世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1355信(2017.01.09)

  • ロシア正教会の降誕祭は6日深夜に
  • トランプ新大統領の就任式典に聖職者6人が参画
  • 米国が無宗教・無神論も平等に扱うことに。国連関係者も歓迎
  • イラク首都バグダッドでテロ、39人死亡
  • 教皇「憎しみと暴力にノー」とトルコ銃乱射で弔意
  • 仏大統領選でカトリック信仰を隠さないフィヨン元首相
  • 昨年末のムスリム暴徒ニュースは「偽」?
  • 「ひどい風邪」のエリザベス英女王は快方に
  • ≪メディア展望≫

 

◎ロシア正教会の降誕祭は6日深夜に

 【CJC】1月6日から、7日にかけての深夜、ロシアではハリストス(キリスト)降誕祭が祝われた。20世紀初頭、ロシア正教会がユリウス暦から新しいグレゴリウス暦に移行せず、新暦を採用しなかったことから、欧米など他のキリスト教国に比べ13日遅く祝われる。帝政ロシアにおいて、降誕祭は極めて重要な祝祭であり、祭日の重みとしては新年よりもはるかに上だった。

 ロシアのニュースサイト『スプートニク』(日本語版)は、1917年の革命後、その地位が変わってしまったとしている。ソ連時代、新年は、降誕祭が持っていた性格の中から、世俗的な家族のお祭りという部分を完全に自分の中に含んでしまい、降誕祭は何よりも正教信者のものとして扱われるようになった。

 しかしここ数年、人々は降誕祭に、ますます多く教会を訪れるようになり、この祝祭日が持つ宗教的な意味を思い出している。モスクワにあるロシア正教最大の寺院『救世主ハリストス大聖堂』での降誕祭の礼拝には、毎年5千人を超す人達が集まっている、と『スプートニク』は言う。

 『スプートニク』は、「ハリストス週間」にちなみ、ロシア正教会の聖職者で同時に、著名な画家でもあるゲオルギイ・パルフョーノフ神父に、リュドミラ・サーキャン記者が行ったインタビューを紹介している。

 ロシアでは、降誕祭は、新年の後に迎える。そうした事から、多くの人たちにとって、降誕祭のお祝いは、年明けから続く宴席やお祭りに単にピリオドを打つものになっているようだが、という記者の問いかけに、神父はもう20年以上聖職者として働いているが、新年を自分の家族と祝わない。それは主要な祝祭が降誕祭だから、と言う。

 多くの人たちが寺院を訪れ、洗礼を受け、イコンの前にロウソクを灯すが、キリスト教徒とは何たるか、真の信仰とは何かについて知識がない。そこで聖職者は、たくさんの仕事に取り組む。説明し啓蒙し、生きる模範としてキリスト教徒としての行動を示さなくてはならない、と語る神父。

 ロシア正教会の降誕節は、暦の違いによって、問題の所在を改めて浮き彫りにしている。


◎トランプ新大統領の就任式典に聖職者6人が参画

 【CJC】米国の首都ワシントンで1月20日、ドナルド・トランプ新大統領候補とマイケル・ペンス新副大統領候補の2人が、第58代大統領・副大統領としての就任式を行うのを控え、式典に参画する聖職者が明らかになった。

 就任式準備委員会から発表されたのは、カトリックのティモシー・ドーラン枢機卿(ニューヨーク大司教)、ユダヤ教のラビ・マービン・ハイヤー(ユダヤ人抑圧監視団体『サイモン・ウイゼンタール・センター』の創設者)、アフリカ系市民に向け「プロスペラス・ゴスペル」を唱導するウエイン・T・ジャクソン牧師、スペイン系市民への伝道に力を入れているサムエル・ロドリゲス牧師(『ナショナル・ヒスパニック・クリスチャン・リーダーシップ』創設者)、救援活動団体『サマリタン・パース』運動のフランクリン・グラハム牧師(『ビリー・グラハム伝道協会』会長)、女性テレビ伝道者ポーラ・ホワイトさん(『ニュー・デスティニー・クリスチャン・センター』牧師)の6人。

 同委員会のトム・バラック委員長は「多彩な信仰の指導者が、トランプ氏の就任式で聖書朗読や祈祷を行い、わたしたち多文化で活力のある国で宗教信仰が重要な役割を果たしているのは名誉なこと」と語った。

 6人の中でもホワイト牧師とグラハム牧師は、トランプ大統領実現に大きく貢献したと見られている。


◎米国が無宗教・無神論も平等に扱うことに。国連関係者も歓迎

 【CJC】バラク・オバマ米大統領は12月23日、『国際信教の自由法』の修正条項に署名した。この修正により無宗教・無神論も平等に扱うことが求められることとなった。

 米国憲法修正第1条は、国教を定めたり自由な宗教活動を禁止する法律を制定してはならない、としているが、国の成立の経緯からプロテスタント・キリスト教が国教であるかのような雰囲気が社会に漂っている。

 様々な書類で「宗教」とか「信仰」という項目に「無宗教」とか「無神論」と記入することに躊躇するとか、無神論者の生徒が学校で開催される行事における祈りの時間があることを抗議し、学校側もそれを認めて祈りの時間を外したところ、その抗議をした生徒が特定されていじめや脅迫にあうという事件も起こり得る。

 このような状況の中でのオバマ大統領の署名に、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の『宗教や信仰の自由に関する特別報告者』にこのほど就任したアーメド・シャヒード氏は28日、歓迎の意向を表明した。


◎イラク首都バグダッドでテロ、39人死亡

 【CJC】共同通信が、中東の衛星テレビ『アルジャジーラ』報道によるとして、イラクの首都バグダッドのイスラム教シーア派地区で1月2日、自動車爆弾による自爆テロがあり、少なくとも39人が死亡、57人が負傷した、と報じた。

