世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1381信(2017.07.10)

  • バチカン教理省新長官にフェレール大司教
  • 前ケルン大司教のヨアヒム・マイスナー枢機卿死去
  • 聖体拝領のパンに遺伝子組み換え作物使用認める
  • 教皇の従者宅で「同性愛男性らによるドラッグ乱交パーティー」
  • 「赤い悪魔」がドミニコ会司祭へ
  • トランプ氏が自身を賛美する聖歌をツイッターに投稿
  • トランプ大統領が乳児の尊厳死裁判で両親に支援申し入れ
  • カルデア典礼信徒に米国が強制送還?
  • 中国が末期がんの劉氏治療で米独医師受け入れ
  • 「アブラハムの墓所」含むヘブロン旧市街が世界遺産に
  • 英保守党議員、6番目の子どもに「シクスタス」と命名
  • ≪メディア展望≫

 

◎バチカン教理省新長官にフェレール大司教

 【CJC】教皇フランシスコは、バチカン(ローマ教皇庁)教理省新長官にスペイン人のルイス・ラダラ・フェレール大司教(73、同省次官)を昇進させた。現長官のゲルハルト・ミュラー枢機卿に2期目を任せる道は選ばなかった。

 フェレール大司教は、修道会イエズス会の神学者。2008年に当時の教皇ベネディクト16世によって同省次官に任命された。

 CNS通信によると、「5年間の長官としての務めを終えるにあたり、教皇フランシスコは、ゲルハルト・ルードビッヒ・ミュラー枢機卿に感謝を表した」と教皇庁声明は述べている。

 ミュラー枢機卿の新しい役職は発表されていない。69歳の枢機卿は司教としての通常の引退年齢まで、まだ5年以上残している。


◎前ケルン大司教のヨアヒム・マイスナー枢機卿死去

 【CJC】カトリック系のCNA通信によると、ドイツの前ケルン大司教ヨアヒム・マイスナー枢機卿が7月5日、ドイツ南東部のバートフュッシンクで死去した。83歳。

 ケルン大司教区は、カトリック教会の教区としてはドイツ最大で、欧州全体でも大教区の一つとして数えられる。

 日本の東京大司教区や上智大学との関係も深く、マイスナー枢機卿は同大の「名誉校友」とされている。

 1933年、当時ドイツ領のポーランド・ブロツワフ生まれ。62年にドイツ中部のエアフルト教区の司祭として叙階、75年に同教区補佐司教、80年にベルリン大司教、83年に枢機卿に任命された。

 89年に第94代ケルン大司教に就任し、80歳で引退が認められる2014年まで、25年間にわたって同大司教を務めた。

 教皇フランシスコは5日、現ケルン大司教のライナー・ヴェルキ枢機卿に電報で哀悼の意を伝えた。「マイスナー枢機卿は、教会に対する深い信頼と誠実な愛をもって、福音を伝えることに専念していました」と述べ、その功績をたたえた。

 マイスナー枢機卿は保守的として知られる。離婚や再婚をした信者に対して、よりオープンな姿勢を求めた教皇フランシスコの使徒的勧告「愛のよろこび」をめぐっては、他の引退枢機卿3人と共に昨年9月、公開の質問状を教皇に送っている。


◎聖体拝領のパンに遺伝子組み換え作物使用認める

 【CJC】バチカン(ローマ教皇庁)は7月8日、カトリック教会のミサの「聖体拝領」で使用する無発酵のパンについて、原料に遺伝子組み換え作物を使用することを認める判断を示した。AFP通信が報じた。

 バチカンは、小麦のたんぱく質から生成されるグルテンを含まない「グルテンフリー」とすることは認めない方針を示した。低グルテンパンについては、添加物などの「異物」を使用しなくても、小麦のグルテン含有量がパンに加工できる水準なら認めるとしている。

 教皇庁典礼秘跡省長官のロベール・サラ枢機卿は、聖体拝領のパンやワインがスーパーマーケットで販売され、インターネットでも入手可能になっている現状を踏まえ、指針が必要になったとの考えを示した。

 同枢機卿は、パンは「際立って誠実な」人の手で作られるべきだと司教らに注意を促し、果物や砂糖を加えるのは「重大な違反」だと付け加えていた。

 枢機卿は「出所に不審な点があるワインの使用も、併せて禁止する」と述べている。ワインを飲めない信徒に対して、ワインに発酵させる前の「ムスト」と呼ばれる濃厚なブドウジュースを代用するのは妥当だと言う。


◎教皇の従者宅で「同性愛男性らによるドラッグ乱交パーティー」

 【CJC】「同性愛男性らによるドラッグ乱交パーティー」が教皇の従者宅で開催されていた。

 英紙『デイリー・メール』などによると、バチカン(ローマ教皇庁)内のアパートにある教皇の従者宅で、「同性愛男性らによるドラッグ乱交パーティー」が開催されていたことが発覚した。

