世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1434信(2018.07.16)

  • 教皇が南伊バーリで中東平和のためのエキュメニカルな祈り
  • 教皇、日本の豪雨犠牲者のために祈る
  • マザー・テレサの修道会で赤ちゃん売買が発覚
  • 米シカゴの高速道路で反銃暴力訴えデモ行進
  • ナイジェリアでイスラム教徒「フラニ人」とキリスト教徒「べロム人」抗争
  • バチカン諸宗教対話評議会議長トーラン枢機卿逝去
  • ≪メディア展望≫

 

◎教皇が南伊バーリで中東平和のためのエキュメニカルな祈り

 【CJC】教皇フランシスコは7月7日、聖ニコラスの聖遺物が安置される南イタリアプーリア州の州都バーリのサン・ニコラ聖堂で、中東平和のためのエキュメニカルな祈りの集いを主宰した。

 バチカン放送(日本語電子版)によると、アドリア海に面した港湾都市バーリは、「東方に開いた窓」として、古くからギリシャや中東との交易・交流に大きな役割を果たしてきた。

 バーリは、カトリック・正教会の双方から深い崇敬を受ける、3世紀から4世紀にかけてのミラ(小アジア・リュキア)の司教、聖ニコラス(ニコラウス)の聖遺物でも知られる。

 バーリは、正教会の信徒たちの巡礼地でもあり、エキュメニカルな出会いに恵まれた都市。

 教皇が呼びかけたこの祈りの集いには、正教会のエキュメニカル総主教バルトロメオス1世をはじめ、中東のキリスト教諸教会の総主教および指導者らが招かれた。

 7日朝、教皇と総主教らは教会のクリプタ(地下聖堂)に降り、聖ニコラスの聖遺物の前で祈りを捧げた。

 また、教皇は聖ニコラスの聖遺物の前にある、祭壇上のランプに火をともした。船の形をしたこのランプには、教皇ピオ11世の時代から、カトリック教会と正教会の共通の信仰のしるしとして、唯一の火がともされてきた。

 聖ニコラスの聖遺物前で祈った後、教皇と総主教らは、バーリ市内の海岸通りの広場で、中東の平和のための祈りの集いを行った。

 広場には多くの市民が集い、バーリの若者たちのオーケストラや合唱、また東方教会の聖歌の調べが流れる中、海を隔てた中東への思いを一つにした。

 教皇は集いの中で、様々な文明が交差する地、一神教の諸宗教の揺籃の地、特に「主がわたしたちを訪れ、そこから信仰の光を全世界に輝かせた地」としての中東に、思いをはせ、修道生活、古来からの典礼、豊かな宗教美術と神学、偉大な教父たちを育て、霊性の源泉、キリスト者の魂のルーツである、中東の伝統を全力で守らなければならない、と述べた。

 この輝ける中東の地が、今や、紛争や、暴力、破壊、占領、原理主義、強制的移住、放棄などによって荒らされている現状を教皇は指摘。こうした荒廃が、多くの人の沈黙と共犯性のうちに進んでいることを危惧した。

 中東からのキリスト教徒たちの流出を深く憂慮される教皇は、キリスト教徒は同地域を構成する大切な要素であり、キリスト教徒のいない中東は、中東ではないと話した。

 祈りの集いの後、教皇と総主教らは、聖ニコラスのバシリカに戻り、対話の時を持った。終了後、総主教らは、バーリの大司教館で教皇と昼食を共にした。

 中東平和のための祈りの一日を終えた教皇は、総主教ら一人ひとりに深い感謝を述べた後、同日夕方、ローマに戻った。


◎教皇、日本の豪雨犠牲者のために祈る

 【CJC】バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇フランシスコは、西日本を襲った豪雨の犠牲者のために祈った。

 教皇は、バチカン国務長官ピエトロ・パロリン枢機卿を通し7月9日発表したメッセージの中で、日本の豪雨被害による犠牲者と負傷者のために、深い悲しみを述べ、この悲劇的災害に見舞われたすべての人々に心からの連帯を表明した。

