世界キリスト教情報

世界キリスト教情報

世界キリスト教情報 第1310信(2016.02.29)

  • 中国がキリスト教へ抑圧強化、弁護士に「ざんげ」迫る
  • 北朝鮮で拘束の米大学生が「政治スローガン盗んだ」と告白
  • 難民など受け入れは各国が公平分担を、と教皇
  • 教皇が世界の子どもからの質問に答える本
  • 『インスタグラム』創業者と教皇が「団結」めぐり会談
  • イタリア上院が同性カップル権利法を可決
  • ジョットのフレスコ画の希少な複製がルーマニアの教会廃墟で
  • 『スポットライト=世紀のスクープ』がアカデミー賞作品賞
  • ≪メディア展望≫

◎中国がキリスト教へ抑圧強化、弁護士に「ざんげ」迫る

 【CJC=東京】中国共産党・政府は沿岸部の浙江省で、キリスト教会の屋根に取り付けられた十字架を強制撤去したり、撤去に抗議する信徒を相次ぎ拘束したりするなど抑圧を強めている。時事通信によると、同省温州市の政府系サイト『温州網』は2月25日、十字架撤去に抗議する教会や信徒を支援し、昨年8月に拘束された人権派弁護士・張凱氏が温州で信徒の抗議集会を画策・組織したと報じた。張氏が当局に迫られ、「社会秩序を混乱させ、国家の安全に危害を与えた」として「ざんげ」したとする映像も放映された。

 昨年8月25日に連行されたキリスト教徒の張弁護士は、十字架撤去に抗議する温州の100以上の教会の委託を受けて法律顧問に就き、約30人からなる弁護団を結成した。『温州網』によると、張氏は「15年7月以降に温州の街頭などで行われた10件以上の違法集会活動を裏で画策した」ほか、「海外組織から資金援助を受け、海外の指令を直接執行した」とされている。


◎北朝鮮で拘束の米大学生が「政治スローガン盗んだ」と告白

 【CJC=東京】北朝鮮の国営朝鮮中央通信(KCNA)は2月29日、同国で1月から身柄を拘束されている米国人大学生が、北朝鮮の政治スローガンが記された掲示物を盗んだことを認めたと報じた。窃盗は米教会関係者の指示で行ったという。

 大学生は、米バージニア大学のビジネス専攻の3年生オットー・フレデリック・ワームビア氏(21)。昨年12月にツアー旅行で北朝鮮を訪問し、出国間際に当局に身柄を拘束された。

 KCNAによると、ワームビア氏は29日に平壌市内の人民文化宮で、北朝鮮メディアと外国人記者らの前で「記者会見」する機会を与えられた。その冒頭で同氏は、ツアー旅行で宿泊した平壌市内の羊角島国際ホテル2階のスタッフ専用エリアから、1月1日早朝、政治スローガンの書かれた掲示物を取り外したと告白したという。

 ワームビア氏は、米オハイオ州ワイオミングのフレンドシップ合同メソジスト教会の関係者から、政治スローガンが掲示された物を盗み出すよう指示されたと説明している。この教会関係者はワームビア氏の友人の母親で、「戦利品」として政治スローガンを持ち帰れば1万ドル(約110万円)相当の中古車を譲ると約束したという。

 「この任務の目的は、北朝鮮国民のやる気と労働意欲をそぐことだった。非常にばかげた目的だった」とワームビア氏は述べたとされる。同氏が持ち出したスローガンは、北朝鮮の人々に「祖国の体制を愛せよ」と促す内容だったという。

 米CNNテレビが放映した動画には、むせび泣くワームビア氏が「人生で最悪の過ち」を犯したと述べ、解放を訴える姿が映っていた。


◎難民など受け入れは各国が公平分担を、と教皇

 【CJC=東京】教皇フランシスコは2月28日、シリアなどからヨーロッパにたどり着いた難民や移民の受け入れを各国が公平に分担すべきだと訴え、シリアでの停戦によって和平に向けた対話が実現することに期待を示した。

 教皇は、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ広場で行われた日曜日恒例の祈りの集いで、大勢の信者を前に演説、シリアなどからヨーロッパにたどり着いた難民や移民の受け入れについて、「ギリシャなどが寛大な支援を行っている」と指摘したうえで、「受け入れは各国がともに行うことで効果的になる。負担は公平に分担すべきだ」と訴えた。

 ギリシャに到着した難民や移民の移動ルートになっているヨーロッパの一部の国で、流入を抑える動きが強まっていることに懸念を示したものと見られる。

 また教皇は、シリアでアサド政権と反政府勢力の間の停戦が発効したことを歓迎、「このかすかな光が、内戦で苦しむ人々の苦痛を軽減できるよう、全員で祈ろう」と呼びかけた。


