもしれない。信仰は常に平和的とは限らない。もしかしたら私たちは、もう少し神を減らして生きていくことを学ぶべきなのかもしれない」と語った。同氏は今回の風刺画について、「これはムハンマドではない。信仰を持つ者全てにとっての神を描いた」と言明している。


◎ケニアで過激派に襲われたガリッサ大学が9カ月ぶり再開

 【CJC=東京】ケニアで2015年4月2日早朝、イスラム過激派武装集団に襲われキリスト者学生ら148人が犠牲となり、閉校を余儀なくされたガリッサ大学が9カ月ぶりに1月4日再開した。

 米宣教専門RNS通信は、ケニア当局などは大学再開は、同国北東部でテロ勢力が打破された兆候と歓迎していると報じた。しかし復帰が期待される学生はイスラム教徒が主で60人に留まっている。襲撃前には学生が800人在学していた。

 カトリック教会ガリッサ教区のジョセフ・アレッサンドロ司教は再開を歓迎、しかしなおキリスト者は脅威を感じており、共に学べる日が近いことを自分は希望している、と語った。

 大学構内には警官駐在所が設置された。構内を囲む保護壁の建設を政府は約束している、とアーメド・オスマン・ワルファ学監。「襲撃があった時、武装していれば良かった。学生を守れただろう。失ったものは余りに多く、今も心が痛む」と現地紙に語っている。


◎オバマ大統領が涙流し銃規制の必要性訴え

 【CJC=東京】バラク・オバマ米大統領は1月5日、頻発する銃による暴力事件への対策として、大統領権限を行使して実施する限定的な措置を発表した。AFP通信などが報じた。

 銃による暴力事件の被害者や犠牲者の遺族に囲まれて演説した大統領の頬を涙が伝ったのは、2012年12月にコネティカット州ニュータウンの小学校で発生し、児童20人が犠牲になった銃乱射事件に言及した時だった。

 「その子どもたちのことを考えるたびに、怒りが込み上げてくる」と言って涙を拭った大統領は、「だからこそ、われわれ全員が議会に対し、銃ロビー団体の虚言に立ち向かう勇気を持つよう要求していかなければならない」と呼び掛けた。

 さらに大統領は、議会の反発を回避して行使していく大統領権限について正式に発表。その中で、故マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師が演説で使った表現を引用し、「緊急事態という意識を持つべきだ。キング牧師の言葉を借りれば、われわれは『今まさに火急を要する』と自覚する必要がある。人々の命が奪われているのだから」として、「行動を起こさないことの言い訳を繰り返してももう通用しない」と述べた。

 ただ、今回の大統領権限行使によっても、銃乱射事件を完全に防ぐことはできないだろうとも認めた。


◎正教会信者は降誕祭を7日に祝う

 【CJC=東京】正教会の降誕祭はユリウス暦によって算出され、グレゴリオ暦の1月7日に祝う。ただ聖書の記述に従って1日を日没から始まるとしていることから6日夜から7日に掛けて祝われる。

 ロシアの『スプートニク』通信によると、モスクワおよび全ロシア総主教キリルは伝統に従い、モスクワにある救世主ハリストス大聖堂で降誕祭の祈祷を執り行った。祈祷には数千人が訪れた。

 降誕祭が祝われている7日、モスクワにある正教会の数百の教会と、世界中にあるモスクワ総主教庁系の数万の教会で、祈祷が行われた。

 ロシアのウラジミール・プーチン大統領は、トベリ州トゥルギノヴォ村の生神女庇護聖堂を訪れ、降誕祭の祈祷に参列した。プーチン大統領の両親は、同聖堂で洗礼を受けている。大統領は2011年にも同聖堂を訪れた。


◎「キリストの誕生は人々を歓喜に導くこと」とコプト教会教皇

 【CJC=東京】コプト正教会の首長、タワドロス2世教皇は、1月7日の降誕祭に際して、「キリストの誕生の主な目的の一つは人々を歓喜に導くこと」とする回勅を発表した。

 「わたしたちの主イエス・キリストは全ての人の心に喜びを満たすために来た。生誕に於ける喜びの最初の要素は処女聖マリアだ。彼女はその義と純心とでわたしたちに喜びを満たす。誰も、義と純心がなければ喜びに満たされることはない」と教皇は記している。

