世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1474信(2019.04.22)

  • 教皇、ローマと全世界に向け復活祭メッセージと祝福
  • 北アイルランド暴動、女性記者撃たれ死亡、「テロ」で捜査
  • パリのノートルダム大聖堂で大規模火災、尖塔が崩壊
  • 「フランスに寄り添う」、ノートルダムの火災受け教皇声明
  • 教皇が適切な時期に訪仏も=マクロン大統領招請
  • スリランカの教会やホテルで爆発、死者200人超し、560人以上負傷
  • 《メディア展望》

 

◎教皇、ローマと全世界に向け復活祭メッセージと祝福

 【CJC】典礼暦で4月21日、カトリック教会は2019年度の復活祭を迎えた。2019年度の復活祭に当たり教皇フランシスコは、ローマと全世界に向けメッセージと祝福を送った。

 20日夜、復活徹夜祭をバチカン(ローマ教皇庁)の大聖堂で行った教皇フランシスコは、明けた21日午前、復活の主日のミサをサンピエトロ広場で捧げた。

 続いて、教皇は、同日正午、大聖堂の中央バルコニーから、復活祭メッセージと、ローマと全世界に向けた教皇祝福、「ウルビ・エト・オルビ」を送った。

 復活祭メッセージの内容は次のようなもの。

 主の復活の朝を迎え、わたしは皆さん一人ひとりに、最近発表された、特に若者に向けた「使徒的勧告」の冒頭の言葉をおくりたいと思います。

 「キリストは生きておられます。キリストはわたしたちの希望であり、この世界の最も美しい若さです。キリストは生きておられ、あなたが生きることを望まれると!」

 キリストは復活された御顔の光を見せられ、試練や、苦しみ、悲嘆の中にある人々を見捨てることはありません。生きておられるキリストが、愛するシリアの人々の希望となりますように。長引く紛争の犠牲者であるシリアの人たちの状況に対し、わたしたちは諦めや無関心にさえ陥る危険があります。人道危機に立ち向かい、レバノンやヨルダンをはじめとする近隣国に逃れた、避難民の安全な帰還を促さなければなりません。

 イエメンの飢えと戦争に苦しむ人々、特に子どもたちに思いをはせます。主の復活の光が、イスラエルとパレスチナをはじめとする、中東のすべての治世者と国民を照らし、多くの苦しみを和らげ、平和で安定した未来の構築を励ましますように。

 リビアの流血の武力闘争が停止されますように。同国ではここ数週間、無防備な人々が再び犠牲になり、多くの家族が避難せざるを得ない状況です。当事者双方に、暴力ではなく対話を選び、十年近くにわたる紛争と政治的不安定の傷を再び開くことがないよう呼びかけたいと思います。

 生きておられるキリストが、ご自身の平和を、愛するアフリカ大陸全土に与えてくださいますように。ブルキナファソ、マリ、ニジェール、ナイジェリア、カメルーンなどの国々では、いまだ社会的緊張や、紛争、暴力的原理主義が、治安の不安定と、破壊、死をもたらしています。わたしの思いはスーダンにも向かいます。政治不安の中にある同国で、すべての嘆願が声を持ち、長く切望される同国の自由と発展と幸福のために、皆が働くことができるよう願います。

 復活の主が、南スーダンの政治・宗教指導者らの努力を見守ってくださいますように。

 現在も続く闘争に苦しむウクライナ東部の人々が、慰めを得ることができますように。

 復活祭の喜びが、困難な政治・経済状況の影響を受けているアメリカ大陸の人々の心を満たしますように。特にベネズエラの人々を思います。同国では、長引き、深刻化する危機のために、多くの人が尊厳ある安全な生活を営むための最低限の条件にさえ事欠いています。

 ニカラグアで行われている、すべての国民のための、一刻も早い平和的解決と和平への努力を照らしてくださいますように。

 キリストは生きておられます!キリストは、わたしたち一人ひとりのため、そして全世界のための、希望と若さです。キリストにわたしたちを新たにしていただきましょう。主のご復活、おめでとうございます!


◎北アイルランド暴動、女性記者撃たれ死亡、「テロ」で捜査

 【CJC】英領北アイルランド第2の都市ロンドンデリーで4月18日夜、暴動が発生し、女性記者ライラ・マッキーさん(29)が撃たれて死亡した。北アイルランド警察の発表によると、同市クレガン地区で起きた「画策された暴力沙汰の最中に殺害された」。

 暴動は、イースター(復活祭)を週末に控える中で起きた。北アイルランドのイースターは、アイルランド独立につながった1916年の「イースター蜂起」をカトリック系住民(共和派)が祝うとともに、英国の統治に抗議する日。

 現場は住宅街で、「銃を持った男1人が何発か発砲し、マッキーさんが負傷した」という。警察は「テロ事件として」捜査していることを明らかにした。

 マッキーさんは北アイルランド紛争についての著書を執筆中だった。事件前、暴動の写真1枚をインターネット上に公開し、ロンドンデリーの別の呼称であるデリーを使って「今夜のデリー。まるっきりの狂気」と投稿していた。