◎教皇が世界の子どもからの質問に答える本

 【CJC=東京】教皇フランシスコが世界の子供たちの質問に答えた本、「親愛なるフランシスコ教皇」を出版する。軽いものから重たい質問まで、平易な言葉で回答した。3月1日に、シカゴのロヨラ・プレスが刊行する。

 修道会イエズス会がイタリアで発行している総合雑誌『チビルタ・カットリカ』編集長のアントニオ・スパダロ神父の発案で実現した。ロヨラ・プレスは、教皇の同意を得て、世界各地の子どもたちに、教皇へ手紙を書くよう呼び掛けた。26か国から寄せられた250通は、6歳から13歳の子どもが14言語で書いたもの。その中から50通の質問を選んで教皇に伝え、30通について、昨年8月、90分間の会見の際に口頭の回答を書き取ったという。同神父は、教皇の2013年就任後初めて教皇にインタビューを行っている。

 ケニアのナターシャ(8)は、イエスが湖面を歩いたとされる聖書の逸話の説明を求め、教皇は「神には何でもおできになる」と答えた。ポーランドのバシア(8)は、自分と同じ年齢のころ将来何になりたかったかと質問。教皇は肉屋になりたかったと答えている。

 このほか、一度だけ奇跡を行えるとしたら何をするかとの質問には、病気の子どもたちを治したいと答えた。シリアのモハメド(10)は、美しい世界が再び戻ることはあるかと質問。教皇は、苦しみは永遠に続くものではないと答えている。

 ルカ(8)というオーストラリアの子の質問は答えるのが難しそうに見えた。「僕のお母さんは天国にいるの。お母さんに天使の羽根は生えるのかな」。教皇の答え。「生えないよ。だけど君のお母さんは、微笑んで君をとても愛しているからもっと美しくなっているよ」。

 ロヨラ・プレスは、英語版とスペイン語版を発行するが、ブラジル、インドネシア、スロヴェニア、メキシコ、インドでも出版計画が進んでいる。


◎『インスタグラム』創業者と教皇が「団結」めぐり会談

 【CJC=東京】世界で4億人が利用する画像共有スマホアプリ『インスタグラム』共同創業者兼最高経営責任者(CEO)のケビン・シストロム氏が2月26日、バチカン(ローマ教皇庁)で教皇フランシスコに接見し、国境や文化、世代を超え人々を団結させる「イメージの力」について話し合った。

 『インスタグラム』によると、シストロム氏は接見の際、『インスタグラム』に投稿された写真から選ばれた10枚をまとめた写真集を教皇に贈った。これらの写真は、中東の移民の苦境や、昨年のネパール地震、北極での気候変動の影響などを写したもの。世界中で困難に立ち向かう人々を団結させるイメージの力を表したという。

 シストロム氏は接見後、自身のインスタグラムアカウントに写真を投稿し、「私たちは異なる文化・言葉を越えて人々を一つにする、イメージの力について話した。今までの人生の中でも最も忘れられない経験の一つになった」とコメントし、教皇と一緒に写っている写真を投稿した。


◎イタリア上院が同性カップル権利法を可決

 【CJC=東京】イタリア上院は2月25日、結婚に準じた権利「シビルユニオン」を同性カップルに認める法案を、賛成多数で可決した。今後、下院で審議される。

 「シビルユニオン」は、同性同士のカップルにも、法律婚と同様に遺産相続や養子縁組、養育などの法的権利を認めるもの。この日の採決の結果は、賛成173、反対71だった。マッテオ・レンツィ首相は「歴史に残る日になる」と語った。

 イタリア憲法は家族を「婚姻に基づく自然な共同体」と規定しており、西欧主要国の中で唯一、同性婚や「シビルユニオン」を公的に認知する制度がない。

 イタリア司教協議会のパオロ・ジェンティーリ神父は「法案では、同性パートナーが以前の異性配偶者との間にもうけた継子が養子となるケースが想定され、受け入れられない」と指摘するなど、反対派の抵抗で、当初の法案に含まれていた養子に関する条項が削除された。このため同性愛団体の反発が強まった。

 欧州人権裁判所は2015年7月、イタリア政府に対し、同性カップル3組に婚姻やそれに準じるパートナー関係を認めなかったことは人権侵害にあたるとする判決を下し、イタリア政府に損害賠償の支払いを命じている。


