世界キリスト教情報

世界キリスト教情報

世界キリスト教情報 第1475信(2019.04.29)

  • 北京園芸博開幕、バチカンも出展
  • ≪スリランカ連続爆発≫

 ▽自爆犯は「イスラム教徒の兄弟」と警察筋
 ▽カトリック教会がミサ当面中止
 ▽事前情報を政府無視=AFP通信報道
 ▽宗教施設へ接近回避警告=日本大使館
 ▽テロ捜索で銃撃戦、15遺体確認
 ▽主犯格とみられる過激派指導者は死亡
 ▽「連続爆発は人間性への侮辱」と枢機卿が非難

  • 米カリフォルニア州のシナゴーグ銃撃で1人死亡、3人負傷
  • WCCが米カリフォルニア州のシナゴーグの攻撃非難
  • 《メディア展望》

 

◎北京園芸博開幕、バチカンも出展

 【CJC】中国政府は4月28日、北京市北西部の延慶区で国際園芸博覧会の開幕式を行った。11カ国の指導者や特使のほか、国際機関の責任者、各出展側の代表、世界の商工業界の代表、園芸界の専門家ら約900人が開幕式に出席した。中国政府は期間中、延べ1600万人の入場者を目標に掲げている。

 習近平国家主席も出席し「我々の自然環境を改善することが持続可能な経済発展につながる」と強調した。そのうえで「各国が協力してようやく気候変化や海洋汚染などの問題に対応できる」と述べた。

 会期は29日から10月7日まで。日本を含む約110国・国際組織が出展する。バチカン(ローマ教皇庁)も中国の招待を受け、約200平方メートルのパビリオンを設け、薬草について記録した古文書などを展示する。園芸博出展は初めてで、文化評議会議長(文化庁長官に相当)のジャンフランコ・ラバージ枢機卿も参加する。教皇の側近とされる枢機卿が国交のない中国を公式に訪問するのは異例。

 習指導部がバチカンと早期の正式和解をめざすのは台湾の統一問題が念頭にあるためと見られ、園芸博への招待はその一歩と位置づけられる。中国は台湾の外交関係の切り崩しを進めており、台湾の友好国は17カ国まで減った。太平洋の島国や中南米がほとんどを占め、欧州で唯一、外交関係を結ぶのがバチカン。

 中国外務省の陸慷報道局長は17日の記者会見で「中国とバチカンは話し合いを続け関係改善を進めている」と強調した。司教の任命権について昨年9月に暫定合意したことを受け、関係改善を示す動きとも見られる。

 そこには「地下教会」の問題を封じ込めたいとの思惑も感じ取れる。中国とバチカンは2018年9月、中国内の司教任命の主導権問題を巡り「暫定合意」した。

 カトリック・ミラノ外国宣教会(PIME)運営の『アジアニュース』によると、ラバージ枢機卿は「今回の訪問は外交関係の改善に向けた対話を続けるとの姿勢を示すもの」とはしたが、「園芸博の間に起こると予想されることは、文化的に異なる種類の対話」と言う。

 「対話は、宗教の枠の中でだけでなくアート、文化、さらには科学的研究の領域でも、対話可能な雰囲気を作りだすこと」と慎重な構えを見せた。


≪スリランカ連続爆発≫


◎自爆犯は「イスラム教徒の兄弟」と警察筋

 【CJC】スリランカで、イースター(復活祭)の4月21日に発生し、320人以上が死亡した連続爆発事件で、イスラム教徒の兄弟2人が、ホテル2カ所で別々に自爆攻撃を実施する役割を果たしていたと、複数の警察筋が23
日、AFP通信に明らかにした。

 兄弟は中心都市コロンボで香辛料を扱う富裕な商人の息子で、『シャングリラホテル』と『シナモン・グランド』ホテルでそれぞれ自爆攻撃に及んだ。

 また一連の攻撃で4カ所目のホテルも標的とされていたが、この攻撃は未遂に終わった。

 兄弟の氏名は公表されていないが、いずれも20代後半。家族で「細胞」を構成。さらに、国内のイスラム過激派組織『ナショナル・タウヒード・ジャマア』の主要メンバーだという。