 スンニ派系過激組織『イスラム国』系のニュースサイトは2日、「自動車爆弾による殉教作戦で約40人が死亡した」と伝えた。事実上の犯行声明と見られる。

 アルジャジーラによると、自爆犯はピックアップトラックを運転し青果店などが並ぶ青空市場に突入、トラックごと自爆した。『イスラム国』はシーア派を異端視している。


◎教皇「憎しみと暴力にノー」とトルコ銃乱射で弔意

 【CJC】カトリック教会が「世界平和の日」と位置づけている1月1日、教皇はバチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ広場での祈りの集いで、トルコ・イスタンブールで起きたテロの犠牲者に弔意を表明し、国際社会に行動を促した。

 教皇は、広場に集まった約5万人の信徒らに「テロの災い、すなわち、恐怖と喪失の影で世界を覆う血痕に対して、勇気を持って立ち向かう」よう呼びかけ、「憎しみと暴力にノー、兄弟愛と和解にイエスを言うことで平和が構築される」と訴えた、と毎日新聞は報じている。


◎仏大統領選でカトリック信仰を隠さないフィヨン元首相

 【CJC】フランスの次期大統領候補フランソワ・フィヨン元首相(62)は昨2016年8月、「聖母の被昇天」を祝うためソレーム修道院(ベネディクト会)のミサに参加し注目を集めた。7月26日に西部ルーアン近郊サンテティエンヌ・デュルヴレで過激派がカトリック教会のジャック・アメル司祭を殺害した直後のことだった。

 「彼は自分がカトリック教徒である事実を隠していない」。数千人のフランス人カトリック教徒で構成される草の根団体『サンス・コマン』を率いるクリストフ・ビラン氏は、こう語る。

 個人信仰と公職との厳格な分離(ライシテ)が国家のアイデンティティーの支柱となっているフランス。しかし、同性婚の合法化から、より最近ではイスラム過激派による一連のテロ攻撃に至るさまざまな出来事が重なったため、多くの保守派有権者はキリスト教の遺産を「防御壁」として捉えるようになっている、と米紙『ウォールストリート・ジャーナル』(日本語電子版)。

 こうした風潮を巧みに捉え、フィヨン氏は大統領に出馬。自らの信仰を公にすることで、強力な組織票となりつつあるカトリック有権者の琴線に触れてきた。11月27日に実施された保守派予備選で、フィヨン氏はカトリック教徒から圧倒的な支持を得ている。

 予備選で投票した有権者の3分の2以上が出口調査で自分をカトリック教徒だと述べたが、フィヨン氏の圧倒的勝利に貢献したのはこうした有権者たちだった。調査会社『オピニオンウェイ』によると、定期的にミサに参加するカトリック教徒の83%がフィヨン氏に投票したと答えたばかりか、信仰非実践的なカトリック教徒でも68%が同氏を支持したという。

 今年4〜5月の大統領選本選では、カトリック教徒の票がこれまで以上に重要な役割を果たす勢いを示している。決選投票ではフィヨン氏と、反移民・反ユーロを掲げる極右政党『国民戦線』を率いるマリーヌ・ルペン氏とが対決すると見られている。


◎昨年末のムスリム暴徒ニュースは「偽」?

 【CJC】AFP通信によると、米超保守系ニュースサイト『ブライトバート・ニュース』が、昨年末、「事件発覚:暴徒1000人が大みそかに警察署襲撃、ドイツ最古の教会に放火」という記事を掲載した。

 この記事は、「アッラー・アクバル」(神は偉大なり)と繰り返し唱える男たちが警察署に向かって花火を打ち上げ、由緒ある教会に放火し、「国際テロ組織『アルカイダ』やイスラム過激派組織『イスラム国』と協力関係にある「自由シリア軍の旗を囲んで」集会を開いたとしている。

 しかし、独西部ドルトムントの現地紙『ルール・ナハリテン』は、『ブライトバート・ニュース』が複数の無関係な事件を結び付けて誇張し、混沌とした状況とテロリズムを賛美する外国人というイメージをねつ造したと非難している。

 同紙によると、軌道をそれた花火による火災は実際にはボヤで、約12分後に消火され、教会の足場を覆っていた網が燃えただけだった。火は屋根まで回っていなかった上に、この教会はドイツ最古の教会でもないという。

 日刊紙『ビルト』は、ドナルド・トランプ次期米大統領が『ブライトバート・ニュース』会長だったスティーブ・バノン氏を自らの政権の首席戦略官・上級顧問に指名したことから、さらに問題が待ち構えていると見ている。

 同紙は、『ブライトバート・ニュース』がドイツ語とフランス語のサイト開設を計画しているとも報じている。


◎「ひどい風邪」のエリザベス英女王は快方に

 【CJC】英国のエリザベス女王は1月8日、東部ノーフォークのサンドリンガムの教会で行われた礼拝に出席した。昨年末に「ひどい風邪」をひき、恒例のクリスマスの礼拝などを欠席して以降、女王が公の場に姿を見せるのは初めてで、順調に回復していることが確認された。

 昨年90歳の誕生日を迎えた女王。例年クリスマス前から新年にかけてサンドリンガムの邸宅で過ごすが、風邪を理由にクリスマスや新年の礼拝を欠席し、健康状態が懸念されていた。

 
《メディア展望》

 =カトリック新聞(1月8日・年始休刊)=https://www.cwjpn.com

 =キリスト新聞(年末年始特別発行態勢)=https://www.kirishin.com

 =クリスチャン新聞(1月1日・8日合併号)=https://クリスチャン新聞.com

 
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