 教皇は、特に亡くなった方々の冥福と、負傷された方々、悲しみの中にあるすべての方々に慰めを祈ると共に、被災者の救助・支援に尽くす関係機関とすべての人々を力づけた。


◎マザー・テレサの修道会で赤ちゃん売買が発覚

 【CJC】「コルカタの聖テレジア」と呼ばれ、ノーベル平和賞受賞者マザー・テレサが1950年にインドで創設した女子修道会『神の愛の宣教者会』(総長シスター・メアリー・プレマ)は7月6日、同会所属の修道女と職員の女性が未婚の母親たちが産んだ赤ちゃんの人身売買容疑で逮捕されたことを受け、「遺憾」の意を表明した。

 AFP通信が報じるところでは、インド東部ジャルカンド州の州都ランチーの警察は5日、『神の愛の宣教者会』の施設の一つで少なくとも5人の赤ちゃんを売った容疑で修道女と職員の計2人を逮捕した。

 この事態を受け、『神の愛の宣教者会』は、「ランチーにある私たちの施設で起きたことにショックを受けている。あってはならないことだ」として、「このようなことは私たちの道徳的信条に反している。この問題について慎重に調査し、このようなことが二度と起きないようあらゆる必要な措置を講じる」と述べた。

 事件が発覚したのは、地元の児童福祉局が今週、未婚の妊婦や困窮する母親の面倒をみている同修道会の施設にいた新生児1人が行方不明になっていると警察に通報したことがきっかけ。

 現地のPTI通信によれば、2人が逮捕された翌日の6日、同施設で生活していた少女13人と同修道会が運営している近隣の施設にいた子ども22人がそれぞれ別の施設に移された。

 逮捕された職員は当初、行方不明になった赤ちゃんはその子を産んだ未婚の母親に連れて行かれたと主張していたが、警察は、容疑者2人がこの赤ちゃんを隣接するウッタルプラデシュ州の夫婦に1700米ドル(約19万円)近くで売っていた証拠を突き止めた。

 人身売買で有罪になれば容疑者2人には最大で5年の禁錮刑が科されるが、警察によると、捜査によって余罪が出てくる可能性もある。捜査は、出産が行われた病院でも進められている。

 インドでは合法的な養子縁組には煩雑な手続きが必要なため、慈善団体や病院に賄賂を払うなど違法な手段に頼る人々もいる。


◎米シカゴの高速道路で反銃暴力訴えデモ行進

 【CJC】米国で最も殺人件数の多いイリノイ州シカゴで7月7日、銃暴力に抗議する大勢の市民らが高速道路をデモ行進した。このデモのため、高速道路は片側車線が約1時間閉鎖された。

 デモが行われたのは、アフリカ系住民が多数を占めるシカゴ南部を縦断するダン・ライアン高速道路。デモを率いるのは長年シカゴで反暴力を訴えてきたカトリック教会のマイケル・フェルガー司祭。シカゴ当局がフェルガー氏に協力し、ダン・ライアン高速道路の北行き全車線を約1時間封鎖しデモ行進を認めた。

 シカゴでは麻薬密売やギャングの縄張り争いによる銃犯罪が日常的に発生している。警察によると、今年に入ってから7月1日までにシカゴで発生した発砲事件は1114件、殺人事件は254件だった。殺人件数は昨年同期比では23%減少したものの、依然として米国では第1の件数となっている。


◎ナイジェリアでイスラム教徒「フラニ人」とキリスト教徒「べロム人」抗争

 【CJC】アフリカ・ナイジェリアでは土地や資源をめぐる争いに民族や宗教、政治的な対立も絡んで数十年にわたり抗争が続いている。

 中部プラトー州バーキンラディ地区一帯では、イスラム教徒の遊牧民「フラニ人」とキリスト教徒の農民「べロム人」が土地をめぐり抗争している。

 AFP通信などの報道によると、6月21日、「ベロム人」が「フラニ人」に攻撃を仕掛け、これがきっかけと見られる武力衝突が起きた。

 国家警察は24日、遊牧民と見られる集団が農耕民の集落を襲撃し、86人が殺害されたと発表した。一帯には夜間外出禁止令が出され、ムハンマドゥ・ブハリ大統領は平静を呼びかけた。

 警察幹部が記者会見で明らかにしたところよると、衝突後に「ベロム人」の複数の集落を捜索した結果、計86人が殺害されていたことが分かった。このほかに6人が負傷し、家屋50棟が破壊されたという。

