世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1479信(2019.05.27)

  • 反対派のカトリックの神父を中国が教会から追放
  • ケニア高等法院、刑法の反同性愛規定の廃止認めず
  • ロシア正教会修道院で院長が寄進着服疑い修道士を刺す
  • 遺体を園芸用土にする埋葬を米国初、ワシントン州が合法化
  • 中央アフリカで惨殺された修道女の遺体見つかる
  • 春の外国人叙勲でファリーナ枢機卿に旭日重光章
  • 《メディア展望》

 

◎反対派のカトリックの神父を中国が教会から追放

 【CJC】中国中央部、河南省鄭州教区の劉全法(リュウ・クアンファ)神父は中国共産党の厳しい抑圧を受け、教区管理者の地位から退かなければならなくなった。中国の信教の自由と人権について報道するオンラインメディア『ビターウインター』(日本語版)が5月27日伝えた。

 2018年のバチカン(ローマ教皇庁)と中国間の合意を受けて、バチカンは教皇と中国政府の双方に忠誠を誓う「新たな」教会が誕生すると認識し、一方、中国共産党はこの合意により全てのカトリック教徒は『中国天主教愛国会』に参加する必要がある、と解釈した。中国政府はこの解釈を確実に実現するため、愛国会への参加を拒む反対派の聖職者の弾圧を続けている。

 河南省鄭州市にある銘功路カトリック教会の劉全法神父は、この弾圧を最近受けた被害者の1人。2016年に死去した前教区管理者の張魁進(チョウ・クイジン)神父が12年に引退した際、バチカンは、鄭州教区には正当に役目を果たしている司教と教区管理者が不在になると認識し、教区管理者に劉神父が任命された。

 現地の匿名希望のカトリック教徒が『ビターウインター』に伝えたところでは、昨年以来、河南省『中国天主教愛国会』の王躍勝(ワン・ユエシェン)理事と中国共産党中央統一戦線工作部職員が劉神父に対し、職を放棄し、王躍勝を代わりに教区管理者として認めるよう要求していたようだ。

 2018年初め、劉神父は教会の『ウイチャット』のグループに「キリスト教の子供たちの信仰の権利を断固として守る」というタイトルの記事を投稿した。その後、香港の新聞がそれを転載、配信した。また、劉牧師は香港の『UCAN』通信の記者宛てに、「未成年の宗教施設への入場を禁じる」と書かれた、教会の入り口に当局が掲示した貼り紙の写真を送信した。その結果、劉神父はインターネット上で不適切な発言を投稿、そして国の機密情報を漏えいしたとして非難され、政府から報復を受けるようになった。

 バチカンと中国間の合意直後、劉神父は、中国政府が任命した聖職者は、司教も含めて、信頼することができないとバチカンに警告するため、宣教活動を担当する福音宣教省長官フェルナンド・フィローニ枢機卿宛てに書簡を送った。しかし劉神父は常に監視を受けていたため、書簡は当局に没収され、枢機卿には届かなかった。

 劉神父は「司教任命に関して、中国共産党政府と安易に合意しないことをバチカンに求めたい。政府が推薦する人物の多くは適切な人材ではない。司教に任ぜられた後、悪行を働くことで知られており、欠点の多くが露呈される。一部の司教の行為には教会の信者も不満を持っている。政府は教会の問題を取り仕切るべきではない。現在の教会の腐敗の原因は、基本的に政治と宗教を切り離すことができないことにある」と訴えていた。

 2019年に入ると、劉神父に対する圧力は一層強まった。1月下旬、神父と訪問者を監視するため、監視装置が神父の住居の外に設置され、神父の部屋がある2階へ続く外階段は、信者が密かに神父と連絡を取らないように撤去された。

