世界キリスト教情報

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世界キリスト教情報 第1503信(2019.11.11)

  • フィリピン教会協議会は「共産党関係」との政府指摘にWCC警告
  • 複数の台湾独立派団体、次期総統選で蔡総統支持を表明
  • 南島原市内の中学生4人の使節団が教皇と会見
  • 教皇長崎訪問時に爆心地公園集会で「焼き場に立つ少年」掲示へ
  • 聖書の記述検証に日本調査団が遺跡の発掘・客観的な手法で評価
  • 米フラー神学校はパサデナにとどまる
  • 離婚条件を大幅緩和、ウィルソン元ニューヨーク州上院議員死去
  • 《メディア展望》

 

◎フィリピン教会協議会は「共産党関係」との政府指摘にWCC警告

 【CJC】世界教会協議会(WCC)のオラフ・フィクセ=トヴェイト総幹事は11月9日、フィリピン教会協議会が他の17市民社会組織とともに、共産党軍事組織『フィリピン新人民軍』の「フロント」(前線)との指定を受けたことに重大な懸念を表明、警告した。

 「現在のフィリピン政治の文脈では、このような『レッテル貼り』は事実上、治安部隊や民兵による嫌がらせや攻撃に青信号を与える。フィリピン教会協議会は、麻薬運搬者や使用者に軍などが不法な殺害をしても完全な免責を与えるロドリゴ・ドゥテルテ大統領の『麻薬撲滅戦争』に一貫して反対している」と指摘する。

 トゥベイト氏はまた「フィリピン教会協議会は、貧しい人々、先住民、および他の多くの疎外された弱者グループの権利を一貫して擁護してきた。教会の監督や聖職者、信徒は、他の多くの人権擁護家と同様、すでに報復標的にされ、逮捕、脅迫されている」と述べた。

 トゥベイト氏は「フィリピン教会協議会に対する告発をWCCは強く拒否し、愛する人を失って悲しみ、次の犠牲者になることを恐れつつ生きている人々と連帯している。薬物との戦争を終わらせ、超法規的殺害を行った人々に責任を負わせる措置を講じ、すべての人々の人権と平等に神から与えられた尊厳を尊重し保護することをフィリピン政府に要求する」と述べている。


◎複数の台湾独立派団体、次期総統選で蔡総統支持を表明

 【CJC】台湾独立志向が強い複数の団体が11月5日、台北市内で合同記者会見を開き、来年1月の総統選で再選を目指す蔡英文総統を支持する姿勢を表明した。対中路線などをめぐって意見の不一致が伝えられていたが、会見に出席した台湾国家連盟の総召集人、呉樹民氏は、現在の蔡政権に不満を抱く声があると認めた上で、「大局、未来を見据える」必要性を訴えた。国営通信社「中央社」(日本語版)が報じた。

 呉氏は、総統選で戦う相手は国民党だけでなく、背後で糸を引いている中国にも対抗しなければならないと指摘し、大局を見ずに諦めてしまえば、民主主義や自由が危機にさらされると述べた。

 台湾新世紀文教基金会の陳隆志董事長(会長)は、台湾人の選択は「蔡総統の後ろ盾になること」で、非常に明確だと強調。「一国二制度」は不可能だとはっきりと中国に意思表示し、台湾の民主主義、自由、人権を守ろうと呼び掛けた。

 台湾独立建国連盟の陳南天主席は、蔡政権の政策は地位や勢力を誇る層に有利で庶民のためのものではないと考える人が多いと苦言を呈した。だがその一方で、新しい道を切り開き、台湾を正常で独立した国にするためには選挙に勝つ必要があるとも述べ、これまで蔡総統への不満を表明していた個人や団体が一致団結することに期待を示した。

 会見にはこのほか、民進党元主席(党首)で総統府資政(顧問)の姚嘉文氏や台湾教授協会の頼振昌会長、台湾基督長老教会の幹部、林偉聯牧師らも出席し、声を合わせて蔡総統支持を宣言した。


◎南島原市内の中学生4人の使節団が教皇と会見

 【CJC】430年ほど前、ローマを目指して海を渡った天正遣欧少年使節の足跡を辿ろう、と長崎県南島原市内の中学生、永田葉結希さん(西有家中学3年)、三縄梨貴さん(有家中学3年)、林田芽依さん(加津佐中学2年)、溝田魁都さん(北有馬中学2年)の4人が10月イタリアに派遣され、現地時間の23日、バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ広場で教皇フランシスコの一般接見に裃袴姿で参列した。テレビ長崎が現地から報じた。

 4人を含む使節団は最前列の特別席に通され、一人一人、教皇と握手し、言葉を交わした。4人は26日に帰国した。


◎教皇長崎訪問時に爆心地公園集会で「焼き場に立つ少年」掲示へ

 教皇フランシスコが11月24日に長崎市松山町の爆心地公園で核兵器廃絶のメッセージを読み上げる際、原爆投下後の長崎で撮ったとされる「焼き場に立つ少年」の写真パネルを掲示する方向で調整していることが8日、関係者への取材で分かった、と現地紙『長崎新聞』が9日付けで報じた。

 教皇は2013年の就任以降、核廃絶を訴えてきた。昨年、焼き場に立つ少年の写真に「戦争がもたらすもの」という言葉と自身の署名を添えたカードを作製し広めるように指示している。

