世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1415信(2018.03.05)

  • 教皇が6月21日にジュネーブのWCC訪問
  • バチカン教理省がキリスト教的救いの観点めぐる司教宛て文書
  • 男性聖職者のためほぼ無償で奉仕、修道女がバチカン誌で非難
  • ビリー・グラハム牧師葬儀にトランプ大統領など2000人出席
  • 米銃規制の強化に7割が支持、CNNの世論調査
  • 米サンクチュアリ教会員数百人が小銃を携え合同結婚式
  • シリア政権軍が東グータ地区で制圧地域拡大
  • エルサレム聖墳墓教会の閉鎖解除
  • ドイツの教会で見つかった「ナチスの鐘」保存決まる
  • ≪メディア展望≫

 

◎教皇が6月21日にジュネーブのWCC訪問

 【CJC】教皇フランシスコが6月21日にジュネーブのWCC本部を訪問する。

 バチカン(ローマ教皇庁)でキリスト教一致推進評議会議長のクルト・コッホ枢機卿とWCC(世界教会協議会)のオラフ・フィクセ=トゥベイト総幹事が共同記者会見を行い、正式に発表した。

 この訪問は、教皇フランシスコの着座5周年、WCCの創設70周年の記念に行われる。双方の一致を目指す約束の積み重ねを覚え、さらにその革新を図るものとなろう。

 トゥベイト総幹事は、「教皇のWCCとジュネーブへの訪問というニュースは、悲惨に分裂した世界で一致、平和、正義を求める人すべてにとって希望の印である。それはキリストの教会同士が、神に共に仕えるという共通の使命を確信できる印なのだ」と語った。

 カトリック信徒の総数は12億人に上る。WCCは、正教会、英国国教会、ルーテル、メソジスト、改革派など348加盟教会で構成されており、全世界5億人の信徒を擁している。


◎バチカン教理省がキリスト教的救いの観点めぐる司教宛て文書

 【CJC】バチカン(ローマ教皇庁)教理省は、「キリスト教的救い」に関するいくつかの観点をめぐり、司教たちに宛て文書を発表した。

 「プラクイト・デオ」と題されたこの文書は、「キリスト教的救いのいくつかの観点をめぐる、カトリック教会の司教への書簡」。

 バチカン放送(日本語電子版)によると、教理省長官ルイス・フランシスコ・ラダリア・フェレール大司教は、3月1日、書簡発表にあたり、その目的を「信仰の偉大な伝統に沿いながら、教皇フランシスコの教えに言及しつつ、今日の文化的変容のために理解が難しいと思われる、キリスト教的救いのいくつかの観点を明らかにすること」と述べた。

 文書は、イエスを唯一普遍の救い主と宣言するキリスト教信仰を曖昧にさせる文化的変化として、教皇フランシスコもこれまで指摘してきた、いわば「ネオ・ペラギウス主義」、「ネオ・グノーシス主義」とも呼べる、二つの傾向を挙げている。

 今日広がる「ネオ・ペラギウス主義」というべき傾向は、急進的に自立した個人を生み、自分の存在がその奥深いところで神や他人に依存しているということを認めずに、自分自身を自分だけで救えると考えさせる。

 一方、「ネオ・グノーシス主義」といえる傾向は、自分の中に閉じこもった、純粋に内的な救いだけを求めさせる。

 人は自分を肉体や物質的宇宙から解放できると考え、創造主の摂理に満ちた手を発見することなく、人間の都合に合わせて変質可能な、意味の無い現実だけを見つめることになる。

 神がわたしたちに与える救いは、いわゆる「ネオ・ペラギウス主義」が望むような、個人の力だけでは得られず、人となられた神の御子を通して生まれ、教会の交わりを形作るその関係を通して得られる。

 また、キリストがわたしたちに与える恵みは、ある種の「ネオ・グノーシス主義」が求めようとする純粋に内的な救いではない。

 キリストの恵みは、キリストご自身が生きた具体的な関係の中にわたしたちを招き入れ、目に見える交わりとしての教会において、わたしたちは特に貧しく苦しむ兄弟たちを通して、キリストの肉に触れることができる。

そして、秘跡のおかげで、信者たちは常に育まれ、新たにされながら、人生の険しい道のりを歩き続けることができる。


◎男性聖職者のためほぼ無償で奉仕、修道女がバチカン誌で非難

 【CJC】カトリック教会の修道女3人がバチカンの月刊誌『女性・教会・世界』で、シスター・マリー、シスター・ポール、シスター・セシルの修道女3人が、男性の聖職者のために無償でさせられることが多い雑用について多数の修道女が非難していることを3月2日、明らかにした。AFP通信が報じた。カトリック教会における男性聖職位階制が公然と批判されるのはまれ。

 アフリカ出身で20年前にローマにやって来たシスター・マリーは、同誌で「聖職者に雇われている修道女の中には、夜明けとともに起床して朝食を準備し、夕食を出して、住居を掃除し、洗濯してアイロンがけをしてからやっと眠れるという人々もいる」と語り、「そうした修道女たちは義務を感じて沈黙を守っている」と話している。