 『ナイジェリア・キリスト教協議会』(CAN)によると、ブハリ大統領は「フラニ」出身で、この事件のために自身を非難は不当だと主張。「治安に関する課題はあるものの、現政権が治安の分野で顕著な成功を収めていることを多くのナイジェリア人が認めていることは注目に値する」と述べている。


◎バチカン諸宗教対話評議会議長トーラン枢機卿逝去

 バチカン(ローマ教皇庁)諸宗教対話評議会議長のジャン・ルイ・トーラン枢機卿が7月5日、入院先の米コネティカット州ハートフォードの病院で逝去した。75歳。

 教皇フランシスコは、トーラン枢機卿の親族に宛てた電報で、深い弔意を表すと共に、同枢機卿の教会への愛と忠実、その奉仕を想起した。

 トーラン枢機卿は1943年、仏ボルドー生まれ。69年、司祭叙階。73年から、ローマの教皇庁立教会アカデミーで学び、75年よりバチカンの外交活動に携わる。

 ストックホルム欧州軍縮会議等、多くの会議に携わり、教皇庁の旧・教会外務評議会の事務次官等を務めた。

 90年、国務省外務局の局長となると共に、大司教に。

 2003年、枢機卿に任命。同年、バチカン図書館館長となる。

 07年より教皇庁諸宗教対話評議会議長。

 13年3月13日の教皇フランシスコ選出の際には、サンピエトロ大聖堂の中央バルコニーから、教皇選出の知らせと新教皇名を告げる役を果たした。

 トーラン枢機卿の葬儀は7月12日、サンピエトロ大聖堂で行われた。

 12日午前、サンピエトロ大聖堂で捧げられた葬儀のミサには、バチカン関係者、外交団は始め多数が参列した。

 ミサを司式した枢機卿会首席アンジェロ・ソダノ枢機卿は、説教の中で、長年、バチカンで共に働いたトーラン枢機卿の、深い信仰と偉大な使徒的精神を記憶にとどめつつ、闘病の重みにも関わらず、勇気をもって、教会への奉仕とすべての人々との対話に身を捧げた同枢機卿を想起した。

 ミサの終わりに、教皇は、トーラン枢機卿の冥福を祈り、告別の儀式を行った。

 トーラン枢機卿は諸宗教対話評議会議長として、来日経験があり、様々な機会を通して、日本の諸宗教関係者とも交流があった。(CJC)

 
《メディア展望》

 =カトリック新聞(7月15日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★鹿児島教区に新司教=神学院長の中野裕明神父
★ペトロ岐部と187殉教者の列福から10年=福者らの信仰考える=シンポジウム開催=東京・麹町教会
★「焼き場に立つ少年」、日本語版カード=カトリック中央協議会が作成=各小教区で配布予定
★カリタスウガンダ講演会=東アフリカの難民・移住者テーマに=若者との協働目指し、企画=聖心女子大学
★9教会の聖歌隊交歓会=横浜教区湘南地区で続く

 

 =KiriShin(7月11日)=https://www.kirishin.com
★被災教会から見える現代社会の課題=大雨による二次被害も懸念
★オウム真理教元幹部ら7人に死刑執行=川島堅二氏「記憶し続ける必要」
★「潜伏キリシタン」世界遺産に=髙見三明大司教がコメント
★ヨルダン国王に「テンプルトン賞」=イスラム教徒間の対話推進を評価
★売春宿主が米ネバダ州予備選で躍進=キリスト教保守層が支持

 

 =クリスチャン新聞(7月8日)=https://クリスチャン新聞.com
★長崎・天草=キリシタン関連遺産が世界遺産登録=苦難と信仰の歴史に光
★パーティーでマグロ解体ショー=愛隣チャペルキリスト教会=MEBIG開所式
★「日本伝道の将来」主題に「第1回日本伝道フォーラム」=マッピングで原発からの距離把握=中高生大会、リフォユース500の報告も
★大阪北部地震=現地の牧師からレポート=高齢化社会の課題浮き彫り
★各国の代表者と動向を共有=AACC沖縄で開催="創世記は神の権威の土台"=AiGからチャクラナラヤン氏が基調講演

 
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