世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1401信(2017.11.27)

  • シナイ半島でモスク襲撃され184人死亡
  • シナイ半島テロの死者235人に
  • 教皇が初訪問のミャンマーに到着
  • アウンサン・スーチー国家顧問が中国訪問へ
  • 教皇、バチカン国務省に局を新設
  • 日本・バチカン国交樹立75周年記念ミサ
  • マレーシア政府の「聖書」マレー語翻訳案に教会反発
  • ≪メディア展望≫

 

◎シナイ半島でモスク襲撃され184人死亡

 【CJC】時事通信が報じるところでは、エジプト東部シナイ半島で11月24日、武装集団がモスク(イスラム礼拝所)を襲撃し、少なくとも184人が死亡、120人以上が負傷した。国営テレビなどが伝えた。

 シナイ半島では過激派組織『イスラム国』の傘下の武装組織が活動しているが、これほどの規模の襲撃事件が起きるのはまれ。

 事件は、半島北部アリーシュ近くのモスクで起きた。金曜礼拝に訪れた人々を狙ったとみられる。武装集団が複数の四輪駆動車でモスクに乗り付け、爆弾をさく裂させ、銃撃したとの報道もある。

 アブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領は事件を受けて、治安閣議を開催。その後、エジプト政府は、犠牲者を追悼し、国全体で3日間喪に服すことを発表した。

 エジプトでは、主にシナイ半島北部でテロや襲撃が深刻化している。さらに半島から離れた首都カイロや北部アレキサンドリアでも、キリスト教会などを標的としたテロが繰り返されている。

 

◎シナイ半島テロの死者235人に

 【CJC】エジプト北東部シナイ半島で11月24日、武装集団が爆弾と銃でモスク(イスラム教礼拝所)を襲撃した際の死者は235人に達した。負傷者も100人以上に上っている。

 このモスクには過激派組織『イスラム国』が異端視するイスラム教神秘主義スーフィズムの信奉者が訪れるという。

 犯行声明は確認されていないが、エジプト政府はテロと断定した。


◎教皇が初訪問のミャンマーに到着

 【CJC】教皇フランシスコは11月26日夜、教皇として初のミャンマー訪問に向け、専用機でレオナルド・ダ・ヴィンチ国際空港を出発、27日午後、ヤンゴン国際空港へ到着した。空港には教皇訪問を歓迎するミャンマーのカトリック教徒らが集まった。

 教皇は27日から3日間、ミャンマーに滞在し、同国の事実上の指導者アウンサン・スーチー国家顧問やミン・アウン・フライン国軍最高司令官と会談する。

 仏教国のミャンマー西部ラカイン州で、軍と武装集団の衝突が激化した8月25日以来、少数派のイスラム教徒ロヒンギャに対する残虐行為が伝えられ、教皇はロヒンギャに対する暴力を、「兄弟姉妹」に対する迫害と呼んで非難していた。

 ロヒンギャは国境を越えて隣国バングラデシュへ逃れ、難民化している。その数は62万3000人を超したと伝えられる。

 現況での教皇ミャンマー訪問については、人道、外交、宗教を巡る複雑な問題の間で均衡を保つことが求められると指摘する関係者もいる。教皇側近の枢機卿からも、ロヒンギャ問題に踏み込むべきではないとする意見が出ている。

 ミャンマー政府はロヒンギャに対する組織的な暴力を繰り返し否定してきた。一方、米国や英国、国連などはミャンマーによる民族浄化を非難。難民は一様に、殺人や強姦、村に対する放火などの被害に遭ったり目撃したりしたと証言している。

 教皇は30日にバングラデシュへ移動、首都ダッカでロヒンギャ難民と面会する見通し。教皇のバングラデシュ訪問は、1986年のヨハネ・パウロ2世以来となる。

 バチカン(ローマ教皇庁)の広報担当者は22日の記者会見で今回の訪問について、「平和と寛容、和解のメッセージを届ける」と説明した。

 教皇はミャンマー滞在中、同国に約320万人いる少数派のキリスト者についても権利向上を訴える見通し。29日にはヤンゴン市内でミサを予定している。しかし市内でのミサは、多数派の仏教徒の反発を招きかねないと危惧する声もある。


◎アウンサン・スーチー国家顧問が中国訪問へ

 【CJC】アウンサン・スーチー国家顧問兼外相が中国を訪問する、とミャンマー政府が11月27日発表した。中国共産党が30日から北京で開催する会議に出席する。この会議には、120カ国以上の政党指導者が集まる。中国からは習近平国家主席が出席する。

 スーチー氏は、ロヒンギャを巡る問題についても中国指導部と協議すると見られる。欧米諸国が難民の帰還に向けミャンマーへの圧力を強める中で、中国はミャンマー政府の対応を支持してきた。

