世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1478信(2019.05.20)

  • 「世界召命祈願日」=19人の新司祭を教皇叙階
  • 米ニューメキシコ州ラスクルーセスに『新求道共同体』の補佐司教
  • 教皇、「メジュゴリエの聖母」への巡礼を許可
  • スイス連邦大統領がトランプ米大統領と会談
  • 米アラバマ州で中絶禁止法成立 大統領選の争点化必至
  • 台湾でアジア初の同性婚法が成立、養子縁組認めず
  • ナイジェリアの反ボコ・ハラム民兵組織が子ども兵士894人解放
  • ブラジルのイルマン・ドゥウセ修道女が聖人に
  • 《メディア展望》

 

◎「世界召命祈願日」=19人の新司祭を教皇叙階

 【CJC】「よい牧者の主日」と呼ばれる復活節第4主日の5月12日、カトリック教会は「第56回世界召命祈願日」を記念した。

 『バチカン・ニュース』などによると、教皇フランシスコは、バチカンの聖ペトロ大聖堂で司式したミサの中で、助祭19人の司祭叙階式を行った。

 新司祭19人の内の8人は『レデンプトリス・マーテル』神学校卒、8人がオプス・デイ関係者、教皇庁立ローマ大神学校など他神学校卒が3人

 19人のほとんどがイタリア出身だが、クロアチア、日本、ハイチ、ペルーの出身者もいた。

 ミサの説教で教皇は、新司祭たちがその聖なる役務を通して、御言葉と祈りに根差した神の民の栄養となる説教を行うように、また、神の救いの無償性に倣うように、御父やイエスのようにいつくしみ深くあるように、と願った。

 さらに、教皇は、キリストの祭司職を喜びと愛と誠実さをもって遂行し、自分自身ではなく、神のお気に召すことだけを意図するように、常に祈りにおいて神の近くに、また司教・司祭たち、そして神の民の近くにいるように、いつも目の前に「よき羊飼い」の模範を思い浮かべることができるように、と励ました。


◎米ニューメキシコ州ラスクルーセスに『新求道共同体』の補佐司教

 【CJC】教皇フランシスコは5月15日、米ニューメキシコ州ラスクルーセス教区司教にフロリダ州マイアミ教区のピーター・バルダッチノ補佐司教(58)を任命した。米本土内で『新求道共同体』系の教区司教は初めて。『カトリック通信』(CNA)が報じた。

 バルダッチノ補佐司教は地中海の島国マルタ出身。家族が『新求道共同体』に参画していた。カトリック大学として知られるシートン・ホール大学『無原罪聖母神学校』で学んだが、住居は『レデンプトリス・マーテル大司教区宣教神学校』だった。


◎教皇、「メジュゴリエの聖母」への巡礼を許可

 【CJC】教皇フランシスコがメジュゴリエへの巡礼を許可したことが5月12日、駐ボスニア・ヘルツェゴビナ教皇大使などにより発表された。これで人々が私的に行っていたメジュゴリエへの巡礼を、教区や小教区が企画する公式な巡礼として行えるようになった。

 決定は、メジュゴリエの小教区で行われたミサの中で、駐ボスニア・ヘルツェゴビナ教皇大使ルイジ・ペッツート大司教と、教皇庁が特別派遣した常駐巡察師ヘンリク・ホーサー大司教によって発表された。

 メジュゴリエ巡礼は、1981年6月から現在に至るまで毎日、聖母マリアが出現していると数名の幻視者が主張する、ボスニア・ヘルツェゴビナ南部ヘルツェゴビナ・ネレトヴァ県メジュゴリエへの巡礼のこと。

 バチカン(ローマ教皇庁)のアレッサンドロ・ジソッティ暫定広報局長は、この決定について、「これらの巡礼が周知の出来事を公認したものとの解釈を避ける注意」が必要、と述べた。そして「メジュゴリエの出来事は、まだ教会側からの調査を要するものであり、これらの巡礼が、教理の点から、混乱や曖昧さを生じさせることは避けなければならない。それはメジュゴリエに巡礼し、ミサを司式または共同司式することを望む、あらゆる階位の司牧者にもあてはまることである」と語った。

 教皇フランシスコによるメジュゴリエ巡礼の許可は、2018年5月31日、メジュゴリエ小教区への特派常駐巡察師として、ワルシャワ=プラガ名誉大司教ホーサー大司教が任命されてから、1年後の決定となった。

