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世界キリスト教情報 第1357信(2017.01.23)

  • 米大統領就任式典で装われた「キリスト教国」の困惑
  • キング牧師の子息がトランプ次期大統領と面会
  • キング牧師の娘は「神はトランプ氏に勝つ」
  • 教皇がトランプ氏に貧者救済を要請
  • ポピュリズムは「ヒトラー生む」と教皇
  • 教皇がドゥテルテ比大統領を祝福へ
  • 教皇がブラジルで「既婚司祭」の聖務を容認も
  • 米で話題のメガチャーチ牧師エディー・ロング氏死去
  • ≪メディア展望≫

 

◎米大統領就任式典で装われた「キリスト教国」の困惑

 【CJC】ドナルド・トランプ新大統領の就任に際し、全米で大規模な抗議デモが行われるという極めて異例な事態は、米国における宗教の存在への懸念を改めて示すことにもなった。これまで宗教には無関心であるばかりか、特にキリスト教には批判的な姿勢を露わにしていたトランプ氏が、就任式典の一連の過程であたかも忠実な信徒のように振るまう姿勢には、その場に居合わせた各派指導者も戸惑ったのではないか。

 第58代大統領に就任する1月20日の朝、ドナルド・トランプ一家は、『セント・ジョン・エピスコパル教会』で祈祷会を行っていた。聖公会の同教会は、ホワイトハウスとはラファイエット広場を挟んだ向かい側にある。ロバート・ジェフレス司祭が説教したという。

 11時から連邦議事堂で開かれた就任式では、ティモシー・ドーラン枢機卿(ニューヨーク大司教)、サムエル・ロドリゲス牧師(『ナショナル・ヒスパニック・クリスチャン・リーダーシップ』創設者)、女性テレビ伝道者ポーラ・ホワイトさん(『ニュー・デスティニー・クリスチャン・センター』牧師)、ラビ・マービン・ハイヤー(ユダヤ人抑圧監視団体『サイモン・ウイゼンタール・センター』の創設者)、フランクリン・グラハム牧師(『ビリー・グラハム伝道協会』会長)、アフリカ系市民に向け「プロスペラス・ゴスペル」を唱導するウエイン・T・ジャクソン牧師らが登壇した。

 大統領は就任から一夜が明けた21日朝、聖公会の『ワシントン大聖堂』で行われる恒例の超教派祈祷会を訪れ、キリスト教やユダヤ教、イスラム教など、さまざまな宗教の聖職者が祈りをささげる伝統行事に参加した。教皇の顧問格とされるワシントン大司教ドナルド・ワール枢機卿も参列した。

 一方で、ワシントンをはじめ、ニューヨークやボストン、シカゴ、ロサンゼルスなど、全米各地で新大統領に反発するデモが行われ、参加者は合わせて数百万人に上った模様。

 ワシントンでは多くの著名人もデモに参加しており、呼びかけ人の女優アメリカ・フェレーラさんは「胸が締めつけられる思い。ともに立ち上がらなければ、私たちの自由と安全が失われてしまうかもしれない」と述べ、トランプ新大統領に強い警戒感を示した。

 歌手のマドンナさんも、「変革はここから始まる。私たちが自由で平等であり続けるために闘おう」と訴えた。


◎キング牧師の子息がトランプ次期大統領と面会

 【CJC】米国の人権活動家マーチン・ルーサー・キング3世とドナルド・ トランプ次期米大統領が1月16日、ニューヨークで面会した。

 同日はキング氏の父で公民権運動の指導者だった故キング・ジュニア牧師の誕生を記念する祝日となっている。

 キング氏は報道陣に、「米国を一つにすることを目標にしなければならない」と語った。特に「満足に機能しない投票制度」に関して「非常に建設的な会話」をしたと言う。


◎キング牧師の娘は「神はトランプ氏に勝つ」

 【CJC】米公民権運動の黒人指導者、故マーチン・ルーサー・キング牧師をたたえる祝日の1月16日、同牧師の末娘バーニス・キングさんはアトランタの集会で「神はトランプ氏に打ち勝つ」と訴えた。