 ミャンマー政府はスーチー氏の訪問日程を明らかにしていないが、30日に北京へ出発し、12月2日まで滞在すると予想されている。

 教皇訪問を控えスーチー氏の訪中が発表された背景には、中国接近を印象づけ、欧米の批判をけん制する狙いもありそう。

 スーチー氏の率いる国民民主連盟(NLD)政権が2016年3月に発足して以来、同氏の中国訪問は3回目。


◎教皇、バチカン国務省に局を新設

 【CJC】教皇フランシスコは、バチカン(ローマ教皇庁)国務省に、新しい局を設立した。同省内の「総務局」と「外務局」に並ぶ、第三の局で、「教皇庁外交官人事局」(仮訳)と呼ばれる。バチカン放送が報じた。

 同局は、現在国務省内にある教皇使節代表部を強化し、国務省所属の局として設立する。教皇使節代表(現代表=ヤン・ロメオ・パウロウスキ大司教)が、その局長となる。

 局の新設の目的は、教皇と国務省の責任者らのバチカンの外交官に対する関心と寄り添いを表すことにある。

 教皇使節代表は、各国のバチカン大使館を定期的に視察することができるようになる。


◎日本・バチカン国交樹立75周年記念ミサ

 【CJC】日本とバチカン市国の国交樹立75周年を記念するミサが11月22日、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ大聖堂で行われた。バチカン放送(日本語電子版)が報じた。

 1942年、日本とバチカンの間に完全な外交関係が結ばれてから、75周年を迎えた今年、茶道や、能、オペラ、シンポジウム、コンサートなど、1年を通して、ローマで様々な記念行事が行われた。

 22日のミサは、大聖堂の「司教座の祭壇」で、大聖堂主席司祭、バチカン市国における教皇代理アンジェロ・コマストリ枢機卿によって行われ、ローマ在住の日本人司祭らが共同司式した。

 ミサには、中村芳夫・在バチカン日本国特命全権大使をはじめ、ローマ在住の日本人カトリック信徒、世界各地からの巡礼者らが参列した。

 コマストリ枢機卿は、ミサ中の説教で、医学者アルベルト・シュヴァイツアーや、マザー・テレサの、労苦を厭わない愛徳の実践を思い起こしながら、すべてのキリスト者は愛の奉仕に招かれていると話した。

 ミサの前日、21日夜には、ローマ市内の聖イグナチオ・デ・ロヨラ教会で、日本・バチカン国交樹立75周年記念コンサートが開かれた。三枝成彰氏の作曲「最後の手紙」が、六本木男声合唱団とオーケストラ・ディ・ローマによって演じられた。


◎マレーシア政府の「聖書」マレー語翻訳案に教会反発

 【CJC】マレーシアの首都圏セランゴール州のイスラム宗教評議会が「聖書」のマレー語訳を国家言語局が行なうべきだと提言したことに、キリスト教側が「越権かつ侮辱行為」だと強く反発している。

 全国キリスト教福音派協議会は、キリスト者が「神」を表す語として「アラー」という言葉を使う権利を否定しようとするものだと指摘。イスラム宗教評議会が「聖書」を改定することでキリスト教信仰に介入しようとしていると批判した。

 福音派協議会は、「憲法の下で保証されているキリスト教やマイノリティ宗教の権利保護を政府に明確にするよう促す」と指摘している。

 マレーシア・キリスト教連合も「聖書はキリスト教の神聖な遺産であり、キリスト教会から許可を得ないいかなる者も新たな訳を発行することは許されない」と批判した。

 イスラム宗教評議会幹部は、キリスト教側に対して「神」を表す語として「アラー」の代わりに「トゥハン」を使うよう求めているという。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(11月26日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★日韓の司教、平和声明発表=鹿児島で交流会 高齢者問題学ぶ
★教皇フランシスコ=核兵器の保有を非難
★教皇の一般謁見講話=ミサは雑談の時ではない
★否定や無関心は妨げに=教皇、気候変動会議に提言
★アフリカ南部ジンバブエ政変=諸教会指導者、平静促す=国軍の政権掌握を受けて

 

 =KiriShin(11月21日・既報)=https://www/kirishin.com

 

 =クリスチャン新聞(11月26日)=https://クリスチャン新聞.com
★宗教改革500年に寄せて土台を確認=「聖書」「恵み」「信仰」と現代=日本福音主義神学会第15回全国研究会議で
★石巻クリスチャンセンター献堂=超教派、地域活動に貢献
★滋さん受洗の喜びに沸く=第19回横田早紀江さんを囲む拡大祈祷会=祈りが天の記録に書き記されている
★ホーリネス100周年=まず"同根"から一歩協力=無牧・少子高齢化の共通課題議論
★第11回ナウリコット村の子どもたちと絵を描く旅=絵を描く喜び ネパールの子らに=「若者らに新しい発見を」と参加の勧め


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