 2月13日、当局は劉神父に、政府への抵抗をやめるよう警告した。当局は神父を脅すため、劉江東(リュウ・ジアンドン)神父に用いた手法を採用した。鄭州の聖神教会の主任司祭であった劉江東神父は、2018年9月に1週間拘留され、その後、政府に反対したこと、及び「国の宗教の方針と規則に違反」したことを理由に司祭の職を解かれていた。

 1週間後、劉神父は当局に、辞職して王躍勝を教区管理者として認めるよう迫られた。

 劉神父はこの申し出を拒否した。そして3月4日、河南省の『中国天主教愛国会』の楊修徳(ヤン・シウデ)代表は、劉神父を教会から追放し、銘功路カトリック教会を引き継ぎ、自分自身を主任司祭に任命した。さらに楊代表は鄭州教区全体を「統括」するとも主張したという。


◎ケニア高等法院、刑法の反同性愛規定の廃止認めず

 【CJC】ケニアの高等法院は5月24日、同性間の性交渉を違法とする刑法の規定の廃止を求めてLGBT(性的少数者)活動家らが起こしていた訴えを退けた。AFP通信などが報じた。

 ケニアの刑法は、「自然の秩序に反する......性行為をした者」に最高で14年の禁錮刑を、男性間のみだらな行為をした者に最高で5年の禁錮刑を科すと定めている。実際に適用されることはまれだが、活動家らはこれらの規定はプライバシーと尊厳を損うものであり、差別を助長し、医療や司法へのアクセスを阻害するものだとして廃止を求めていた。

 しかし、申し立てから3年を経て高等法院は、キリスト教が主流のケニアにおける文化と家族に関する価値観が損なわれるとの懸念を重視し、同性愛を違法とする法律は違憲ではないと判断した。


◎ロシア正教会修道院で院長が寄進着服疑い修道士を刺す

 【CJC】ロシア正教徒の間で最も人気のある聖人の1人、聖ニコライ(紀元270~345年ごろ)は、生前、貧しい人々に多くの施しをしたことからサンタクロースのモデルとされている。

 旅行・交通安全の守護聖人でもある聖ニコライの遺体が、当時、異教徒支配の地から密かに持ち出され、南イタリアのバリに到着したことを記念する5月22日は、ロシア正教会にとって「聖なる日」。その22日、モスクワ郊外にあるロシア正教会でも重要な修道院『トロイツェ・セルギエフ大修道院』でセバスチアン院長が酒に酔った上「われを忘れて」僧房にいた62歳の修道士、ポリカルプ修道補祭を襲い、ナイフで腹部などを複数回刺した。修道補祭の命に別条はないという。ニュースサイト『ガゼータ・ルー』などによるとして共同通信が伝えた。

 正教会では信徒が故人や病気の家族などの名前を書いた紙を司祭に渡し、司祭が故人の来世での幸せや快癒を祈る伝統があり、セバスチアン院長は、ポリカルプ修道補祭が寄進を着服したと主張しているという。ロシア正教会最高位のキリル総主教は、修道院長の位階剥奪を決めた。


◎遺体を園芸用土にする埋葬を米国初、ワシントン州が合法化

 【CJC】米ワシントン州は5月21日、遺体を園芸用土にする埋葬方法を米国の州として初めて合法化した。ひつぎを使った埋葬や火葬で生じる二酸化炭素の削減を目指す趣旨の法案に、環境派のジェイ・インスレー州知事が署名した。

 新法は来年5月に発効。同州内で死去した人の遺体は、園芸用土に変えられる「再構成葬」と呼ばれる方法で埋葬できるようになる。

 AFP通信によると、このサービスを最初に提供するのは同州シアトルを拠点とする企業『リコンポーズ』。同社の創業者で、合法化に向けてロビー活動を行ってきたカトリーナ・スペード氏は10年ほど前、30歳になり自身の死について深く考えるようになったことがきっかけでこの埋葬方法に興味を持ったという。

