世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1490信(2019.08.12)

  • 教皇、ヨーロッパ情勢や移民問題について伊紙に語る
  • 教皇、天皇陛下の即位の儀に枢機卿を派遣
  • レデンプトリス・マーテル神学校、9月にマカオで開校
  • 2年以内に「家庭教会」の根絶目指す?中国共産党
  • エジプトの洞窟教会を「屋外聖書」に=使命に生きるポーランド人彫刻家
  • ウクライナのゼレンスキー大統領がトルコ公式訪問へ
  • 《メディア展望》
  • 【資料室】

 

◎教皇、ヨーロッパ情勢や移民問題について伊紙に語る

 【CJC】教皇フランシスコは8月9日、イタリアの新聞『ラ・スタンパ』のインタビューで、ヨーロッパの情勢や、移民問題、今秋開催のシノドスなどについて語った。公営『バチカン・ニュース』が伝えた。

 『ラ・スタンパ』紙のドメニコ・アガッソ記者によるインタビューで、今日のヨーロッパ情勢、特に欧州連合(EU)の現状について意見を問われた教皇は、運営問題や内部の意見対立などを抱えるEUに対し、今こそ、ヨーロッパは、地域統合の基礎を作った人々の夢に立ち返るべき、と話した。

 また、ヨーロッパ諸国を一致させる、ヒューマニズムやキリスト教の共通のルーツ、共有する基本的価値を再確認する必要を説いた。

 教皇は、EU内で広がる自国中心主義の傾向を憂慮、それは孤立化の態度に他ならないと述べた。

 移民問題について教皇は、命の権利は、他のどの権利より重要と強調。人々が祖国を後にせざるを得なかった原因である、戦争や飢餓を思い出すことが必要と述べた。

 一方で、EU各国政府は移民の受け入れ限度を慎重に考慮し、創造的な対応を追求すると共に、移民の流出を防ぐために、移民の出身国の問題の解決を助けなければならない、と話した。

 今年10月の「アマゾン周辺地域のための特別シノドス」について、教皇は、これをエコロジーをテーマとしたご自身の回勅「ラウダート・シ」に関連を持つものと位置付けた。

 しかしながら、同シノドスは当然、政治家や科学者の会議ではなく、教会のミッションをめぐるものであり、特に福音宣教の活動と方法について話し合うもの、と説明した。

 アマゾン地域の司祭が不足する場所で、結婚した長老を司祭に叙階する可能性については、このシノドスの中心問題ではなく、討議要綱の中の一つの項に過ぎない、と述べた。


◎教皇、天皇陛下の即位の儀に枢機卿を派遣

 【CJC】教皇フランシスコは8月10日、10月に行われる天皇陛下の「即位礼正殿の儀」に枢機卿を派遣することを決めた。バチカン(ローマ教皇庁)が発表した。儀式では陛下が外国元首ら国内外の賓客を前に即位を宣言する。

 共同通信の報道によると、教皇が派遣するのはローマのサンパオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂の名誉主席司祭であるフランチェスコ・モンテリージ枢機卿。

 教皇は、天皇の5月2日即位に際しては、心からのお祝いメッセージを送り、その中で、天皇が「お国へのご公務に専念される中で、常に英知と強さの賜物に恵まれますよう、私のお祈りをお約束いたします」と述べている。

 教皇は、11月に日本を訪問する予定で、その際、天皇とも会見すると見られている。


◎レデンプトリス・マーテル神学校、9月にマカオで開校

 【CJC】全アジアのためのカトリック司祭を養成する『レデンプトリス・マーテル神学校』が、この9月に中国の特別行政区マカオで開校されることが分かった。UCAN通信が8月7日報じた。

 バチカン(ローマ教皇庁)福音宣教省が、有力信徒団体『新求道共同体の道』に設置を委ね、当初は、東京に開校するとの話もあったが、その後立ち消えになっていた。同省長官のフェルナンド・フィローニ枢機卿が6月29日に教皇フランシスコと接見、同意を得たという。


◎2年以内に「家庭教会」の根絶目指す?中国共産党

 【CJC】中国共産党が、今後2年間で全国の「家庭教会」(非公認地下教会)を抹殺すること目指している。実際に、この取り組みを強化しており、強制的に教会を閉鎖し、インターネット上でも「家庭教会」を標的にしている。

 中国における信教の自由の迫害と人権に関するメディア『ビター・ウインター』が入手した情報によると、公認の「三自教会」に所属していない、独立した「家庭教会」を2年以内に全て排除する計画を中国共産党が立てていると、各省の警察が公然と信者たちに告げている。

 6月23日、山東省の省都済南市東方のゾウ平市にある「家庭教会」が警察の強制捜索を受けた。教会は略奪され、指導者は警察に抵抗したために逮捕された。

 同日午前6時30分、警察と同市の「統戦部」(統一戦線工作部)の指導者を含む40人から50人が教会の集会所に到着した。警察は、集会は違法だと主張し、非常線を張り、信者を敷地内に入らせなかった。

 それより先の4月4日、湖北省の省都武漢市江岸区にある「家庭教会」(信者200人)を江岸区の「民族宗教事務局」が封鎖した。同局は前日に教会の閉鎖を通知していた。聖書と宗教関連の書物100冊以上が押収された。また同地区の教会2カ所の集会所も閉鎖された。「福音の手引き」を配布していたとして教会スタッフが追放され、そのうちの1人は警察に連行されて尋問を受けた。29日、この教会の牧師が、集会所を失った十数人の信者を野原に引き連れ、讃美歌を歌った。その結果、牧師は「市民をだました」として警察に連行された。

