世界キリスト教情報

世界キリスト教情報

世界キリスト教情報 第1494信(2019.09.09)

  • 教皇、10月5日に枢機卿会議を招集、新枢機卿13人任命発表
  • 教皇、マダガスカルの若者たちと「祈りの集い」
  • 教皇、バチカンの財政赤字削減を指示
  • 米式場が「キリスト教の信仰」理由に黒人と白人の結婚式拒否
  • 中国河南省商丘市の公認教会の指導者が飛び降り自殺
  • 「ハリー・ポッターシリーズ」に「本物の魔法の呪文」!?
  • 《メディア展望》

 

◎教皇、10月5日に枢機卿会議を招集、新枢機卿13人任命発表

 【CJC】教皇フランシスコは、10月5日に枢機卿会議を招集、13人の新枢機卿任命を発表した。

 教皇フランシスコは9月1日、バチカンで日曜正午の祈りを巡礼者と共に唱えた。
この集いで、教皇は枢機卿会議を招集する旨を発表、この枢機卿会議で叙任される新しい枢機卿13人の名前を発表した。

 教皇が新たに任命したのは、コンクラーベ(教皇選挙)の投票権を持つ80歳未満の枢機卿10人と、投票権を持たない80歳以上の枢機卿3人の合計13人。

 教皇は、新枢機卿たちの出身地は、世界のすべての人々に神のいつくしみの愛を伝え続ける、教会の宣教的召命を表すものと述べた。

 『バチカン・ニュース』によると、新しく枢機卿に任命された人は次のとおり。(発表順・敬称略、現職タイトル、出生年、出身国)

≪80歳未満の有権枢機卿≫
▽ミゲル・アンヘル・アユソ・ギクソット(教皇庁諸宗教対話評議会議長、1952年、スペイン)
▽ジョゼ・トレンティーノ・デメンドンサ(バチカン図書館・機密文書館館長、1965年、ポルトガル)
▽イグナチウス・スハルヨ・ハルジョアトモジョ(ジャカルタ大司教、1950年、インドネシア)
▽ホァン・デ・ラ・カリダ・ガルシア・ロドリゲス(サン・クリストバル・デ・ラ・ハバナ大司教、1948年、キューバ)
▽フリドリン・アンボンゴ・ベスング(キンサシャ大司教、1960年、コンゴ民主共和国=旧ザイール)
▽ジャン・クロード・オロリッシュ(ルクセンブルク大司教、1958年、ルクセンブルク)
▽アルバロ・レオネル・ラマッツィーニ・イメリ(ウエウエテナンゴ司教、1947年、グアテマラ)
▽マテオ・ズッピ(ボローニャ大司教、1955年、イタリア)
▽クリストバル・ロペス・ロメロ(モロッコ・ラバト大司教、1952年、スペイン)
▽マイケル・チェルニー(教皇庁人間開発のための部署・移住者部門次官補、1946年、チェコスロバキア)

≪80歳以上の枢機卿≫
▽マイケル・ルイス・フィッツジェラルド(ネプテ名誉名義大司教、1937年、英国)
▽シジタス・タンケビチウス(ビリニュス名誉大司教、1938年、リトアニア)
▽エウジェニオ・ダル・コルソ(アンゴラ・ベンゲラ名誉司教、1939年、イタリア)


◎教皇、マダガスカルの若者たちと「祈りの集い」

 【CJC】9月4日(水)からアフリカ東部のモザンビーク、マダガスカル、モーリシャス3国司牧訪問を開始した教皇フランシスコは6日(金)、最初の訪問国、モザンビークの首都マプトを出発、マダガスカルの首都アンタナナリボに同日到着した。マダガスカル滞在中の9日(月)には、モーリシャスの首都ポートルイスへ日帰り訪問する。

 『バチカン・ニュース』によると、教皇はマダガスカル訪問2日目の7日(土)、大統領官邸で、アンドリー・ニリーナ・ラジョエリナ大統領および各界要人と会見、記念植樹を行った。この日、教皇は教会関係者、信者らとの交流行事として、観想修道会修道女らと「昼の祈り」、司教団との出会い、翌8日のミサの前夜祭として若者たちとの祈りの集いを主宰した。