 そのアパートは"聖職者による性的虐待事件"も取り扱う教理省のすぐ隣だった。

 問題のアパートに登録されていたのは、教皇フランシスコと親密な間柄で知られる、フランチェスコ・コッコパルメリオ枢機卿の秘書。

 コッコパルメリオ枢機卿は、教会一般法の正統な解釈をつかさどる機関である『教皇庁法文評議会』の議長。今回の事件に本人や秘書が関わっているかは明らかではない。

 6月28日には、教皇フランシスコの側近ジョージ・ペル枢機卿(財務長官)が、複数の性犯罪容疑で起訴された。かねてペル枢機卿は、児童への性的虐待をしていると見られており、同僚の司祭の犯行を隠蔽した疑惑もある。ただ本人は容疑を完全に否定している。


◎「赤い悪魔」がドミニコ会司祭へ

 【CJC】現役時代、『マンチェスター・ユナイテッド』に所属していたフィリップ・マルリン氏が修道会ドミニコ会の司祭になった。英公営メディア『BBC』が7月8日報じた。

 マルリン氏は1978年生まれの39歳。北アイルランドのベルファスト出身。94年にマンチェスター・ユナイテッドの下部組織に加入、97年10月、EFLカップのイプスウィッチ戦でトップチームデビューを果たした。

 プレミアリーグでは98年5月のウォルソール戦でデビューしたが、トップ選手の集まる『マンチェスター・ユナイテッド』では成功をつかめず、出場わずか5試合で、ノリッジ・シティへと移籍、2009年に引退した。

 現役時代は年俸60万ポンド(約9000万円)を手にしていたマルリン氏だが、引退後の2年間、ベルファストの大学などで哲学を学んだのち、ローマにあるカトリック系の大学で神学を学び、清貧を重んじるドミニコ会に入信、昨年10月に助祭に任命された。7月8日、司祭に任命された。


◎トランプ氏が自身を賛美する聖歌をツイッターに投稿

 【CJC】ドナルド・トランプ米大統領は独立記念日の7月4日、昨年の大統領選での自身のスローガンを使って支持者らがつくった聖歌の動画をツイッターに投稿した。

 AFP通信が報じるところでは、歌い手はテキサス州ダラスの「メガチャーチ」(巨大教会)、ファースト・バプテスト教会の聖歌隊。「米国を再び偉大に。全米で自由のたいまつをかかげよ。手を取り合って未来へ。そして米国を再び偉大に」と歌っている。

 この動画は、首都ワシントンのケネディ・センターで7月1日に行われた「自由を祝う集会」で撮影された。

 大統領は集会で「あなた方の音楽はこれまでに存在したどんな言葉よりも雄弁にわが国の英雄をたたえるもの」と称賛した。

 ファースト・バプテスト教会の指導者でトランプ氏の支持者でもあるロバート・ジェフレス氏も集会に出席した。

 しかし「福音主義キリスト教徒」を自称するメソジスト教会の音楽責任者ジョナサン・アイグナー氏はこの歌に異議を唱えている。

 「一息で神と米国に忠誠を誓い、神の王国と自己をいっしょにすることで、彼らは(米国旗の色である)赤、白、青のイエスに冒涜的な祈りをささげることになる」という。


◎トランプ大統領が乳児の尊厳死裁判で両親に支援申し入れ

 【CJC】英国で脳に損傷のある乳児に対し「尊厳死」を認めるべきかどうかについて争われてきた裁判で、延命治療を訴えた両親に対し、ドナルド・トランプ米大統領が支援を申し出た。大統領は7月3日、ツイッターへの投稿で「(両親に)支援の手を差し伸べられるならば、そうしたい」と述べた。ただ、どのような形で支援するのかは明らかにしなかった。

 この乳児は生後11カ月の男児チャーリー・ガードちゃん。医師らは、治療を続けても効果はなく、むしろ人工呼吸器は乳児に痛みを与えるとして、「尊厳死」を求めて裁判を起こした。

 米紙『ウォールストリート・ジャーナル』によると、母親のコニー・イエーツさんと父親のクリス・ガードさんはあくまで治療継続を主張。米国の医師と病院が乳児に対し実験的な治療を施す用意があることも明らかにした。両親はソーシャルメディアを通じて募金を行い、170万ドル(約1億9200万円)余りを集めた。

 トランプ大統領の支援申し入れ発言が、個人的なものか、それとも米政府を代表したもののかなど、具体的なことは分からない、と同紙。


◎カルデア典礼信徒に米国が強制送還?