 また4月には、中国北部山西省運城市にある「基督家園教会」も政府公認の三自教会への参加を拒んだため、閉鎖に追い込まれている。

 現地の「民族宗教事務局」職員が、各教会の牧師に信者の個人情報と財務情報を報告するよう要求し、また政府が認めた牧師や長老を受け入れ、説教を行わせるよう命じた、という。牧師側は要求を拒否したようだ。

 4月25日、「民族宗教事務局」の8人が機械を使って教会の看板を切断し、運び出した。4日後には、同局員は出入り口の錠を取り換え、信者の集会を禁止するよう家主に命じたという。

 共産党は別の地域でも集中的な追放作戦を実施している。6月16日、厦門(アモイ)の当局は現地のプロテスタントの「家庭教会」を弾圧する大規模な作戦を開始、40カ所以上が閉鎖に追い込まれ、ウェブサイトも閉鎖された。


◎エジプトの洞窟教会を「屋外聖書」に=使命に生きるポーランド人彫刻家

 【CJC】エジプト・カイロのモッカタムの丘の上にある「洞窟教会」として知られるコプト教会聖シモン修道院で、岩窟に巡らされた足場をよじ登り、彫刻に最後の仕上げを施しているのは、ポーランド人彫刻家マリウス・ディビッチ氏(51)。

 AFP通信が伝えるところによると、ディビッチ氏は、修道院内の七つの岩窟教会と礼拝堂のごつごつした岩に、聖書の物語を刻み続けてきた。

 ポーランド南部クラクフ出身のディビッチ氏。教育使節としてカイロに来て、今では30年近くエジプトに住んでいる。

 すべては1990年代初め、現在修道院の主任司祭を務めるサマーン(アラビア語で「シモン、サイモン」の意味)神父が同氏に言った言葉から始まった――「この山を屋外聖書に変えてほしい」

 ディビッチ氏は彫刻の経験がまったくなかったが、電動ドリルとチゼルハンマーを買い、数日間で初めての作品を完成させた。今では彫刻を続けて23年以上になり、これまでに完成させた作品は約70点に及んでいる。「デザインによっては完成までに5日から半年かかる」という。

 修道院は丘の上にあり、カイロを一望できる。だが参拝者はここまで来るのに、でこぼこした道を昇りスラム街を通り抜けなければならない。たどり着くのは大変だが、イスラム教を国教とするエジプトで少数派のコプト教(信者数は人口の10%程度)の祝日や祭りのみならず、毎週行われる礼拝には何千人もが訪れる場所となっている。


◎ウクライナのゼレンスキー大統領がトルコ公式訪問へ

 【CJC】トルコ国営放送の報道によると、ウクライナのヴォロディーミル・ゼレンスキー大統領が、レジェプ・ターイプ・エルドアン大統領に会うために8月7日トルコを公式訪問する。

 ウクライナ大統領府報道センターの発表によると、ゼレンスキー大統領は、8月7、8日の日程で行うトルコ公式訪問で、エルドアン大統領と首都アンカラで会談するほか、イスタンブール県フェネル地区にあるギリシャ正教会のエキュメニカル総主教バルトロメオス1世と面会する。

 7月に実施された早期選挙では、ゼレンスキー大統領の政党「国民のしもべ」が得票率43・16%で第1党になった。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(8月11日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★国籍を超えた共生へ日本社会の在り方考える=難民移住移動者委が東京管区セミナー
★人身取引と闘うシスターたち=「タリタクム」10周年を記念
★教皇フランシスコ=移住者の悲劇再発防ぐため国際社会に緊急行動を促す
★差別なくすために私の持つ"特権"を知る=部落差別人権委主催の公開講演会=大阪
★社会の動き意識し福音宣教考える=全国広報担当者会議=東京

 

 =KiriShin(8月11日)=https://www.kirishin.com
★日本G&M文化財団=『聴くドラマ聖書』今秋無料でリリース=豪華俳優・声優陣が夢の共演
★在日大韓基督教会とNCC=平壌へ訪朝団
★聖霊刷新協議会=教団議長招き「2030年問題」で研修
★日本基督教団・在日大韓基督教会=共同で「平和メッセージ」
★首相らの靖国神社公式参拝に=新宗連信教の自由委が意見書

 

 =クリスチャン新聞(8月11日)=https://クリスチャン新聞.com
★インドネシア軍政下、日本の教会は?=南方派遣教師送り戦争に協力=沖縄キリスト教平和総合研究所特別講演会で原誠氏=「あの頃がいちばん充実していた」
★現役・元プロスポーツ選手13人の証し収録=「スポーツバイブル ラグビー版」=ラグビーワールドカップ開催中の伝道ツールに
★「災害支援に携わる教会」テーマに永井敏夫氏=「点から線、線から面、面から立体へ」=「災害支援セミナー~その心得と実践~」セッション1
★異種共演から「CD伝道」へ発展=ピアノと共演=末冨敦子 箏コンサート
★目の前の人を生かし輝かせた生涯=吉持章氏合同葬

 
【資料室】

 各メディアから、編集参考用資料を選択掲出します。

◇米ドラマが"破壊する"の意味で「ナガサキする」使用、原爆に着想、俗語表現か(西日本新聞8月8日付け1面)。
◇長崎原爆投下直後撮影された少年の写真に撮影者の妻が語る思い(日テレNEWS248月9日20時3分)
◇「核なき世界」響かぬ思い 被爆者と首相平行線 長崎・原爆の日(西日本新聞8月10日付け総合面)
◇歴代法王の核巡る発言を分析 長崎大の学術誌(朝日新聞電子版・森本類=8月6日3時0分)

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