世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1446信(2018.10.08)

  • 「若者」シノドス、10月3~28日にバチカンで
  • 「若者」シノドスに中国から2司教出席
  • 教皇の好感度が最低水準に=米世論調査=教会醜聞響く
  • 台湾の陳副総統、故教皇パウロ6世の列聖式に出席へ
  • スラウェシ島地震、教会で聖書キャンプに参加した子34人が犠牲に
  • カメルーン、大統領選直前に英語圏の衝突で死者
  • ≪短信≫

  • ≪メディア展望≫


 

◎「若者」シノドス、10月3~28日にバチカンで

 【CJC】教皇フランシスコは10月3日、バチカン(ローマ教皇庁)で「若者、信仰そして召命の識別」をテーマとした「世界代表司教会議(シノドス)第15回通常総会」を、教皇と参加司教たちの共同司式のミサによって開会した。日程は28日まで。

 公営バチカン・ニュース(日本語電子版)は「若者」をテーマにしたシノドスの開会にあたり、同日午後、教皇は、バチカンのシノドスホールに集った司教らを前に、開会の挨拶を述べた。

 教皇は、代表の若者たちや、会場と中継でつながっている若者たち、また準備のために彼らの意見を聞かせてくれたすべての青少年に、お礼を述べた。

 そして、特に「人間的弱さや困難にもかかわらず、キリストの福音を証しし伝える、母・師・家・家族としての教会」に若者たちが所属し、「この世の嵐をくぐりながらも、人々の拠り所であり続ける教会という船」に若者たちがつかまっていることに、感謝を表明した。

 教皇はこのシノドスの体験を、「分かち合いの時」とし、すべての人が勇気と率直さをもって、自由・真理・愛ある対話を行うようにと招くと同時に、率直に話す「勇気」には、耳を傾ける「謙虚」をもって対応しなければならないと指摘した。

 シノドスは、教会が識別を行うための一つの霊操であると教皇は述べ、それは信仰に深く根ざした内的な態度を要するものと話した。

 識別には時間と余裕が必要であるゆえ、シノドス会議では5回の発表・発言ごとに沈黙の時間を設け、耳を傾けた事柄を心の奥に注意深く受け取れるように配慮していると教皇は説明した。

 「わたしたちは『耳を傾け、歩む教会』のしるしである」と語る教皇は、シノドスを、普段、教会からそのオリジナリティーや意見を容易に受け入れてもらえない若者たちに、真摯に耳を傾けるチャンスと課題の時として示し、さらに、先入観や既成の概念から心を自由にすることが、耳を傾けることへの最初の一歩となると話した。

 教皇は、聖職者の権威主義を教会の多くの悪の根源として示し、自分が受け取った聖職者としての任務を、寛大な無償の奉仕のためではなく、行使すべき権力のように用いてはならないと注意を促した。

 教皇の言葉の後、シノドス事務局・事務局長ロレンツォ・バルディッセーリ枢機卿が今回のシノドスの概要等について報告した。

 バルディッセーリ枢機卿は、「若者」をテーマにしたこのシノドスを、「家庭」をテーマにした前回の二つのシノドス、およびその後の教皇の使徒的勧告「愛の喜び」の延長線上にあるものとして位置付け、教会の刷新と社会との関係を考える上で、最も本質的なカテゴリーとして「家庭」と「若者」があると述べた。

 シノドス参加267人の司教について同枢機卿は、東方典礼カトリック教会、各国司教協議会、教皇庁、シノドス事務局、修道会総長連盟からの代表に加え、教皇が指名したメンバーからなると紹介。

また、この他に協力者としての専門家、世界各国からの傍聴者、中でも34人の若者の存在を挙げた。

 5日の全体会議では、シノドスに特別に招聘されたテゼ共同体のブラザー・アロイスが発言、同共同体創立者ブラザー・ロジェの「教会が耳を傾ける時、それはあるべき姿、愛の共同体となる」という言葉を紹介。聖職者だけでなく、信徒も耳を傾ける、教会としての「聴く」使徒職の大切さを語った。

