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世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1483信(2019.06.24)

  • バチカンが既婚男性の司祭任命を検討、と英BBC放送
  • 米国務省「信教の自由」報告書、中国、ベトナム、シリア、イランに注目
  • モンテネグロとセルビア間で「教会」危機
  • ジョージア首都で反ロ暴動、プーチン氏は航空便停止へ
  • 豪協会と裁判で争うラグビーのフォラウが寄付募る
  • マドンナが教皇と、女性の権利について話したい、と語る
  • 《デスク手帖》教皇の訪問日程調整大詰め
  • 《メディア展望》

 

◎バチカンが既婚男性の司祭任命を検討、と英BBC放送

 【CJC】バチカン(ローマ教皇庁)が、年配の既婚男性を司祭に任命する案を検討していることが、英公営BBC放送のマーティン・バシール宗教編集長の取材で明らかになった。南米アマゾンの遠隔地での司祭不足対策が目的という。

 この問題は、2015年に教皇フランシスコが発表した環境問題に関する回勅「ラウダート・シ」で触れられていた。教皇はこの中で、アマゾン地域での問題について「教会や国家、すべての人々による構造的・個人的な変革が必要だ」と記している。

 今年10月には、バチカンでアマゾン周辺地域のための特別シノドス(世界代表司教会議)が開かれる。「アマゾン、教会と統合的エコロジーのための新たな歩み」をテーマにした会議で取り上げる予定の議題を「ラウダート・シ」は並べている。

 この会議にはブラジル、ボリビア、ペルー、エクアドル、コロンビア、べネズエラ、ギアナ、スリナム、フランス領ギアナから司教と先住民が集まる。これら各国の人口合計は3300万人。地球の水の5分の1と酸素の4分の1を供給し、3分の1以上の森林を有しているという。

 アマゾン地域は環境問題と司祭問題を抱えているものの、教会が直接解決できるのは司祭不足だ、として、「ラウダート・シ」は、司教会議や地元コミュニティーからの聞き取り調査の結果、10月の会議では、地域社会で尊敬されている年配の既婚男性を司祭に任命する可能性を考慮すべきだと提案した。

 カトリック教会は1123年と1139年の第1回、第2回ラテラン公会議で司祭の婚姻を明確に禁止して以来、司祭を禁欲独身男性に限ってきた。10月の会議で、司祭の妻帯を認めることになれば、1000年ぶりの大変革となる。

 会議の最終日には参加者による投票が行われ、さまざまな議題が採決される。教皇フランシスコがこの採決の結果を、会議に基づく「使徒的勧告」として公表するか注目される。


◎米国務省「信教の自由」報告書、中国、ベトナム、シリア、イランに注目

 【CJC】米国務省は6月21日、世界各国の「信教の自由」の状況をまとめた2018年版の年次報告書を発表した。

 今年の報告書は、イスラム教徒主体の少数民族ウイグル族らが住む中国の『新疆(しんきょう)ウイグル自治区』を特に取り上げ、信教の自由の侵害が悪化していると懸念を表明した。

 報告書によると、2017年4月以降、中国政府は推計で少なくとも80万人、最大で200万人以上のウイグル族などイスラム教徒を拘束した。自治区の収容所では拷問が横行し、死者が出ているとの報告もある、と指摘している。

 また、中国国内のキリスト教徒に対する抑圧も激しさを増し、中国当局による地下教会の閉鎖や聖書の焚書(ふんしょ)、信者に対する信仰放棄の強要などが行われている、とした。

 報告書は、北朝鮮に関し、宗教的理由も含め投獄されている政治犯が8万~12万人にのぼり、遠隔地の政治犯収容所で過酷な処遇を受けていると指摘した。

 ドナルド・トランプ大統領のキリスト教福音派への肩入れが強まる中での「信教の自由」報告書発表とあって、米メディアの扱いも慎重さが目立っている。


◎モンテネグロとセルビア間で「教会」危機

 【CJC】トルコ放送協会のニュース・サイトは、バルカン半島の最小国モンテネグロが国内にある教会を「国家財産」とすることに関する法案を作成したことがセルビアとの間に危機を招いている、と6月21日報じた。

