世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1371信(2017.05.01)

  • 教皇、エジプトの首都カイロを訪問
  • 教皇、コプト正教会のタワドロス2世と会談
  • 教皇、『平和のための国際会議』に出席
  • 教皇、エジプトのカトリック信者たちとミサ
  • 教皇、「朝鮮半島での危機解決に仲裁役が必要」と
  • ペルー公邸事件20年でミサ
  • イスラエル人口の75%はユダヤ人
  • 輪廻転生制のあり方でダライ・ラマ14世が予備協議へ
  • ≪メディア展望≫

 

◎教皇、エジプトの首都カイロを訪問

 【CJC】教皇フランシスコは4月28、29の両日、エジプトの首都カイロを訪問した。

 訪問は、エジプトのアブドゥル・ファタハ・アル・シーシー大統領、コプト正教会の教皇タワドロス2世、カイロ・アル=アズハル・モスクの大イマーム、アフマド・アル・タイーブ師、そして同国のカトリック司教の招待に応えるもの。

 教皇フランシスコの海外訪問(イタリアを除く)としては18回目、訪問国としては27カ国目になる。

 教皇は28日午前11時過ぎ、ローマ・フィウミチーノ空港(レオナルド・ダビンチ国際空港)をアリタリア航空特別機で出発、同日午後4時過ぎカイロ国際空港に到着した。

 空港では、シェリフ・イスマエール首相ら大統領使節や、宗教関係者が出迎えた。この後、教皇はカイロ市内の大統領官邸にアブドルファッターフ・アッ=シーシー大統領を表敬訪問。大統領と教皇の個人会談や、贈り物の交換を行った。続いて、教皇はアル=アズハル大学にアフマド・アル・タイーブ総長を表敬訪問した。


◎教皇、コプト正教会のタワドロス2世と会談

 【CJC】エジプトの首都カイロに4月28日到着した教皇フランシスコは、アブドゥル・ファタハ・アル・シーシー大統領、カアル=アズハル・モスクの大イマーム、アフマド・アル・タイーブ師らと会見した。

 続いて、コプト正教会総主教庁に、コプト正教会の第118代教皇、アレクサンドリアおよび聖マルコ大主教管区総主教、タワドロス2世を表敬訪問し、個人会談を行った。

 両教会の合同会見で教皇は、殉教者たちの流した無実の血においてキリスト者たちは一致すると強調。善を説き、愛徳の業を共にすることで、暴力に対抗しようと呼びかけた。

 行いや言葉を通したエキュメニズムだけでなく、わたしたちには洗礼に基づく、すでに具体化された交わりがあると教皇は指摘。キリスト者の完全な一致に向けた歩みは常にここから出発すると話した。

 この後、タワドロス2世と教皇の参加のもと、近くの聖ペトロ教会まで宗教行列が行われた。同教会は、2016年12月11日、テロ攻撃を受け、29人が犠牲になった。

 聖堂内で行われたエキュメニカルな祈りの集いには、世界教会協議会(WCC)のオラフ・フィクセ=トゥベイト総幹事はじめキリスト教諸教会の指導者も出席し、共に犠牲者のために祈り、平和を希求した。


◎教皇、『平和のための国際会議』に出席

 【CJC】エジプトの首都カイロを4月28日訪問した教皇は、カイロ市内のアル=アズハル大学の会議センターで開かれた、『平和のための国際会議』に出席した。

 同大学総長のアフマド・アル・タイーブ師は、会議冒頭、テロの犠牲者らを思い起こし、参加者らを1分間の黙祷に招いた。

 タイーブ総長は、基調講演で一部の者がイスラムについて誤った解釈をし、流血の惨事を引き起こしたという理由で、イスラム教はテロリズムの宗教であるということにはならないと述べ、平和や、環境保護のために共に働き、文明の衝突を広げる理論に共に対抗していこうと呼びかけた。

 タイーブ師より言葉を引き継いだ教皇は、エジプトの古来から続く偉大な文明と豊かな学術の歴史に言及。若い人々に、ふさわしい教育なくしては平和は築けないと語った。

 教皇は、対話の中でも特に宗教間の対話の重要性を強調。皆の未来は宗教・文化の出会いにもかかっているとの確信のもとに、わたしたちは常に共に歩むように招かれていると話した。さらに、宗教の違いは一つの国家共同体の中で相互の豊かさとなると指摘した。


◎教皇、エジプトのカトリック信者たちとミサ

 【CJC】教皇フランシスコは4月29日、訪問先のエジプトで、カトリック信者たちとミサを捧げた。

 エジプトは人口の大部分がイスラム教徒だが、およそ10%をコプト正教会の信者が、そして約0・31%をカトリック信者が占めている。

 エジプトのキリスト教の歴史は非常に古く、伝承によれば、使徒マルコがこの地にキリスト教を伝え、アレクサンドリアの初代総主教となった。

 エジプトのカトリック教会は、コプト典礼を中心に、アルメニア典礼、ラテン典礼、メルキト・ギリシャ典礼、カルデア典礼、マロン典礼、シリア典礼の、七つの共同体からなる。

