世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1423信(2018.04.30)

  • 両親の訴えむなしく呼吸器外し重病の英男児死亡
  • 南スーダンで国連の支援職員ら10人行方不明
  • 「政治活動の権利はない」とマニラで豪修道女拘束
  • 「ユダヤ教徒の帽子かぶらない方がいい」と独の団体代表
  • パレスチナのアッバース大統領「問題解決まで大使館移転させない」
  • 米誌『GQ』が聖書を「不要な」本に選定
  • ≪メディア展望≫

 

◎両親の訴えむなしく呼吸器外し重病の英男児死亡

 【CJC】英リバプールのアルダーヘイ小児病院に重病で入院、人工呼吸器によって生命が維持されてきたアルフィー・エバンスちゃん(1歳11カ月)は4月28日、呼吸器が外され、死亡した。

 父親のトム・エバンスさんと母親のケイト・ジェームズさんは『フェイスブック』で発表した声明で、「午前2時30分(日本時間同日午前10時30分)私たちの息子に翼が生えた(天使になった)。私たちは悲しみに打ちひしがれている。これまで支援してくださった皆さん、ありがとう」と述べた。

 アルフィーちゃんは、まれな神経変性疾患で慢性てんかん発作があり、206年12月から入院していたが、人工呼吸器停止が死に直結する状態だった。

 両親は、アルフィーちゃんの延命を『フェイスブック』で呼び掛け、病院がアルフィーちゃんの人工呼吸器を停止しようとするのを阻止し、治療継続のためにイタリアのローマにある小児病院に転院させるため、司法にも訴えてきた。

 両親は、裁判所が延命治療の中止を支持する判断を下した後も、最高裁に対して再審請求していたが、最高裁は20日請求を棄却した。人工呼吸器は23日に取り外された。

 教皇フランシスコは28日、『ツイッター』上で、アルフィーちゃんの死の知らせに「深い感傷を覚えている」とコメントした。

 教皇は「私は小さなアルフィーの死に深い感傷を覚えている。父なる神が彼を優しい抱擁で迎え入れる今、特に彼の両親のために祈りをささげる」と投稿した。

 教皇はこれまで数回にわたりアルフィーちゃんに言及した。これが世界中で反響を呼び、イタリアとポーランドでは祈祷集会が行われた。

 アルフィーちゃんの父親は18日、バチカン(ローマ教皇庁)で教皇と面会し、「息子を救ってほしい」と嘆願した。

 教皇は、両親の「新しい治療法を探したいという願いが聞き入れられること」を望んでいるとツイートし、「生まれてから自然な最期を迎えるまで、命の主は神だけであり、われわれの務めは命を守るために万事を尽くすことだ」と強調していた。


◎南スーダンで国連の支援職員ら10人行方不明

 【CJC】南スーダン南部の中央エクアトリア州内を車列で移動中だった国連の支援職員や人道援助活動家10人が4月25日から行方不明になっている。

 国連人道問題調整官アラン・ヌデホウ氏は、車列は25日早朝、州南部イエイを出発し州西部トレに向かっていた、10人の所在確認を急いでいる、と語った。

 国連人道問題調整事務所(UNOCHA)が26日発表した声明によると、10人は全員、南スーダン人。内訳はUNOCHA職員1人、国連児童基金(ユニセフ)スタッフ2人、子どもの自立を支援する国際NGO『プラン・インターナショナル』3人、キリスト教援助団体『ACROSS』メンバー2人、『南スーダン開発機構』(SSDO)1人、児童支援NGO『アクション・アフリカ・ヘルプ』(AAH)1人。

 UNOCHAは「南スーダン支援のために働いているのに、武装勢力に拉致されるのは4月だけで2件目だ」と訴えている。


◎「政治活動の権利はない」とマニラで豪修道女拘束

 【CJC】オーストラリア人修道女パトリシア・フォックスさん(71)が、マニラで滞在資格をめぐる論争の渦中の人となっている。現地邦字メディア『まにら新聞』が報じた。

 フォックスさんは宣教師ビザで滞在していたが、人権活動家として、マニラやダバオで反政府集会に参加している姿を写真に撮られていた。

 フォックスさんは入管に呼び出され、1日拘束された。入管は宣教師ビザで政治活動をすることは許されないと彼女に通告した。

 外国人がビザを持つことは「特別扱いだが、外国人の権利ではない」としてモレンテ入管局長は宣教師ビザを「宣教師の活動をする際のみに特別扱いされるが、政治活動をする権利はない」と述べている。

 入管がフォックスさんに30日以内の国外退去が命じたことに対し、フォックスさん側は再考を求めている。彼女の弁護士は、本人の申し立てを聞く機会が与えられるべきだったとしている。


◎「ユダヤ教徒の帽子かぶらない方がいい」と独の団体代表

 【CJC】ドイツ最大のユダヤ人団体『ユダヤ人中央評議会』のヨゼフ・シュスター会長が4月24日、ユダヤ人は攻撃の標的にされる危険性を回避するためにユダヤ教徒であることを示す帽子を身に着けるのはやめるべきだとの考えを明らかにした。