 特派常駐巡察師の派遣、また今回の巡礼許可のいずれも、1981年から始まり、未だ続く、メジュゴリエでの出来事に関する6人の幻視者の語りの真正性をめぐる問題とは、区別されるもの、と『バチカン・ニュース』は報じている。


◎スイス連邦大統領がトランプ米大統領と会談

 【CJC】スイス連邦のウェリ・マウレル大統領が5月16日、米国公式訪問、ホワイトハウスでドナルド・トランプ大統領と会談した。トランプ氏が急ぎ自ら招待したもの。スイス連邦大統領の合衆国公式訪問は初めて。

 米国メディアは、この会談では、イランとの外交的不和に焦点が当てられたと見ている。米メディア『CNN』の報道によると、「ホワイトハウス」はスイスの協力でイランと交渉を始めようとしている。

 米大統領とスイスの大統領は、「外交交渉でのスイスの役割その他、両国のパートナーシップについて話し合う」と「ホワイトハウス」の報道官は語っていた。イランと米国の紛争、ヴェネズエラ危機、マウレル大統領の中国訪問などを話し合われたと見られる。

 トランプ大統領はマウラー大統領と会談した際、記者団に、イランとの戦争に向かっていないことを望むと述べた。スイスは歴史的に、米・イラン間の仲介役を務めてきた。米国としては、イランとヴェネズエラの保護国として、スイスの外交的な役割に期待しているようだ。


◎米アラバマ州で中絶禁止法成立 大統領選の争点化必至

 【CJC】米南部アラバマ州のケイ・アイビー知事(共和党)は5月15日、人工妊娠中絶を事実上全面的に禁止する新たな州法案に署名した。法案はモンゴメリーの州議会で14日に可決された。中絶手術に関わった医師に最高で禁錮99年を科すなど厳罰も盛り込んだ。

 中絶を容認する民主党や人権団体などは阻止に向けて提訴する方針。

 中絶反対のキリスト教右派や保守派へのアピールを狙うドナルド・トランプ大統領は規制強化の姿勢を示しており、来年の大統領選で中絶問題が主要な争点となるのは必至だ。

 米国ではこれより先、共和党が多数派を占める中西部アイオワ州で5月4日、胎児の心音が確認できるようになった時点で人工妊娠中絶は禁止とする法案にキム・レイノルズ知事(共和党)が署名し、国内で最も厳しいとされる中絶禁止法が成立している。

 「胎児の心音法」とも呼ばれるこの法律は、レイプや近親相姦による妊娠は対象外としているが、胎児の心音が確認できるのは一般的に妊娠6週目ごろとされ、反対派は多くの女性が自身の妊娠に気付いてすらいない段階での中絶を禁じる内容だと批判している。

 レイノルズ知事は法案に署名した後、声明を発表。「この法律が法廷で争われることになる可能性については理解し、予期している」、「だが、これは単なる法律の問題ではない。これは命に関する問題だ。わたしは自分自身からも、自分の信念からも決して逃げない」と述べている。


◎台湾でアジア初の同性婚法が成立、養子縁組認めず

 【CJC】台湾の立法院(国会)は5月17日、同性間の結婚の権利を保障する特別法案を賛成多数で可決した。同性婚を認めない現行民法は「法の下の平等」や「婚姻の自由」などを定めた憲法に違反するとした2017年の司法判断を受けた措置。世界で同性婚を認める国・地域は、厳密には確定できないが25を超えると推定される。アジアで同性婚法が成立したのは台湾が初めて。

 欧米で先行している同性婚の合法化がアジアで初めて実現した。来年1月の次期総統選に向け与党・民主進歩党(民進党)は苦戦しており、蔡英文政権はリベラル路線を鮮明にして若者らの支持拡大を図りたい意向。ただ民進党の伝統的な支持基盤であるキリスト教諸教派などは同性婚の合法化を激しく批判しており、選挙で追い風になるかは予断を許さない。

 特別法は、蔡総統の署名を経て発効し、今月24日から各地の行政窓口で婚姻届の受け付けを開始する見通し。同性カップルが結婚を登記することができるようになり、配偶者の相続の権利や相互扶養の義務も発生する。カップルのどちらかに血縁関係がある子女を養子にすることも認める。

 台湾では2017年5月、司法院大法官会議(憲法法廷)が同性婚を認めないのは自由と平等に反し違法との判断を下した。保守派からは「男女間を前提とする結婚や家庭の形が崩壊する」などと反発の声も上がった。