 共和派政党『シーラ』は、「共和派の有志」が警察から「人々を守ろう」としていたところ、発砲が起きてマッキーさんが「誤って」撃たれたと主張。警察が「イースター蜂起の式典に先立ち、共和派を攻撃するため」クレガンに出動したとして、「このような侵攻に対する必然的な反応は、クレガンの若者らによる抵抗だ」と述べた。

 一部の当局者は、暴動を起こしたのは、アイルランド統一運動の非暴力主義への移行に反対する共和派武装組織『新IRA』と見ている。『シーラ』党に対しては『新IRA』傘下の政治団体だとの疑惑が浮上しているが、同党は否定している。

 カトリック系の民族主義政党『シン・フェイン党』のミシェル・オニール副党首は、過激派の犯行だと事件を非難、「社会と和平プロセス、聖金曜日の合意への攻撃だ」と述べて、冷静になるよう人々に呼び掛けた。

 「聖金曜日の合意」は、30年に及んだ北アイルランド紛争の終結へ向けて1998年に結ばれた包括和平合意。合意に至った日がイースター前々日の祝日「聖金曜日」だった。紛争では約3500人が死亡し、紛争の多くにカトリック系過激組織『アイルランド共和軍』(IRA)が関与している。

 警察は21日、女性記者射殺事件に関連して前日に逮捕していた18歳と19歳の男を釈放したと明らかにした。


◎パリのノートルダム大聖堂で大規模火災、尖塔が崩壊

 【CJC】「パリのノートルダム大聖堂」(カトリック教会パリ大司教座聖堂。日本では"ノートルダム寺院"と呼ばれることが多い)でイースター(復活祭)を控える「聖週間」(プロテスタントの「受難週」にあたる)の4月15日夕、大規模な火災が発生、尖塔が崩壊した。

 地元AFP通信などは、火災が発生したのは、一般公開の時間が終わったすぐ後で、炎と大量の煙が立ち上る光景を、パリ市民や観光客らは戦慄(せんりつ)の表情を浮かべて見守った、と報じた。

 大聖堂の広報担当者はAFP通信に、火災は15日午後6時50分(現地時間)ごろ発生し、炎により屋根を支えていた木製構造物が破壊されていると語った。消防当局は、火災が当日行われていた修復作業と「関連している可能性」があると見ている。

 パリ市のエマニュエル・グレゴワール副市長はテレビ局BFMTVに、尖塔は「内側に崩れ落ちた」と説明、「甚大な損傷」を受けたとし、救援隊員らが「救い出せるすべての芸術作品を救う」ために奔走していると述べた。

 アンヌ・イダルゴ市長はツイッターで、「恐ろしい火災」と述べ、「パリ消防当局が鎮火を試みている」と投稿した。

 エマニュエル・マクロン仏大統領は、同日夜に予定していた国民へ向けた政策関連のテレビ演説を中止、現場に駆けつけ、「すべてのカトリック教徒とすべてのフランス国民と共に、自分たちの一部が燃えているこの光景を悲しんでいる」と述べた。

 大聖堂は、12世紀半ばに建設が始まり1330年ごろに完成、フランスのカトリック教会の中心的な地位にあった。

 しかし、フランス革命中には、反キリスト教運動によって、破壊と略奪が繰り返され荒廃した。その後、帝政を宣言したナポレオン・ボナパルトの戴冠式が1804年に行われたのも、この大聖堂だった。

 ヴィクトル・ユーゴーの名作『ノートルダム・ド・パリ』の出版をきっかけに、国民的な修復運動が広がり、1846年に全体の修復が完了した。

 1991年に大聖堂を含む周辺の文化遺産とともにユネスコの世界遺産に登録された。

 2015年にはパリ同時多発テロ事件の追悼ミサが開かれた。東日本大震災に際しても、犠牲者を悼む祈りが捧げられた。


◎「フランスに寄り添う」、ノートルダムの火災受け教皇声明

 【CJC】AFP通信によると、「パリのノートルダム大聖堂」でイースター(復活祭)を控える「聖週間」の4月15日夕、大規模な火災が発生、尖塔が崩壊したのを受け、バチカン(ローマ教皇庁)は16日、教皇フランシスコがフランスと共にあり、カトリック教徒およびパリ市民のために祈っている、との声明を発表した。

 バチカンのアレッサンドロ・ジゾッティ報道官はツイッターに、「教皇はノートルダム大聖堂を襲った大火事を受け、フランスに寄り添い、フランスのカトリック教徒やパリの人々のために祈っている」「教皇は、この劇的な状況に向き合おうとする人々に祈りをささげる」と投稿した。


