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世界キリスト教情報 第1399信(2017.11.13)

  • バチカンで核兵器廃絶と軍縮をめぐる国際シンポジウム
  • 「日本も核兵器禁止条約に署名を」バチカンで被爆者が演説
  • ICAN事務局長が「核に終止符」に祈りをと教皇に訴え
  • 「ロヒンギャ」と呼ばないで、ミャンマー教会が教皇に
  • ロシア正教会のキリル総主教がルーマニアを初訪問
  • 「トレビの泉」に投げ込まれる硬貨をローマ市の財源に
  • ≪メディア展望≫

 

◎バチカンで核兵器廃絶と軍縮をめぐる国際シンポジウム

 【CJC】11月10日、バチカン(ローマ教皇庁)のシノドスホールで「核兵器の無い世界と統合的な軍縮に向けての展望」をテーマに、国際シンポジウムが2日間の日程で開催された。

 7月7日にニューヨークの国連本部で開かれた会議で「核兵器禁止条約」(核兵器の開発、実験、製造、備蓄、移譲、使用及び威嚇としての使用の禁止ならびにその廃絶に関する条約)が、国連加盟国193カ国のうち、124カ国参加のもと、賛成122票、反対、棄権各1票で採択されている。

 9月20日から同条約への署名が開始され、同日に国連本部で行われた署名式では、50カ国が署名した。署名国はこの後、国会などで国としての承認を得て、批准のための手続きを行なう。条約発効には50カ国の批准が必要となる。

 この条約には法的な力があるが、非批准国にはその拘束力は及ばない。同条約の交渉にあたっては、核保有国をはじめ、それらの同盟関係国など、不参加の国が多く存在するのが現状。

 今回のバチカンでのシンポジウムは、核兵器廃絶・軍縮をテーマとする国際レベルの会議として、先の国連の条約交渉会議後、初めてのもの。

 バチカン放送(日本語電子版)によると、シンポジウムには、モハメド・エルバラダイ国際原子力機関前事務局長らノーベル平和賞受賞者や、中満泉国連事務次長・軍縮担当上級代表ら国連関係者、NATО関係者、ロシア・米国・韓国・イランなどの外交代表、研究者、諸宗教関係者らが参加した。

 また、日本における原爆の被爆者とすべての核実験による被害者を代表し、日本原水爆被害者団体協議会の事務局次長、和田征子さんが招かれた。

 教皇は10日、バチカン宮殿でシンポジウムの参加者らと接見した。

 教皇は、このシンポジウムが掲げる核兵器の無い世界と統合的な軍縮への目標は、悲観主義に押されてますます遠のくように思われるかもしれないと述べつつ、核兵器をはじめ、今日の終わることの無い軍拡の連鎖や、そのための支出が人々を苦しめている状況を見つめられた。

 教皇は、あらゆる核兵器の使用が人間と環境にもたらす破壊的な影響を考える時、非常な不安を感じざるを得ないと述べ、こうした武器が何らかの誤りで爆発する危険をも考慮し、それらの使用をめぐる脅威はもとより、その所有自体も、断固として非難すべきと話した。
 国際関係は武力や、相互の威嚇、軍事力の顕示によって統治することはできず、特に核兵器などの大量破壊兵器は、偽りの安心感を生むだけで、連帯の倫理に育まれた人類の平和的共存の基礎を築くことはできないと語った。

 教皇は、広島と長崎の被爆者や、その他の核兵器実験の被害者の証し、その預言的な声が、特に新しい世代への警告となるようにと要望した。こうした状況の中にも、健全な現実主義は今日の秩序を失った世界に希望の灯を灯し続けていると教皇は述べ、国連本部で「核兵器禁止条約」が多くの参加国の賛成を得て採択されたことを歴史的な出来事として位置づけた。

 また、教皇は、この出来事が人道的イニシアティブとして、市民や、国々、国際組織、教会、学会、専門家グループなどの様々な協力連帯のうちに推進された成果であることは意義深いものと指摘した。