 傍聴者らの発言では、教会がより信頼を得るために、教会関係者による虐待問題への、確固とした、透明性のある対応の必要がアピールされたほか、信仰を励ますために、教会生活における女性の役割を価値づけて欲しいとの声があった。


◎「若者」シノドスに中国から2司教出席

 【CJC】カトリック専門通信『アジア・ニュース』(英語版)は、「若者シノドス」へ参加するようにとの教皇の招きに応じたのは、陝(峡のヘンをコザトに)西省延安のジョン=バプテスト・ヤン・シャオテイン司教と河北省承徳のジョセフ・グオ・ジンカイ司教と報じている。

 教皇は10月4日朝、シノドスに出席している2司教と数分間話し合った。その中のジンカイ司教は、暫定合意に基づいて、教皇が認可した「破門」司教8人のうちの1人。

 バチカン(ローマ教皇庁)と中華人民共和国間で続いてきた交渉の中で、9月22日、北京で開かれた教皇庁外務局次長アントワン・カミレーリ師と、中国の王超・外交部副部長による会談の際、両代表は、司教の任命をめぐる暫定合意書に署名している。

 教皇は同日、主の群れの司牧を推進し、その霊的遺産を効果的に遂行するためとして、承徳教区を設立、司教座を、承徳市の善き牧者イエス司教座聖堂とすることを明らかにした。承徳教区も中国政府公認の天主教愛国会がすでに設立しているのを追認した、と見られる。


◎教皇の好感度が最低水準に=米世論調査=教会醜聞響く

 【CJC】カトリック教会の教皇フランシスコを非常にもしくは概ね好意的にとらえている米国のカトリック教徒の比率は72%で、今年1月の類似調査時の84%から落ち込んだことが、シンクタンク『ピュー・リサーチ・センター』が実施最新世論調査でわかった、とニュースサイト『CNN』が10月7日伝えた。

 同教皇が就任した2013年3月以降の類似調査を見た場合、72%の数字は最低水準となっている。好感度の下落の背景には、カトリック教会を襲う聖職者による未成年者らへの性的虐待問題があるという。

 14年2月の調査では週1回のミサに通う信者10人のうち7人以上が同教皇による性的虐待問題への対応策に満足の意を表明していたが、今年9月に実施された今回調査では34%に激減した。

 不満は各年代層でほぼ共通しており、教皇の問題への取り組み方を支持したのは年配者層の28%、男性27%、女性36%、保守派24%にリベラル派37%などだった。

教皇の伝統的な道徳問題に関する立場への賛意は各年代層でより高かったが、この比率も14年2月以降、減少基調となっている。


◎台湾の陳副総統、故教皇パウロ6世の列聖式に出席へ

 【CJC】バチカン(ローマ教皇庁)が国交のない中国と司教任命問題について暫定合意に達したことを受け、76年目に入った中華民国(台湾)との外交関係に各界の注目が集まっている。台湾の通信社『中央社』が、総統府によると、両国の長年の友好や交流に鑑み、陳建仁副総統率いる訪問団が10月11~16日の日程でバチカンを訪れる、と報じた。

 陳副総統は、14日にサンピエトロ広場で行われる第262代教皇パウロ6世(在位1963~78年)らを「聖人」とする列聖式に、特使として出席する。


◎スラウェシ島地震、教会で聖書キャンプに参加した子34人が犠牲に

 【CJC】インドネシア・スラウェシ島を9月28日襲った地震で、救助関係者は10月2日、聖書キャンプに参加していた教会で土砂崩れに巻き込まれた子ども34人が遺体で見つかったと明らかにした。AFP通信が報じた。

 インドネシア赤十字の広報担当者によると、聖書キャンプに参加していた86人が行方不明になったと報告されていた。


◎カメルーン、大統領選直前に英語圏の衝突で死者

 【CJC】AFP通信によると、10月7日に大統領選投票が行われる直前の5日、カメルーンの南西州の州都ブエアで、治安部隊と英語圏の分離独立派が衝突し、銃撃戦で分離独立派の3人が死亡した。治安部隊筋が6日、明らかにした。