 爆心地公園の集会には被爆者やカトリック信者、関係者ら約千人が出席する予定。教皇による原爆落下中心地碑への献花や、バチカンから持参する「平和のランプ」に高校生平和大使の一人が灯火することなども検討されているという。(CJC)


◎聖書の記述検証に日本調査団が遺跡の発掘・客観的な手法で評価

 【CJC】イエス・キリストの故郷イスラエル北部ナザレ近郊で、2006年から遺跡発掘を続けている天理大、立教大などの調査団が、聖書の記述を客観的に検証し、成果を上げている。『サンケイ・ビズ』11月5日付けが、テ・レヘシュ発共同通信の記事を伝えている。

 調査団は16年、ナザレ近郊のテル・レヘシュ遺跡の丘で、1世紀ごろに建てられたシナゴーグ(ユダヤ教会堂)の跡を発見した。イスラエルでも最古級で、縦8・5メートル、横9・3メートルの長方形。壁に沿って数十人が座れる長いすもあった。

 新約聖書にはナザレのイエスが村々の会堂で教えを説いたと書かれており、調査団の副団長を務める長谷川修一立教大教授は「イエスが訪れた可能性がある」と指摘。イスラエル各紙も「イエス時代の会堂発見」と報じた。当時のテル・レヘシュは人口100人に満たなかったとみられ、調査団は「小さな村でもシナゴーグが設置されていたことの証明」とみている。

 未発掘だったテル・レヘシュを手掛けることになったのは、当局に客観的な手法を評価されたからだ。キリスト教主体の欧米やユダヤ教のイスラエルでは、聖書の背景解明が考古学の目的の一つだった。欧米などの研究者が遺跡発掘に取りかかった当初は、聖書の記述が歴史的に正しいと実証しようとする意図があったという。

 これに対し、日本調査団は、西アジアの地域研究の一環として発掘を進めた。旧約聖書で描かれたモーゼの「出エジプト」の物語などでは、紀元前1200年ごろ、ユダヤ人がエジプトから現在のイスラエルに移ったとされる。日本調査団の発掘では、文化を維持しながら連続して居住していた跡が見受けられ、聖書の記述との間に隔たりがあることを確認した。

 団長の桑原久男天理大教授は「学問の裾野の広がりや、日イスラエル関係の強化につながった」と説明している。


◎米フラー神学校はパサデナにとどまる

 【CJC】米福音派系週刊紙『クリスチャニティ・トゥデー』などによると、カリフォルニア州パサデナのフラー神学校は、財政難などを理由に、2021年までにメインキャンパスを売却し、同州ポモナへの移転を計画していたが、同校の評議員会は10月24日、ポモナ市に移転せず、パサデナで未来に向け、フラーの存続を図ることにした。

 パサデナとポモナはいずれも同州南部のロサンゼルス近郊に位置する都市で、両都市間の距離は50キロほど。しかし両都市における建築コストの高騰には差があり、それがポモナの新キャンパス建設費用とパサデナのキャンパス売却価格に影響を与えたと見られる。

 フラー神学校はまた、オフィスの一部を統合し、テキサス州ヒューストンに移転することも声明で発表した。「いくつかの従業員会議で議論したように、フラーのオフィスのいくつかは、ヒューストンで運営している利用率の低いキャンパスに移動する」としている。


◎離婚条件を大幅緩和、ウィルソン元ニューヨーク州上院議員死去

 【CJC】ニューヨーク州の離婚条件を大幅に緩和することに貢献したジェローム・ウィルソン元州上院議員(民主)が11月1日、コネティカット州エセックスの自宅で肺炎のため亡くなった。88歳だった。ニューヨーク・タイムズなどが5日、報じた。

 ニューヨーク州内での離婚は、18世紀に成立した条例に基づき、配偶者の不貞を証明した場合に限られていた。

 ウィルソン氏は婚姻法に関する合同委員会の委員長として、この条件を緩和する法案を作成。法案は議会を通過、1967年9月1日に発効した。これにより、非人道的待遇、遺棄(2年間)、禁固刑(5年以上)および自発的別居(少なくとも2年間)が離婚の理由として認められるようになった。

 1931年7月16日首都ワシントン生まれ。マンハッタン区イーストサイド選出の州上院議員として3期務めた。CBSテレビでレポーターとしても活躍した。

 
《メディア展望》

 =カトリック新聞(11月10日)=https://www.cwjpn.com/cwjpn/
★アマゾン特別シノドス閉会ミサ=被造物は利用するための「資源ではなく守るべき家」
★バチカンの国連代表=核兵器廃絶を訴える
★聖霊が導く教会の福音宣教=教皇一般謁見講話
★大阪教区インターナショナルデー=多様な3千人が交流
★来日に向け教皇の教え子 司祭2人=日本のメディアに答える=上智大学 プレスセミナー

 

 =KiriShin(11月1日・既報)=https://www.kirishin.com

 

 =クリスチャン新聞(11月10日)=https://クリスチャン新聞.com
★アーティスト仲間らSNSで呼びかけ=「今は祈る時。神様に思い向けたい」=令和元年台風災害復興のための祈り会
★「戸塚 星野富弘展」開催=オープニングには星野さんも
★功労者に鳥羽季義氏、山内一郎氏、長沢道子氏=聖書翻訳、教育、福祉「働きの代表者として」=第50回キリスト教功労者顕彰式
★台風19号被災支援を展開=長野の教会活動支える=ハンガーゼロ
★三浦綾子召天20年、光世召天5年=朗読、講演で追体験=継承、広がり、厚さに期待

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