 首都アンタナナリボ郊外に設けられた広大なイベントスペースには、早くから多くの若者たちが詰めかけ、教皇が到着した夕方には、参加者はおよそ10万人に達した。

 祈りの集いでは、伝統的なリズムにのったダンスがステージで披露され、代表の青年たちが信仰や生活を通して得た体験を語った。

 家族の反対を受けながらも、刑務所でボランティアをしたという青年は、受刑者らとの出会いを通して、自分の人を見る目や評価の仕方が完全に変わった、と話した。

 これに対し教皇は、この青年が偏見や批判に陥らず、一人ひとりの人間が秘めている素質や、その人が背負っている固有の人生に気付いたことに、感謝を述べた。

 そして教皇は、「神はわたしたちを罪や過ちで呼ばず、わたしたちの名前で呼んでくださる。神の御目には、わたしたち一人ひとりが大切に映っている」と語った。

 また、若者たちが生きる上で、安易な幻想や約束の罠に陥らないようにと注意された教皇は、主に従い、主と共にいるならば、わたしたちを麻痺させ、隷属させる声を聞き分け、自分の使命と新しい地平を見出すことができるだろう、と説かれた。

 代表の1人の女性は、伝統や習慣に大きな隔たりのある部族間の軋轢や試練を超えて、互いの愛によって一致している両親の話しを紹介した。

 教皇は、家族間の絆や人々との連帯を強め、皆が必要とされる社会のために共に働き、日常の中に小さな奇跡を見出すことを学ぶようにと、若者たちを励ました。

 教皇は、歴訪最終日の10日、マダガスカルからローマに戻る。


◎教皇、バチカンの財政赤字削減を指示

 【CJC】教皇フランシスコはバチカン(ローマ教皇庁)当局者に、財政赤字を削減するとともに、運営に支障が出ないよう支出・投資管理を改善するよう命じた。米経済専門紙『ウォールストリート・ジャーナル』が9月4日報じた。

 2018年のバチカン財政赤字は約7000万ユーロ(約81億円)と前年から倍増した(予算は約3億ユーロ)。複数のバチカン高官によると、非効率な運営が続いていることに加え、投資収益も減少した。

 教皇は6年前に就任した際に、バチカンの運営や財務を全面的に見直すことを公約している。


◎米式場が「キリスト教の信仰」理由に黒人と白人の結婚式拒否

 【CJC】黒人男性と白人女性の結婚は「キリスト教の信仰」に反するとして、米南部ミシシッピ州の結婚式場『ブーンズ・キャンプ・イベントホール』がカップルの申し込みに、会場を提供できないとメールを送った。

 AFP通信が報じたもので、黒人男性の親族が直接式場に出向き、動画を撮りながら拒否した理由について尋ねると、スタッフの女性は「ゲイ同士や異人種間の結婚式は行わない」と述べ、理由について「わたしたちがキリスト教徒であるから、つまりキリスト教の信仰だ」と答えた。

 地元オンラインニュースサイト『ディープサウス・ボイス』が9月1日に記事にしたことから注目が集まった。

 同ホールのフェイスブック・ページはその後削除された。しかし削除前、女性スタッフは投稿を繰り返し、自身が育ったミシシッピ州には「同じ人種と暮らす」という暗黙のルールが存在すると釈明していた。

 女性スタッフは異人種間の結婚に関する自身の考えを裏付ける文言を聖書で探したといい、「8月31日の夕方と夜、9月1日の大半を費やして調査し、さらに1日夜に牧師と話し合い、聖書に裏付けられ正しいと考えていたことに基づくわたしの判断は間違っていたという結論に達した」とも投稿していた。

 米連邦最高裁は1967年、「ラビング対バージニア州裁判」で、異人種間の結婚の禁止を違憲と判断。米国ではそれ以降、黒人と白人の結婚は合法となっている。

 一方、「バイブル・ベルト」に位置するミシシッピ州では2016年、同性婚やトランスジェンダーの結婚に関し、自身の宗教的信仰に基づいて事業者がサービス提供を拒否することを認める「宗教の自由」法が可決されている。


◎中国河南省商丘市の公認教会の指導者が飛び降り自殺

 【CJC】中国河南省商丘市の公認プロテスタント教会の指導者、宗永生(ソン・エイシェン)牧師が7月17日、遺書を残して、『聖同心教会堂』の5階から飛び降り自殺した。「中国における信教の自由の迫害と人権に関する」メディア『ビター・ウインター』が、独自に得た情報として9月9日伝えた。