 AFP通信が報じたもので、同国内では最近、反ユダヤ主義による攻撃が相次いでいる。

 シュスター会長は、ベルリンの公共ラジオで、ドイツで暮らす20万人のユダヤ人は警戒する必要があるとして、「自分の立場を敢然と示すことは基本的には正しいが、国内の大都市ではキッパ(ユダヤ教徒の男性がかぶる帽子)をかぶっておおっぴらに歩かない方がいい」と語った。

 これに対して欧州ユダヤ教会のラビ(ユダヤ教指導者)長を務めるマーゴリン師は、発言の撤回を要請。「残念ながら彼の対処法は間違っている」と述べ、「反ユダヤ主義を恐れてキッパを着用しなければ、かえって欧州で反ユダヤ主義を実現させてしまうことになる」と指摘した。

 ドイツでは、極右勢力や2015年以降に大量流入したイスラム教徒の難民による、反ユダヤ主義が再燃する可能性について警戒を促す事件がここ数カ月の間に相次いでいる。


◎パレスチナのアッバース大統領「問題解決まで大使館移転させない」

 【CJC】パレスチナのマフムード・アッバース大統領は、いかなる国にも大使館の「エルサレム」移転を許さない、と4月22日表明した。

 『パレスチナ解放通信』(WAFA)によるとして『トルコ・ラジオ・テレビ協会』(TRT=日本語電子版)が伝えるところでは、ラマッラー(ラマラ)にある大統領官邸でアラブ人医師たちの代表団と会談したアッバース大統領は「パレスチナ政権は、アメリカのドナルド・トランプ大統領、またはそのほかの国の首脳が『クドゥス(エルサレムのパレスチナ側の呼称)はイスラエルの首都である』と言うことを認めない。パレスチナは、トランプ大統領の発言と戦い、イスラエルとパレスチナの問題が解決されるまでいかなる国にも大使館をクドゥスへ移転させることを許さない」と述べた。

 解決策は東エルサレムがパレスチナに、西エルサレムがイスラエルに譲渡されることによってもたらされると述べたアッバース大統領は、「東エルサレムは3大宗教(イスラム教、キリスト教、ユダヤ教)の発祥地である。3大宗教の信者はここへ来て祈りを捧げることができる。なぜなら我々は、当初から東エルサレムは我々の国家の首都であり、全宗教に開かれていると宣言して来たからだ」と述べた。


◎米誌『GQ』が聖書を「不要な」本に選定

 【CJC】米誌『GQ』が、聖書は過大評価されており、必ずしも『読む必要のない21冊』に選出した、と全国紙『USAトゥデー』が4月23日伝えている。

 同誌編集部は、「キリスト教の聖書は馬鹿げていて、くどく、矛盾しているから『読む必要のない21冊』に入れた」という。

 「聖書が非常に高く評価されるのは、聖書に基づいて生きているとは言うものの、実際には読んだことのない人が皆支持しているからだ」と、作家・詩人ジェス・ボールは述べている。

 「名著」にはレイシスト的、性差別的なものもある。だが大半は単に、非常に、非常に退屈だ」と指摘する。

 聖書のほかに『読む必要のない』作品にはJ・R・R・トールキンの『指輪物語』、アーネスト・ヘミングウェイの『老人と海』と『武器よさらば』、J・D・サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』、マーク・トウェインの『ハックルベリー・フィンの冒険』などが選ばれた。

 聖書の代わりに、同誌は第2次世界大戦中の2人の兄弟の人生を語ったアゴタ・クリストフの『悪童日記』を読むよう勧めている。

 「聖書が神の霊感によっていると信じなくても、この50年間で39億人が読んでいる」としてフォックス・ニュースの宗教担当ジョナサン・モリス神父(ニューヨーク大司教区)は4月22日、テレビ番組『フォックス・アンド・フレンズ』で聖書をリストに入れたこと自体が「馬鹿げており、恥ずかしい」と語った。

 
《メディア展望》

 =カトリック新聞(4月29日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★教皇と正教会指導者=シリアへの攻撃を非難
★空爆後もシリアでカリタスは援助を続行
★教皇「世界広報の日」メッセージ=「フェイクニュース」を拡散しない
★教皇の一般謁見講話=洗礼名が与える帰属意識
★修道女ら街頭で呼び掛け=会の枠超え、改憲反対署名活動

 

 =KiriShin(4月21日=既報)=https://www.kirishin.com

 

 =クリスチャン新聞(4月29日)=https://クリスチャン新聞.com
★熊本・大分地震から2年=信徒、教会 フェスタでつながる=高森で第1回復興支援イースター
★震災経験を今後の防災に活かす=熊本YMCA=4・14熊本地震復興祈念プログラム
★20言語で初の聖書訳出=聖書協会世界連盟が年次報告
★米メガチャーチ牧師 ビル・ハイベルズ氏辞任=不正行為疑惑拡大受け
★ニューヨークの教会が金属探知機設置=「世界が安全になるまで」

 
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