 【CJC】ロイター通信によると、米デトロイトで、米移民税関捜査局(ICE)が6月上旬、一斉取り締まりを行い、イラク人移民114人を拘束した。

 拘束されたのは、犯罪歴のある人々とされているが、そのほとんどがカルデア典礼カトリック教会の信徒と見られる。

 彼らが強制送還される恐れがあることを受け、米国の福音派指導者らが、ジョン・ケリー国務長官に懸念を伝える書簡を送った。「米国からキリスト者を排除すれば、彼らを迫害や死にさえも直面させてしまう深刻な懸念がある」という。


◎中国が末期がんの劉氏治療で米独医師受け入れ

 【CJC】中国・瀋陽市の司法当局は7月5日、末期がんと診断されて刑務所から病院に移されたノーベル平和賞受賞者で民主活動家の劉暁波氏の治療にあたるため「米国やドイツなどの国際的に最も権威のある肝臓がん治療の専門家が近く訪中する」と発表した。

 劉氏の家族の要請に応じた措置という。


◎「アブラハムの墓所」含むヘブロン旧市街が世界遺産に

 【CJC】ユネスコ世界遺産委員会は、ユダヤ教徒およびイスラム教徒の聖地とされるヘブロンの旧市街を、新たに世界遺産リストおよび危機遺産リストに登録すると発表した。7月7日付で各メディアが報じた。

 ヘブロンはヨルダン川西岸にのパレスチナ自治区にあり、聖書に記されているユダヤ教およびイスラム教、そしてキリスト教の始祖であるアブラハムの墓所があると伝えられている。


◎英保守党議員、6番目の子どもに「シクスタス」と命名

 【CJC】英保守党のジェイコブ・リース=モグ議員(48)が7月5日、第6子の誕生をインスタグラムで発表した。ヘレナ夫人との間に生まれた男の子は、「シクスタス・ドミニク・ボニフェイス・クリストファー」と名付けられたという。公営メディアBBCが報じた。

 ギリシャ語やラテン語で「磨かれた」を意味する「シクスタス」(Sixtus)は、ラテン語で「6番目」を意味する「sextus」とは異なる。

 「シクスタス」の名前はこれまで5人のローマ教皇が使っている。1585〜90年に在位したシクスタス5世が、最も新しい。

 リース=モグ議員は、「ヘレナと私は、シクスタス・ドミニク・ボニフェイス・クリストファーの誕生を喜んでお知らせします。ピーター、メアリー、トマス、アンセルム、アルフレッドの弟です」とインスタグラムに書いた。

 議員のほかの子どもたちのフルネームは、「アルフレッド・ウルフリック・レイソン・ピウス・リース=モグ」、「トマス・ウェントワース・サマセット・ダンスタン・リース=モグ」、「ピーター・シオドア・アルフェジ・リース=モグ」、「アンセルム・チャールズ・フィッツウィリアム・リース=モグ」、「メアリー・アン・チャーロット・エマ・リース=モグ」だという。

 リース=モグ議員はこれまでも、家族写真をインスタグラムに投稿している。イングランド南西部の北東サマセット選挙区選出の同議員は、インスタグラムを使い始めたばかりだが、すでにカルト的人気を獲得。フェイスブックには議員の投稿に反応する専門のまとめページが多数ある。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(7月9日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★教皇フランシスコ=「絶えず働く使徒」に=新任の枢機卿らに呼び掛ける
★女子修道会 高齢化と向き合う=円熟期の豊かさ 生かせるか=名古屋でシンポジウム
★生まれ来るいのち 守り育てるために=24時間対応「面談型」目指す=こうのとりのゆりかごin関西
★教皇、教理省新長官を任命=ミュラー枢機卿に2期目任せず
★フランシスカンズ・インターナショナル=人権理事会サイドイベント=国連人権理事会 特別報告者ら=沖縄での「表現の自由」=尊重されていない現状を指摘

 =KiriShin(7月11日)=https://www.kirishin.com
★世界は「宗教改革」をいかに記念するのか=「ルター都市」ヴィッテンベルクでも共同礼拝
★宗教改革500周年を記念=日本基督教団の礼拝に約500人
★宗教改革500年に聖書解釈を問い直す=ルター・セミナーに信徒も参加
★人身売買に取り組むネットワーク「タリタクム」=日本でも発足
★教育勅語に関する閣僚発言にバプ連靖国委などが抗議声明

 

 =クリスチャン新聞(7月2日)=https://クリスチャン新聞.com
★「共謀罪」法成立=「神の国」望む使命考える
★"猫の気持ち"絵と詩で表現=勝間としを=デジタルアート個展
★戦前弾圧経験のホーリネス、兄弟団連名で=「共謀罪」強行採決に抗議声明
★ソン・ソルナム氏フルート演奏=「父の心の中に私がいた」=ラブ・ソナタ東京2017プレ大会
★二階特使団=田内千鶴子・金大中ゆかりの木浦訪問=隔ての壁を破るキリスト者の姿

 
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