 今回の攻撃について、イスラム過激派組織『イスラム国』が犯行を主張しているが、スリランカ政府は事件が『ナショナル・タウヒード・ジャマア』によるものとしている。ニュージーランドのクライストチャーチで発生し、50人が死亡した銃乱射事件の「報復」だったとの見方を示す閣僚もいる。

◎カトリック教会がミサ当面中止

 【CJC】スリランカ・カトリック教会は4月25日、ミサを当面、中止することを決めた。21日の連続テロでは、最大都市コロンボや東部バティカロアのカトリックの教会が狙われた。

 再開は、治安の改善を見極めてからとしている。

◎事前情報を政府無視=AFP通信報道

 【CJC】AFP通信報道によると、スリランカでイースター(復活祭)の4月21日に発生し350人超が死亡したとされる連続爆発事件について、同国政府は24日、襲撃計画を示す情報があったにもかかわらず事件を阻止できなかったという「重大な」過失があったと認めた。

 スリランカの警察幹部が11日、外国情報機関からの情報として、国内のイスラム過激派組織『ナショナル・タウヒード・ジャマア』(NTJ)が「高名な教会」を狙った自爆攻撃を行う可能性があると通達していた。

 米CNNテレビは、インドの情報機関が事件の数週間前に「異例なほど具体的な」情報を伝えていたと報道した。情報の一部はインド当局が拘束しているイスラム過激派組織「イスラム国」関連の容疑者からのものだったという。

 しかしスリランカ政府によると、この情報は首相や主要閣僚らには伝えられなかった。ルワン・ウィジェワルダナ国防担当相は24日の記者会見で「情報の共有に重大な過失があった」と認め、「政府は責任を取らなければならない」と語った。

 ウィジェワルダナ氏によると、実行犯の1人は英国留学とオーストラリアでの大学院留学を経てスリランカに帰国していた。「実行犯の大半が高学歴で、中流や上流中産階級の家庭の出身であり、経済的には非常に自立し、家族は経済的にかなり安定している。この事件での不穏な点だ」という。

◎宗教施設へ接近回避警告=日本大使館

 【CJC】在スリランカ日本大使館は4月26日、日曜を前にモスク(イスラム教礼拝所)のみならず、仏教寺院やキリスト教会などスリランカ国内の宗教関連施設には絶対に近づかないよう、在留邦人らに強く警告した。コロンボ発共同通信が報じた。

 イスラム過激派による新たなテロの脅威が消えていないことや、連続爆破テロを契機に宗教対立が先鋭化して衝突が起こることなどを危ぶんでいるため。

◎テロ捜索で銃撃戦、15遺体確認

 【CJC】コロンボ発共同通信によると、4月21日のテロ現場の一つとなったスリランカ東部バティカロア近郊で26日、治安部隊が連続爆破テロに関係する民家を捜索中、武装グループが関与したと見られる爆発があった。地元メディアは、民家で子供6人を含む15人の遺体を警察が確認した、と報じている。一般市民なのか、武装グループのメンバーやその家族なのかは不明。

 治安部隊はテロ実行犯の隠れ家も捜索し、過激派組織「イスラム国」の旗や大量の爆発物などを押収した。

◎主犯格とみられる過激派指導者は死亡

 【CJC】スリランカで4月21日に起きた連続爆発事件の主犯格と見られていた男が、最大都市コロンボのシャングリラホテルの爆発で死亡していたことが分かった。マイトリパラ・シリセナ大統領が4月26日、記者会見で明らかにした、とAFP通信が報じている。