 教皇ミサは、厳戒態勢の中、カイロ市内の空軍競技場で行われた。カトリック信者たちは、前日夜から会場に集まった。

 ミサの説教で教皇は、十字架から復活の真理に至るまでの経験を得ない者は、容易に絶望に陥ってしまうと述べ、神と出会うためには、まず自分が神に対して持っている限られたイメージを十字架につける必要があると話した。

 「復活の信仰から教会は生まれ、真の信仰はわたしたちをより愛徳に満ち、いつくしみ深く、正直で、人間的な者とします。その信仰は、対話の文化と、尊重、兄弟愛をわたしたちに守り、体験させる」と教皇は語った。

 「皆さんの心を復活の主の光に開くことを恐れないでください。復活の主に皆さんの不安を自分や他人のための前向きな力に変えていただきましょう」と教皇は話し、カトリック信者らを励ました。

 この後、教皇は、カトリック・コプト典礼の神学校で、エジプトの司祭・修道者・神学生らとの出会いを持った。

 2日間のエジプト訪問を終えた教皇は、同日夕、カイロ国際空港を出発、8時30分、ローマ・チャンピーノ空港に到着、バチカンに戻った。


◎教皇、「朝鮮半島での危機解決に仲裁役が必要」と

 【CJC】教皇フランシスコが、北朝鮮の核兵器開発をめぐり朝鮮半島で強まっている危機の解決に向け、アメリカと北朝鮮の間の仲裁を行う用意があることを明らかにした。

 教皇はエジプト訪問の帰途、専用機内で同行記者団に「朝鮮半島で戦争が勃発すれば、罪のない多くの人々の命が失われることになる。このため、世界の全ての指導者に対し、交渉での解決方法を見出すよう求める」と語った。

 教皇は「世界には自ら手を挙げる仲介役はたくさんいる。例えば、ノルウェーは助けの手を差し伸べられるだろう」とも述べた。


◎ペルー公邸事件20年でミサ

 【CJC】ペルー日本大使公邸人質事件が解決してから20年を迎え、首都リマの大聖堂で4月23日、元人質らが出席して事件の犠牲者らをしのぶミサが執り行われた。

 共同通信は、政府と左翼ゲリラとの仲介役を務めたフアン・ルイス・シプリアーニ枢機卿(当時大司教)が主催し「事件の生存者も死者もわれわれの記憶にとどめ、神のご慈悲を祈りましょう」と呼び掛けたと報じている。


◎イスラエル人口の75%はユダヤ人

 【CJC】69回目の建国記念日を前に、イスラエルで人口統計が発表された。現地紙『エルサレム・ポスト』によるとして、情報サイト『シオンとの架け橋』が報じた。

 現在の人口は868万人で、ユダヤ人は75%、アラブ人は21%。残りの4%余りは旧ソ連からの移民などユダヤ人と認められない人々となっている。


◎輪廻転生制のあり方でダライ・ラマ14世が予備協議へ

 【CJC】チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世(81)はこのほど、インド北東部アルナチャルプラデシュ州を訪問した際、現在のダライ・ラマ法王制度の存続の必要性について、チベット仏教指導者による協議を年内に始めたいとの考えを明らかにした。

 同州タワンで記者会見したダライ・ラマは、制度を存続させるかどうかは「チベット人次第だ」と従来の主張を繰り返す一方で、多くの人が厚い信仰心を持っているとして、制度存続に肯定的な考えも示唆した。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(4月30日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★信仰の恵み 感じ取れるのは 復活を驚き喜ぶ心=教皇の一般謁見講話
★教皇=現代の殉教者を顕彰=独裁政権やテロの被害者ら
★福者の牧童2人 列聖へ=教皇が 5月13日にファティマで
★入管で男性放置死=発熱・激痛でも適正治療なし
★「共謀罪」考える=宗教者ら議員会館で集会=東京

 

 =キリスト新聞(4月29日・休刊)=https://www.kirishin.com

 

 =クリスチャン新聞(4月30日)=https://クリスチャン新聞.com
★熊本・大分地震から1年=今も残る爪痕=イースターに復興の祈り=復活信じる者は「絶望が希望」に
★放送伝道・教会協力に尽力した羽鳥明氏記念式="そのスピリットを継承してこそ"
★牧師不足対応への組織改革=条例改正提案に議論交わす=イムマヌエル綜合伝道団第72次年会
★三重、鹿児島で教会開拓祈る=日本同盟基督教団第68回総会
★新役員と新規加入教会=日本福音自由教会協議会第56回総会

 
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