 野党・国民党側から、同性間の結婚は認めず「同性家族関係」とすべきとする法案も出たが、与党・民進党側が押しきった。


◎ナイジェリアの反ボコ・ハラム民兵組織が子ども兵士894人解放

 【CJC】国連児童基金(UNICEF)は5月10日、ナイジェリアでイスラム過激派『ボコ・ハラム』と対峙する民兵組織から少女106人を含む子ども894人が解放されたと明らかにした。

 米メディア『CNN』は、解放された子どもたちは北東部マイドゥグリで地元の民兵組織『一般市民合同タスクフォース』(CJTF)によって兵士として採用されていた、と報じている。CJTFは2013年、一帯の反政府勢力の活動に対抗するために作られた。

 UNICEFによると、ナイジェリア北部の紛争では2013年から17年にかけて3500人以上の子どもが兵士になった。『ボコ・ハラム』はこの地域で10年以上にわたり戦闘を続けており、村を焼き打ちしたり軍基地を襲撃したりしている。

 CJTFは2017年に子どもの兵士採用を終わらせる行動計画に署名して以降、1727人を解放してきた。ユニセフはナイジェリア政府や地元当局と協力し、こうした子どもたちの社会復帰を支援しているという。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、今年1月には3万人近くがナイジェリアの村から隣国カメルーンに避難する事態となっていた。


◎ブラジルのイルマン・ドゥウセ修道女が聖人に

 【CJC】20世紀のブラジルでもっとも有名な聖職者の1人、イルマン・ドゥウセ修道女(1914~1992)が、バチカン市国からブラジル人女性としては初めての「聖人」に認められた。『バチカン・ニュース』(ポルトガル語)の5月13日発表をもとに邦字紙『ニッケイ新聞』が16日報じている。

 聖人に認められるためには、福者に認定された時以外の「奇跡の逸話」が必要となる。

 イルマン・ドゥウセの場合は、「結膜炎で痛みと共に失明し、14年間も苦しんでいた患者が、彼女の名によって祈ったところ、その翌日、目覚めた時から目が見えるようになっていた」との実話が奇跡と認定された。

 この患者は50代の男性で、ドゥウセの拠点であったバイア州とサンパウロ州、さらにローマの医師たちによる診断も受けた。医師たちが「科学的な根拠が見当たらない」とし、奇跡として認定したことで聖人化につながった。

 死後27年での聖人化は、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世の9年、マザー・テレサの19年に次ぐ、世界歴代3位という異例の早さだ。

 ドゥウセは、その一生をバイア州サルバドールの教会での貧者救済に捧げたことで知られ、彼女の名を冠した非営利福祉団体『オブラス・ソシアイス・イルマン・ドゥウセ』は26日に設立60周年の記念日を迎える。

 サルバドール司教区のムリーロ・クリエジェル大司教によると、教皇が新たに聖人と認定されたことを宣言する式典が7月に開催され、その時点で正式に聖人と呼ばれるようになる。

 
《メディア展望》

 =カトリック新聞(5月19日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★教皇「自発教令」発表 =性虐待の新規範明記=全世界の教区・修道会に通報と報告の義務
★教皇=東欧南部2カ国訪問=ブルガリア正教会訪れ分裂の修復呼び掛ける
★分裂続く北マケドニア=教皇訪問=多様性が「貴重な財産」
★「女性助祭」結論出ず=教皇=機中記者会見で
★ジャン・バニエさん逝去=ラルシュ共同体創設者

 

 =KiriShin(5月11日・既報)=https://www.kirishin.com

 

 =クリスチャン新聞(5月19日)=https://クリスチャン新聞.com
★「平成」から「令和」へ=天皇「代替わり」=宗教性に憂慮、危機感=4団体の関係者が緊急記者会見=皇室祭祀への政府関与が問題
★5月1日に「代替わり考える集会」開催=明治学院有志で="自由は気づかぬ間に侵される"
★「教会と政治」フォーラム=代替わり前夜に出版記念講演会=「上に立つ権威」神格化に否を
★天皇代替わり儀式抗議=特別公開講演会で袴田康裕氏=天皇制への屈服は日本宣教停滞と一体=神戸改革派神学校=政府が定めた休日も通常授業
★天皇代替わり問題連続集会で金性済氏=無関係でない天皇制と民族差別=NCC靖国神社問題委員会主催

 
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