 同氏によると、「天然有機還元葬」の提供予定価格は5500ドル(約61万円)。

 米国では地球に優しい「グリーン」な埋葬への関心が高まっている。米国では現在、複数の企業がオーガニックなひつぎや、自治体の条例で認められたシンプルな埋葬布にくるんでの埋葬サービスを提供している。

 ただ遺体を普通の土に返すことに消極的な声もある。特にカトリック教会は、この埋葬方法を批判している。

 『ワシントン州カトリック協議会(WSCC)のジョゼフ・スプラグ事務局長は、州議会司法委員会に送った文書で、「このような方法で遺体を取り扱うと、遺体に十分な敬意を払うことができないとカトリック教会は考えている」と述べていた。


◎中央アフリカで惨殺された修道女の遺体見つかる

 【CJC】ローマ教皇庁(バチカン)の報道サイト『バチカン・ニュース』は5月22日、中央アフリカの村で少女らに縫い物を教えていたフランス系スペイン人の修道女(77)の遺体が20日早朝、頭部を切断された状態で発見されたと報じた。

 「19日から20日かけての夜半に複数の襲撃犯が修道女の部屋に侵入し、修道女が少女らのために運営している施設に被害者を連れて行き、そこで斬首した」という。

 さらに、「この殺人事件は臓器売買が絡んでいる可能性がある」とする現地自治体議員の話も伝えている。

 ただ同修道女と同じスペイン・ブルゴス教区から中央アフリカへ渡った司教は、「首を切られて殺されていたが、頭部が完全に切断されていたわけではない」と話していると、同教区の関係者がAFP通信に明かしている。

 教皇フランシスコ教皇は22日、「貧者に仕えることでイエスに人生をささげた」女性がこのように殺害されたことは「残酷だ」と述べ、哀悼の意を表した。


◎春の外国人叙勲でファリーナ枢機卿に旭日重光章

 政府は2019年春の外国人叙勲で5月21日、バチカンのラッファエーレ・ファリーナ枢機卿(バチカン図書館・古文書館元館長)に旭日重光章を贈った。

 枢機卿は長年,日本・バチカン間の関係強化及び友好親善に尽力し、中でもサレジオ会宣教師マリオ・マレガ神父が収集した江戸時代の豊後地方のキリスト禁教に関する史料コレクションをはじめ,バチカンが所蔵する日本関連史料の研究活動及び保存修復に日本側と協力しながら尽力した。(CJC)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(5月26日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★ソーシャル・メディアの可能性=助け合いと連帯=教皇フランシスコ=「世界広報の日」メッセージ
★「平等」より「公正さ」を=正平協=日本のメディア 考える集い
★教皇フランシスコ=メジュゴリエ=公式巡礼を許可=聖母出現の真正認定はないまま
★津和野の証し人列聖調査 開始=乙女峠まつりで 宣言ミサ
★「震災から10年」以降に向け支援体制検討へ=サポート会議、全ベース会議で

 

 =KiriShin(5月21日)=https://www.kirishin.com
★東洋英和女学院=深井智朗院長を懲戒解雇=調査委「捏造・盗用」を認定=キリスト教・神学界に波紋
★"社会的影響「極めて大きい」「悪質」"=神学者「カール・レーフラー」は実在せず
★キリスト教カウンセリングセンター=通信講座を開講、受付開始
★『教会に生きる喜び』出版記念で朝岡勝、大嶋重徳両氏がWTP公開収録
★教皇が自発教令を発表=虐待の通告義務と制度整備促す

 

 =クリスチャン新聞(5月26日)=https://クリスチャン新聞.com
★「クリスチャンITキャンプ」開催=アイデアとスキルを教会へ
★前橋ハレルヤブックセンター オープン=ミシン店がキリスト教書店に
★24条改正は「国体」の回復を意図する=「教会と政治」フォーラムで吉川直美氏発題
★EA YLG参加メンターの声=つながりとビジョン
★聖書と中国古典文化の出会い=小説や対比の形式で=梁フゥイ氏が立教大学で講演

 
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