世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1411信(2018.02.05)

  • 懸念解けぬままバチカンが中国と国交回復へ
  • バチカンと中国協議は宗教のみ、と台湾は関係維持に自信
  • トルコのエルドアン大統領が教皇と会見
  • バチカン代表団も「平昌開会式」に参加
  • スイスで無宗教者が全体の4分の1に
  • ≪メディア展望≫

 

◎懸念解けぬままバチカンが中国と国交回復へ

 【CJC】バチカン(ローマ教皇庁)が、1949年に、断絶した中国との国交を近く回復する方向で準備を進めている。中国の人民日報系紙「環球時報」も2月3日、「バチカン、まもなく中国と歴史的協議で合意」という記事を掲載した。

 中国共産党政権との関係樹立に努力してきたバチカンに、中国はこれまで、両国関係正常化の基本条件として、(1)中国内政への不干渉、(2)台湾との外交関係断絶、の2点を挙げてきた。

 バチカンと中国の対立問題の焦点は司教の任命権だ。教皇に任命権があると主張するバチカンに対し、中国は内政干渉と反論。それぞれ独自に司教を任命してきた。

 米カトリック修道会『イエズス会』発行の『アメリカ』誌によると、2014年に設立された「共同作業グループ」の会合のために、クラウディオ・マリアチェリ大司教ら代表団5人が17年12月、クリスマス直前に北京に到着した。これまで双方は北京とバチカンで約12回会合している。

 バチカンが中国の官製聖職者組織『中国天主教愛国会」が認可した7人の司教の破門を解き、認可する一方、中国政府は「愛国会」公認の司教選出で教皇に拒否権を与えることで一致したという。

 バチカン使節団が訪中した際、地下教会の司教2人に辞任を迫ったことも確認された。

 2013年に教皇フランシスコが就任した後、対話が進められてきたが、交渉は難航していただけに、今回合意に至った意義は大きい。しかしカトリック教会内部には、これまで中国当局の抑圧の中で「地下教会」を育ててきたバチカンに忠誠を示す聖職者や信徒を見捨てるのか、中国を支配している共産党の宗教敵視政策は根源的なもので、カトリック教会自体の「中国化」が進むだけ、との懸念が渦まいている。

 中国共産党は1949年、バチカンとの外交関係を断絶し、「愛国会」を創設し、共産党政権に忠実な聖職者を任命してきた。教皇フランシスコは就任以来、中国のカトリック教会が「愛国会」所属の公認教会と地下教会に分裂していることを憂慮し、その克服を模索してきた。

 それに対し、香港カトリック教会の前最高指導者(2009年離任)陳日君枢機卿が教皇宛てに書簡を送り、「全体主義国の権力に完全屈服するようなことはすべきでない」と異例の警告を行った。

 バチカン国務長官のピエトロ・パロリン枢機卿は、イタリア有力紙『ラ・スタンパ』とのインタビューで、「バチカンは中国の国家機関の改革を要求する考えはない。大切な点は信仰だ。地下教会信者たちを犠牲にする考えはないが、バチカンは中国共産党政権といつまでも対立関係を続けていくことはできない」と述べ、中国との間でなんらかの解決を模索してきたことを示唆した。

 中国では1958年以来、聖職者の叙階は教皇ではなく、中国共産政権と一体化した『基督教三自愛国会』が行い、国家がそれを承認してきた。一方、教皇に信仰の拠点を置く地下教会の聖職者、信者たちは弾圧され、尋問を受け、拘束されたりした。バチカンは司教任命権を主張し、「愛国会」任命聖職者の承認を拒否してきた経緯がある。

 「愛国会」に所属する信者、聖職者は約500万人と推定されている。一方、バチカンに忠誠を誓う「地下教会」の信者、聖職者数は700万人から120万人と見られる。

 香港の英字紙『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』は2月1日、台湾の国会議員5人が教皇接見を求めたと報じている。5人は欧州を歴訪中で、「バチカンを訪ね、台湾側の意向を伝え、バチカンとの関係を促進させたい」という。バチカンは台湾と1942年以来、
外交関係を樹立している数少ない国。


◎バチカンと中国協議は宗教のみ、と台湾は関係維持に自信

 【CJC】台湾の通信社『中央社』によると、中華民国(台湾)と外交関係を持つバチカンが、中国と司教任命に関する枠組み協定を結ぶ準備を整えたとの各メディア報道に、中華民国外交部(外務省)の李憲章報道官は2月3日、両者の対話などを「慎重に見守っている」とした上で、協議は宗教のみで、政治的なものには及ばないとする考えを示した。