 牧師の長男キング3世は、ニューヨークでトランプ次期米大統領と面会し、「私たちの目標は米国を一つにすること」と融和的な姿勢を見せた。

 ロイター通信によると、キング牧師の子供たちのコメントは、公民権運動の闘士として知られ、現代のキング牧師とされる民主党のジョン・ルイス下院議員がトランプ氏を正当な大統領とみなさないと批判し、トランプ氏は軽蔑的な発言で反撃するなど、2人の間で争いが生じている最中に行われた。

 バーニスさんは、アトランタの教会で行われた集会で、希望を捨てず、「ホワイトハウスに座る人を恐れないで」と訴えた。「神はトランプ氏に打ち勝つ」と述べた際には、スタンディング・オベーションを受け、喝采の嵐に演説が中断される場面もあったという。


◎教皇がトランプ氏に貧者救済を要請

 【CJC】教皇フランシスコは1月20日、ドナルド・トランプ米大統領に就任を祝うメッセージを送り、貧者や見捨てられた人々の救済に取り組むよう要請、「あなたの決断が崇高で倫理的な価値によって導かれることを祈る」と述べた。ロイター通信などが伝えた。

 教皇はメッセージで「多くの人類の家族が深刻な人道危機に苦しんでいる」とし、その対処には「団結した政治的対応が必要」と強調した。

 教皇は「深刻な人道危機が各地で続く中、将来を見据えながら、一致した政治的対応を取ることが必要だ」と指摘、「豊かな精神的、倫理的価値」に基づいて大統領が政策決定を下していくはずだと期待を語った。

 ただ教皇は、メキシコ国境での壁建設などを主張するトランプ氏について昨年2月、「キリスト教徒ではない」などと批判しており、今回のメッセージ自体が内外に新たな懸念を呼び兼かねない。


◎ポピュリズムは「ヒトラー生む」と教皇

 【CJC】AFP=時事通信によると、教皇フランシスコは1月21日付のスペイン紙『パイス』に掲載されたインタビューで、ポピュリズム(大衆迎合主義)がナチス・ドイツの独裁者ヒトラーのような「救世主」を生み出すと警告した。

 教皇は、20日に就任したトランプ米大統領がこのような指導者かどうかについては、判断を下すのは時期尚早との見方を示した。

 教皇は「欧州のポピュリズムの例は(ナチス政権が誕生した)1933年のドイツだ」と指摘。「ドイツはアイデンティティーを取り戻す指導者を求め、そこに現れたのがヒトラーだった。彼は国民に選ばれ、国民を破滅させた」と述べた。

 さらに教皇は、当時のドイツがアイデンティティーを守るために「壁と有刺鉄線」で自国を防衛しようとしていたと語り、メキシコとの国境に壁を建設し不法移民の流入を阻止しようとするトランプ大統領の構想を批判した。


◎教皇がドゥテルテ比大統領を祝福へ

 【CJC】ロイター通信によると、フィリピンのジーザス・ドゥレザ大統領顧問は、教皇フランシスコが、フィリピン国民とドゥテルテ大統領を、神の加護を受けられるよう祝福すると語った。

 ドゥレザ氏は、毛沢東主義を掲げるフィリピンの反政府組織と政府の和平交渉を控えローマに滞在中。バチカン(ローマ教皇庁)で教皇と会い、2015年のフィリピン訪問を感謝するドゥテルテ大統領からの手紙を渡した。このとき、ドゥレザ氏が教皇に「フィリピンの人々を祝福してください」と言うと、教皇は「あなた方の大統領も祝福する」と応じたという。19日にテレビ放映されたサンピエトロ広場でのビデオクリップで明らかになった。

 ロイター通信報道の背景には、ドゥテルテ氏が2015年の教皇の訪問時にマニラで大渋滞が起きたことを受け、教皇を口汚く罵ったことがある。ドゥテルテ氏はその後謝罪し、発言は無能な当局者に向けたものだったと釈明した。