 男は、スリランカのイスラム過激派組織『ナショナル・タウヒード・ジャマア』(NTJ)の指導者、ザフラン・ハシム容疑者。事件後にイスラム過激派組織『イスラム国』が犯行を主張した際、公開した画像に実行犯として登場していた。

 大統領によると、40代とみられるハシム容疑者はホテル襲撃を指揮し、自爆犯とされる男と一緒にいたという。これらの情報は軍の情報機関がもたらしたもので、防犯カメラ映像などに基づいているという。

◎「連続爆発は人間性への侮辱」と枢機卿が非難

 【CJC】スリランカのキリスト教会3カ所と、高級ホテル3カ所で相次ぎ発生した連続爆発事件から1週間を迎えた4月28日、同国のカトリック教会の指導者、コロンボ大司教のマルコム・ランジス枢機卿が、事件について「人間性への侮辱」と非難した。AFP通信が伝えている。

 新たな攻撃へ懸念が続く同国では公開のミサや礼拝が中止されている。同枢機卿は内輪でミサを執り行い、その模様がテレビで生中継された。

 枢機卿は「21日に起きたことは、大いなる悲劇であり、人間性への侮辱だ」とし、すべての犠牲者に敬意を表する印として、他者に親切心を示すよう、信者らに促し、さらに「この国において、分断なく、平和と共存、相互理解が実現するよう、われわれは祈る」と話した。


◎米カリフォルニア州のシナゴーグ銃撃で1人死亡、3人負傷

 【CJC】米メディア『CNN』によると、米カリフォルニア州サンディエゴ郊外の街パウウェイにあるシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)で「過ぎ越しの祭り」最終日の4月27日午前11時23分ごろ、銃撃事件があり、少なくとも1人が死亡、3人が負傷した。19歳の男が拘束された。

 市内にある病院には事件後に4人の患者が搬送され、このうち女性1人が死亡した。残る3人は男性2人と少女1人で、命に別条はなく、容体は安定しているという。

 パウウェイ市は、容疑者が侵入した時の発言を理由に「憎悪犯罪」との見方を示した。ドナルド・トランプ米大統領も同日、ホワイトハウス前で記者団に「憎悪犯罪のようだ」と語り、遺族らに弔意を表した。

 サンディエゴ警察の責任者によると、容疑者は現場から逃走した後、緊急通報の電話で事件への関与を認め、自分の居場所を告げた。警官が出動すると、抵抗せずに投降した。

 パウウェイはサンディエゴから北へ約30キロ離れた人口約4万8000人の市。比較的裕福な住民が多く、治安の良い街とされていた。


◎WCCが米カリフォルニア州のシナゴーグの攻撃非難

 【CJC】世界教会協議会(WCC=本部ジュネーブ)は、米カリフォルニア州ポウェイのシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)へ4月27日行われた攻撃を非難した。この攻撃で、死者1人、負傷者3人が出ている。

 WCCのオラフ・フィクセ=トゥベイト総幹事は、人々には、安心できる礼拝所に集まる権利があると言い、暴力には動機に関わらず不安でいっぱいになる、と語った。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(4月28日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★教皇復活祭メッセージ=キリストだけが 平和をもたらす
★神の栄光は十字架上に=教皇の一般謁見講話
★CTVC講演会=福島の「希望」語る=酪農家・吉沢正巳さん
★不就学の学齢児童・生徒調査=「外国人も対象に」=キリスト教関連団体が要望書
★髙見大司教=パリ大聖堂火災で声明

 

 =KiriShin(4月21日・既報)=https://www.kirishin.com

 

 =クリスチャン新聞(4月28日)=https://クリスチャン新聞.com
★ルワンダ虐殺25年=「憶える礼拝」を東京で開催=教会は「加害」に対抗できるか
★熊本・大分地震から3年=このつながりを力に=「ナイトdeライト」 復興コンサートイベント
★パリのノートルダム大聖堂=大規模火災、尖塔が崩壊
★宗教観に関する米調査 「無宗教」との回答 初めて首位に

 
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