 モンテネグロが、ミロ・ジュカノヴィチ大統領の要請で、教会を「国家財産」とする法案を作成したことに、セルビア東方教会やセルビア国家当局が反発し、モンテネグロ外務省はゾラン・ビングラチ駐モンテネグロ・セルビア大使を呼び出した。

 セルビアは、モンテネグロが同国内にあるセルビアの教会をモンテネグロのものにしようとしていることは違法と主張する一方、イノベーションおよび技術革新担当のネナド・ポポヴィチ長官は、当該法案がモンテネグロ議会で承認された場合にセルビアは可能な限り最も激しい反発を示す、と述べている。

 モンテネグロ外務省は声明で、セルビアが内政に干渉すべきではないと強調、セルビア側からの「激しい告発」を受けてビングラチ大使を協議のため外務省に呼び出したのだ、と明かにした。

 問題の法案が成立すれば、第一次世界大戦後の1918年に樹立、『セルビア・クロアチア・スロベニア王国』としても知られるユーゴスラビア王国に統合される前にモンテネグロで建設された教会も国家財産になると想定されている。


◎ジョージア首都で反ロ暴動、プーチン氏は航空便停止へ

 【CJC】黒海沿岸ジョージア(グルジア)の首都トビリシの同国議会で6月20日、断交関係にあるロシアの下院議員が議長席で発言したことに市民が反発、議会を取り囲む事態となった。市民の一部が暴徒化し議会内に侵入を図った。共同通信などが報じた。

 治安当局は催涙弾やゴム弾で応酬し、同国保健省によると240人が負傷した。内務省は21日までの2日間で拘束者は300人以上としている。

 ロシア外務省は21日、国民にジョージアへの渡航自粛を勧告。プーチン大統領は同日、国民の安全を確保出来ないとして、ロシアの航空会社に対し7月8日からのジョージア行き便の運航停止を命じる大統領令に署名した。


◎豪協会と裁判で争うラグビーのフォラウが寄付募る

 【CJC】ラグビー元オーストラリア代表のスター選手で、同性愛者への暴言を繰り返して同国ラグビー協会から解雇されたイズラエル・フォラウが、協会を訴えている裁判の費用を工面するために立ち上げたクラウドファンディングに寄付金が集まっていることが6月21日判明した。AFP=時事通信が報じている。

 信仰深いキリスト者として知られるフォラウは、ソーシャルメディア上でゲイや自分が罪人とみなす人々には「地獄が待っている」と書き込み、この5月に協会の審議会で「重大な」行動規範違反を犯したと認定された。

 これを受けてフォラウは、自分の行為は聖書の言葉を引用しただけであるとして、オーストラリアの雇用監視機関である公正労働委員会(FWC)に申し立てを行った。

 しかし、協会側と裁判で争うための費用は、世界で最も高い給与を手にしていた選手のフィラウにも重荷で、サポーターに300万オーストラリア・ドル(約2億2300万円)の寄付を募った。するとこれまでに、2700人から25万5000オーストラリア・ドル(約1855万円)が集まった。

 この問題に対処するため、フォラウはこれまで10万オーストラリア・ドル(約740万円)の自己資金を費やしていることに加え、仮に高等裁判所まで持ち込まれれば解決には何年もかかる可能性があると訴えた。

 シドニーの『デーリー・テレグラフ』紙は、フォラウが数百万ドルもの不動産ポートフォリオを所有しているとして、同選手を「恥知らず」と批判した。

 さらに同紙のウェブサイトでは、読者からのさまざまな意見が飛び交っており、「厚かましいやつめ。お前の膨らんだポケットにもう少し深く手を突っ込んでみろよ、イジー(フォラウ)」という投稿や、「この問題で恥知らずなのは、オーストラリアラグビー協会の対応だけだ」との声も上がっている。


◎マドンナが教皇と、女性の権利について話したい、と語る

 【CJC】英音楽紙『NME』が運営するサイトが、あのマドンナは教皇フランシスコに接見して女性の権利について神がどう考えているかについて話してみたいと語っている、と紹介した。