 シスター・ポールは、修道女たちが、奉仕している上級の聖職者や教区と契約を結んでいることはほとんどないため、彼女たちは「微々たる額か、または無償」で働いていると述べている。

 契約書を交わさずに教師として働いていたというシスター・セシルは、修道女たちは「好きなように使い捨てできるボランティア」だと見なされており、そうした状況はまさに「権力の乱用」につながっていると主張する。

 今回、告発した修道女3人の実名はいずれも明かされていない。発展途上国出身の修道女らにとって批判の声を上げるのは、容易なことではない。修道会などから身内の学費や医療費を出してもらっている場合もある。

 教皇フランシスコは2016年に、修道女たちが理不尽な労働条件について意見などを自由に言うべきだと述べる一方で、「フェミニズムのわな」に陥ってはならないと戒めている。


◎ビリー・グラハム牧師葬儀にトランプ大統領など2000人出席

 【CJC】100歳で死去したビリー・グラハム牧師の葬儀が3月2日、米ノースカロライナ州シャーロットのビリー・グラハム図書館の外に設置された約2600平方メートルの白いテントで執り行われた。1949年にグラハム牧師が、ロサンゼルスでテントを張って開いた復興集会を記憶するため。

 生前、死の意味について、「天国に居住地を移すことだ」と語ってきたグラハム牧師は同日、図書館の隣の追悼庭園のルース夫人の隣に埋葬された。墓石には、「Preacher
of the Lord Jesus
Christ」(主イエス・キリストの福音伝道者)とあった。松材で作った棺桶の上には、故人が伝道活動をしていたルイジアナ州立刑務所の受刑者たちが作った小さな十字架が刻まれていた。

 葬儀には、ドナルド・トランプ大統領とマイク・ペンス副大統領夫妻、ジュリアーニ元ニューヨーク市長をはじめとする政界関係者など約2000人の弔問者が出席した。

 福音派の著名牧師リック・ウォレン氏は、「20世紀の最も偉大なクリスチャンだった。最も偉大なのは、牧会生活の間、いかなるスキャンダルもなかったことだ」と述べた。

 葬儀は、政治色を排除した純粋な追悼行事として行われた。トランプ大統領は、4年前の2014年、95歳の誕生日の祝賀会の時、グラハム牧師に会った縁がある。

 2月28日、グラハム牧師の遺体は、米連邦議会議事堂に7時間安置されて弔問を受けた。宗教指導者の遺体を米議事堂で安置したまま、追悼式を執り行うのは今回が初めて。


◎米銃規制の強化に7割が支持、CNNの世論調査

 【CJC】米国民の間で銃規制の強化を支持する人の割合が70%と1993年以来の高水準にあることが2月28日までにわかった。米メディアCNNの世論調査で明らかになった。2月中旬に米フロリダ州パークランドの高校で起きた銃乱射事件が銃規制に関する人々の考えに変化をもたらした可能性がある。

 今回の調査によれば、70%が銃規制の強化に賛成している。昨年10月の世論調査では規制強化を支持した人の割合は52%だったが、同年10月上旬にはラスベガスで死者58人を出した銃乱射事件が起きていた。

 規制強化に反対した人の割合は27%。CNNの世論調査で銃規制強化への支持がこれほど高いのは1993年12月以来。当時は銃販売を規制する「ブレイディ法」が制定された直後だった。

 銃規制に関する人々の支持は、1993年には最高水準となる70%を記録したが、14年9月には44%と最低水準となった。多数の死者が出たような銃乱射事件が起きると、規制強化への支持が増えるが、長続きすることはまれ。今回のように幅広い支持を集めることも少なかった。

 調査はCNNが調査機関SSRSに委託した。20日から23日にかけて無作為に抽出した成人1016人を対象に調査員が電話をかける方式で実施。誤差の範囲はサンプル全体ではプラスマイナス3・7パーセントポイント。


◎米サンクチュアリ教会員数百人が小銃を携え合同結婚式

 【CJC】2月28日、米ペンシルベニア州ニューファウンドランドにある「世界基督教統一聖殿」(サンクチュアリ教会)で開かれた合同結婚式に参加するために王冠をかぶって白色のドレスを着た数百人の人々の手には小銃が持たれていた。韓国紙『中央日報』(日本語電子版)が報じた。

 「統一教会」の文鮮明元総裁の七男、文亨進(ムン・ヒョンジン)氏が建てた教会のあるニューファウンドランドはニューヨークから西に車で2時間離れたところにある。

 韓国から来た約170人の信徒を含めて600人余りが参加したこの日の結婚式は地域の住民たちを不安にさせた。教会が儀式の参加者に銃器の持ち込みを要求したためだ。

教会側は「真の父」(文鮮明)の後継者であり『第二番目の王』である文亨進牧師が媒酌するとしてこの日の儀式に参加した夫婦に「鉄の棒を持ってきなさい」と指示した。

聖書の詩編(第2編9節)などで「万国を治める武器」として登場する鉄の棒が銃器を意味したという主張だ。教会側は「AR15」小銃類に特定した。

 地域社会は大騒ぎとなった。教会近くの小学校は安全を心配して休校し、ピケを手にした住民20人余りは「恥ずかしいと思いなさい」「銃器崇拝に反対」などと叫んだ。

教会側によれば、合法的な銃器免許所持者100人余りが銃器を持ち込んだまま儀式に参加した。教会関係者は「すべての銃器は装填されないまま式場に持ち込まれた」として「儀式中に手に持っていただけなので安全問題は全くなかった」と話した。