 教皇は、今年発布50周年を迎えたパウロ6世の回勅「ポプロールム・プログレッシオ--諸民族の進歩推進について」が人類の統合的発展の原理に注目し、それを平和の新しい名前として提言していることに言及した。

 同時に、ヨハネ23世が回勅「地上に平和を」の中で、軍備の縮小や撤廃は、統合的な軍縮、すなわち人々の精神から戦争の不安や強迫観念を誠実に排除するように努めないかぎり、不可能であると述べていることを思い起こされた。

 人類の統合的な発展こそが人類がたどるべき善の道であると述べた教皇は、忍耐と着実をもって前進していくようシンポジウムの参加者を励まし、祝福した。


◎「日本も核兵器禁止条約に署名を」バチカンで被爆者が演説

 【CJC】バチカン(ローマ教皇庁)で開かれた核兵器廃絶を目指す国際会議で、日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)を代表して、長崎の被爆者が演説し、核兵器の非人道性を訴えるとともに日本などに核兵器禁止条約への署名を呼びかけた。

 この国際会議は、ことし7月に核兵器禁止条約が採択されたことを受け、バチカンが開いたもので、歴代のノーベル平和賞の受賞者など、200人余りが参加した。

 11日は、核兵器禁止条約の採択に大きな役割を果たした日本被団協を代表して、1歳10か月のとき、長崎で被爆した和田征子事務局次長(74)が、英語で演説し、亡くなった母親から繰り返し聞いた話を交えながら、当時の惨状を伝えた。

 「かろうじて生きながらえてきた被爆者の苦しみは深く、今なお続いている」と和田氏は述べるとともに、「核兵器は放射能の被害を長年にわたってもたらす非人道的な兵器」と訴えた。そのうえで「被爆者は語ることによって、あの時に引き戻されるつらい努力を続けてきた。今、重い、さび付いた扉がようやく少し開いた」と述べ、核兵器禁止条約の採択を評価し、核保有国や、核の傘のもとにある日本などに条約への署名を呼びかけた。


◎ICAN事務局長が「核に終止符」に祈りをと教皇に訴え

 【CJC】今年のノーベル平和賞に決まった非政府組織(NGO)『核兵器廃絶国際キャンペーン』(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長は11月10日、教皇フランシスコに接見した際、ノーベル平和賞授賞式が開かれる12月10日に「核の脅威に終止符を打つため」世界中の教会で祈りをささげてほしいと要請したと語った。

 ICANは広島、長崎の被爆者らと協力し、核兵器を違法化する史上初の核兵器禁止条約の実現に尽力した。核廃絶を巡るバチカンのシンポジウムで演説した際にもフィン氏は「12月10日に核禁止条約の署名と批准を指導者に呼び掛けてほしい」と、参加者らにも訴えた。


◎「ロヒンギャ」と呼ばないで、ミャンマー教会が教皇に

 【CJC】教皇フランシスコは11月27日から仏教国ミャンマーとイスラム教国バングラデシュを訪れる。ミャンマーではアウンサン・スーチー国家顧問などと会談する。

 ミャンマー・カトリック教会で最高位の聖職者チャールス・マウン・ボ枢機卿(ヤンゴン大司教)が、ロイター通信のインタビューで「ロヒンギャという表現は、軍や政府、国民からも受け入れられない」として、教皇に「ロヒンギャ」という表現を使わないよう求めていることが明らかになった。

 ミャンマー政府は、法律で認められた民族ではないとして、「ロヒンギャ」という表現を認めておらず、各国にもこの表現を使わないよう求めており、現地で支援活動を行っている一部の国際機関も表現を控えている。

 60万人を超えるロヒンギャの人たちが隣国のバングラデシュへの避難を強いられていることに、教皇はこれまで「ロヒンギャ」という表現を使って国際社会への支援を呼びかけているだけに、現地カトリック教会の意見にどう対応するか注目される。