 同国では4日にも、北西州の州都バメンダで、英語話者の聖職者が兵士に殺害される事件が起きている。バメンダの大司教らの声明によると、この聖職者はミサの後、教会の目の前で殺害された。

 仏語話者が多数派を占めるカメルーンでは、英語圏の南西州と北西州の分離独立を目指す動きがあり、1年前に分離独立派が蜂起した。独立系シンクタンク『国際危機グループ』(ICG)によると、これまでに少なくとも民間人420人、治安部隊175人が死亡したとされる。分離独立派側の死者数は不明。


≪短信≫

〇ノーベル平和賞委員会「戦時下の性暴力は武器」根絶強く訴え
 ノルウェーのノーベル賞委員会は10月5日、コンゴ民主共和国の医師、デニ・ムクウェゲ氏とイラクのヤジディー教徒女性、ナディア・ムラド氏にノーベル平和賞授与を決めた。紛争下で「武器」として使われてきた性暴力の根絶に本腰を入れるよう国際社会に強く訴える狙いと見られる。(CJC)

〇エヴァン・アタル・アダハ医師にナンセン難民賞
 『国連難民高等弁務官事務所』(UNHCR)は10月1日、20年以上にわたってスーダン及び南スーダンで人々に医療を提供しているエヴァン・アタル・アダハ医師に『ナンセン難民賞』を授賞した。(CJC)

〇ガザ境界で定例化した暴動に、28日は約2万人参加
 パレスチナ自治区ガザ境界で毎週金曜日に行われる暴動に、9月28日は約2万人が参加した。爆発物や投石などでイスラエル国防軍兵士を攻撃したため、国防軍が応戦。少年を含むパレスチナ人7人が死亡し100人以上が負傷した。イスラエル・メディアが10月1日報じた。(CJC)

〇スペインのレアルマドリードが、パレスチナ少女タミミを招待
 イスラエル紙『ハアレツ』10月1日付けは、スペインのサッカーチーム『レアルマドリード』が、イスラエル国防軍兵士に暴行して収監されたパレスチナ少女のタミミを招待し、同チームのシャツを贈呈したことで、イスラエル外務省報道官が同チームを非難した、と報じた。(CJC)

◯沖縄の米軍縮小を米紙が社説で主張
 米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は10月1日、「沖縄の米軍縮小に向けて」との見出しの社説で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画に反対する玉城デニー氏の沖縄県知事選当選を受け、安倍晋三首相と米軍司令官らは県民と共に「公正な解決策を探るべきだ」と訴えた。共同通信が報じた。(CJC)

〇関学大が留学生増加でイスラム礼拝室を開設
 関西学院大(兵庫県西宮市)は9月21日、本部キャンパスにイスラム教徒の学生のための礼拝室を開設した。イスラム圏からの留学生が増えているためで、教育機関でこうした礼拝室を設置するのは珍しい、と神戸新聞が報じた。(CJC)

 
《メディア展望》

 =カトリック新聞(10月7日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★教皇 バルト3国訪問=独立から100年=反ユダヤ主義に警鐘
★教皇フランシスコ=中国との「暫定合意」説明=国内の信者と全教会に
★今、他者とどう「つながる」か =シンポジウム「SNSと宗教」=司教協議会諸宗教部門=東京
★路上で募金呼び掛け=神戸・六甲学院の社会奉仕活動
★若者へのメッセージ=不安社会の中で逆流を生き抜く人間塾塾長=仲野好重

 

 =KiriShin(10月1日・既報)=https://www.kirishin.com

 

 =クリスチャン新聞(10月7日)=https://クリスチャン新聞.com
★2023年 第7回日本伝道会議見据え=「ゆるやかな宣教協力」学ぶ=JEA宣教フォーラム@東海
★聖句を書で味わう=第32回東海聖句書道展
★PBAと放送協力会・支える会で「2018全国放送伝道会義」開催=変わる時代、変わらない福音届ける
★"教会に性差別構造ないか"=家族観と少数派の課題問い直す=第3回性と人権 キリスト教全国連絡会議レポート
★南米・映画「ミッション」の舞台で初演奏=フルート奏者・紫園香さん=宣教の原点と現在に出合う

 
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