この教会側の要人であるティモシー・エルダー世界布教本部長は「善良な人に銃器が与えられれば社会を守ることができる道具になる」として「銃器自体が悪いわけではない」と主張した。

文亨進氏は中央日報が求めたインタビューには応じなかった。2012年文元総裁の死去後、文亨進氏は統一教会の指導者になったが、2015年教権を剥奪された。その後、文氏は米国に渡って統一教第2代総裁であることを主張してサンクチュアリ教会を建てた。


◎シリア政権軍が東グータ地区で制圧地域拡大

 【CJC】シリアのアサド政権軍は3月4日、反体制派が立てこもる首都ダマスカス近郊の東グータ地区で地上作戦を教化、制圧地域を広げた。

 政権軍は「市民を狙った砲撃に応戦してテロリストを攻撃した」として、ロシアが主導した1日5時間の時限停戦は順守していると訴えた。


◎エルサレム聖墳墓教会の閉鎖解除

 【CJC】エルサレム旧市街にあるキリスト教の聖地、聖墳墓教会を共同管理するキリスト教各派は2月28日、イスラエルの課税計画に抗議するため25日から閉鎖していた教会を開放した。閉鎖の間、観光客やキリスト教徒の巡礼者が教会内に入れないなどの混乱が続いていた。

 共同通信などが伝えるところでは、イスラエル首相府が27日、課税を巡る問題を解決するため「専門チーム」を任命すると表明。これを受け、キリスト教各派が「28日から聖墳墓教会を再び開放する」との声明を発表していた。

 キリスト教各派は25日、エルサレム市当局が各派の所有財産に課税する計画を進めていることに反発。「エルサレムにおけるキリスト教徒の立場を弱めようとする試みだ」と主張し、異例の教会閉鎖に踏み切っていた。


◎ドイツの教会で見つかった「ナチスの鐘」保存決まる

 【CJC】AFP=時事通信の伝えるところでは、ドイツ南西部バーデンヴュルテンベルク州ハイデルベルク近郊ヘルクスハイム村の教会の鐘に「アドルフ・ヒトラー」と刻まれ、ナチスのかぎ十字も刻印されていることに教会のオルガン奏者が気付いた。

 ヒトラーが首相になった翌年の1934年に鋳造され「全員が祖国のために アドルフ・ヒトラー」と文字が刻まれていた。

 一部の住民からも苦情が出る中で、村長がナチス擁護の発言を行ない、辞任に追い込まれた。

 新村長は、鐘を廃棄すれば「追悼の文化から目をそらすことになる」と風化を警告する専門家の見解を提示、2月26日の村議会で「はっきりさせてと村民は望んでいる」と採決を促し、賛成10、反対3で鐘は維持されることが決まった。

 
《メディア展望》

 =カトリック新聞(3月4日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★天皇の退位と即位に際しての政教分離の要望書 承認=定例司教総会
★性被害防止に向けワーキンググループ 発足=子どもと女性の権利擁護のためのデスク
★米国司教協議会責任者ら 議会に=若年移住者の保護求める
★カトリック正義と平和協議会=「改憲、信教の自由の危機」=東京で全国会議開く
★教皇フランシスコ=パウロ6世を今年列聖へ

 

 =KiriShin(3月1日)=https://www.kirishin.com
★「クリスチャントゥデイ」従業員 中橋祐貴さん独占インタビュー=〝これまでの説明と食い違うことばかり〟
★日本基督教団統一原理問題連絡会=「クリスチャントゥデイ」問題で説明会
★カトリック正平協 島薗進氏が講演=石橋湛山の「宗教的信念」継承を
★日基教団西東京教区=崔善愛氏 「国旗・国歌の強要は戦争への一歩」
★第35回庭野平和賞=レバノンの「アディアン財団」に

 

 =クリスチャン新聞(3月4日)=https://クリスチャン新聞.com
★ビリー・グラハム氏 逝く=世界かけた大衆伝道者
★6年ぶり来日のヤンシー氏=原発にいちばん近い教会訪問=神はどんな経験も用いられるリサイクラー
★負傷のたび神に癒し求め=平昌五輪韓国初の金メダリスト リム選手
★信仰と実践を大切にしたキリシタン時代の「組」=イエズス会日本管区長レンゾ・デ・ルカ氏の講演=第5回東日本大震災国際神学シンポジウム
★大山武俊氏逝去=聖契神学校元校長

 
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