 宗氏は河南省商丘市の、中国基督教両会の会長として、政府と高いレベルで歩調を合わせることが求められていた。キリスト教三自愛国運動委員会会長として、同市の中国人民政治協商会議常任委員を4期連続で務めてきた。

 その一方で、宗氏は心の中で「教え」を持ち続けることを望んでいた。遺書のなかで宗氏は、商丘市の中国基督教両会は、教会でもなく、政府機関でもなく、組合でもなく、会社でもないのだ、と指摘していた。

 宗氏は遺書に「身体的にも精神的にも疲れ果てました。私には精神力も体力も残されておらず、複雑な事態をまとめ、対応することはできません。私は初めての殉教者になることを望みます」と綴っていたという。

 宗氏の死後1カ月以上が経過した。遺書や、当初散発的に明らかになった一部の情報を除き、追加の証拠は公開されていない。また中国本土のメディアはこの件に関して沈黙している。

 宗氏はキリスト教一家に生まれた。祖父、両親、そして、妻は全員キリスト者。宗氏は南京の『金陵協和神学院』を卒業し、商丘市で23年にわたり牧会してきた。

 商丘市建設路に『聖同心教会堂』を建設、曹荘村に『双愛堂』を建設際にも責任者だった。2018年8月24日、政府は『聖同心教会堂』の十字架を強制的に撤去した。1週間後、当局は「許可を受けていない」として『聖同心』を閉鎖した。その4カ月後、共産党は「老朽化」を理由に『双愛堂』を閉鎖した。

 教会のスタッフは「聖同心教会堂の十字架の撤去は、宗牧師の悩みの種となり、長い間、それを克服することができませんでした。十字架が撤去された際、牧師は教会の南側の路上で跪き、泣いていました」と述べている。

 宗氏は遺書に手書きで「精神的に参りました」と「これ以上走り回ることはできません」と付け加えていた。宗氏が自殺した当日の朝も、複数の政府の部署を訪れ、再び許可の申請を行っていた、と見られる。


◎「ハリー・ポッターシリーズ」に「本物の魔法の呪文」!?

 【CJC】「ハリー・ポッターシリーズ」は、世界73言語に翻訳され、全世界累計発行部数が5億冊を突破している。そのシリーズの本が、アメリカのある学校から撤去されることになった理由が話題となっています。

 米テネシー州ナッシュビルにあるカトリック系私立『聖エドワーズ・カトリック学校』が新図書館開設を機に、「ハリー・ポッターシリーズ」全7作を撤去することにした。

 地元メディア『ザ・テネッシアン』によると、カトリック教区の主任司祭、ダン・リーヒル神父が本の撤去について「米国とローマの複数のエクソシストに相談した上で決定した」と述べている。

 また、撤去を決めた理由について神父は「ハリー・ポッターシリーズでは魔法が善悪の両面から描かれているが、これは真実ではない。本で使用されている呪術と呪文は本物。もし、人間がこの本を読めば、悪霊が召喚される危険がある」と説明している。

 米図書館協会によると、ハリー・ポッターシリーズの本は2001年から3年連続で「最もクレームが入った本トップ10」に名を連ねている。


《メディア展望》

 =カトリック新聞(9月8日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★教皇と米大陸司教団=アマゾン火災に行動促す
★教皇=新枢機卿13人を任命=日本で働いたオロリッシュ大司教も
★"異端カルト"クオンパ=東京で集会=張清益牧師が注意喚起
★第61回教職員研修大会=カトリック園の使命考える=日本カトリック幼児教育連盟が主催=岡山・倉敷
★イラク北部に新教区=信者を支援し残留助ける=シリア典礼カトリック教会

 
 =KiriShin(9月1日・既報)=https://www.kirishin.com

 

 =クリスチャン新聞(9月8日)=https://クリスチャン新聞.com
★長野・中信地区で宣教はどう進んでいったか?=両親のバトン受けチーム宣教へ=地方伝道シンポでジョナサン・ジャンカー氏講演
★憎しみ・自責を超えて=舞台「赦し」公演に2300人来場
★教会は「なぐさめの共同体」でありたい=カルトとキリスト教を考える=阪神宗教者の集い
★「表現の不自由展・その後」の展示再開を要望
★森祐理さん台湾行政院から感謝状=「心の救援物資」届けて20年=被災地支援活動を表彰

月別の記事一覧