◎教皇がブラジルで「既婚司祭」の聖務を容認も

 【CJC】教皇フランシスコが、「既婚司祭」には禁止されていた聖務の再開を容認する可能性が出てきた。教皇の親友と目されるクラウディオ・フンメス枢機卿(サンパウロ名誉大司教)を初めとするブラジル司教団の「特別な要請」に答えようというもの。

 ブラジル出身で「解放の神学」で知られるレオナルド・ボフ氏(79)が、独日刊紙『ケルナー・シュタット・アンツァイガー』とのインタビューで、結婚するために職位を離れた元司祭らが再び司祭として奉仕できるよう、ブラジルの司教たちが教皇に要請、教皇はそれに答えようと、まず予備的、実験的にブラジル限定で開始する意向と聞いた、と明かした。

 カトリック教会は、司祭不足に加え、現職司祭の急速な高齢化に直面している。

 ブラジルには1億4000万人のカトリック信徒がおり、最低10万人の司祭が必要だが、現在わずか1万8000人しかいないという。「プロテスタントやペンテコステ派が信徒の飢えを満たしているのも当然なこと」と、ボフ氏。「数千人もの既婚司祭が聖務に戻ることができれば、事態改善の第一歩にはなる」。

 修道会『フランシスコ会』の元司祭ボフ氏は、個人的にはこのような変更は不要だという。今でも洗礼を授け、葬儀も執り行います。司祭のいない教会に行くときは、私がミサを執行している」。ボフ氏は、そうすることを批判されたり、禁じられたりしことは一度もないという。

 ボフ氏はインタビューの中で、レイモンド・レオ・バーク枢機卿をはじめとする、保守的な枢機卿らから批判されている教皇フランシスコを擁護した。ボフ氏はバーク枢機卿のことを「カトリック教会のドナルド・トランプ」と呼んでいる。


◎米で話題のメガチャーチ牧師エディー・ロング氏死去

 【CJC】米ジョージア州リソニアのメガチャーチ『ニューバース・ミッショナリー・バプテスト教会』牧師のビショップ・エディー・ロングが1月15日、ガン疾患で死去した。63歳。

 1953年5月12日、ノースカロライナ州ハンタースビル生まれ。87年、『ニューバース・ミッショナリー・バプテスト教会』に就任した時、同教会の信徒は約300人だったが、今では2万5000人を超えている。

 2010年、20歳代の男性教会員4人から「脅迫された」と訴えられた。4人とも10代前半の時に霊的な息子だと教え込まれ、金品、自動車などを供与された。17〜18歳になると性的関係を迫まられたという。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(1月22日)=http://www.cwjpn.com
★平和実現へ 対策挙げる=教皇=外交使節団への年頭演説で
★教皇の一般謁見講話=安易な成功は偶像にすぎない
★ローマに異例の寒波=教皇、路上生活者のため祈る
★韓国・プサン教区 土地売却="貧しい隣人"に寄付
★日系人初の大司教=ブラジルのアカミネ師

 

 =キリスト新聞(1月21日)=http://www.kirishin.com
★〝原発撤廃へ力を一つに〟=カトリック司教協議会社会司教委が出版記念シンポ
★中国で6年ぶりカトリック代表会議=バチカンとの融和持ち越し
★稲田防衛相と安倍首相の参拝に抗議=日基教団北海教区宣教部平和部門
★テル・レヘシュで初期シナゴーグ発見=天理大・立教大の調査団が報告会
★〝信徒こそが教会を支える時〟=真生会館でネラン神父を偲びミサとパーティー

 

 =クリスチャン新聞(1月22日)=http://クリスチャン新聞.com
★信仰強め宣教協力進める=JCE6の実=コイノニア・ネットワーク@神戸始動
★キリシタン弾圧下の踏み絵見つかる=堺市チャペル・こひつじ=「信仰の証し活用して」
★ララ物資70周年=船の到着日に記念フォーラム、ララ写真展開催=今度は愛を与える人に
★どう変わる?=新しい聖書 新改訳=内容概要を発表
★農業が廃れれば国は滅びる=化学肥料が大災害を招いた=コンソーシアム発足式で有機農業実践者講演

 
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