◎ジョットのフレスコ画の希少な複製がルーマニアの教会廃墟で

 【CJC=東京】AFP通信によると、ルーマニア・トランシルバニア地方の小村にある教会廃墟で発見されたフレスコ画の一部は、イタリア絵画の巨匠、ジョットの傑作を中世に複製した非常に珍しい作品だと、ハンガリー人の歴史家が主張している。

 ハンガリーの首都ブダペストに拠点を置く文化遺産保護団体『イシュトバン・モラー財団』のシラード・パップ氏が、AFPの取材に応じ、ルーマニアの首都ブカレスト北西430キロにあるジェルナ村の教会に残っていたフレスコ画の一部は、バチカンのサンピエトロ大聖堂の装飾として使用されたジョットのモザイク画「小舟(ナビチェッラ」を14世紀に複製した作品の一部だと述べた。

 キリストが船に乗った使徒らの前で水面を歩いている様子を描いた同作品は、ジョットが1300年ごろに制作したもので、10×14メートルの大作。14世紀の複製で現存するものは、これまでフランスのストラスブール、イタリアのフィレンツェとピストイアにある作品しか確認されていない。今回ルーマニアで発見されたフレスコ画について「これは間違いなく4作目」と言う。

 パップ氏は「あの大作の複製が当時、ローマから遠く離れた小さな村のカトリック教会で制作されていたとは驚くべきことだ」として、「このフレスコ画を誰がどうやって描いたかという謎は永久に解けないかもしれない」と付け加えた。


◎『スポットライト=世紀のスクープ』がアカデミー賞作品賞

 【CJC=東京】第88回アカデミー賞授賞式が2月29日、ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われ、米紙『ボストン・グローブ』がカトリック神父による児童1000人以上への性的虐待を明るみに出したスクープの映画化『スポットライト=世紀のスクープ』が作品賞を受賞した。

 受賞スピーチでプロデューサーらは、「この映画は被害者に声を与えた。この声がバチカンにも届くことを期待している」と語った。

 日本では、4月15日から東京を始め全国で順次公開される。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(2月28日)=https://www.cwjpn.com
★教皇、メキシコを訪問=先住民と移住者に寄り添う
★密売組織の拠点モレリア=暴力への抵抗求める
★米との国境で訴え=教皇 移住者問題の改善求める
★臨時司教総会=次期人事など決定=「いつくしみの特別聖年」ミサも
★全国の司教がミサ=特別聖年と震災5周年で=東京

 

 =キリスト新聞(2月27日)=https://www.kirishin.com
★2・11=改憲の瀬戸際で平和語る=「信教の自由を守る日」各地で集会
★北東アジア非核兵器地帯の設立へ=宗教者が声明発表、賛同呼び掛け
★〝信仰のゆえに抵抗しなければ〟=日基教団埼玉地区2・11集会に山口陽一氏
★青年3人が政治との関わり方を吐露=西東京教区〝この地上をあきらめない〟
★教皇とロシア正教会総主教が会談=会談は合同につながらぬ、とバチカン研究者

 

 =クリスチャン新聞(2月28日)=https://クリスチャン新聞.com
★各地で2・11集会=「第50回靖国国営化2・11東京集会」で朝岡勝氏警鐘=憲法改正 現実味帯び
★本場ハワイで初開催=フラでジーザスストーリー=フラ・グレイス フェスタ2016 in ハワイ
★「9条堅持」を神の使命として=同盟基督「信教の自由セミナー」で稲正樹氏講演
★教派性失えば塩気なくなる=「JECA関東三地区2・11集会」で上中栄氏講演
★クリスチャン映画=5月から9週間連続公開


 ◆世界キリスト教情報◆ご案内

☆ニュースレター(PDF)・メールマガジン(整形テキスト)・同報メール(無整形テキスト)などのお申し込み・お問い合わせは ckoriyama★gmail.com までご連絡ください。活動自体のご案内もいたします。アドレスの★印は半角の@に置き換えてください。
☆既刊号は下の各サイトでご覧いただけます。
・ニュースレター=PDF
https://www.evernote.com/pub/cjcpress/skjweekly/
・メールマガジン
https://blog.livedoor.jp/skjweekly/
・同報メール
https://cjcskj.exblog.jp/
☆記事検索は『教会と神学』(小原克博氏制作)をご利用ください
https://www.kohara.ac/church/
........................
☆CJC通信(メディア向けですが、どなたでもお読みいただけます)
https://blog.livedoor.jp/cjcpress/
☆CJC通信速報(Twitterを利用しています)
https://twitter.com/cjcpress/
☆RSSご利用の際は
https://blog.livedoor.jp/cjcpress/index.rdf

月別の記事一覧