 報道では、バチカン高官が、中国大陸との協定が数カ月内にも締結されると明らかにしたとあり、たとえ完全な解決でなくても国交樹立への道が開かれる可能性があると指摘している。

 バチカンは、台湾と外交関係を結ぶ20カ国のうち唯一、欧州における「国交国」。

 李報道官は、「今後もバチカンとの交流や協力を通じて宗教の自由や融和の精神と成果をアピールしていきたい」と、さらなる関係深化を目指す政府の立場を強調した。


◎トルコのエルドアン大統領が教皇と会見

 【CJC】TRT(トルコ・ラジオ・テレビ協会)のサイトによると、レジェプ・ターイプ・エルドアン大統領が2月5日、バチカン(ローマ教皇庁)で教皇フランシスコと会見した。

 エルドアン大統領は、教皇フランシスコの招請を受け、2月4、5日の日程でバチカンを公式訪問した。トルコ大統領のバチカン訪問は59年ぶり。

 大統領は教皇との会談で、両国間の関係、『クドゥス』(一部の国では「エルサレム」と呼ばれている)に関する問題、地域問題、シリアで起きている人道的悲劇、テロ、外国人敵視およびイスラム敵視のとの闘いなどについて協議する。

 バチカン訪問後は、ローマで、イタリアのセルジョ・マッタレッラ大統領とワーキング会食を行うエルドアン大統領は、イタリアのパオロ・ジェンティローニ首相の表敬訪問を受ける。


◎バチカン代表団も「平昌開会式」に参加

 【CJC】バチカン(ローマ教皇庁)代表団が、国際オリンピック委員会(IOC)の招待に応じ、韓国・平昌で2月9日開催される第23回冬季五輪大会の開会式に参加する。代表団は5日から7日まで開かれる国際オリンピック委員会(IOC)総会にもオブザーバーとして出席するという。バチカンから五輪に参加する選手はいない。

 代表団長はバチカン文化評議会のメルチョル・サンチェス・デ・トカ次官補。バチカンは2016年開催された第31回リオ夏季五輪大会に代表団を派遣したことはあるが、IOC総会にはこれまで参加したことがない。


◎スイスで無宗教者が全体の4分の1に

 【CJC】スイス連邦統計局が1月31日発表した2016年の統計によると、同国に永住する人で、特定の宗教を信仰していない人口が2000年に比べ2倍以上に増えている。キリスト教信者が減少した一方で、イスラム教徒の数が微増した。『SWI』(スイス公共放送協会国際部情報=日本語電子版)が伝えた。

 2016年、スイス国内の永住者で無宗教の人は全体の24・9%。00年は11・4%だった。無宗教の人のうち、3人に1人がこの世に神はいないと考える無神論者で、神が存在するかは分からないとした人は4人に1人だった。

 宗教施設の礼拝行事に最も参加していたのがカトリック教徒で、全体の26%が年間6〜12回、教会に足を運んだ。一方、キリスト教福音派は毎日お祈りする人が全体の51%を占め、2回以上も34%と高かった。

 イスラム教徒は、過去1年間で礼拝行事に一度も参加しなかった人は46%に上った。また、4割の人が同時期で一度もお祈りしたことがないと答えた。週に1回、集団礼拝に足を運ぶ人はわずか12%で、ほぼ毎日お祈りしていると答えた人は17%だった。

 統計では、男性より女性の方が直接目に見えないものを信じる傾向が見られた。妖精や超常現象を信じると答えた女性は全体の58%に上ったが、男性は37%。また女性の半数以上が、超能力の存在を信じると答えている。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(2月4日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★教皇、ペルーを訪問=「環境と文化の擁護」を確約
★カトリック教誨師連盟研修総会=講話と経験の分かち合い=東京
★「一人の命」と「国家の威信」=終わらぬ"闘い"今も=「無実の死刑囚」、袴田巌さん
★名古屋教区=新成人を祝福=司教と青年バンドも祝う
★コンゴ司教団、当局を非難=「過剰な一方的武力行使」

 

 =KiriShin(2月1日・既報)=https://www.kirishin.com

 

 =クリスチャン新聞(2月4日)=https://クリスチャン新聞.com
★JEA関係諸団体で青年宣教サミット="「神の国マインド」なら協力できる"=11月「日本青年伝道会議2」開催
★青山朝祷会3千回=「祈りは死なない」=山北宣久氏メッセージ
★日基教団議長名で声明=クリスチャントゥデイ疑惑を再確認
★20回迎えた断食祈祷聖会=三森春生氏原点振り返る=都市ごと分野ごとにも浸透を
★十字架の血土台に世で証しを=キリスト教一致祈祷週間2018=東京集会


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