 豪テレビ局『7プラス』の番組に出演した際、キャスター、アンドリュー・デントンのインタヴューに応じている。

 「『神は女性についてどうお考えだと思いますか? 女性には自分の身体を自由に扱う権利があるという考えに、神は同意すると思いますか?』っていうことを訊きたいわ」

 マドンナは1989年にリリースしたミュージック・ビデオ「ライク・ア・プレヤー」がカトリック教会から批判を集めたことで知られている。ビデオには十字架を燃やすシーンが含まれているほか、血の涙を流す黒いイエス・キリストの像も登場している。

 しかしマドンナはいつか教皇に面会できる、と信じているようで、「いつか招待してくれるかもしれない。わたしとそうした会話を持つことについてもオープンだと思う」と語っている。

 養子を含めて6人の子どもを持つ母親となったマドンナだが、これまでの人生について、「わたしは修道女としての人生を生きてきたわ。修道衣を着てない修道女ね」と語っている。「貞操のことを言っているの。誰にだって、セックスをしない時期はあるわ」

 同じインタビューの中で、現在60歳のマドンナは年齢で差別される風潮についても言及しており、「レッテル」を貼って自身を「制限」しようとする人々に苦言を呈している。

 マドンナは通算14作目となるニュー・アルバム『マダムX』をリリースしている。


《デスク手帖》教皇の訪問日程調整大詰め

 『【独自】天皇陛下とローマ法王が懇談へ』というタイトルで日本テレビ系のNNNが6月14日11時54分、「関係者によると」というあいまいな表現で、教皇フランシスコが今年11月下旬に来日し、被爆地の長崎や広島を訪問した後に東京を訪れる方向で検討が進められているという情報を流した。映像も、ニュースを読み上げるアナウンサーの姿だけだが、天皇陛下との会見は11月25日を軸に調整中で、教皇が東京ドームでミサを行うことも検討が進められているとまで踏み込んでいる。CJC通信は「フラッシュ」で流したが後続のニュースが出てこない。

 「関係者」とは、とにかく正体は明かせないということだろう。他のメディアが追って来ないのが気になる。「NNNの特ダネ」と認めたくないからでもなさそうだ。NNNが詳細を続報として出さないのも不思議。

 こうなると、前田万葉枢機卿が3月14日、長崎県庁に中村法道知事を表敬訪問し、教皇の訪日日程について、「6月下旬から7月上旬までに正式に発表される」との見通しを示した事を思い出す。6月にもバチカンから担当者が来日し、訪問場所や行事を調整するとも語っていた。

 バチカンから誰が来たかも明らかにしていない。ただ、教皇と天皇の会見が11月25日に決まったということだけは報じたかったのか。いずれにせよ、その日が明らかになる時も近い。(2019.6.20)


《メディア展望》

 =カトリック新聞(6月23日)=http://www.cwjpn.com/cwjpn/
★香港の大規模抗議デモ=カトリック信者も参加
★聖墳墓教会さらに修復=維持管理の3教会合意=エルサレム
★大阪教区再宣教150周年感謝ミサ=宣教に新たな情熱を
★日本カトリック女性団体連盟 総会=キリストの愛の「証し人」に=名古屋・布池教会
★ウガンダ出身のロバート神父=母国のために学校設立=藤沢教会などで募金集まる

 

 =KiriShin(6月21日)=http://www.kirishin.com
★「原発のない世界を求める国際協議会」=日本聖公会="核の平和"の欺瞞を問う=川上直哉(東北ヘルプ事務局長)
★殺傷事件受けカリタス学園がメッセージ
★「和解」テーマに出版記念講演会=平野克己・桃井和馬両氏による対談も
★「天皇代替わり」儀式に抗議=日本キリスト改革派教会も声明
★教皇がルーマニア訪問=教会の「ロマ」差別を謝罪

 

 =クリスチャン新聞(6月23日)=http://クリスチャン新聞.com
★教会未設置550市町村に福音を=インド教会増殖運動リーダー・安カンヒ氏=「カバレッジビジョンセミナー」
★めぐみさんの帰国を祈る=横田めぐみさん帰還のための祈りのコンサート
★根本から宣教を問い直す必要=福島宣教ネットワーク第2回会議で朝岡勝、松谷信司、住吉英治の三氏が発題
★元号表記のみは不便 障害もたらす=「西暦併用を求める会」
★天安門事件から30年=今、再び迫害の時代=苦難の中に福音は前進する

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