◎ロシア正教会のキリル総主教がルーマニアを初訪問

 【CJC】ロシア正教会の最高指導者モスクワ総主教キリルが10月26日、ルーマニア正教会を訪れた。モスクワ総主教がルーマニアを訪問するのは、旧ソ連崩壊後では初めて。

 北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)に加盟したルーマニアは、ロシアとの関係は冷却化、米国の弾道弾迎撃ミサイルを配備、NATOの弾道ミサイル防衛システムにも組み込まれている。

 キリル総主教は27日、選任10周年を迎えたルーマニア正教会のダニール総主教と、首都ブカレストの守護聖人聖ディミトリウスの記念に集まった信者らを祝福、「あなたがたの献身は、ルーマニア正教会が繁栄していることを証ししている」と述べた。

 ルーマニア国民1700万人の約87%は正教会の信徒と見られる。1989年の旧共産圏崩壊後、信教の自由が回復され、正教会の存在感も増している。


◎「トレビの泉」に投げ込まれる硬貨をローマ市の財源に

 【CJC】財政難にあえぐイタリアの首都ローマ市当局が、観光名所「トレビの泉」に投げ込まれる硬貨を市の財源にするという。

 AFP通信が伝えるところでは、トレビの泉に観光客が投げ込む硬貨の額は1年で最大100万ユーロ(約1億3000万円)に達するという。これまではカトリック教会系の慈善団体『カリタス』に寄付されてきた。しかし地元メディアの11月10日の報道によると、今後はローマのビルジニア・ラッジ市長の手元へと渡り、市当局が決定するプロジェクトの財源として使われる予定だ。

 300年近く前、バロック時代に建てられた「泉」については、背を向けながら硬貨を投げ入れた人は必ずローマを再訪できるとの伝説がある。2年前の大規模修復工事完了後もこの習慣は健在で、ほぼ毎日のように数千人が訪れる観光スポット。

 「泉」は、フェデリコ・フェリーニ監督の映画『甘い生活』で女優アニタ・エクバーグが噴水内に入って戯れるシーンが有名だが、ラッジ市長は今夏、エクバーグのまねをして市が管理する噴水の内部に立ち入る行為に対し、罰金を科す措置を導入している。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(11月12日)=http://www.cwjpn.com/cwjpn/
★宗教改革500年=カトリックとルーテル教会 =より深い対話へ踏み込む
★教皇、テロ攻撃に「深い悲しみ」=「愚かな殺人行為」と非難
★死刑制度を見つめ直す=聖エジディオ共同体=東京で集会
★現代の福音宣教とは=全国から信徒ら集い、分かち合う=「新福音化の集い」
★カトリック労働者運動(ACО=アセオ)=生活の中での宣教学ぶ4年に1度の全国大会

 

 =KiriShin(11月11日)=http://www/kirishin.com
★『聖書 新改訳2017』=全体約3万節の9割以上を変更="原典に忠実な訳に"
★教義学の背景にある「霊性」=ルター学会が宗教改革500年記念大会
★「難民支援はキリスト者の使命」=タンザニアの難民救済組織が来日
★「靖国への真榊奉納は憲法違反」 首相らに対する抗議声明相次ぐ
★功労者に深町正信氏・佐竹順子氏=日本キリスト教文化協会が顕彰

 

 =クリスチャン新聞(11月12日)=http://クリスチャン新聞.com
★第6回北海道合同教職者会=神の国の幻(ビジョン)、熱源(パッション)、使命(ミッション)
★「我らは神を信じて仰ぐのみ」=楽劇「ルター」本邦初演
★『聖書 新改訳2017』刊行記念礼拝に関係者が一堂="主の業に仕えて結晶"
★衆議院選当選の山川百合子氏=「武力によらぬ平和」訴え=主権在民政治、執り成しに務める
★TCU学長・小林高徳氏が急逝=大学改革、アジア神学教育を牽引

 
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