 カイロのコプト教会聖マルコ大聖堂で行われた降誕祭聖礼典には、前年に引き続きアブドル・ファッターハ・エルシーシ大統領が参列した。


◎キリスト教一致祈祷週間、18日から25日まで

 【CJC=東京】「キリスト教一致祈祷週間」が1月18日〜25日開催される。同週間は、諸教会の間で毎年行なわれるもので、「すべての人を一つにしてください」(ヨハネ17・21)という最後の晩餐でのイエスの祈りを思い、同じキリスト者として、共に祈り、分かち合い、一致の精神を示すことを目的としている。

 2016年度は、ラトビアのキリスト教諸教会のグループによって「主の力あるわざを、広く伝えるために招かれて」(参考:=1ペトロ2・9)がテーマとして選ばれた。

 カトリック教会では、教皇フランシスコが「キリスト教一致祈祷週間」最終日の25日夕方、ローマ市内の城壁外の聖パウロ大聖堂(サン・パウロ・フォーリ・レ・ムーラ)でエキュメニカルな祈りの集いを行う。


◎「家族に会いたい」と北朝鮮で服役のカナダ人牧師

 【CJC=東京】北朝鮮で昨2015年拘束され、体制転覆を図った罪で年末に終身刑を言い渡された韓国系カナダ人のイム・ヒョンス牧師(60)が、このほど初めて外国報道陣との会見に臨んだ。

 米メディア『CNN』によると、会見前の30分間、報道陣は北朝鮮当局に、本人の率直な声が聴きたいと交渉を申し入れた。だが会見の形式は変えられないというのが、当局の答えだった。

 イム牧師は昨年12月の裁判以来、この収容所で強制労働を科されている。ほかに収容者はいないとみられ、姿を見かけたことがないという。週に6日、休憩つきで1日8時間、収容所の果樹園にりんごの木を植える穴を掘る。常時2人の看守に監視され、外界との接触はない。

 何か欲しいものがあるか、との質問に「あまりない。ただ聖書を希望しているのだが、まだ届かない」と答えた。さらに家族からの手紙を切望していると話す。家族からはこれまでに2回の手紙と、好物のドライフルーツが送られてきた。

 イム牧師は1986年に韓国からカナダへ移住。トロントの教会で牧師を務め、北朝鮮には100回以上渡航していた。昨年1月末に中国経由で北朝鮮入りしたのも、通常の人道支援プロジェクトが目的だったとされる。

 「あなたが犯した最大の罪は、北朝鮮の最高指導者を悪く言ったことだと思うか」との質問には「そう思う」と答え、「いつか帰還できるよう願っている」「家族や教会のメンバーにもう一度会いたい」と話した。


◎「ゴッド・ブレス・アメリカ」も小学校で斉唱取り止め

 【CJC=東京】米大統領の就任式でも歌われ、「第二の国歌」とも呼ばれる「ゴッド・ブレス・アメリカ」を生徒の団結のために校庭で歌わせていたニュージャージー州の公立小学校が、違憲だとの指摘を受け、取り止めた。ネットメディア『クリスチャン・ヘッドラインズ』が『フォックス・ニュース』の報道として伝えている。

 ニュージャージー州ハッドンハイツのグレンビュー小学校は、911同時多発テロ事件以後、生徒を運動場に集め忠誠の誓いを斉唱することを始めた。斉唱の最後に、教師が「ゴッド・ブレス・アメリカ」を唱えるよう指導していた。

 同校のサム・サッサノ校長は、斉唱は全く自主的なもので、参加しない生徒は黙って立っていてもよいのだ、と言う。

 これに注目したのが『米市民自由連合』(ACLU=アメリカ自由人権協会)ニュージャージー支部で、「憲法修正第1条は、1宗教を他の宗教より優遇することを禁じているが、それは宗教を非宗教より優遇することにも適用される」とする書簡を学校区の地方検事に送付した。「学校の配慮や権威の下にある感じやすい年齢の子どもには、学校、特に小学校で政府の優遇措置を露わにしないよう最大の配慮をしなければならない」としている。

 これに対しサッサノ校長は、愛国的な伝統を守れなくなるのは遺憾だが、費用のかかる訴訟は避けることにした、と語った。突然の措置に父兄は混乱している。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(年頭休刊)=https://www.cwjpn.com
 =キリスト新聞(年頭休刊)=https://www.kirishin.com
 =クリスチャン新聞(年頭休刊)=https://クリスチャン新聞.com

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