◎教皇が適切な時期に訪仏も=マクロン大統領招請

 【CJC】フランスのエマニュエル・マクロン大統領は4月18日、教皇フランシスコが適切な時期に訪仏する、と明らかにした。

 大統領は、「昨日教皇と電話で対話し、フランスに招請した。適切な時期に訪問があるだろう」と述べた。

 教皇は、15日に発生したパリのノートルダム大聖堂の火災に悲しみを表明し、聖堂と貴重な美術品の救出に当たった消防隊員らに感謝を述べた。また再建を熱望していると述べた。


◎スリランカの教会やホテルで爆発、死者200人超し、560人以上負傷

 【CJC】スリランカで4月21日、最大都市コロンボ中心部にある日本人など外国人客の利用も多いシャングリラ、シナモン・グランド、キングスベリーなどのホテルとコロンボ北方のニゴンボなど3カ所の教会など計6カ所で爆発があり、200人超が死亡し、少なくとも560人が負傷した。当日はイエス・キリストの復活を祝うイースター(復活祭)に当たる。6カ所での爆発の数時間後、コロンボ郊外の国立動物園付近などで2回の爆発があり、死者も出ている。

 カトリック教会コロンボ大司教区の広報部門関係者は、爆発の起きたコロンボの聖セバスチャン教会では、ミサの最中に爆発が起きたと明らかにした。当日は1000人を超える人々が教会を訪れていた。

 これまでのところ犯行声明は出されていない。スリランカで大規模な攻撃が起きるのは10年前の内戦終結以来。

 警察当局がイスラム過激派による教会などへの自爆攻撃計画を10日前に政権幹部に報告していたとの情報もあり、ラニル・ウィクラマシンハ首相は、国内のイスラム教組織が関与する攻撃について政府が事前に把握していたことを明らかにした。その上で、対応が不十分だったと認め、情報がどのように活用されたか調査する必要があると述べた。

 マイトリパーラ・シリセナ大統領は警察の特殊部隊と軍に犯行グループの特定や動機の解明を命じたことを明らかにした。軍報道官は部隊を投入し、国際空港の警備を強化したと述べた。

 各国首脳からは犯行を非難する声が相次いでおり、トランプ米大統領はスリランカ国民に「心からの哀悼の意」を示すとともに、支援の用意があると表明した。

 教皇フランシスコは21日、スリランカの教会などで多数の死傷者を出した爆発について「残酷な暴力」と批判、被害に遭った全ての人に心からの連帯を表明すると述べた。バチカンのサンピエトロ広場に集まった信者たちを前にイースターのメッセージを伝えた際にコメントした。

 2012年のスリランカ国勢調査では、国民の70%が仏教徒で、12・6%がヒンズー教徒、9・7%がイスラム教徒、キリスト教徒7・6%となっている。

 日本外務省は21日、日本人数人が負傷し、うち1人が重傷との情報があると明らかにした。日本政府は同日、首相官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置した。

 スリランカでは1970年代に結成されたタミル人過激派組織『タミル・イーラム解放のトラ』(LTTE)と、仏教徒中心の多数派シンハラ人の間で抗争が続き、90年代に大統領が爆弾テロの犠牲になるなど治安が悪化した。その後、2009年にLTTEが敗北宣言し、マヒンダ・ラジャパクサ前大統領が内戦終結を宣言していた。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(4月21日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★教皇フランシスコ=南スーダンのため黙想会=ひざまずき平和願う
★教皇フランシスコ=不平不満は悪魔の標的=宿舎の朝ミサで語る
★木と人の命を尊ぶ=パプアニューギニアとソロモン諸島の森を守る会=代表・辻垣正彦さんインタビュー
★「人間らしく生きる」ための情報と教育=米国・ニューヨーク公共図書館の取り組み
★永井隆の長詩「長崎の鐘」でCD制作=朗読と音色に合わせ=平和の希望を次世代へ=11弦ギター奏者 辻幹雄さん

 

 =KiriShin(4月21日)=https://www.kirishin.com
★『ぼくはアフリカにすむキリンといいます』=ドイツ児童文学賞受賞・岩佐めぐみさん新刊発売=私の代わりに本が世界へ
★パリのノートルダム大聖堂=大規模火災で尖塔が崩壊
★香港「雨傘運動」の活動家9人に有罪判決
★43カ国の若者1600人参加=レバノンでテゼ共同体青年大会
★日本での聖職者の性的虐待=カトリック司教協議会が調査へ

 

 =クリスチャン新聞(4月21日)=https://クリスチャン新聞.com
★難民キャンプ訪問の開成高校生らが特別講演会=今までの"難民像"が変わった=ワールド・ビジョン・ジャパンのイベント契機に
★「パウロ」自主上映会に茨城55教会335人が参加=教派超え"初代教会の交わりのよう"
★西日本豪雨災害に見るキリスト者の支援=「ことばでなくアクションで伝道を」=京都・からしだね公開シンポジウム

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